学校に行けない間を「出席」にできるか。教育支援センターと自宅学習、決めるのは校長

結論

出席扱いにするかを決めるのは在籍校の校長で、教育委員会でも施設側でもない。学校外施設は通所が前提で公的機関が原則。自宅学習は対面指導が前提で、施設に通えない場合の位置づけ。教材の契約より先に学校へ相談する。

どうする?編集部 · · 読了 約8分
目次(11項目)
  1. 要件が二か所に分かれて置かれている
  2. 学校外の施設に通う場合
  3. 自宅で学習する場合
  4. 切り出す順番と、言い方
  5. 校内の別室で過ごす日は、この手続きの外にある
  6. 成績はどう扱われるか
  7. 高校は別の枠組みで考える
  8. 出席扱いにならなくても、失われないもの
  9. 話が止まったとき
  10. 通う先の選択肢は、元の教室だけではない
  11. 参考資料

学校を休んでいる日が積み上がってくると、欠席日数そのものが気になり始めます。学校外で過ごした日を指導要録の上で出席として扱う仕組みがあり、これは実際に使われています。ただ、条件が決まっていて自動では付きません。判断するのは在籍校の校長で、施設の側でも教育委員会でもない。そして経路によって条件がまるきり違います。順番を間違えると、費用だけ払って要件を満たさない形になります。

要件が二か所に分かれて置かれている

文部科学省が令和元年10月25日に出した通知、元文科初第698号が土台です。この通知の本体には出席扱いの条件が書かれておらず、別記として二つの文書が添えられています。学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受ける場合と、自宅でICTなどを活用して学習する場合。この二つで求められるものが違います。

公式サイトでも別々のページに置かれているため、片方だけ読んで「うちはこれでいける」と判断してしまう場面が起きます。まず両方を並べてください。

学校外の施設に通う場合

この経路で文部科学省が挙げている要件は次のとおりです。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  • 教育委員会が設置する教育支援センター等の公的機関であること。公的機関の利用が困難な場合は、民間施設についても校長と教育委員会が連携して判断する
  • その施設に通所または入所して相談・指導を受けること
  • 社会的自立を目指すもので、登校を希望したときに円滑な学校復帰が可能となるよう個別指導等の適切な支援を実施していると評価できること

読み落とされやすいのが二番目です。原則は公的機関に置かれていて、民間施設は「公的機関の利用が困難な場合」という条件つきで検討される書き方になっています。フリースクールに通えば出席になる、という順番ではありません。

三番目も効いてきます。通所または入所が前提なので、オンラインだけで完結する形はこの経路に乗りません。自宅からの参加が中心の民間サービスを検討しているなら、条件が変わることを先に知っておいてください。

教育支援センターは市区町村の教育委員会が設置する施設で、在籍校に籍を置いたまま通います。費用は原則かかりません。名称が自治体ごとにばらばらで、「適応指導教室」のような独自の呼び名がついていることが多く、検索では見つけにくい。市区町村役所の代表番号から教育委員会の学校教育課につないでもらい、「教育支援センターはどこにありますか」と聞くのが確実です。

自宅で学習する場合

こちらは条件が細かく並びます。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること
  • コンピュータやインターネット、遠隔教育システムのほか、郵送やFAXを活用して提供される学習活動であること
  • 訪問等による対面指導が適切に行われることが前提。その対面指導は、学習支援や将来の自立に向けた支援が定期的かつ継続的に行われるものであること
  • 本人の学習の理解の程度を踏まえた、計画的な学習プログラムであること
  • 校長が対面指導や学習活動の状況について定期的な報告を受けたり連絡会を実施したりして、状況を十分に把握していること
  • 基本的に、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること
  • 学校が把握した学習の計画や内容が、その学校の教育課程に照らして適切と判断されること

並びの最後から二つ目に注目してください。自宅学習の出席扱いは、施設に通えないときの受け皿として位置づけられています。通える施設があるのに自宅を選ぶ、という使い方を想定した仕組みではありません。

対面指導が前提に置かれている点も外せません。誰かが定期的に会う形が要ります。担任の家庭訪問がこれに当たることもあれば、別の担当者が来ることもある。ここは学校と相談して具体的に決める部分です。

だから、タブレット教材を契約したから出席になる、という話にはなりません。教材は「計画的な学習プログラム」の材料になり得ますが、それ単体では条件を満たさない。契約を先に済ませてしまうと、要件に合わず費用だけが残ります。

切り出す順番と、言い方

最初に動く先は教材会社でも施設でもなく、在籍校です。担任に「出席扱いにできる形があるかを相談したい」と伝えてください。この一言で、学校側は何の話か分かります。

担任と話が進まないときは教頭あてで構いません。判断するのは校長なので、途中で止まっているなら管理職に届けたほうが早い。「担任にも共有してほしい」と添えておけば角が立ちにくくなります。

相談の場で決めておきたいことがあります。報告の形です。校長が状況を十分に把握していることが要件に入っているので、誰が誰に、どのくらいの頻度で、何を伝えるかを決めないと運用が続きません。月に一度なのか学期ごとなのか、書面なのか口頭なのか。ここを最初に決めておくと、後から「報告がないので出席扱いにできない」という行き違いを避けられます。

施設に通う予定があるなら、施設側にも確認してください。「在籍校への報告書を出してもらえますか」と聞けば、その施設に前例があるかどうかが分かります。慣れている施設は書式を持っています。

校内の別室で過ごす日は、この手続きの外にある

見落とされがちな道がひとつあります。校内の別室です。保健室、相談室、学校によっては支援スペースのような部屋を用意していることがあります。

教室には入れないが学校の建物までは行ける、という段階なら、ここまで書いた手続きはそもそも要りません。通知が扱っているのは学校外の施設と自宅であって、校内で過ごす日はその枠の外にあります。手数が一番少ないのはこの形なので、外部の施設を探す前に「校内に居られる部屋はありますか」と在籍校に聞いてみてください。

給食を食べるのか、何時から何時まで居られるのか、誰が付くのかは学校ごとに違います。細かい扱いも含めて在籍校に確認するのが早い。

成績はどう扱われるか

出席の扱いと並んで気になるのが評価です。通知は、学校外での学習が学校の教育課程に照らして適切と判断される場合、その評価を指導要録に記載することが望ましいとしています。休んだ期間の学習が記録に残らないと決まっているわけではありません。

ここでも判断材料は学校に渡す必要があります。何をどこまで進めたのかが学校に伝わっていなければ、評価しようがない。学習の記録を残しておくと話が早くなります。

高校は別の枠組みで考える

ここまで引いた学校外施設の要件は、文書の表題が「義務教育段階の」と限定しています。高校は仕組みが違い、単位を認めるかどうかは学校ごとの学則で決めています。「その科目の授業時数の3分の1を超えて欠課したら単位を認めない」といった定め方をしている学校が多く見られます。

高校生の場合、確認先は文部科学省ではなく手元の生徒手帳です。「単位の修得」「欠課時数」といった項目に基準が書いてあります。数え方が科目ごとの回数である点にも注意してください。週2コマの科目を1日休めば2回分が減り、週1コマなら1回分。同じ1日でも時間割によって減り方が変わります。担任に「今の欠課時数を科目ごとに出してほしい」と頼めば数字が出ます。学期の途中でも出してもらえます。

学校外での学習や施設通所を高校がどう扱うかも、学校ごとに幅があります。通信制への転入を含めて、進路指導担当と早めに話しておくほうが選択肢が残ります。

出席扱いにならなくても、失われないもの

要件に届かない時期もあります。そこで進級を心配しすぎないでください。小学校と中学校は義務教育で、各学年の課程の修了と卒業を認めるのは校長です。「欠席が何日を超えたら進級できない」という日数の線が、国の制度として引かれているわけではありません。

そもそも通知は、支援の視点をこう示しています。

「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある

出席扱いは、この考え方を記録の面で支える道具のひとつです。目的が入れ替わって、出席日数を積むこと自体が目標になってしまうと、本人にとっての意味が薄くなります。

同じ通知は、学校と教育委員会が保護者を支えることも求めています。

保護者に対し、不登校のみならず子育てや家庭教育についての相談窓口を周知し、不登校への理解や不登校となった児童生徒への支援に関しての情報提供や相談対応を行うなど、保護者に寄り添った支援の充実が求められる

学校に相談を持ち込むのは、迷惑をかける行為ではありません。情報提供と相談対応は学校側の役割として書かれています。

話が止まったとき

学校に持ちかけたが返答がない、前例がないと言われた。そういうときの持っていき先は市区町村の教育委員会です。学校教育課や指導課に学校名と経緯を伝えてください。民間施設の扱いは校長と教育委員会が連携して判断すると示されているため、教育委員会に話を通しておくこと自体が筋から外れた動きではありません。

通知は、教育支援センターの役割についてこうも書いています。

教育支援センターは通所希望者に対する支援だけでなく、これまでに蓄積された知見や技能を生かし、通所を希望しない者への訪問型支援、シートのコンサルテーション等を担当する

通える段階にない家庭でも相談先になる、ということです。出席扱いの手続きだけを目的にせず、まず状況を相談する場として使ってかまいません。

通う先の選択肢は、元の教室だけではない

同じ通知は、社会的自立に向けた道筋として複数の受け皿を並べています。

教育支援センターや不登校特例校、ICTを活用した学習支援、フリースクール、夜間中学での受入れなど、様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行う

不登校特例校は、教育課程を柔軟に組んで不登校の子どもを受け入れる学校のことです。設置している自治体はまだ限られていて、住んでいる地域にあるかどうかは教育委員会に聞かないと分かりません。自治体の案内では別の呼び名になっていることがあるため、問い合わせるときは通知にあるこの名称をそのまま伝えると話が通じます。

費用の見当も先に付けておいてください。教育支援センターは公的機関なので原則かかりません。民間のフリースクールは運営団体ごとに額の開きがあるので、見学のときに月額と入会金を確認してください。そして繰り返しになりますが、そこへの通所を出席扱いにできるかどうかは校長と教育委員会の判断です。契約より先に在籍校へ、という順番はここでも変わりません。

参考資料

  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」元文科初第698号(令和元年10月25日)
  • 文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
  • 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
学校に行けない間を「出席」にできるか。教育支援センターと自宅学習、決めるのは校長 — 学び 関連イラスト (どうする?)
Photo by Vasily Ledovsky on Unsplash
#不登校 #出席扱い #教育支援センター #指導要録

参考資料

  1. 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」元文科初第698号
  2. 文部科学省「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
  3. 文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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