学級閉鎖の連絡が来たら、まず会社の就業規則で「子の看護等休暇」の項目を探してください。2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法で、学級閉鎖を理由に休むことが法律上の取得事由になり、会社は申出を拒めなくなりました。子どもに症状がなくても使えます。同時に確認したいのが学童(放課後児童クラブ)です。閉鎖が決まったその日から預かれないとしている自治体があります。2026年は流行の立ち上がりが早く、東京都は8月27日に流行開始、9月17日に注意報基準を超えたことを報道発表しています。
学級閉鎖は「休校」と同じ条文で決まる
学校保健安全法には、似ていて別物の条文が2つあります。
| 条文 | 名称 | 決めるのは | 対象 |
|---|---|---|---|
| 第19条 | 出席停止 | 校長 | 感染症にかかっている、かかっている疑いがある、かかるおそれのある児童生徒等(個人) |
| 第20条 | 臨時休業 | 学校の設置者 | 学校の全部又は一部(学級・学年・学校の単位) |
第20条は「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」という一文だけの条文です。学級閉鎖・学年閉鎖・休校はどれもこの「一部」または「全部」に当たります。担任や校長から連絡が来ても、法律上この判断をする権限は市町村の教育委員会などの設置者にあります。
分かれ目になるのは、子ども本人の状態を問わない点です。第19条は「かかるおそれのある」児童生徒まで含めて個人に出されますが、第20条は学級という単位への措置なので、熱もなく元気な子も等しく対象に入ります。「うちの子は症状がないので登校させたい」という選択は、この条文の下ではできません。
親が休む理由として、学級閉鎖は法律に名指しで書いてある
育児・介護休業法第16条の2第1項は、子の看護等休暇を取れる場面を4つ並べています。
- 負傷し、若しくは疾病にかかった子の世話
- 疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める子の世話
- 学校保健安全法第20条の規定による学校の休業その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由に伴う子の世話
- 子の教育若しくは保育に係る行事のうち厚生労働省令で定めるものへの参加
3つ目に条文番号で名指しされているものが、学級閉鎖です。省令にあたる施行規則第33条は、ここに次の2つを足しています。
- 学校保健安全法第19条の規定による出席停止
- 保育所等その他の施設又は事業における第20条の休業に準ずる事由、又は出席停止に準ずる事由
つまり保育園の休園やクラス閉鎖も、小学校の学級閉鎖と同じ扱いになります。残る2つは施行規則第32条の「予防接種又は健康診断を受けさせること」と、第33条の2の「入園、卒園又は入学の式典その他これに準ずる式典」です。
2025年3月までの「子の看護休暇」には、学級閉鎖も行事参加も入っていませんでした。就業規則が改正前の文言のまま残っている会社では、窓口で「看護ではないので対象外」と言われることがあります。就業規則を開いて名称が「子の看護休暇」のままなら、改正前の文言が残ったままだと分かります。
使える人と、外れる人
対象になる子は「九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子」です。9歳の誕生日を迎えた年度の3月31日まで、つまり小学3年生の修了までが対象で、4年生になった時点で外れます。
外れるのは次の場合です。
- 日々雇用される人。法第2条第1号のかっこ書きで、この法律の「労働者」から除かれています。
- 労使協定で「一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者」を除外している会社の、その労働者(施行規則第36条、第8条第2号)。具体的な日数は厚生労働大臣が定めるので、自分が当たるかどうかは労使協定と就業規則を見ないと分かりません。
逆に、勤続期間の短さを理由にした除外はできません。育児休業なら、労使協定で「引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者」を除外できます(法第6条第1項ただし書第1号)。子の看護等休暇に準用されているのは、同項ただし書のうち第2号に係る部分に限ると第16条の3第2項が限定しています。入社した月からでも請求できます。
パート、契約社員、派遣といった雇用形態そのものは条件になっていません。法律は「その事業主に申し出ることにより」と書いているので、派遣で働いている場合、申し出る相手は雇用契約を結んでいる派遣元です。
5日・10日の数え方と、時間単位の取り方
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 日数 | 1年度に5労働日。小学3年生修了前の子が2人以上なら10労働日 | 法第16条の2第1項 |
| 年度 | 事業主が別段の定めをする場合を除き、4月1日から翌年3月31日 | 法第16条の2第4項 |
| 単位 | 時間単位で取得可。1日の所定労働時間が短い労働者として省令で定める人は除く | 法第16条の2第2項 |
| 時間の取り方 | 始業の時刻から連続、又は終業の時刻まで連続するもの | 施行規則第34条第1項 |
| 1日分に当たる時間数 | 1日の所定労働時間数(1時間未満の端数は1時間に切り上げ) | 施行規則第34条第2項 |
日数は子の人数で決まり、閉鎖された日数では増えません。3日間の学級閉鎖で3日とも休めば、その年度の5日のうち3日を使います。年度が4月始まりの会社なら、9月に使った分はそのまま翌年3月までの残日数から減ります。下の子の保育園が続けて休園になる年は、ここで足りなくなることがあります。
賃金の扱いは、育児・介護休業法には定めがありません。有給とするか無給とするかは会社の就業規則で決まります。無給の会社で年次有給休暇が残っているなら、どちらを使うかは選べます。年次有給休暇は取得の理由を問われないので、子の看護等休暇の5日を先に使い切らない選び方もできます。
申し出るときに伝える4つと、求められる書類
会社に伝える必要があるのは、施行規則第35条第1項が挙げる次の4つです。
- 申出をする労働者の氏名
- 子の氏名及び生年月日
- 取得する年月日(時間単位で取るなら、開始と終了の年月日時)
- 学級閉鎖等の事由に伴う世話を行う旨
同条第2項により、事業主はこの4番目について「証明することができる書類」の提出を求めることができます。様式は法令で決まっていないので、学校から配られた学級閉鎖のお知らせや連絡アプリの画面など、対象と期間が分かるもので足りるかを会社に確認してください。
申出の期限について、法第16条の2第3項が求めているのは取得する日(時間単位なら開始と終了の日時)を明らかにすることだけで、何日前までという定めは置かれていません。実際の運用は会社ごとに違うので、就業規則の書きぶりを見てください。
学童は、閉鎖が決まった日から預かれないことがある
学童の扱いには全国共通のルールがなく、自治体や運営者ごとに決めています。実際の書きぶりを2つ挙げます。
- 姫路市は「感染症を理由に小学校が早退、学級・学年閉鎖等の措置をとった場合、対象となった学級・学年の児童については、放課後児童クラブにおいても感染症の蔓延防止の観点からお預かりすることはできません」としています。期間は「【学級閉鎖、学年閉鎖が決定された日】から【登校が可能となる日】まで」です。問い合わせ先はこども未来局こども育成部こども総務課、電話079-221-2386。
- 目黒区は、学級閉鎖のときに学童保育クラブを利用できるかという質問に「利用できません。感染症の症状が無くても、『うつらない、うつさないという』学級閉鎖の趣旨をご理解ください」と回答しています。問い合わせ先は放課後子ども対策課児童館係、電話03-5722-9861。
姫路市の書き方で実務上きついのは「決定された日から」の部分です。給食後に早退という形で閉鎖が始まる日は、その日の放課後から預けられません。朝の連絡で閉鎖を知った時点で、その日の夕方をどうするかまで決めておく必要があります。
住んでいる市区町村の扱いは、「(市区町村名) 放課後児童クラブ 学級閉鎖」で検索して、臨時休業のときの取り扱いを書いたページを探してください。見つからなければ、クラブの運営者か市区町村の放課後児童クラブ担当課に電話で聞くのが早いです。習い事や塾の扱いにも法令の定めはなく、各教室の判断になります。
学級閉鎖の日は欠席日数に入るのか
入りません。ただし、学級閉鎖と休校・学年閉鎖では記録される欄が違います。
文部科学省の「小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等」は、「授業日数」を児童の属する学年について授業を実施した年間の総日数と定めています。そのうえで、学校保健安全法第20条に基づき臨時に学校の全部又は学年の全部の休業を行うこととした日数は、授業日数に含めないとしています。一方で「出席停止・忌引等の日数」には、学年の一部の休業日が入ります。
| 措置 | 指導要録での扱い |
|---|---|
| 休校・学年閉鎖 | 授業日数に含めない(授業日として数えない) |
| 学級閉鎖 | 授業日数には入るが「出席停止・忌引等の日数」に計上 |
「欠席日数」は「出席しなければならない日数(授業日数から出席停止・忌引等の日数を差し引いた日数)」のうち病気又はその他の事故で欠席した日数です。どちらの扱いでも欠席にはなりません。皆勤をどう数えるかは学校ごとの運用なので、気になる場合は担任に聞いてください。
今日できること
- 学校からの連絡で、閉鎖の対象(学級か、学年か、学校全体か)と期間を確認する。子の看護等休暇の申出でも学童の判定でも、この2つを聞かれます。
- 就業規則で「子の看護等休暇」の項目を開く。名称が「子の看護休暇」のままなら、2025年4月の改正に対応していない可能性があります。
- 学童を使っているなら、閉鎖が決まった当日の放課後から利用できるかを、クラブか市区町村の担当課に電話で確認する。
- 休む日が決まったら、氏名・子の氏名と生年月日・取得する日・事由を会社に伝える。証明書類が要るかどうかも同時に聞いておくと、後から出し直さずに済みます。
会社が制度そのものを認めない場合、事業主が申出を拒めないことは法第16条の3第1項に書かれています。話が進まないときは、都道府県労働局で育児・介護休業法を担当する部署(雇用環境・均等部門)が相談先になります。
条文と指導要録の扱いは改正がない限り変わりませんが、この記事で流行状況として書いた日付は2026年9月28日時点のものです。学童の扱いは自治体ごと、賃金と申出の期限は会社ごとに違うので、そこは個別に確認してください。
参考資料
- e-Gov法令検索 学校保健安全法(第19条 出席停止・第20条 臨時休業)
- e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(第2条・第6条・第16条の2・第16条の3)
- e-Gov法令検索 同法施行規則(第8条・第32条・第33条・第33条の2・第34条・第35条・第36条)
- 文部科学省〔別紙1〕小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等
- 姫路市 学級閉鎖時における放課後児童クラブの利用
- 目黒区 よくある質問「インフルエンザやコロナ等で、学級閉鎖となっている場合に、学童保育クラブを利用できますか。」
- 東京都感染症情報センター インフルエンザの流行状況(東京都 2026-2027年シーズン)