退職金、勤続20年と30年で控除はどれだけ違う?

結論

勤続20年で800万円、30年で1,500万円が退職所得控除。20年を境に1年あたりの控除額が40万→70万に増える。

どうする?編集部 · · 読了 約4分
目次(19項目)
  1. 結論から先に
  2. どんな場合に当てはまるか
  3. 定年退職
  4. 早期退職・自己都合退職
  5. 中途退職・転職
  6. iDeCoの一時金受給
  7. 役員退職金
  8. 例外状況
  9. 同じ年に複数の退職金を受け取る場合
  10. 19年以下と20年以上の差
  11. 短期退職の特例
  12. 死亡退職金
  13. 費用・リスク・注意点
  14. 具体的な税負担の試算(30年勤続・退職金2,500万円の例)
  15. 勤続年数による控除額一覧
  16. 「退職所得の受給に関する申告書」の提出忘れ
  17. 退職金を1月にずらすメリット
  18. よくある質問
  19. 参考資料

結論から先に

退職所得控除は、勤続20年を境に1年あたりの控除額が大きく変わります。勤続20年以下は1年あたり40万円、20年超は1年あたり70万円が加算されます。勤続20年で800万円、勤続30年で1,500万円、勤続35年で1,850万円が控除(非課税枠)となります。さらに控除を引いた後の金額の半分しか課税されない「1/2課税」が適用されるため、給与所得と比べて大幅に有利な仕組みです。

どんな場合に当てはまるか

退職所得控除の計算が関係する典型的なケースです。

定年退職

60〜65歳の定年退職では勤続30〜40年が一般的で、退職所得控除は1,500〜2,200万円規模になります。多くの場合、退職金が控除内に収まり税負担が軽微です。

早期退職・自己都合退職

勤続20年前後の退職では控除が800〜1,000万円程度。退職金の額によっては税金が発生します。退職金優遇制度がある会社では実際の支給額が増えるため税負担も増えやすくなります。

中途退職・転職

勤続10年で退職金300万円の場合、控除は400万円なので非課税です。勤続が短いと退職金が少なく、控除内に収まることが多いです。

iDeCoの一時金受給

iDeCoを一時金として受け取る場合も「退職所得」となり、退職所得控除が使えます。勤続年数の代わりに「iDeCoの加入年数」を使います。

役員退職金

役員の退職金は通常の計算と同じですが、勤続5年以下の役員退職金には「1/2課税の特例」が適用されない点に注意が必要です。

例外状況

同じ年に複数の退職金を受け取る場合

転職・iDeCo・企業年金など複数の退職金を同じ年に受け取る場合、勤続年数の重複部分を調整して控除を計算します。重複期間は控除を二重に使えないため、思ったほど控除が増えないことがあります。

19年以下と20年以上の差

勤続19年と20年では控除額が同じ800万円(40万×20)です。しかし20年と21年では800万→870万と70万円の差が出ます。1年違いで税負担が大きく変わるため、退職日の選択が重要です。

短期退職の特例

勤続5年以下で受け取る退職金(役員以外も含む)は、300万円を超える部分について「1/2課税」が適用されません。これは2022年から導入された制度で、いわゆる節税対策の封じ込めが目的です。

死亡退職金

死亡退職金は相続税の対象になり、所得税は課されません。法定相続人1人につき500万円の非課税枠があります。

費用・リスク・注意点

具体的な税負担の試算(30年勤続・退職金2,500万円の例)

  • 退職所得控除:800万円+70万×10年=1,500万円
  • 課税対象:(2,500万-1,500万)÷2=500万円
  • 所得税:500万×20%-42万7,500円=57万2,500円
  • 復興特別所得税:57万2,500円×2.1%=12,022円
  • 住民税:500万×10%=50万円
  • 合計税負担:約108万4,500円
  • 手取り:2,500万-108万=約2,391万円

勤続年数による控除額一覧

  • 10年勤続:400万円
  • 15年勤続:600万円
  • 20年勤続:800万円
  • 25年勤続:1,150万円(800万+350万)
  • 30年勤続:1,500万円(800万+700万)
  • 35年勤続:1,850万円(800万+1,050万)
  • 40年勤続:2,200万円(800万+1,400万)

「退職所得の受給に関する申告書」の提出忘れ

この申告書を会社に提出しないと、退職金の20.42%(所得税+復興特別所得税)が一律で源泉徴収されます。退職時に必ず提出してください。提出しなかった場合は確定申告で還付を受けられますが、手続きが二度手間です。

退職金を1月にずらすメリット

1月支給にすると、その年の他の所得(給与・年金)がまだ少ないため、退職金以外の課税所得も低めに抑えられる可能性があります。ただし退職金は分離課税のため、ずらす効果は他の所得への影響に限定されます。

よくある質問

Q. 退職金を企業年金で受け取った場合の税金は?

企業年金(毎月・毎年の年金受取)は「雑所得(公的年金等)」として総合課税されます。公的年金等控除(65歳未満60万円、65歳以上110万円が最低控除)が適用されます。一時金と年金の組み合わせで税金が変わるため、会社の制度内容と老後の所得計画を見て決めるとよいです。

Q. 退職金から社会保険料・住民税は引かれますか?

退職所得には社会保険料はかかりません。住民税は所得税と同様、退職時に源泉徴収(特別徴収)されます。普通徴収(自分で納付)に切り替わるケースは少ないですが、申告書未提出の場合は翌年6月から普通徴収の通知が来ることがあります。

Q. iDeCoと退職金、両方ある場合の最適な受け取り方は?

両方を同じ年に一時金で受け取ると勤続年数が重複し、控除を二重に使えません。「先に退職金を受け取り、5年以上空けてからiDeCoを一時金で受け取る」と、それぞれに独立した退職所得控除が使えるという特例があります(19年ルール/5年ルール)。具体的な順序は税理士や金融機関に相談してください。

Q. ふるさと納税の限度額に退職金は含まれますか?

退職所得は分離課税で住民税の所得割を別途計算するため、ふるさと納税の限度額算定(住民税所得割の20%)に影響します。退職金を受け取る年はふるさと納税の限度額が上がる可能性があるため、シミュレーションを再計算してください。

参考資料

  • 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」— 計算方法と申告手続き
  • 国税庁「退職所得の源泉徴収税額の速算表」— 税額の早見表
  • 厚生労働省「退職金制度の現状と課題」— 制度動向と平均額
退職金、勤続20年と30年で控除はどれだけ違う? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Live Richer on Unsplash

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参考資料

  1. 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  2. 国税庁「退職所得の源泉徴収税額の速算表」
  3. 厚生労働省「退職金制度の現状と課題」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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