株で損が出た。同じ年に他の株の利益と相殺できる?

結論

上場株式の譲渡損と譲渡益・配当は損益通算可能。同じ証券会社の特定口座内は自動。複数口座は確定申告で通算する。

どうする?編集部 · · 読了 約4分
目次(20項目)
  1. 結論から先に
  2. どんな場合に当てはまるか
  3. 同じ証券会社内で利益と損が両方ある
  4. 複数の証券会社で取引している
  5. 配当金もある
  6. 大きな損失を3年繰り越したい
  7. 含み損のある株を年内に売却して節税
  8. 例外状況
  9. 通算できないケース
  10. 確定申告が不要なケース
  11. 確定申告のメリットが小さい注意点
  12. 損失繰越中の注意
  13. 費用・リスク・注意点
  14. 確定申告の費用
  15. 損益通算の具体例
  16. 繰越控除の試算例
  17. 申告で発生する追加負担
  18. NISA口座の特殊性
  19. よくある質問
  20. 参考資料

結論から先に

上場株式の譲渡損は、同じ年の上場株式の譲渡益・配当金(申告分離課税を選んだもの)と**損益通算(相殺)**できます。同じ証券会社の特定口座(源泉徴収あり)内であれば自動的に通算されます。複数の証券会社や、特定口座と一般口座の組み合わせを通算するには、確定申告が必要です。通算しきれない損失は最大3年間繰り越せます(毎年の確定申告継続が条件)。NISA口座での損益は他口座と通算できない点に注意してください。

どんな場合に当てはまるか

損益通算のメリットが大きいケースです。

同じ証券会社内で利益と損が両方ある

A株で50万円の損、B株で30万円の利益がある場合、特定口座(源泉あり)なら自動的に30万円の損が確定し、税金がかかりません。残り20万円は繰越控除に回せます。

複数の証券会社で取引している

楽天証券で利益、SBI証券で損が出た場合、それぞれの源泉徴収では各証券会社が個別に課税します。確定申告で通算すれば、すでに源泉徴収された税金が還付されます。

配当金もある

特定口座で受け取った配当金は通常20.315%が源泉徴収されています。年間の譲渡損が大きい場合は確定申告で配当を申告分離課税にして通算すると、源泉徴収された税金の還付を受けられます。

大きな損失を3年繰り越したい

年内に通算しきれない損失は翌年以降3年間繰り越せます。翌年の利益が大きそうな場合は、必ず損失年に確定申告して繰越控除の権利を確保しておきます。

含み損のある株を年内に売却して節税

含み損のある株を年内に売却することで損失を確定させ、その年の利益と相殺する「タックスロス・ハーベスティング」も使えます。翌年再び買い戻すこともできますが、ウォッシュセール規制は日本ではありません。

例外状況

通算できないケース

  • NISA口座での損益は他の口座と通算不可
  • iDeCoの損益も他と通算不可
  • FX・暗号資産・不動産との通算不可
  • 総合課税を選択した配当との通算不可
  • 一般株式(非上場株式)と上場株式の通算は限定的

確定申告が不要なケース

  • 同じ証券会社の特定口座(源泉あり)内で完結している
  • 損益通算の必要がなく、損失繰越も不要
  • 給与所得者で給与以外の所得が20万円以下

確定申告のメリットが小さい注意点

配当金を申告すると国民健康保険料や住民税の所得割が増えることがあります。特に自営業者や年金生活者は、申告によって他の負担が増える可能性も考えて判断が必要です。

損失繰越中の注意

繰越中は毎年確定申告が必要です。利益が出なくても申告しないと繰越が消えます。引っ越しなどで申告を忘れがちな期間は特に注意してください。

費用・リスク・注意点

確定申告の費用

  • 自分でe-Tax:無料
  • 税務署窓口での相談:無料
  • 税理士に依頼:5,000〜30,000円程度(証券口座の数による)
  • 会計ソフトの利用:年間1万円程度

損益通算の具体例

譲渡益200万円、譲渡損80万円のケース:

  • 通算後の譲渡所得:120万円
  • 税額:120万×20.315%=約24万3,000円
  • 通算しなかった場合:200万×20.315%=約40万6,000円
  • 節税効果:約16万3,000円

繰越控除の試算例

2025年に200万円の損失、2026年に50万円の利益、2027年に100万円の利益のケース:

  • 2025年:200万円損失を申告
  • 2026年:50万円の利益と通算、残り150万円を翌年へ
  • 2027年:100万円の利益と通算、残り50万円を翌年へ
  • 2028年:3年経過で50万円分が消滅 3年で完全通算できない場合は損失が消えるため、利益確定のタイミングが重要です。

申告で発生する追加負担

配当金を申告すると住民税の所得割が増え、以下に影響することがあります:

  • 国民健康保険料(自営業・退職者)
  • 介護保険料(65歳以上)
  • 後期高齢者医療保険料(75歳以上)
  • 高額療養費の自己負担上限額
  • 児童手当の所得制限 事前に税理士か市区町村窓口で影響を確認することをお勧めします。

NISA口座の特殊性

NISA口座は非課税の代わりに、損が出ても他口座と通算できません。「非課税枠を使う代わりに損益通算を放棄する」と理解しておく必要があります。特にNISAで大きな損失が出ても、他口座の利益と相殺はできません。

よくある質問

Q. 確定申告するかしないかは、毎年自由に決められますか?

特定口座(源泉あり)のみで完結している場合は自由に選べます。ただし損失繰越中に1年でも申告を怠ると、繰越控除の権利が消えます。一度申告で繰越控除を選んだら、利益がない年も毎年申告し続ける必要があります。

Q. 損益通算のために配当を申告したら、国保や介護保険料が上がりました。元に戻せますか?

申告期限内(原則3月15日)であれば「修正申告」または「更正の請求」で訂正できます。住民税の申告だけ別に行って「住民税では申告不要」を選ぶ仕組みもありましたが、令和6年度(2024年度)から廃止され、所得税と住民税の取り扱いが一致するようになっています。事前のシミュレーションが重要です。

Q. 売却益が出ているのに損益通算で税金がゼロになる場合、社会保険の扶養から外れますか?

扶養の所得判定は「所得税法上の合計所得」が基準です。譲渡損益を申告すれば所得は減りますが、申告しなければ源泉徴収で完結し合計所得には反映されません。扶養に入っている場合は、申告によって所得が増えるか減るかをよく確認してください。

Q. 同じ年に売って買い戻した場合の損失は認められますか?

日本では米国のような「ウォッシュセール規制」はありません。同じ株を売って即日買い戻しても損失は認められます。ただし税務署が頻繁な売買を不審視する可能性はゼロではないため、明らかな節税目的の異常な売買は避けるのが無難です。

参考資料

  • 国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」— 通算ルールと申告手続き
  • 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき」— 配当所得の課税方式
  • 金融庁「NISAを知る」— NISA口座の特性と注意点
株で損が出た。同じ年に他の株の利益と相殺できる? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Mehdi Mirzaie on Unsplash

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参考資料

  1. 国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
  2. 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」
  3. 金融庁「NISAを知る」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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