銀行が破綻したら預金はいくらまで戻る?1金融機関ごとに元本1,000万円と利息。複数口座・家族名義・決済用預金の数え方

この記事の要点

対象金融機関(日本国内に本店のある銀行など)の利息のつく預金は、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護され、同じ金融機関の口座は合算されます。超える部分と外貨預金は一部カットされることがあります。利息がつかず、いつでも払い戻せて決済に使える決済用預金は全額保護です。家族名義の預金は名義どおり別に数えますが、名義を借りただけの預金は対象外です。

  1. 対象は日本国内に本店のある銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫など。海外支店、外国銀行の在日支店、政府系金融機関は対象外。農協・漁協は別の貯金保険制度で保護される
  2. 利息のつく普通預金・定期預金などは、1金融機関ごとに合算して預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等を保護。超える部分は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われ、一部カットされることがある
  3. 利息がつかない・いつでも払い戻せる・決済サービスを提供できる、の3要件を満たす決済用預金は全額保護。商売をしていない個人も利用できる
どうする?編集部 · · 読了 約8分
目次(11項目)
  1. 対象になる金融機関
  2. 対象になる預金、ならない預金
  3. 1,000万円の数え方
  4. 同じ金融機関の口座は合算する
  5. 名義ごとの扱い
  6. 合併した銀行の特例
  7. 1,000万円を超えた部分はどうなるか
  8. 破綻したときの払戻し
  9. 確認の順番
  10. この記事で確認できなかったこと
  11. 参考資料

日本国内に本店のある銀行や信用金庫が破綻しても、利息のつく普通預金や定期預金は、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が預金保険で保護されます。利息のつかない決済用預金は、金額にかかわらず全額が保護されます。

同じ金融機関に口座がいくつあっても、口座ごとではなく預金者ごとに合算して1,000万円を数えます。夫婦や親子はそれぞれ別の預金者です。保護は自動で、預金者が加入の手続をする必要はありません。

この記事では、どの金融機関とどの預金が対象か、1,000万円の数え方、超えた部分がどうなるか、破綻したときの払戻しの流れを、預金保険機構の案内で確かめます。

対象になる金融機関

預金保険の対象は、日本国内に本店のある次の金融機関です。

  • 銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫
  • 信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫

これらの金融機関の海外支店、外国銀行の在日支店、政府系金融機関は対象外です。農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合などは、預金保険とは別の「農水産業協同組合貯金保険制度」で保護されます。証券会社は日本投資者保護基金、生命保険会社と損害保険会社はそれぞれの保険契約者保護機構に加入しています。

ゆうちょ銀行は、郵政民営化(2007年10月)で預金保険の対象金融機関になりました。民営化までに預けた定額郵便貯金などは、預金保険とは別に政府の支払保証が続いています。

自分の銀行が対象かどうかは、預金保険機構の「対象金融機関」のページで確かめられます。2026年10月13日現在の一覧では、銀行が132行載っています。

預金者が対象金融機関に預金をすると、預金者・金融機関・預金保険機構の間で自動的に保険関係が成立します。保険料は金融機関が納めるもので、預金者が払う必要はありません。

対象になる預金、ならない預金

対象になるもの。 当座預金、普通預金、別段預金、定期預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金、定期積金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託(ビッグなどの貸付信託を含む)、保護預り専用の金融債などです。

対象にならないもの。 外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、募集債の金融債と保護預り契約が終了した金融債、他人名義・架空名義の預金、導入預金などです。

銀行の窓口で買った国債や投資信託も、預金保険の対象ではありません。機構は、国債は国が発行するもので、販売した銀行が破綻しても元利金は国が払うこと、投資信託の信託財産は受託会社が自分の財産と分けて管理していて、販売した銀行が破綻しても扱いは変わらないことを補足しています。

1,000万円の数え方

保護される額は、預金の種類で二つに分かれます。

決済用預金は全額。 次の3つの要件をすべて満たす預金です。

  1. 利息がつかないこと
  2. 預金者がいつでも払戻しを請求できること
  3. 決済サービスを提供できること(公共料金の引き落としや給与・年金の受け取りなどに使える)

当座預金や、利息のつかない普通預金がこれに当たります。機構は、実際に引き落としに使っているかどうかではなく、商品として決済に使えるかどうかで判断するとしています。商売をしていない個人も利用でき、商品の名前や手続は金融機関によって違います。

一般預金等は元本1,000万円までと利息等。 利息のつく普通預金、定期預金、定期積金、元本補てん契約のある金銭信託などは、1金融機関ごとに合算して、預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。定期積金の給付補てん金や金銭信託の収益の分配も、利息と同じように保護されます。

定期預金の利息は、満期まで持っていた場合の利率を使い、預入れの日から破綻の日までの日数で日割り計算します。

同じ金融機関の口座は合算する

普通預金や定期預金などの一般預金等は、1つの金融機関に同じ預金者が複数の口座を持っていても、口座ごとには保護されません。預金者ごとに合算したうえで、元本1,000万円までと利息等が保護されます。この合算を「名寄せ」といいます。決済用預金は、口座の数や残高に関係なく全額保護です。

合算すると1,000万円を超える場合、どの預金が保護に当たるかは、次の順で決まります。

  1. 担保権の目的になっていないもの
  2. 満期の早いもの
  3. 満期が同じなら金利の低いもの
  4. 金利も同じなら預金保険機構が指定するもの

名寄せは、氏名(カナ)、生年月日、住所などの預金者データで行われます。機構は、結婚や引っ越しで登録内容が変わったら、すぐに取引金融機関で変更の手続をするよう求めています。データが正確でないと、保護される額をすぐに特定できず、払戻しが滞るためです。

名義ごとの扱い

  • 家族名義。 夫婦や親子は別々の預金者として、名義どおりに保護されます。ただし、家族の名義を借りただけの預金(借名預金)は、他人名義の預金として保護の対象外です。
  • 個人事業主。 事業用の預金と事業用以外の預金は、同じ人の預金として合算されます。
  • 法人。 1法人が1預金者です。会社名義の預金と代表者個人の預金は、別々の預金者として扱われます。
  • 亡くなった人の預金。 破綻前に亡くなり相続額が確定していれば、各相続人の相続額に応じて分けたうえで、相続人それぞれの預金と合算します。相続額が確定していなければ、まず相続人自身の預金だけで名寄せし、確定した時点で改めて合算します。破綻後に亡くなった場合は、亡くなった人の預金として名寄せされます。
  • マンション管理組合・町内会。 法人格がある場合や「権利能力なき社団」と認められる場合は、団体が1預金者です。任意団体なら、構成員の持分に応じて分け、各構成員のほかの預金と合算します。

合併した銀行の特例

金融機関が合併したり、事業のすべてを譲り受けたりした場合は、その後1年間に限り、保護の範囲が「元本1,000万円×合併などに関わった金融機関の数」までと破綻日までの利息等になります。2行が合併したなら2,000万円です。決済用預金は、この特例とは関係なく全額保護です。

1,000万円を超えた部分はどうなるか

決済用預金以外で元本1,000万円を超える部分と、外貨預金など保護の対象外の預金は、破綻した金融機関の財産の状況に応じて、倒産手続のなかで弁済金・配当金として支払われます。一部カットされることがあります。機構は、どの程度カットされるかは裁判所の関与のもとで決まり、全額が戻ってこないわけではないとしています。

この部分については、二つの対応策が案内されています。

借入金との相殺。 破綻した金融機関から借入れをしていれば、預金と借入金を相殺できる場合があります。機構の例では、利息のつく普通預金1,500万円と借入金500万円がある人が、超過分の500万円と借入金を相殺すれば、カットされるはずだった部分と返済が両方なくなります。相殺は自動では行われず、預金者が破綻後に手続をする必要があります。

概算払。 倒産手続が終わるまでには時間がかかるため、機構がカット率を予想して決めた率(概算払率)で預金を買い取り、先に支払う制度です。外貨預金も対象になります。最終的な回収額が概算払額を上回れば、差額があとで支払われます(精算払)。相殺をしたい預金は、買取りを受ける前に相殺の手続をします。

破綻したときの払戻し

破綻処理には、破綻した金融機関の業務の一部を健全な金融機関が引き継ぐ方式(資金援助方式)と、機構が預金者に直接保険金を払う方式(保険金支払方式)があります。どちらでも保護される範囲は同じで、金融審議会の答申は資金援助方式を優先する方針を示しています。

資金援助方式の場合、機構は、金曜日の営業終了後に破綻したと仮定すると、土日で名寄せなどの準備を終え、月曜日から保護される預金の払戻しを含めて営業を再開することを目指しています。利息を含めて払い戻せるので、急いで引き出す必要はないと書いています。破綻前に依頼した送金や振込みは、決済債務として全額保護されます。

払戻しまでにかなりの期間がかかると見込まれるときは、普通預金(元本のみ)について、1口座60万円を上限に仮払金を支払うことがあります。支払うかどうかは破綻後1週間以内に決め、官報や機構のホームページで知らせます。

機構は、破綻の情報に接したら、当局の発表かどうかなど事実関係を確かめ、風評に惑わされないよう呼びかけています。定期預金は、期限前に解約すると所定の利率が適用されて利息が少なくなる場合があります。

確認の順番

  1. 取引している金融機関が預金保険の対象か、機構の対象金融機関の一覧で確かめる
  2. 金融機関ごとに、自分名義の利息のつく預金(普通・定期など)の元本を合計する
  3. 1,000万円を超える金融機関があれば、決済用預金への切り替えや、別の金融機関への分散を考える
  4. 外貨預金は預金保険の対象外であることを確かめる
  5. 結婚や引っ越しで氏名・住所が変わっていれば、取引金融機関で変更の手続をする

この記事で確認できなかったこと

2026年11月8日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。

  • 個別の銀行の「決済用預金」の商品名と、利息のつく普通預金から切り替える手続。
  • 農水産業協同組合貯金保険制度で保護される範囲の詳細(農水産業協同組合貯金保険機構の資料は読んでいません)。
  • 証券会社の日本投資者保護基金、保険会社の保険契約者保護機構で補償される範囲。
  • 過去の破綻事例で、1,000万円を超える部分が実際にどれだけ支払われたか。

参考資料

Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash
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参考資料

  1. 預金保険機構 預金保険制度の概要
  2. 預金保険機構 よくあるご質問
  3. 預金保険機構 万が一金融機関が破綻した時
  4. 預金保険機構 名寄せに際しての預金者の扱い
  5. 預金保険機構 仮払金の支払
  6. 預金保険機構 預金保険制度の対象金融機関

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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