家庭血圧を2週間測ってから受診するのが最も効率的
診察室血圧140/90 mmHg以上、または自宅での家庭血圧135/85 mmHg以上が続く場合、日本高血圧学会の基準で高血圧と判定されます。一度だけ140/90を記録しても、その日の状況(緊張・運動直後・睡眠不足など)の影響がある場合があります。まず朝と夜に1日2回、2週間にわたって家庭血圧を測定し、その平均値を記録してから受診するのが最も効率的な対応です。ただし、血圧が180/120 mmHg以上、または激しい頭痛・胸痛・視野異常が同時にある場合は、今すぐ救急受診が必要です。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
上140下90が高血圧I度に当たる意味
「上の血圧(収縮期血圧)が140、下の血圧(拡張期血圧)が90」は、高血圧の診断基準のちょうど境界に位置します。日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2025」では、成人(18歳以上)の血圧分類を以下のように定めています。
成人の血圧値の分類
| 分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120/80 mmHg未満 | 115/75 mmHg未満 |
| 正常高値血圧 | 120〜129/80 mmHg未満 | 115〜124/75 mmHg未満 |
| 高値血圧 | 130〜139/80〜89 mmHg | 125〜134/75〜84 mmHg |
| 高血圧(I度) | 140〜159/90〜99 mmHg | 135〜144/85〜89 mmHg |
| 高血圧(II度) | 160〜179/100〜109 mmHg | 145〜159/90〜99 mmHg |
| 高血圧(III度) | 180/110 mmHg以上 | 160/100 mmHg以上 |
上140/下90は「高血圧I度」の下限に相当します。
家庭血圧の正しい測定方法
日本高血圧学会は、次の方法での家庭血圧測定を推奨しています。
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前に2回測定して平均を記録
- 夜:就寝前に2回測定して平均を記録
- 期間:最低1〜2週間、できれば4週間継続
- 姿勢:椅子に座り、1〜2分安静にしてから上腕式の血圧計で測定
この方法で測定した平均値が135/85 mmHg以上であれば、家庭血圧の基準での高血圧となります。
どんな人がこの数値になりやすいか
- 50歳以上(加齢に伴い動脈硬化が進み収縮期血圧が上がりやすい)
- 食塩摂取量が多い(日本人は平均約10 g/日で推奨の6 g未満を大きく超えている)
- 肥満(体重10 kgの増加で収縮期血圧が3〜4 mmHg上昇するとされる)
- 飲酒量が多い・喫煙歴あり
- 精神的・肉体的ストレスが多い環境
高血圧緊急症と40歳未満の二次性高血圧
すぐに救急受診が必要な「高血圧緊急症」
次のいずれかに当てはまる場合は、血圧降下を緊急に行う必要があります。迷わず救急(119番)か、救急対応可能な病院に向かってください。
- 収縮期血圧 180 mmHg以上かつ拡張期血圧 120 mmHg以上
- 突然の激しい頭痛(バットで頭を殴られたような痛み)
- 胸痛・胸の締め付け感・背中の激痛(大動脈解離の可能性)
- 視野が突然欠けた・かすむ・ぼやける
- 言葉が出ない・片側の手足に力が入らない(脳卒中の可能性)
- 意識がもうろうとしている
若い人(40歳未満)の高血圧は特に要注意
40歳未満で血圧が高い場合は、二次性高血圧(他の疾患が原因で血圧が上がる高血圧)の可能性を積極的に調べる必要があります。
- 腎臓疾患(慢性腎臓病・腎動脈狭窄など)
- 内分泌疾患(原発性アルドステロン症・褐色細胞腫・クッシング症候群)
- 睡眠時無呼吸症候群
二次性高血圧は原因疾患を治療することで血圧が正常化するケースがあり、降圧薬だけで管理しようとしても効果が不十分になることがあります。
受診費用と生活改善で期待できる降圧効果
受診・検査の費用(目安・3割負担)
- 初診料:2,000〜3,000円
- 血液検査(腎機能・電解質・脂質・血糖・甲状腺):3,000〜6,000円
- 尿検査(蛋白尿・クレアチニン):500〜1,000円
- 心電図検査:500〜1,000円(心臓への影響確認)
- 降圧薬(後発医薬品・1か月分):500〜1,500円程度
放置した場合の臓器障害リスク
高血圧は長期間放置することで次の臓器に深刻な障害を与えます。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血):高血圧は脳卒中リスクを約3〜4倍高める
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞・心不全):収縮期血圧が10 mmHg上がるごとに冠動脈疾患リスクが約20%上昇
- 慢性腎臓病:高血圧が続くと腎臓の毛細血管が傷み、腎機能が低下する
- 大動脈瘤・大動脈解離:突然の破裂リスクがある緊急疾患
生活習慣で期待できる降圧効果(収縮期血圧の低下幅の目安)
- 減塩(1日6 g未満):約4〜5 mmHgの低下
- 体重減少(1 kgあたり):約1 mmHgの低下(10 kg減で約10 mmHg)
- 有酸素運動(週150分以上):約4〜7 mmHgの低下
- 節酒(純アルコール1日20 g以下):約2〜4 mmHgの低下
- 禁煙:直接的な降圧効果に加え、心血管リスクの大幅な低減
これらを組み合わせた包括的な生活習慣改善で、軽症の高血圧であれば薬なしで目標値を達成できる場合もあります。
参考資料
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2025」— 血圧の分類・家庭血圧の基準・治療方針
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」— 高血圧の原因・合併症・生活習慣改善の解説
- 日本循環器学会「心臓病の患者さんへ」— 高血圧と心臓病の関連・受診の目安