罹災証明書に「半壊」と書かれていた場合、被災者生活再建支援金はそのままでは出ません。被災者生活再建支援法が対象にしているのは、全壊・解体・長期避難・大規模半壊・中規模半壊の5つの世帯で、「半壊」はその入口になる状態にすぎないからです。まず確かめる場所は市区町村の罹災証明書で、自分がどの区分に入っているか、解体したかどうかを見ます。そのうえで申請するのは都道府県です。期限は2本あり、基礎支援金は災害発生日から13月、加算支援金は37月を経過する日までです。
この記事の金額と期限は、2026年10月28日に被災者生活再建支援法と同施行令の条文を読んで確かめたものです。
法律が数えているのは5つの世帯。「半壊」はそのうちの入口
被災者生活再建支援法第2条第2号は、対象になる「被災世帯」を次のように並べています。条文の言葉を短くすると、こうなります。
- イ 全壊 ── 自然災害によりその居住する住宅が全壊した世帯
- ロ 解体 ── 住宅が半壊し、または敷地に被害が生じ、倒壊による危険を防止する必要や、居住するために必要な補修費等が著しく高額となることなど、やむを得ない事由により住宅を解体した、または解体されるに至った世帯
- ハ 長期避難 ── 火砕流等による被害が発生する危険な状況が継続することなどにより住宅が居住不能となり、その状態が長期にわたり継続すると見込まれる世帯
- ニ 大規模半壊 ── 住宅が半壊し、基礎・基礎ぐい・壁・柱等であって構造耐力上主要な部分として政令で定めるものの補修を含む大規模な補修を行わなければ居住が困難と認められる世帯
- ホ 中規模半壊 ── 住宅が半壊し、居室の壁・床・天井のいずれかの室内に面する部分の過半の補修を含む相当規模の補修を行わなければ居住が困難と認められる世帯(ロからニまでを除く)
ロからホまでは、どれも出発点が「半壊」です。つまり半壊という判定そのものが門を閉じるのではなく、そこから解体したか、補修の規模が条文の線を越えるかで分かれます。逆に言えば、半壊のまま住み続け、補修も大規模半壊・中規模半壊の要件に届かない場合は、この5区分のどれにも入りません。罹災証明書で使われる「準半壊」や「一部損壊」も、条文の5区分には出てきません。
いくら出るか。基礎と加算の2本立てで、1人世帯は4分の3
支援金は、住まいの壊れ方で決まる部分(基礎支援金)と、再建の方法で決まる部分(加算支援金)に分かれます。法第3条第2項・第5項の額と、第7項の単数世帯の読み替えを並べると次のとおりです。単数世帯とは、自然災害の発生時に世帯人数が1人だった世帯です。
| 住家被害の区分 | 基礎の部分 | 建設・購入する | 補修する | 賃借する(公営住宅を除く) |
|---|---|---|---|---|
| 全壊・解体・長期避難 | 100万円(1人世帯75万円) | 200万円(150万円) | 100万円(75万円) | 50万円(37万5千円) |
| 大規模半壊 | 50万円(37万5千円) | 200万円(150万円) | 100万円(75万円) | 50万円(37万5千円) |
| 中規模半壊 | なし | 100万円(75万円) | 50万円(37万5千円) | 25万円(18万7500円) |
読み方で3点、注意するところがあります。
ひとつ目は、中規模半壊には基礎の部分がないことです。法第3条第2項が基礎の額を定めているのはイからニまでで、中規模半壊(ホ)は第5項に別に書かれており、建設・購入100万円、補修50万円、賃借25万円だけです。
ふたつ目は、建設・購入と補修と賃借のうち2つ以上に当たるときは、合計せず最も高い額だけになることです(第3項・第6項)。賃貸に移ってから建て直した場合も、両方を足す仕組みにはなっていません。
みっつ目は、長期避難の一部にさらに加算があることです。法第3条第4項と施行令第3条第2項は、避難指示などが通算3年を超えて続き、公示から2年以内に同じ市町村に再び住むことにしている世帯などについて、第2項の額に70万円を加えた額(300万円を超えるときは300万円)としています。単数世帯では52万5千円を加え、上限は225万円です。この区分に当たるかどうかは条件が細かいため、都道府県の案内に当たるのが早いです。
期限は13月と37月。進み方が別なので別に数える
施行令第4条は、申請の期限を支援金の部分ごとに分けています。
- 基礎の部分(加算額に係る部分を除く支援金)── 支援金の支給に係る自然災害が発生した日から起算して13月を経過する日までに、申請書に被災世帯であることを証する書面その他内閣府令で定める書面を添えて、都道府県に提出
- 加算の部分(建設・購入/補修/賃借の額に係る部分)── 同じ発生日から起算して37月を経過する日まで
- 特定長期避難世帯の加算(70万円の部分) ── 避難指示等が行われている期間が通算して3年を経過した日から起算して13月を経過する日まで
起算点はどれも災害が発生した日で、罹災証明書が交付された日ではありません。住まいをどうするか決まらないうちに13月が過ぎることは起こり得るので、基礎の部分は早めに出しておく形になります。
同条第4項には、都道府県は被災地における危険な状況の継続その他やむを得ない事情により期間内に申請できないと認めるときは、その期間を延長することができる、と書かれています。延長は自動ではなく都道府県の判断なので、間に合わない見込みのときは、先に相談先を押さえておきます。
当てはまらない人、先に確かめること
- 罹災証明書が半壊・準半壊・一部損壊で、解体もしておらず、補修も条文の規模に届かない世帯 ── 5区分に入りません。
- 対象外の災害で被災した場合 ── 法第2条第2号は「政令で定める自然災害」に限っています。どの災害が対象かは施行令第1条で定まるため、自分の災害が適用されているかを都道府県・市区町村で確かめる必要があります。
- 区分の判定に納得できない場合 ── 支援金の区分の元になるのは市区町村の住家被害認定です。判定の調べ直しは罹災証明書の側の手続きなので、罹災証明書は片づける前に写真。申請期限は3か月の市も6か月の市もあるで申請と再調査の流れを確認してください。
申請する相手は都道府県。窓口の置き方は地域で違う
法第1条は、この支援金を「都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して」支給するものと定めています。申請の提出先も施行令第4条で都道府県とされ、法第4条第1項により都道府県が支給事務の全部を支援法人に委託している場合は、その支援法人が提出先になります。
実務では市区町村の窓口で受け付けて都道府県に送る形をとっている地域もあります。どこに持っていくか、申請書の様式や添付書類が何かは、災害ごとに都道府県・市区町村が案内を出すので、そちらで確認してください。条文が定めているのは提出先と期限までで、受付場所の運用までは書かれていません。
この記事で確かめていないこと
- 自分の被災した災害が施行令第1条の適用対象になっているか。これは災害ごとに決まるため、条文だけでは判断できません。
- 申請書の様式、添付書類の具体的な一覧、審査にかかる期間。内閣府令と都道府県の案内の範囲です。
- 都道府県や市区町村が独自に上乗せしている支援制度。この記事は国の制度の条文だけを読んでいます。
- 大規模半壊・中規模半壊の判定が、実際の調査でどの損害割合に対応するか。判定の基準は住家被害認定の運用側にあります。