親戚や祖父母からもらうお年玉は、贈った人と子どもの関係などに照らして社会通念上相当と認められる範囲なら、贈与税はかかりません。国税庁はタックスアンサーNo.4405で、個人から受ける「年末年始の贈答」などのための金品で社会通念上相当と認められるものを、贈与税がかからない財産に挙げています。ただし、いくらまでなら相当かという金額は示していません。
相当と言えないほど大きな額は、通常の贈与として扱われます。そのときの判定は、お年玉をくれた人ごとではなく、受け取った子ども1人ごとに、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与を合計して、基礎控除の110万円を超えるかで見ます。超えた場合に申告と納税をするのは、くれた祖父母や親戚ではなく、受け取った子どもの側です。
この記事では、お年玉が贈与税の対象から外れる根拠、対象になる場合の数え方と申告、祖父母が学費などを出す場合との違いを、国税庁の資料で確かめます。
お年玉に贈与税がかからない根拠
贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産にかかります(No.4405)。そのうえで国税庁は、財産の性質や贈与の目的から贈与税がかからない財産を11項目挙げています。お年玉に関係するのは8番目です。
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
この扱いの元になっている相続税法基本通達21の3-10は、もう少し詳しく書いています。
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。
読み取れることは3つです。
- お年玉も、法律上は贈与に当たりうる
- それでも、社交上の必要によるもので、社会通念上相当なら贈与税を課さない
- 相当かどうかは、金額だけでなく、贈った人と受け取った人の関係なども照らして判断する
国税庁の生活費・教育費のQ&Aも、結婚祝、出産祝、入学祝の金品について、同じ基準で贈与税の対象にならないと注記しています。
金額の線は示されていない
今回読んだ国税庁の資料には、お年玉がいくらまでなら社会通念上相当かという金額はありません。「○万円までなら大丈夫」という目安は、国税庁の資料からは出てきません。
相当と言えない額は、受け取った子どもごとに110万円で判定
社会通念上相当と言えない贈与は、暦年課税の贈与税の対象になります(相続時精算課税を選んでいる贈与者からの分は計算が別です)。国税庁No.4402の暦年課税の考え方は次のとおりです。
- その年の1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計から、基礎控除110万円を引いた残りに贈与税がかかる
- 1年間の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告も要らない
110万円は「くれた人ごと」ではない
No.4410は、暦年課税の基礎控除110万円は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円だとしています。祖父母、おじ・おば、親など何人から受けても、受け取った子どもの1年分の合計から引けるのは110万円だけです。
また、110万円と比べる合計には、相当と言えないお年玉だけでなく、その年に受けたほかの贈与税の対象になる贈与も入ります。年末年始に限らず、その子が1年間に受けた贈与をまとめて見ることになります。
いつの年の贈与になるか
No.4402のQ&A(Q2)によると、贈与で財産を取得した時期は、口頭による贈与なら贈与の履行があった時、書面による贈与なら贈与契約の効力が発生した時です。お年玉を手渡しで受け取ったなら、受け取った日の年の贈与として数えます。
毎年決まった額を約束している場合
No.4402のQ&A(Q1)は、毎年100万円ずつ10年間贈与を受ける例を挙げています。毎年贈与契約を結んで、各年の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません。ただし、毎年100万円ずつ10年間贈与することが最初から約束されている場合は、約束した年に、定期金に関する権利(10年間にわたって給付を受ける権利)の贈与を受けたとして贈与税がかかります。
贈与税がかかるときの税率と申告
18歳未満の子は「一般税率」
No.4408によると、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けても、受け取った人がその年の1月1日に18歳未満なら「一般贈与財産用」(一般税率)で計算します。18歳以上の子や孫が父母・祖父母から受けた場合は「特例贈与財産用」(特例税率)です。
基礎控除後の課税価格が200万円以下なら、どちらの速算表でも税率は10%(控除額なし)です。たとえば、贈与税の対象になる贈与が1年で150万円なら、(150万円 − 110万円)× 10% = 4万円です。
申告するのは受け取った人
No.4429とNo.4402によると、贈与税の申告と納税は、財産をもらった人が、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに行います。申告書の提出先は、原則として贈与を受けた人の住所を所轄する税務署です。お年玉なら、受け取った子どもが申告する側になります。
申告期限までに申告しなかった場合や、実際より少ない額で申告した場合は、本来の税金のほかに加算税がかかり、納税が遅れると延滞税がかかります(No.4429)。
祖父母が学費や生活費を出す場合とは扱いが違う
お年玉とは別の枠として、扶養義務者からの生活費・教育費があります。No.4405によると、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。国税庁のQ&Aによると、扶養義務者には父母や祖父母などの直系血族が含まれます。
- 教育費は、学費、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費などで、義務教育に限らない
- 生活費は、通常の日常生活に必要な費用で、治療費や養育費その他子育てに関する費用を含む
- 非課税になるのは、生活費や教育費として必要な都度直接充てるためのものに限られる
- 生活費や教育費の名目で贈与を受けても、それを預金したり、株式や不動産の購入資金に充てたりした場合は贈与税がかかる
- 数年分をまとめて受け取り、生活費や教育費に充てずに預貯金になっている部分も、贈与税の対象になる
この「預金すると対象になる」という説明は、生活費・教育費の名目で受けた贈与についてのものです。年末年始の贈答としてのお年玉を貯金した場合の扱いは、今回読んだ資料には書かれていませんでした。
会社などの法人から受け取った場合
贈与税は個人から財産をもらったときにかかる税金です。法人から財産をもらった場合は、贈与税ではなく所得税がかかります(No.4402、No.4405)。
確認の順番
- その年に子どもが受けたお年玉と、ほかの贈与を、くれた人と金額ごとに書き出す
- 贈った人との関係などから社会通念上相当と言えるかを考える。相当と言えない額は贈与税の対象として合計する
- 扶養義務者から生活費や教育費に必要な都度直接充てるために受けたもので、通常必要と認められるものは、別の枠(非課税)として分ける
- 子ども1人ごとに、1月1日〜12月31日の対象額の合計が110万円を超えるかを見る
- 超えたら、翌年2月1日〜3月15日に子どもの住所地の税務署へ申告する。判断に迷う額なら、税務署の相談窓口で確かめる
この記事で確認できなかったこと
2026年11月6日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- お年玉がいくらまでなら「社会通念上相当」と認められるかの金額。
- 年末年始の贈答として受けたお年玉を、親が子ども名義の口座に預金した場合の扱い。国税庁の「預金すると対象」の説明は、生活費・教育費の名目の贈与についてのものです。
- 未成年の子どもが贈与税の申告をするとき、親が代わりに手続きする方法。
- 祖父母が亡くなった場合に、生前に孫へ渡したお年玉が相続税の計算に関係するかどうか。
参考資料
- 国税庁 タックスアンサーNo.4405 贈与税がかからない場合 — 年末年始の贈答などで社会通念上相当なもの、扶養義務者からの生活費・教育費、預金した場合、法人からの贈与
- 国税庁 相続税法基本通達 第21条の2《贈与税の課税価格》関係(第21条の3関係を含む) — 21の3-10 社交上必要と認められる香典等の非課税、21の3-3〜6 生活費・教育費
- 国税庁 タックスアンサーNo.4402 贈与税がかかる場合 — 暦年課税の110万円、申告不要の条件、翌年2月1日〜3月15日
- 国税庁 タックスアンサーNo.4402 Q&A — Q1 毎年の贈与と定期金、Q2 取得の時期
- 国税庁 タックスアンサーNo.4410 複数の人から贈与を受けたとき — 110万円は受け取った人ごと
- 国税庁 タックスアンサーNo.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) — 18歳未満は一般税率、速算表
- 国税庁 タックスアンサーNo.4429 贈与税の申告と納税 — 申告期限、提出先、加算税・延滞税
- 国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A(2013年12月) — 扶養義務者の範囲、教育費の範囲、一括贈与、入学祝等の注記