小学校に入る前に、ランドセルも上履きも文具も一度に買うことになります。その費用の一部を入学前に受け取れる仕組みが、就学援助の「新入学学用品費」の入学前支給です。自治体によって入学準備金、入学前交付とも呼ばれます。結論から言うと、受け取るには申請が必要で、締切は入学の2〜3か月前に置かれています。まず開くのは、住んでいる市区町村の教育委員会のページです。自治体名と「入学準備金」または「新入学学用品費 入学前支給」で検索すると、申請書と対象者の条件が並んで出てきます。
締切は入学の2〜3か月前。確認した3市区では12月上旬から1月下旬
入学前支給でいちばん間違えやすいのが、締切の時期です。4月の入学に向けた申請なのに、受付はその前の年のうちか、年明けすぐに終わります。
古河市の案内では、令和9年4月に市立小学校へ入学する子どもの分の申請期間は、令和9年1月4日から1月15日までの期間(必着)です。2週間ほどしか開いていません。
日立市は申請締切を令和9年1月29日、期限厳守としています。
新宿区は、令和8年度に小学校へ入学する子どもの分について、受付期間を令和7年12月8日から12月26日(消印有効)と案内していました。年内で終わる設計です。
同じ制度で、締切が12月上旬から1月下旬まで分かれている。
この幅の広さが、入学前支給を取り逃がす主な理由だと思います。「どこかの自治体が1月まで受け付けていた」という情報を自分の市区町村に当てはめると、年内締切の地域では間に合いません。
受け取れるのは入学前か入学後のどちらか一方
入学前にもらった上で、入学後にもう一度同じ費目を受け取ることはできません。
日立市は「新入学児童生徒学用品費」について、入学後でも受給できるとした上で、入学前又は入学後のどちらかでのみ受給できると書いています。古河市も、入学前支給を受けた人には、入学後に就学援助の認定を受けた場合の新入学学用品費は支給しないとしています。新宿区も、新入学学用品費は4月1日から認定となった人に支給するとしたうえで、入学前支給を受けた人は対象外としています。
三つの自治体が、それぞれの案内で同じ扱いを明記しています。
ただし、入学前支給を受けたことで就学援助の申請が全部済むわけではありません。就学援助には学用品費、給食費、修学旅行費など他の費目があります。新宿区は、援助を希望する場合は毎年度申請が必要だと明記しています。入学前支給と入学後の就学援助は、別の申請です。
締切を過ぎても、入学後の就学援助で受け取れる
ここがいちばん伝えたいところです。入学前支給の締切を逃しても、お金そのものが消えるわけではありません。
新宿区の案内にはこう書かれています。受付期間内に提出できなかった方は、入学後に就学援助を申請することで、入学準備金と同額の援助を受けることができます。
古河市は別の書き方をしています。窓口申請は、申請期間を過ぎても4月末まで受付できますが、入学後の支給になります。オンライン申請のフォームは申請期間内しか開かないので、年明けの締切を過ぎたら窓口か郵送に切り替える形です。
変わるのは振り込みの時期です。入学前に間に合えば、古河市は2月下旬頃、新宿区は3月下旬(予定)に振り込みます。入学後の申請に回ると、認定の審査を経てからになるので、実際に口座に入るのは入学後しばらく経ってからです。
入学前に現金が必要かどうかで、締切に間に合わせる意味が変わってきます。制服や学用品の支払いが3月に集中するなら、入学前支給のほうが実態に合います。
対象になる人と、申請しなくてよい人
対象の輪郭は、自治体の案内を並べると見えてきます。
古河市は、基準日の時点で市内に居住している、4月に市立小学校へ入学する、市の就学援助の基準に該当する、そして基準日の時点で生活保護を受けていない、という4つすべてに当てはまる人を対象としています。新宿区は、区立または国立・公立・私立の小学校に入学する児童がいる世帯で、入学後も引き続き区内に居住する予定であることを条件に挙げています。
私立や国立に進む場合も対象に含める自治体がある、というのは見落としやすい点です。一方で新宿区は、学校教育法第1条に規定する学校ではないインターナショナルスクール等は対象外と書いています。
生活保護を受けている世帯は、この申請の対象ではありません。新宿区は、生活保護を受給中の人は福祉事務所から同様の費用が支給されるため入学準備金の申請は不要としています。扱う窓口が違うだけで、費用そのものが出ないわけではありません。
認定の基準そのものは全国共通ではありません。文部科学省は、生活保護法上の要保護者に準ずる程度に困窮していると市町村教育委員会が認める準要保護者について、認定基準は各市町村が規定すると書いています。だから他の市の所得表を自分に当てはめることはできません。
入学前支給を実施しているかどうかも、自治体ごとです。文部科学省は新入学児童生徒学用品費等の入学前支給の実施状況を都道府県別に調査して公表しています。調査の対象になっている、つまり実施していない市町村もあるということです。
住民税の申告が済んでいないと、審査が止まる
申請書を出したのに結果が来ない、という事態の原因になるのがこれです。
古河市は、住民税の申告が済んでいない場合は審査ができないことがあるとして、収入の有無に関わらず申告を済ませてから申請してくださいと書いています。新宿区は、申告が完了していない人は所得額の確認ができないため審査を保留とし、必要な手続きや期限を郵送で通知するとしています。
収入がない人も申告が必要だという点が、ここでの肝心なところです。無職だから申告するものがない、と考えて放置していると、世帯のうち一人分の申告が欠けているだけで世帯全体の審査が止まります。
申請書を書き始める前に、世帯の大人全員について申告が済んでいるか確認してください。済んでいなければ、市区町村の課税担当課に申告の方法を聞くのが先です。
出し方は自治体で分かれる
締切だけでなく、出す先と出し方も違います。確認した3市区を並べます。
| 自治体 | 申請期間 | 提出方法 | 支給時期 |
|---|---|---|---|
| 古河市(令和9年度入学) | 1月4日〜1月15日(必着) | オンライン(LoGoフォーム)、または教育総務課へ持参・郵送 | 入学前に支給(2月下旬頃) |
| 日立市(令和9年度入学) | 締切 1月29日(期限厳守) | 教育委員会学務課へ直接持参(郵送不可) | ページに記載なし |
| 新宿区(令和8年度入学の例) | 12月8日〜12月26日(消印有効) | 学校運営課へ郵送または持参。条件を満たせば電子申請も可 | 令和8年3月下旬(予定) |
日立市の郵送不可は、知らないと致命的です。締切の前日に投函しても受け付けられません。平日の日中に窓口へ行く段取りを、締切から逆算して組む必要があります。
新宿区の行は、読んだ時点でページに参考として残っていた前の年度の情報です。次のサイクルの日付は、同じページで改めて案内されます。
必要な書類も自治体によります。古河市は、最新の課税証明書または非課税証明書、賃貸借契約書の写し、振込口座の金融機関・支店・口座名義人(カナ)・口座番号がわかるものを挙げています。ただし課税証明書は、基準となる1月1日時点で古河市に住民登録がある人は原則提出不要、賃貸借契約書の写しは持ち家の場合は提出不要としています。前に住んでいた市区町村から証明書を取り寄せる場合は、郵送のやりとりで日数がかかります。締切が2週間しかない地域では、申請書を書き始めた日に請求まで済ませておかないと間に合いません。
支給を受けた後に引っ越したら
支給の後に転出した場合、古河市は返金は求めないとしています。ただし、転出先の自治体に対して新入学学用品費の支給を受けた旨を通知することがあるとも書いています。
通知が行く以上、転出先で同じ費目をもう一度受け取れる前提では動かないでください。一方で、支給を受けた後に引っ越したこと自体が問題になるわけでもありません。
自治体のページが見つからないとき
呼び名が揃っていないのが、この制度を調べにくくしている一因です。新宿区は「就学援助・入学準備金(新入学学用品費 入学前支給)」、古河市は「新入学学用品費の入学前支給」、日立市は様式の名称として「入学前交付申請」を使っています。
「入学準備金」で出てこなければ、「新入学学用品費」「入学前支給」で検索してみてください。それでも見つからないときは、自治体名と「就学援助」で探して、そのページの中から入学前の支給に関する案内を辿るほうが早いです。所管は教育委員会の学務課、学事係、教育総務課といった名前の部署です。
実施していない自治体もあります。ページが本当に存在しないのか、呼び名が違うだけなのかは、教育委員会に電話で一度聞けば分かります。
参考資料
- 文部科学省「就学援助制度について」(準要保護者の認定基準は各市町村が規定)
- 文部科学省「令和7年度就学援助の実施状況(市町村別実施状況)」(新入学児童生徒学用品費等の入学前支給の実施状況を都道府県別に公表)
- 古河市教育委員会「新入学学用品費の入学前支給(新小学校1年生)」
- 日立市教育委員会「就学援助制度(「新入学児童生徒学用品費」の入学前支給)」
- 新宿区教育委員会「就学援助・入学準備金(新入学学用品費 入学前支給)」