日本年金機構から「扶養親族等申告書」が届いたら、まず本人や家族に、申告する控除があるかを確認してください。届いた全員が返送する書類ではありません。
令和9年分は、2027年分の申告書です。2026年9月7日から順次送付されています。家族の所得要件や送付基準が前年と変わっているため、去年提出しなかった方も、令和9年分の条件で判断します。
提出が必要か、本人と家族の条件を確認する
申告書は、老齢・退職を理由に受け取る年金(老齢福祉年金を除く)の所得税や、住民税の各種控除に使います。提出の案内が届いた方は、同封の「大切なお知らせ」の順に確認すると判断できます。
- 本人が、障害者・寡婦・ひとり親の控除に該当するか。
- 生計を一にする配偶者や親族が、控除の要件に該当するか。
- 扶養している配偶者や親族に、退職手当等を受ける見込みがあり、退職所得を除くと所得要件を満たす方がいるか。
いずれにも該当しなければ、申告書が届いていても提出は不要です。「一人暮らしだから」「障害者手帳がないから」という理由だけでは決めず、本人の控除も確認が必要です。
障害者・寡婦・ひとり親には、それぞれ税法上の要件があります。障害年金の等級と、税の障害者区分は一致しません。寡婦・ひとり親は本人の所得や子・親族の状況なども関係します。判断がつかない場合は、同封のお知らせの4ページを確認し、年金事務所などに相談してください。退職所得を除いて要件を満たす場合には、住民税だけの控除に該当することもあります。
配偶者や親族の「所得」は、収入額とは別
以下は令和9年分の、年金の源泉徴収時の扱いです。表の金額は、本人・家族それぞれの2027年1月から12月までの合計所得金額の見積額で比べます。月々の手取りや、2026年の収入額をそのまま当てはめる表ではありません。
所得の見積額は、次の順で確認します。
- 2027年中の給与・公的年金などの収入見込みを、本人と家族で分けて整理する。
- 給与は給与所得控除、公的年金は公的年金等控除を差し引き、それぞれの所得を計算する。年金収入には、社会保険料などが引かれる前の金額を使う。
- 複数の所得があれば合算し、下の表と比べる。非課税の障害年金・遺族年金は含めない。
計算式は同封のお知らせの3ページで確認できます。給与と年金の両方がある方には、所得金額調整控除や公的年金等控除額の調整が関係する場合もあるため、同ページの説明も確認してください。退職所得がある家族は、通常の合計所得金額と、退職所得を除いた所得の両方を確認するため、下の「退職手当等を受ける見込みの家族」の説明もご覧ください。
配偶者は、受給者本人と生計を一にする法律上の配偶者が対象です。配偶者の所得だけでなく、受給者本人の所得も確認します。
| 受給者本人の年間所得見積額 | 配偶者の年間所得見積額 | 源泉徴収時の扱い |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 62万円以下 | 配偶者控除。配偶者が70歳以上なら加算があり、障害者に該当する場合は障害者控除も対象 |
| 900万円以下 | 62万円超~95万円以下 | 配偶者特別控除。70歳以上・障害者による加算はない |
| 900万円超 | 62万円以下 | 配偶者が障害者に該当する場合の障害者控除のみ |
| 上記以外 | 上記以外 | この申告書による源泉徴収時の配偶者の控除対象外。確定申告での扱いは別途確認 |
配偶者の収入が公的年金だけなら、65歳以上で年金額172万円以下、65歳未満で122万円以下の方は、所得62万円以下に該当すると案内されています。用紙の「配偶者の区分」欄には、この年金額に該当する方が丸を付ける欄があります。
配偶者以外の親族も、受給者本人と生計を一にしていることが前提です。年齢は2027年12月31日時点で判断します。
| 親族の年齢・年間所得見積額 | 令和9年分の扱い |
|---|---|
| 16歳以上で、19歳~22歳以外・所得62万円以下 | 控除対象扶養親族。70歳以上は老人扶養親族の区分 |
| 19歳~22歳・所得62万円以下 | 特定扶養親族 |
| 19歳~22歳・所得62万円超~85万円以下 | 特定親族として源泉徴収時の控除対象 |
| 19歳~22歳・所得85万円超~123万円以下 | 源泉徴収時の控除対象外。確定申告による特定親族特別控除を確認 |
| 16歳未満・所得62万円以下 | 所得税の扶養控除は対象外。障害者に該当する場合は障害者控除の対象。申告書への記載は住民税の申告も兼ねる |
国外居住の親族には追加の条件があります。この表だけでは判断せず、後述の国外居住の条件も合わせて見てください。また、19歳~22歳の親族で所得が62万円を超える方は、障害者に該当しても障害者控除の対象にはなりません。
令和8年分は58万円以下だった扶養親族の所得要件が、令和9年分では62万円以下に変わりました。去年の金額で対象外と決めないようにしてください。
退職手当等を受ける見込みの家族については、退職所得を除いた所得も確認します。同封のお知らせでは、配偶者は95万円以下、配偶者以外の親族は62万円以下(19歳~22歳は85万円以下)が条件です。退職金を受け取る予定があるというだけで、全員が対象になるわけではありません。該当する場合は、記入項目の「退職所得の有無」に、退職所得がある場合の記入方法が載っています。
去年と同じ内容なら、丸と氏名で提出できる
前年分を提出した方の用紙には、前年の申告内容が印刷されています。令和9年分の所得要件と2027年の家族の状況を確認して、変更がなければ、用紙の「ア.前年から『変更なし』で申告します。」に丸を付け、氏名を記入して提出します。この場合、ほかの項目の記入は不要で、押印も要りません。
控除を受ける方は、変更がなくても毎年提出します。ただし、次のような場合は前年の印刷内容の訂正が必要になります。
- 配偶者・親族の所得見積額が変わった。
- 家族の死亡や扶養関係の変化があった。
- 年齢が変わり、特定親族などの区分が変わった。
- 前年分は退職所得ありで申告したが、2027年は退職手当等を受ける見込みがない。
- 国外居住の親族が30歳になる年など、国外居住の要件を確認し直す必要がある。
たとえば、前年に所得62万円超~85万円以下の特定親族として申告した方が23歳になる年は、「変更なし」のままでは控除対象になりません。23歳以上は所得62万円以下かどうかを確認します。
用紙の「配偶者の区分」に丸が印刷されていても、2027年の収入に合っているとは限りません。年金のみの収入額など、その欄の条件に当てはまらなくなった場合は、印刷された丸を抹消し、必要な所得見積額を書き直します。
初めて提出する方は「新規用」、前年に提出した方は「継続用」の手引きを使います。どちらも令和9年分の公式ページから確認できます。
記入で迷ったら、所得・番号・摘要欄を確認する
所得の見積額。 上の手順で計算した2027年中の見積額を記入します。配偶者の年金収入だけで区分欄に丸を付けられる場合と、給与などもあり所得見積額の記入が必要な場合を区別してください。どの欄を使うか迷ったときは、同封のお知らせの3ページと公式の記入項目の説明で確かめます。
19歳~22歳の親族。 「特定・老人の種別」欄は、特定扶養親族・特定親族に該当する場合に「1.特定」を丸で囲みます。所得の区分も別に選びます。様式には「85万円超」の選択肢もあり、この区分を記載できないわけではありません。ただし、85万円超~123万円以下の特定親族は、この申告書を出すだけで源泉徴収時の控除を受けられるわけではなく、確定申告での扱いを確認します。
マイナンバー。 控除対象の配偶者・扶養親族等の番号は、収録状況が「収録済」なら記入不要です。「未収録」または斜線がある場合は記入します。番号確認書類の添付は不要で、番号の記入がないことだけを理由に不受理とすることはないと案内されています。前年の届出から番号が変わった場合は、裏面の摘要欄に氏名と変更後の番号を書きます。
障害者に該当する場合。 普通障害・特別障害の区分を確認し、裏面の摘要欄に該当者の氏名、手帳等の種類、障害の程度、交付年月日を記入します。障害の程度を示す証明書の添付は不要と案内されています。手帳以外の要件で該当する場合など、記載する内容が分からなければ年金事務所に相談できます。
詳しい欄別の説明は、日本年金機構「扶養親族等申告書の記入項目について」にあります。前年から変更がなく「変更なし」で提出できる方は、すべての欄を書き直す必要はありません。
期限を過ぎたら、必要な方はなるべく早く提出する
提出期限は、届いた申告書に記載された日付で確かめます。日本年金機構は、間に合わなかった場合もなるべく早く提出するよう案内しています。期限を過ぎたからといって、そのまま放置する必要はありません。
用紙をなくして期限も分からない場合は、日本年金機構に問い合わせてください。ここでは、全国共通の締切日や、提出から反映までの日数は示していません。
提出しない場合でも基礎控除は残り、提出した場合と所得税率に差はありません。ただし、該当する配偶者控除・障害者控除などが源泉徴収や翌年の住民税に反映されず、税額が多くなる場合があります。
提出できなかった分についても、控除の要件を満たしていれば、確定申告等で申告する方法があります。確定申告すれば必ずお金が戻る、という意味ではありません。 還付の有無や額は、納めた税額と実際の所得・控除によって変わります。所得税の申告は税務署、住民税だけの申告が必要かどうかは市区町村に相談できます。
また、日本年金機構のQ&Aにある「令和9年2月分から」という説明は、源泉徴収の計算式の適用時期を示したものです。提出した申告書が必ずその支払いから反映される、という処理日程の案内ではありません。
紙で出す場合の切手・宛先、なくした場合の対応
同封の返信用封筒に切手を貼って送ります。公式の令和9年分の案内では、普通郵便は110円です。
返信用封筒には、次のいずれかの郵便番号が記載されています。手元に返信用封筒があれば、そこに記載された宛先を使います。
- 119-0314 杉並南郵便局留
- 119-0315 杉並南郵便局留
- 119-0220 東京都杉並区高井戸西3丁目5番24号
申告書をなくしたり汚したりした場合は、令和9年分の様式PDFを印刷し、必要事項を記入して提出できます。
印刷した申告書を送る宛先は「日本年金機構 令和9年分申告書受付担当」です。119-0314・119-0315は、この申告書専用の郵便番号なので送付先住所の記入は不要です。119-0220を使う場合は、上記の住所も記入します。住所変更などの別の届出用の番号ではありません。
電子申請なら紙の返送は不要。ただし国外居住の家族は別
マイナポータルとねんきんネットを連携している方は、スマートフォンやパソコンで電子申請できます。電子申請で提出した場合は、紙の申告書を重ねて提出する必要はありません。
電子申請をした方は、翌年以降はマイナポータルのお知らせで案内され、紙の申告書は送付されなくなります。ただし、期限までに提出がない方には、別途書面でのお知らせがあると案内されています。
紙が届かない場合は、過去に電子申請やペーパーレス化の登録をしていないかも確かめます。紙で提出する方法も引き続き案内されています。準備や操作は、扶養親族等申告書をスマホで提出する手順にまとめています。
控除対象として申告する配偶者・親族が国外居住の非居住者である場合は、親族関係書類などの添付が必要で、電子申請は利用できません。紙で提出します。特に30歳以上70歳未満の国外居住の親族には、留学・障害・送金などの追加条件があります。国外に住んでいるというだけで、国内の家族と同じ表を当てはめないでください。公式の記入項目「国外居住の有無」で条件と必要書類を確認します。
今年は送付基準が下がっている
年金額による送付基準は、次のように変わっています。これは送付の基準であって、実際に税金がかかるかどうかの判定表ではありません。
| 受給者 | 令和8年分 | 令和9年分 |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 年金額155万円以上 | 年金額98万円以上 |
| 65歳以上 | 年金額205万円以上 | 年金額148万円以上 |
| 退職共済年金を受け、老齢基礎年金も支給される方 | 退職共済年金の年金額127万円以上 | 退職共済年金の年金額70万円以上 |
日本年金機構は、住民税が課税される可能性のある方に広く案内を送っています。住民税の非課税限度額は市区町村ごとに異なるため、届いたことだけで課税が決まるわけではありません。
年金額が送付基準に満たず、送付対象ではない方は提出不要と案内されています。一方、電子申請を利用した方やペーパーレス化した方には紙が来ない場合もあるので、「届いていない」だけで提出不要とは判断しないでください。
提出や記入の相談は日本年金機構へ
申告書の提出や書き方は、日本年金機構の専用ダイヤル、または近くの年金事務所に相談できます。
- 扶養親族等申告書お問い合わせダイヤル:0570-081-240
- 050から始まる電話など、ナビダイヤルを使えない場合:03-6837-9932
- 受付:月曜8:30~19:00、火~金曜8:30~17:15、第2土曜9:30~16:00
- 月曜が祝日の場合は、翌平日が19:00まで。第2土曜以外の土日・祝日、12月29日~1月3日は受付なし
これらは通話料がかかる番号です。問い合わせ時には、基礎年金番号・照会番号・個人番号が分かるものを用意するよう案内されています。
書き方を調べるための公式相談チャットもあります。24時間の自動応答で、人による個別相談とは異なります。申告書の提出の相談と、お住まいの自治体の住民税の相談は窓口が異なるので、確認したい内容を分けて問い合わせてください。
この記事は、2026年10月12日に確認した令和9年分の公式案内・様式に基づいています。個別の税額、全国共通の締切日、受付後の処理日数は確認できていないため、断定していません。別の年分を提出する場合は、その年の公式様式と条件で判断してください。