業務従事者届と三師届、2026年は誰が出すのか。働いていない看護師と医師の違い

この記事の要点

医師・歯科医師・薬剤師は日本国内に居住していれば働いていなくても対象です。保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・歯科技工士は、業務に従事している人だけが対象です。期限は令和9年1月15日。オンラインは勤務先に施設担当者がいる場合の方法で、いなければ紙になります。

  1. 期限は令和9年1月15日(金)。2026年12月31日現在の状況を届け出る(厚生労働省)
  2. 医師・歯科医師・薬剤師は「日本国内に居住する全ての」人が対象。業務に従事していなくても外れない
  3. 保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・歯科技工士は「業務に従事する」人だけが対象
どうする?編集部 · · 読了 約7分
目次(6項目)
  1. 自分が出す側かどうかは、職種で分かれる
  2. 条文では、医師と看護師で届け先そのものが違う
  3. オンラインは「勤務先に施設担当者がいる」ことが前提
  4. 令和6年以前の様式と電子媒体は使えない
  5. 出さなかったときに条文上どうなるか
  6. 今回確認できなかったこと

2026年は、医療従事者が2年に一度出す届出の年です。基準になるのは2026年12月31日現在の状況で、厚生労働省が示す期限は令和9年1月15日(金)です。まず決めるのは「自分は出す側か」で、ここが職種によって分かれます。医師・歯科医師・薬剤師は、働いていなくても日本国内に居住していれば対象です。保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・歯科技工士は、業務に従事している人だけが対象です。出し方は勤務先に届出システムの担当者がいるかどうかで変わるので、次に確認するのは勤務先の担当者、勤務先がないなら保健所か都道府県の担当課になります。以下は2026年11月1日時点で厚生労働省のページと条文を読んで確かめた範囲です。

自分が出す側かどうかは、職種で分かれる

厚生労働省のページ(令和8年10月29日に令和8年届出用へ更新)は、届出対象者を2行に分けて書いています。

・日本国内に居住する全ての医師、歯科医師、薬剤師 ・業務に従事する保健師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、歯科技工士

同じ届出の案内の中で、前の行には「業務に従事する」が付いていません。これが、免許を持っていても今は働いていない人にとっての分かれ目です。

職種対象になる条件紙で出す場合の提出先
医師・歯科医師・薬剤師日本国内に居住する全員。業務に従事していなくても対象住所地の保健所、または従業地の保健所
保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・歯科技工士業務に従事している人だけ各都道府県に問い合わせる(全国共通の用紙は示されていない)

紙の届出票について、厚生労働省は医師・歯科医師・薬剤師の分だけをページ上でExcelとPDFで配布し、「届出票の用紙は最寄りの保健所までお問い合わせいただくか、以下の届出票からダウンロードをお願いします」「(届出票はA4サイズ、両面で印刷してください)」としています。残る6職種については「届出票や届出手続については、各都道府県にお問い合わせください」とだけ書かれていて、用紙も手順もページ上では示されていません。都道府県ごとに違う可能性があるので、他県の案内を自分の県の手順として読まないほうが安全です。

なお「業務に従事する」の具体的な判定基準は、今回開いた厚生労働省のページにも保健師助産師看護師法の条文にも書かれていませんでした。年末時点で休職中だったり、ごく短時間だけ働いていたりする場合は、就業地の都道府県の担当課に確認することになります。

条文では、医師と看護師で届け先そのものが違う

対象者の違いは運用上の整理ではなく、根拠の条文がそれぞれ別に書いているものです。

医師法第六条第三項は、こう定めています。

医師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所(医業に従事する者については、更にその場所)その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。

主語は「医師は」で、従事の有無で絞っていません。勤務先の場所を届け出るのは「医業に従事する者については、更にその場所」という追加の部分です。届け先は住所地の都道府県知事を経由した厚生労働大臣です。

一方、保健師助産師看護師法第三十三条はこうです。

業務に従事する保健師、助産師、看護師又は准看護師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その就業地の都道府県知事に届け出なければならない。

こちらは主語が「業務に従事する」人に限られ、届け先は就業地の都道府県知事です。住所地ではありません。住んでいる県と働いている県が違う人は、この一語で宛先が変わります。

医師法第六条第三項には、ただし書も付いています。

ただし、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により当該届出を同項に規定する電子情報処理組織を使用して行うときは、都道府県知事を経由することを要しない。

オンラインで出す場合は都道府県知事を経由しなくてよい、という趣旨です。紙とオンラインで経路が違うのは、ここが根拠になっています。

歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・歯科技工士については、今回はそれぞれの法律の条文を開いていません。対象者の区分は上の厚生労働省の案内に沿って書いていますが、条文の文言までは確かめていません。

オンラインは「勤務先に施設担当者がいる」ことが前提

厚生労働省の本文は、届出方法を「オンライン(推奨)又は紙」と書いています。ただし、オンラインを選べるかどうかには条件があり、それは医療従事者届出システム側のページに書かれています。

システムのログインは医療従事者・施設担当者・部門担当者の三つに分かれていて、医療従事者については「ご利用には利用者IDとパスワードが必要です。利用者IDをお持ちでない方は、施設担当者に利用者IDの発行をご依頼ください」とあります。つまり本人だけでは始められません。続けてこう書かれています。

※施設担当者を設けずにシステムを利用することはできません。施設担当者を設けることができない場合、大変お手数ではございますが、紙での届出をお願いいたします。

施設担当者を置く側の手順も別です。「医療従事者届出システムを初めてご利用になる 医療機関・施設のご担当者の方は 利用申請を行ってください」とあり、施設としての利用申請が先に必要です。自分がオンラインで出せるかは、まず勤務先がこの利用申請を済ませているか、施設担当者が誰かを聞くところから決まります。

勤務先そのものがない、あるいは医療機関等ではない場合の扱いも書かれています。

※医療機関等に勤務しない医療従事者の方は、紙による届出となります。医療機関等とは、病院、一般診療所、歯科診療所、薬局、介護保険施設、医薬品製造販売業・製造業・販売業、教育機関、衛生行政機関・保健衛生施設等を基本として想定していますが、それ以外の医師等が勤務する機関についてもオンラインによる届出は可能です。

列挙されている以外の機関に勤めている場合も、オンラインが閉じているとは書かれていません。逆に、どこにも勤務していない医師・歯科医師・薬剤師は紙になります。

受付の開始時期については、システムのトップページに2026年10月30日付でこう告知されています。

2026年11月2日(月)10:00から令和8年度届出の受付を開始予定

同じお知らせには「(受付期間中、システムは常時稼働します)」「※ 受付が開始されるまではメンテナンス中となります」とあります。本稿を書いている2026年11月1日時点ではまだメンテナンス中で、「開始予定」という書き方のままです。11月2日に実際に開いたかどうかは、当日にこのページを見て確かめてください。

令和6年以前の様式と電子媒体は使えない

前回の届出年に使ったファイルが手元に残っていることがありますが、厚生労働省は留意事項でこれを止めています。

・届出項目が変更されているため、令和6年以前の届出様式はご利用いただけません。 ・令和6年以前の電子媒体を加工して令和8年届出に使用することはご遠慮ください。

紙用の届出票をオンラインに流用することもできません。同じ留意事項に「こちらの届出票は紙による届出用です。オンライン届出にはご利用いただけません」とあります。様式を取りに行くのは、厚生労働省のページが令和8年10月29日に更新されたあとの版です。

ただし、どの項目が具体的に変わったのかは、今回開いたページには書かれていませんでした。前回と同じ内容を写すつもりで用紙を埋めると、空欄のまま出してしまう欄が出る可能性があります。新しい用紙を開いて、項目を上から読み直すのが確実です。

出さなかったときに条文上どうなるか

この届出には罰則の規定が置かれています。条文の上での扱いを、確かめた2本について書きます。

医師法第三十三条の三は「次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する」とし、その第一号に「第六条第三項、第十八条、第二十条、第二十一条、第二十二条第一項又は第二十四条の規定に違反した者」を挙げています。第六条第三項はさきほどの届出義務の条項です。

保健師助産師看護師法第四十五条も「次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する」とし、第二号に「第三十三条又は第四十条から第四十二条までの規定に違反した者」を挙げています。第三十三条が業務従事者届の条項です。

どちらも条文上の上限額です。実際にどの程度の割合で適用されているのかを示す公的な統計は、今回は見つけられませんでした。そこは書いていません。確かなのは、この届出が任意の統計協力ではなく法律上の義務として書かれている、という点だけです。

今回確認できなかったこと

  • 「業務に従事する」の具体的な判定基準。短時間勤務、産休・育休中、年末だけ離職していた場合の扱いは、開いたページと2本の条文には書かれていません。
  • 令和6年から変わった届出項目の中身。「変更されている」とだけ書かれています。
  • 歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・歯科技工士の根拠条文と罰則。対象者の区分は厚生労働省の案内で確認しましたが、条文は開いていません。
  • 保健師など6職種の紙の届出票と手順。厚生労働省は各都道府県に問い合わせるよう案内していて、全国共通の内容は示されていません。
  • 2026年11月2日10:00に受付が実際に始まったかどうか。本稿は11月1日時点で、告知は「開始予定」のままです。

上の5点は、勤務先の施設担当者、就業地(医師等は住所地)の都道府県の担当課、または最寄りの保健所が確認先になります。

Photo by Marcin Szmigiel on Unsplash
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参考資料

  1. 厚生労働省 医療従事者による2年に一度の届出(三師届・業務従事者届)について
  2. 厚生労働省 医療従事者届出システム(お知らせ・届出対象者・届出期限)
  3. e-Gov法令検索API 医師法(第六条第三項の届出義務、第三十三条の三の罰則)
  4. e-Gov法令検索API 保健師助産師看護師法(第三十三条の届出義務、第四十五条の罰則)

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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