こども性暴力防止法の施行日は2026年12月25日です。この日から、学校・幼稚園・認可保育所などは公立私立を問わずすべて対象になります。一方で学習塾・スポーツクラブ・放課後児童クラブ・認可外保育施設は、こども家庭庁に申請して認定を受けた場合だけ対象です。
親の側に提出書類はありません。確認する場所は二つで、こども家庭庁のウェブサイトに掲載される認定事業者情報の一覧と、事業者が掲示できる「こまもろうマーク」です。ただし認定申請の受付が始まるのが施行日と同じ12月25日なので、施行直後に一覧を見ても認定済みの塾はほとんど並んでいないと考えておくほうが現実的です。
この記事は2026年11月3日時点で、こども家庭庁のこども性暴力防止法のページ、同庁のQ&A(令和8年9月29日改訂)、保護者向けリーフレットを読んで確かめた範囲で書いています。制度は施行前で、公表ページの場所など未確定の部分があります。
12月25日に変わるのは「事業者がやること」で、親の手続きではない
この法律が事業者に求めているのは、こどもを性暴力から守る環境づくり、こどもと接する業務に就く人の性犯罪前科の有無の確認、おそれがある場合に業務に就かせないようにすることです。保護者が役所や学校に何かを出す手続きは、こども家庭庁の保護者向けリーフレットには出てきません。
親が知っておく意味があるのは「自分の子の通い先は、この確認が行われる側なのか」という一点です。そしてそれが施設の種類によって分かれます。
学校と認可保育所は全部、塾とスポーツクラブは申請制
こども家庭庁のリーフレットは、対象を次の二つに分けています。学校(幼稚園、小中高など)や認可保育所などは、公立・私立を問わずすべての施設・事業者が対象です。これが義務対象です。
一方で「放課後児童クラブや学習塾といった事業者は、こども家庭庁に申請し、認定を受けた場合に法律の対象となります」と書かれています。これが認定対象です。
| 義務対象 | 認定対象 | |
|---|---|---|
| 例として挙げられている施設 | 学校、認可保育所、認定こども園、児童養護施設、障害児施設 など | 認可外保育施設、放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ など |
| いつから対象か | 2026年12月25日から | こども家庭庁の認定を受けた後 |
| 対象になる条件 | 施設の種類で決まる。公立・私立を問わない | 事業者が申請し、認定されること |
| 掲示できるマーク | 法定事業者マーク(ピンク色) | 認定事業者マーク(水色) |
| マークを使えるのはいつから | 施行日の2026年12月25日から | 施行後、認定(または共同認定)を受けた後 |
マークの色と使える時期は、こども家庭庁のQ&Aに書かれているとおりです。認定事業者マーク(水色のこまもろうマーク)は施行後に認定対象事業者が認定を受けた後から、法定事業者マーク(ピンク色のこまもろうマーク)は施行日の令和8(2026)年12月25日から義務対象事業者が使用できます。
認定の申請が始まるのも12月25日。審査に1〜2か月かかる
ここが読み落としやすいところです。Q&Aでは、認定申請ができるようになるのは令和8(2026)年12月25日から、認定を受けるまでには審査などで1か月から2か月程度の期間がかかるとされています。この期間には、記載事項や書類に不備があって訂正するまでの期間は含まれません。
施行日と申請受付の開始日が同じ日なので、12月25日に塾の受付を見ても水色のマークは出ていないのが自然です。認定された事業者が一覧に載り始めるのは、こども家庭庁の説明に沿えば年明け以降になります。「12月25日なのにうちの塾は何もしていない」という見方は、この時点では早すぎます。
親が確認できる場所は二つ
一つは、こども家庭庁のウェブサイトに掲載される認定事業者情報の一覧です。Q&Aには、認定事業者情報の一覧(事業者や事業所等の情報)をこども家庭庁のウェブサイトに掲載するため、こどもや保護者はそちらからも事業者の認定の有無を確認できるようになると書かれています。
もう一つがこまもろうマークです。Q&Aによれば、マークは制服、パンフレット、募集案内、メディア広告、ウェブサイト、名刺、受付、看板、求人広告に付けることができます。反対に、宣伝・広告用のペンやクリアファイルのように、配布後に第三者に再利用・流通されて回収が難しいものには付けられません。教室のウェブサイトや入会案内、受付まわりが見る場所になります。
マークがないことは「対象外」の証明にならない
Q&Aの書き方は「付けることができます」「使用できます」で、掲示そのものを義務づける記述は今回読んだ資料の中では確認できませんでした。義務対象の学校でも、ピンク色のマークをどこにも出していないことはありえます。
だから、通い先にマークが見えないときの確認手順はこうなります。まずこども家庭庁の認定事業者情報の一覧を探す。見つからなければ、教室に直接「こども性暴力防止法の認定を申請しているか」を聞く。認定対象は申請するかどうかが任意なので、「申請していない」という答えも制度上ありえる答えです。
認定されていても、全員の確認が終わっているとは限らない
一覧で認定が確認できたとき、それは「その事業が認定された」という情報です。従事者全員の確認が終わったかどうかは別に表示されます。
Q&Aでは、認定時点で在籍していた従事者(認定時現職者)全員の犯罪事実確認が完了したら、こまもろうシステムを通じてこども家庭庁に届け出ることになっています。届出には犯罪事実確認完了日、完了した認定時現職者の人数、完了した認定時現職者の一覧を記載します。こども家庭庁は変更届を受けると公表内容に届出内容を反映し、この公表によって保護者等に対して現職者の犯罪事実確認を完了していることを知らせることができるとされています。
一覧を見るときは、認定されているかと、確認完了が反映されているかを分けて読むことになります。
認定を受けない塾がある理由
認定対象の事業者にとって、認定を受けるかどうかは任意です。Q&Aでは、認定を受けるか否かは任意だが、受けない場合も研修教材等の活用や安全確保措置に関する取組などを行い、こどもへの性暴力等の防止に努めるよう求める、という書き方になっています。
費用もかかります。認定申請の手数料は1事業当たり3万円で、申請時に支払いが必要です。国や地方公共団体が単独で申請する場合や、公設公営・公設民営で共同認定を申請する場合は手数料納付の対象外とされています。
申請の単位も事業ごとです。Q&Aの例では、「放課後児童健全育成事業」と「スポーツクラブ(民間教育事業)」の二つを行っている場合は別々に申請が必要で、手数料も事業ごとにかかります。一方、同じ事業を複数の教室で実施している場合(○○塾新宿校、○○塾渋谷校など)は一つの事業として申請します。大手の塾で校舎ごとに認定を探そうとすると見つからないことがあるのは、この単位のためです。
個人でやっている教室や家庭教師は分かれる
認定対象になる「民間教育事業」の要件として、Q&Aは次の内容を挙げています。標準的な修業期間が6か月以上であること、対面による指導を行うものであること、事業者が用意する場所(事業所等)で指導を行うものであること、技芸または知識の教授を行う者の人数が3人以上であること。場所については、保護者ではなく事業者が指定した場所(児童等の自宅を除く)であることが必要とされ、家庭教師事業でも児童等の自宅以外の場所で教える場合があれば対象になると書かれています。
ベビーシッターについては、個人(1人)のみで事業を行う認可外の居宅訪問型保育事業者は、この法律の対象事業には該当しないとされています。マッチングサイトの運営者が保育の提供事業者となる形であれば、その運営者が認可外保育事業を行う民間教育保育等事業者として認定等を受けることができ、委託契約を結ぶ個々のベビーシッターはその従事者として対象になり得るという説明です。
個人の先生がひとりで教えている教室は、人数の要件から外れることになります。対象かどうかを一律に決められない領域なので、心配なときは制度の有無ではなく、その教室がどんな安全対策をとっているかを直接聞くほうが答えが得られます。
事務職員や送迎の運転手はどうなるか
保護者向けリーフレットは、確認の対象になる業務を二つに分けています。必ず対象となる業務の例として学校の教員、スクールカウンセラー、部活動指導員、保育所の園長、保育士などが挙げられ、実態を踏まえて対象とするか判断する業務として事務職員、スクールバス運転手、警備員などが挙げられています。勤務形態は問わず、こどもと継続的に接する従事者が対象です。
後者をどう扱うかは事業者の判断です。Q&Aでは、その従事者の業務が支配性・継続性・閉鎖性の3要件すべてを満たす場合は対象になり、各事業者の業務の実態に応じて判断するとされています。送迎バスの運転手が確認対象かどうかは、全国一律では決まりません。
この記事で確かめていないこと
- 認定事業者情報の一覧が掲載される具体的なページの場所。Q&Aに掲載する方針は書かれていますが、2026年11月3日時点でこども家庭庁のこども性暴力防止法のページからその一覧を見つけることはできませんでした
- 認定の審査が実際にどれくらいで終わるか。1〜2か月程度という説明はありますが、施行前のため実績はありません
- 個別の塾・スポーツクラブが申請する予定かどうか。これは各事業者に確認する内容です
- 施行ガイドライン本体(PDF)の細部。今回読んだのはこども家庭庁のページ、Q&A(令和8年9月29日改訂)、保護者向けリーフレットです