結論から先に
新築から数年たって納税通知書の額が上がったら、まず新築住宅の減額が終わる年度かどうかを確かめます。減額が終わっていれば、税率が変わらなくても家屋の固定資産税は本来の額に戻ります。
国土交通省は、この措置を説明するページにわざわざこう書いています。
※なお、4年目(マンション等の場合は6年目)から固定資産税の額が”元に戻る”ことになります。固定資産税が”増税”されるわけではありません。
3年度分の減額が適用された住宅なら、4年度目から本来の額に戻ります。減額の終了による増加だけで、翌年度も同じように上がると考える必要はありません。
確かめる場所は、納税通知書と一緒に届く課税明細書です。「家屋」の行で前年の減額額が今年はなくなっていれば、それが税額を押し上げた理由のひとつです。評価額も変わっていないか、併せて比べてください。
減額は何年度分なのか
総務省が示している表はこうなっています。令和13年3月31日までの間に新築された住宅が対象です。
| 住宅の種別 | 減額される期間 | 減額割合 | 対象床面積 |
|---|---|---|---|
| 一般の住宅 | 3年度分 | 2分の1 | 居住部分に係る床面積で120㎡が限度(120㎡を超えるものは120㎡相当分まで) |
| 3階建以上で耐火構造の住宅 | 5年度分 | 2分の1 | 居住部分に係る床面積で120㎡が限度 |
| 一般の長期優良住宅 | 5年度分 | 2分の1 | 居住部分に係る床面積で120㎡が限度 |
| 3階建以上で耐火構造の長期優良住宅 | 7年度分 | 2分の1 | 居住部分に係る床面積で120㎡が限度 |
区分の呼び方には自治体差があります。東京都23区の案内は「3階建以上の耐火・準耐火建築物」という書き方で、準耐火建築物に該当する木造3階建てについては書類の提出を求めています(この点は後半で触れます)。自分の家がどちらの区分で登録されているかは、課税明細書の減額が何年度分で入っているかを窓口で聞けば分かります。
元に戻る年度を数える
減額は、その住宅に新たに固定資産税が課される年度から数えます。東京都23区の案内も「新たに課税される年度から3年度分」という書き方です。固定資産税は賦課期日である毎年1月1日の登記簿の状況で課されるため、1月2日以降に完成した家は翌年度が1年度目になります。
| 完成した時期 | 1年度目 | 元に戻る年度(一般の住宅) |
|---|---|---|
| 1月2日から12月31日までに完成 | 完成した年の翌年度 | 完成した年に4を足した年度 |
| 1月1日時点で完成していた | 完成した年の年度 | 完成した年に3を足した年度 |
2026年6月に完成した木造2階建てを例にすると、2027年度・2028年度・2029年度が半額で、2030年度の通知書から元に戻ります。築年数ではなく年度で数えるので、12月に完成した家と翌年2月に完成した家では、課税が始まる年度が1年ずれます。
いくら戻るのか
戻り幅を見る例として、東京都主税局の計算例を使います。設例は「令和6年10月に23区内の土地に住宅を新築。土地の面積は150㎡、家屋の床面積は100㎡(木造2階建)」で、家屋の価格は900万円です。令和8年度の税額を求める設例なので、この家にとっては2年度目に当たります。
| 家屋の欄 | 額 | 計算 |
|---|---|---|
| 価格 | 9,000,000円 | 家屋は価格がそのまま課税標準額になる |
| 固定資産税の当初税額 | 126,000円 | 課税標準額 × 1.4% |
| 新築住宅減額 | 63,000円 | 当初税額 × 2分の1 |
| 差引後の固定資産税 | 63,000円 | |
| 都市計画税 | 27,000円 | 課税標準額 × 0.3%(減額なし) |
4年度目は、この減額63,000円の行が消えます。家屋の価格が同じなら固定資産税は126,000円になり、差は年6万3千円です。月に直すと5千円強です。
ここで都市計画税の行を見てください。27,000円に減額が当たっていません。新築住宅の減額は固定資産税額を半分にする措置なので、同じ家屋にかかる都市計画税は対象外です。4年度目に動くのは家屋の固定資産税の行だけで、都市計画税の額はこれだけが理由なら前年と変わりません。なお税率0.3%は23区内の数値で、都市計画税の税率や課税の有無は市町村によって違います。
ただし「ちょうど倍になる」とは限りません。家屋の価格は3年ごとの基準年度に見直され、築年数による減価と建築物価の変動が反映されます。見直しで価格が実際に下がれば、その分だけ戻り幅は小さくなります。一方、基準年度でも価格が据え置かれる場合があります。上の設例のように減額対象が家屋全体で、価格や税率も変わらなければ、減額終了前のほぼ2倍になります。東京都主税局は、令和6年度が基準年度で、第2年度(令和7年度)・第3年度(令和8年度)は原則として令和6年度の価格を据え置くとしています。評価替えは3年に1度なので、次の基準年度は令和9年度に当たります(同局の固定資産評価審査委員会のよくある質問も、次の基準年度を令和9年度としています)。
床面積が120㎡を超える家は、もともと減額が小さい
減額の対象は、居住部分に係る床面積で120㎡までです。上の設例は100㎡なので家屋全体が半額になりましたが、120㎡を超える家では超えた部分が対象から外れます。
仮に居住部分180㎡の家で税額が床面積に比例するとすると、半額になるのは120㎡相当分なので、減額されるのは全体の3分の1です。半額になっていた家に比べれば、4年度目の増え方も小さく出ます。これは「120㎡相当分まで」という書き方から計算した仮の例であり、実際の按分は家屋の評価の中身で決まります。自分の家の減額額は課税明細書に金額で載っているので、その数字を当初税額と見比べるのが確実です。
「うちは長期優良住宅のはず」なのに3年で終わったとき
減額の要件を満たす認定長期優良住宅なら5年度分(3階建以上で耐火構造なら7年度分)です。国土交通省の現行案内は、登記簿上の床面積40㎡以上240㎡以下、令和13年3月31日までの新築を主な要件としています。この面積要件は、減額する部分の上限120㎡とは別です。自分の家は新築時の要件に照らして確認します。対象のはずなのに4年度目で上がったなら、申告が受け付けられているかを確かめてください。
国土交通省は、固定資産税の減額を受ける手続きをこう書いています。
長期優良住宅認定通知書またはその写しを添付して、新築した年の翌年(1月1日に新築の場合はその年)の1月31日までに、市区町村に申告してください
長期優良住宅の上乗せ分は、認定通知書を添えた申告が前提です。一般住宅の減額と、家屋調査のための資料提出は分けて考えます。東京都23区の家屋調査では、建築資料の送付や立会いを求められる場合があります。長期優良住宅の申告をしていなければ、一般の住宅として3年度分で処理されている可能性があるので、調査への対応だけで申告も済んだと思わず、受付状況を確認します。
やることは2つです。まず長期優良住宅認定通知書が手元にあるかを探します。見つかったら、市町村の資産税の担当課(東京23区は固定資産の所在地を所管する都税事務所)に家屋番号を伝えて、こう聞きます。
長期優良住宅の減額の申告は受け付けられていますか。受け付けられていない場合、いま出して間に合う年度はありますか。
期限後の申告で減額を受けられるかは、この案内だけでは判断できません。認定通知書を手元に用意し、所管の担当課に受付状況と必要な手続きを確認してください。電話が難しければ、自治体の案内にある問い合わせ方法や窓口を利用します。
区分所有の住宅には例外があります。国土交通省は、令和6年度より、マンション等(区分所有住宅)についてはマンション管理組合の管理者等から変更認定通知書の提出があり、減額措置の要件に該当すると認められるときは、区分所有者から申告書の提出がなかった場合においても適用を受けられることとなった、としています。
中古で買った家が数年で上がるのは、残り期間を引き継いだから
築浅の中古住宅を買った人からすると、入居して2年で額が上がる動きは説明がつきにくいはずです。これは減額の残り期間を引き継いでいるためです。
国土交通省は、認定長期優良住宅の減税制度を説明するページのよくあるご質問で、固定資産税は賦課期日(毎年1月1日)現在の登記簿上の家屋所有者に課される税であり、売買等によって所有者が変わった場合かつ減額措置の適用期間が残っている場合は、新たな所有者がその住宅に適用される措置の残期間分の減額措置を受けることとなる、と説明しています。同省が例に挙げているのは5年度分・7年度分の住宅ですが、「その住宅に適用される措置の残期間分」という書き方なので、一般の住宅の3年度分も同じ考え方です。東京都23区の案内も、減額は「新たに課税される年度から3年度分」に限ると書いていて、所有者を起点にしていません。
期間は所有者ごとに振り直されず、家屋について進みます。例えば3年度分の減額がある住宅で、すでに2年度分が適用されていれば、残りは1年度分です。築2年というだけでは、この残り期間は決まりません。売主や仲介に前年度の課税明細書の写しを確認し、初めて課税された年度と減額の区分(3・5・7年度分)から、終了する年度を数えます。
上がったのが土地の行なら、原因は別にある
課税明細書を見て、動いていたのが家屋ではなく土地の行だったなら、新築住宅の減額とは関係ありません。土地には住宅用地の特例があり、総務省の説明では200㎡以下の住宅用地は課税標準額が価格の6分の1、200㎡を超える住宅用地は超えた部分の課税標準額が価格の3分の1になります。都市計画税の側は率が違い、東京都の計算例では小規模住宅用地の本則課税標準額を価格の3分の1として計算しています。
この特例は、その土地の上に住宅が建っていることが前提です。東京都主税局は、家屋を滅失するとその家屋の固定資産税・都市計画税は翌年度から課税されなくなる一方、滅失した家屋が住宅の場合は住宅用地に対する特例措置が適用されなくなり、翌年度の土地に係る固定資産税・都市計画税が上昇することがある、としています。建て替えや解体のあとに土地の行だけが跳ねているなら、この線です。
土地はもうひとつ、負担調整措置という仕組みで毎年少しずつ動きます。東京都の設例では、前年度の課税標準額675万円に本則課税標準額750万円の5%を足した712万5千円が今年度の課税標準額になっています。評価額が据え置きの年でも土地の税額が数パーセント上がるのは、この調整が働いているからです。
額がおかしいと思ったときに、どこへ何を言うか
段階が2つに分かれます。
1. まず窓口で明細の中身を確認する。 市町村の資産税の担当課、東京23区なら固定資産の所在地を所管する都税事務所です。東京都固定資産評価審査委員会も、審査の申出に当たってはあらかじめ所管の都税事務所で価格(評価額)の根拠等について十分に説明を受けてください、としています。電話で伝えるのは家屋番号と、課税明細書のどの行のどの金額について聞きたいのかです。「家屋の新築住宅減額は何年度分で終わる扱いになっていますか」と聞けば、何年度目まで入っているかが分かります。
2. 価格そのものに不服があるときは、審査の申出。 固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)に不服があるときは、対象年度・事項と期限を確認します。通常の期間は、価格等が登録された旨の公示の日から、納税通知書を受け取った日後3か月以内です。東京都23区の令和8年度の通常の期間は、4月1日から9月8日まで(消印有効)でした。ただし、公示の日以後に価格等の決定・修正があった場合は、その通知書を受け取った日後3か月以内が期間です。通常の期限が過ぎていても、決定・修正の通知が届いているなら、次の年度まで待たず委員会事務局に対象と期限を確認してください。23区以外も、通知書を受け取った日と市町村の案内を照合します。
ここで押さえておきたい線引きが2つあります。
ひとつは対象の範囲です。審査の申出は、固定資産課税台帳に登録された価格についての手続きです。減額措置が何年度分で終わるかは価格の話ではないので、この手続きでは扱えません。そこは窓口での確認が先に来ます。
もうひとつは年度です。土地と家屋は基準年度以外の年度は原則として基準年度の価格が据え置かれるため、家屋について審査の申出ができるのは、新築等により新たに決定された価格に不服があるとき、増改築等により評価替えが行われた価格に不服があるとき(またはこの評価替えが行われるべきであると申し立てるとき)に限られます。4年度目に額が上がったという事実だけでは、価格を争う入口になりません。
申出をしても納期限は延びません。東京都固定資産評価審査委員会は、審査の申出を行っても固定資産税の納期限は延長されないので納期限までに納付してください、納期限を過ぎると滞納扱いになります、と注意しています。価格が減額修正された場合は、納め過ぎの税額が評価庁から還付されます。
これから新築する人が見る2行
適用期限は、令和13年3月31日までの間に新築された住宅です。国土交通省は税制改正のポイントとして、床面積要件の下限が50㎡から40㎡に引き下げられたこと、令和11年4月1日以降に新築した住宅のうち特定区域内に新築されたものは適用対象外となることを挙げています。期限と要件は改正のたびに動くので、着工前に同省のページと市町村の案内で現時点の内容を確かめます。
今日やること
- 納税通知書と一緒に届いた課税明細書を出し、前年から動いたのが家屋の行か土地の行かを見る
- 家屋の行なら、初めて課税された年度と減額の区分(3・5・7年度分)を確認し、その年度に期間の年数を足した年度から本来の額に戻るかを確かめる。分からなければ、家屋番号を伝えて担当課に聞く
- 認定長期優良住宅なら、認定通知書を探してから、市町村の資産税の担当課に申告が受け付けられているかを聞く
- 土地の行なら、住宅を解体していないか、前年度の課税標準額に本則課税標準額の5%を足す動きで説明がつく範囲かを見る
- 金額の根拠が分からないときは、家屋番号と明細の行を手元に置いて窓口に電話する
※注意
この記事は、総務省と国土交通省が示す全国共通の仕組みと、東京都主税局が公表している23区内の計算例をもとにしています。固定資産税の税率は原則1.4%ですが、市町村は必要に応じて1.4%と異なる税率を条例で定めることができます。都市計画税の税率や課税の有無、納期、納税通知書の発送時期、独自の軽減制度も市町村によって違います。自分の税額の根拠は、課税明細書と市町村(東京23区は都税事務所)の案内で確認してください。