親の介護保険、申請してから使えるまで何日かかる?認定を待たずにデイサービスを始める手順

結論

要介護認定の効力は申請した日にさかのぼるため、結果が届く前でも暫定のケアプランでデイサービスや訪問介護を始められます。窓口は親の住民票がある市区町村で、地域包括支援センターに申請を代行してもらえば遠方の家族でも進められます。

どうする?編集部 · · 読了 約10分
目次(16項目)
  1. 「30日」は待ち時間ではなく、結果が届くまでの上限
  2. 申請書を出せるのは、本人と家族だけではない
  3. 親が64歳以下でも、対象になることがある
  4. 窓口で最初に聞かれるのは、主治医の名前
  5. 持ち物はそれほど多くない
  6. 入院中でも、退院を待たずに申請できる
  7. 認定調査の日は、できれば誰かが立ち会う
  8. 認定を待たずに始めるときの、ひとつの落とし穴
  9. 福祉用具と住宅改修は、認定が出てからの話になる
  10. 要支援と要介護で、次に付き合う相手が変わる
  11. 有効期間は、新規だと原則6か月
  12. 結果が実感と違ったら、審査請求より先に区分変更申請
  13. お金の話は、申請の時点ではまだ出てこない
  14. 仕事を辞める前に、家族側の制度も見ておく
  15. 結果を待つあいだにやっておくと、あとが楽なこと
  16. 参考資料

「そろそろ介護保険を申請したほうがいい」と病院の相談員や近所の方から言われて、はじめて手続きを調べ始めるご家族がいます。申請書を出してから結果が届くまでは原則30日。この数字を見て「1か月は何もできないのか」と手が止まってしまうのですが、給付の効力は申請した日にさかのぼります。認定を待つ必要はありません。最初に電話をかける先は、親の住民票がある市区町村の介護保険担当課か、その地域を受け持つ地域包括支援センター。高齢者の相談窓口として市町村が置いている場所で、申請書の書き方から提出の代行まで引き受けてくれます。

「30日」は待ち時間ではなく、結果が届くまでの上限

介護保険法では、市町村は申請のあった日から30日以内に認定の結果を通知すると決められています。押さえておきたいのは、認定が出てからサービスが始まるのではないという点です。認定の効力は申請日にさかのぼるので、申請書を出したその日から、介護保険を使う前提で予定を組めます。

実務の進み方はこうなります。申請書を出す。ケアマネジャーが暫定のケアプランを作る。翌週にはデイサービスに通い始める。認定結果が郵便で届くのは、そのあとです。結果が出てから初めて動くご家庭と、申請した日から動くご家庭とでは、最初のひと月の暮らしがまるで違ってきます。

30日が必ず守られるわけでもありません。主治医の意見書がなかなか戻ってこない、介護認定審査会が月に2回しか開かれない。そうした事情で延びるときは、市町村から処理の見込み期間を知らせる通知が届きます。届いたら、日付だけ確認して保管しておいてください。

申請書を出せるのは、本人と家族だけではない

新規申請の窓口は、親の住民票がある市区町村です。同居していない、仕事を休めない、そもそも親と離れて暮らしている。そういう事情があっても止まりません。地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、介護保険施設は申請を代行でき、代行そのものに料金はかかりません。

地域包括支援センターは、おおむね中学校区にひとつという密度で、全国に5,000か所を超えて置かれています。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの3職種が配置され、相談は無料。「申請するほどではない気もするが、どう思うか」という段階の話でも受けてくれます。むしろ、その段階で一度話しておくほうが後の動きが速い。

離れて暮らす親の場合、担当のセンターは親の住所で決まります。自分の家の近くではありません。市町村名と「地域包括支援センター」を並べて検索するか、厚生労働省の介護サービス情報公表システムから探せます。電話で「遠方に住む子どもです」と伝えれば、それを前提に話を進めてもらえます。

親が64歳以下でも、対象になることがある

介護保険は65歳から、と覚えている方が多いはずです。ただ、40歳から64歳までの人も、決められた16の病気が原因で介護が必要になったのなら申請できます。末期のがん、初老期における認知症、脳血管疾患、関節リウマチ、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などが並びます。

親がまだ60代前半で、脳梗塞のあとに麻痺が残った。年齢だけで「うちはまだ早い」と判断すると、使える制度を年単位で取り逃がします。この年代で申請するときは、医療保険への加入が条件になるため健康保険証も持参します。原因となった病気が16の中に入るかどうかは、主治医の意見書で判断されるので、家族が自分で線引きする必要はありません。

窓口で最初に聞かれるのは、主治医の名前

申請書の記入欄で家族が答えに詰まりやすいのが、主治医の氏名と医療機関名です。市町村はここに書かれた医師へ意見書の作成を依頼します。この書類が戻ってこないと、審査会にかけられません。

かかりつけの医師がいないときは、市町村が指定する医師の診察を受ける仕組みがあります。窓口でその旨を伝えれば案内してもらえますが、予約を取るところから始まるぶん、結果が出るまでの日数は延びます。何年も病院に行っていない親なら、申請の前に一度受診しておくほうが結局は早い。持病があって通院しているなら、次の診察のときに「介護保険を申請します」と一言伝えておくと、意見書の作成が滞りにくくなります。

意見書の作成料は市町村が負担します。家族が病院の窓口で払うものではありません。申請そのものも無料です。

持ち物はそれほど多くない

介護保険の被保険者証、マイナンバーが分かるもの、窓口へ行く人の身分証。これに主治医の情報が加われば、たいていの市町村で受け付けてもらえます。被保険者証は65歳の誕生月に郵送で届くカードですが、見つからないときはその場で再交付を頼めるので、探すために日を改めなくて構いません。

郵送やオンラインで申請を受け付ける市町村も増えました。ただ、初めての申請では、窓口で状況を話しながら書いたほうが後の連絡がつきやすくなります。

入院中でも、退院を待たずに申請できる

病院に入っている間は介護保険のサービスを使えませんが、申請そのものは入院中に出せます。むしろ、退院が見えてきた段階で動くほうが、家に戻った日からヘルパーや福祉用具を使えます。認定調査も病室で受けられます。

ただ、入院直後は状態が日ごとに変わるため、調査の時期が早すぎると実態より軽く出ることがあります。病棟の看護師や医療ソーシャルワーカーに、いつ申請するのが妥当かを相談してください。退院支援の担当者は、この見極めを日常的にしています。

介護用ベッドや手すりの手配には、認定が出てからでも1〜2週間かかります。退院日が決まってから慌てないよう、逆算して申請日を置きます。

認定調査の日は、できれば誰かが立ち会う

申請から1〜2週間で、市町村の職員か委託を受けた調査員が親の家を訪ねてきます。入院中なら病室に来ます。心身の状況について74の項目を確認し、あわせて特記事項という自由記述を書きます。

新規申請でいちばんつまずくのが、この日です。ふだんは支えがないと立ち上がれない親が、調査員の前では背筋を伸ばして「ひとりでできます」と答えてしまう。悪気があるわけではなく、他人に弱いところを見せたくない気持ちが働きます。一次判定は調査票の回答をもとにコンピュータが計算するため、実態より軽い結果が出やすくなる。

対策は単純です。家族が同席する。本人の前で否定すると角が立つので、困っている場面を書いたメモを調査員に手渡す方法がよく使われます。夜中に何回起きるか、この一か月で転んだ回数、火を消し忘れた日、薬の飲み忘れ。日付と回数が入っていると、特記事項に具体的に書いてもらえます。

当日どうしても行けないなら、事前に電話で調査員へ状況を伝える形でも構いません。日程は調整できるので、申請するときに「立ち会いたい」と伝えておいてください。

認定を待たずに始めるときの、ひとつの落とし穴

暫定のケアプランでサービスを先に始める場合、要介護度の見込みを立ててプランを組みます。ここで見込みより軽い認定が出ると、要介護度ごとに決まっている1か月の利用上限を超えた部分が、全額自己負担になります。

要介護2を見込んで組んだプランで、結果が要支援2だったとします。上限額が下がるだけでなく、使えるサービスの枠組み自体が変わることもある。差額は保険から出ません。

だから新規のときほど、ケアマネジャーは控えめな見込みでプランを作ります。「もっと使いたい」と思っても、最初のひと月は必要最小限で組むよう勧められることがあるのは、この事情によります。認定が出てから増やせばよく、そのほうが家計の見通しも立ちます。

福祉用具と住宅改修は、認定が出てからの話になる

暫定のケアプランで先に始めやすいのは、訪問介護や通所介護のように人が動くサービスです。介護用ベッドや車いすの貸与、手すりの取り付けといった住まいに手を入れるものは、要介護度が確定していないと動かしにくい。

住宅改修費の支給には、工事に着手する前の申請が要ります。認定を待たずに工事をしてしまうと、あとから書類を出しても対象に含まれません。段差が危ないので今すぐ何とかしたい、という場面では、置くだけの踏み台や工事のいらない手すりで当座をしのぎ、認定後に本格的な改修へ移す進め方がとられます。

福祉用具のほうも、要支援や要介護1では貸与できる品目が絞られます。介護用ベッドを借りるつもりでいたのに対象外だった、という行き違いが起きやすいところです。暫定プランを組む段階で、ケアマネジャーに品目まで確かめておいてください。

要支援と要介護で、次に付き合う相手が変わる

結果は非該当、要支援1・2、要介護1から5のいずれかで届きます。要介護1以上なら、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作ります。事業所は自分で選べるので、地域包括支援センターに一覧をもらって決めるのが通りのよい方法です。プラン作成の費用は全額が介護保険から出るため、利用者の持ち出しはありません。

要支援1・2だと、担当は地域包括支援センターに移ります。使えるのは介護予防のサービスで、訪問介護や通所介護にあたるものは市町村が運営する総合事業の枠に入ります。中身も回数も市町村ごとに差があるので、パンフレットを読むより担当者に直接聞くほうが早い。

非該当でも、そこで終わりではありません。総合事業には、認定を受けていない人でも参加できる通いの場や生活支援があります。地域包括支援センターに「非該当だった」と伝えて、代わりに使えるものを出してもらってください。

有効期間は、新規だと原則6か月

新規で認定を受けたときの有効期間は原則6か月です。審査会の判断で3か月まで短くなることも、12か月まで延びることもあります。更新のときは原則12か月で、状態が安定していれば最長48か月まで延ばせます。

最初が短いのは、申請する時期の状態が動きやすいからです。退院直後なら回復して軽くなることもあり、認知症が進んで重くなることもある。半年で一度見直す前提だと思っておけば、更新の案内が届いたときに慌てません。満了日は被保険者証に印字されるので、届いた日にスマホのカレンダーへ入れておくと取りこぼしが減ります。

結果が実感と違ったら、審査請求より先に区分変更申請

「これだけ手がかかるのに要支援1なのか」と感じたとき、制度としては都道府県に置かれた介護保険審査会へ審査請求ができます。期限は結果を知った日の翌日から3か月。ただ、この道は結論が出るまで数か月かかるうえ、認められても要介護度がその場で上がるわけではなく、市町村が認定をやり直す形になります。

実務でよく選ばれるのは区分変更申請のほうです。本来は状態が変わったときの手続きですが、認定調査からやり直すため、およそ1か月で新しい結果が出ます。今度はケアマネジャーが同席し、前回伝わらなかった場面を特記事項に載せてもらう。急いでいるご家庭にこちらが勧められるのは、そういう理由からです。

動く前に、認定調査票の写しを市町村へ開示請求して、どの項目が実態とずれているのかを確かめてください。感覚で「軽すぎる」と訴えるより、項目を指して話すほうが通ります。

お金の話は、申請の時点ではまだ出てこない

申請は無料、認定調査も無料、主治医意見書の作成料も市町村持ちです。費用が生じるのは、実際にサービスを使い始めてから。自己負担は所得に応じて1割から3割で、割合は毎年7月ごろに届く介護保険負担割合証に書かれています。

サービスを使い始める前に、親の年金額と預貯金のおおよそを家族で把握しておくと、その後の判断が速くなります。施設を考える段階になると、収入と資産の状況で食費や居住費の軽減を受けられるかどうかが変わってくるためです。

仕事を辞める前に、家族側の制度も見ておく

申請と並行して、働いている家族が使える仕組みを確かめておくと選択肢が増えます。育児・介護休業法の介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取れます。介護休暇は年に5日、対象家族が2人以上なら10日。時間単位で取れる職場が増えたので、認定調査の立ち会いや窓口の手続きに充てやすくなりました。

介護に直面したことを会社へ申し出ると、事業主は使える制度を個別に知らせ、取得の意向を確かめることになっています。就業規則を自分で読み込む前に、人事へ一言伝えるほうが早い。辞めるかどうかの判断は、この情報がそろってからで間に合います。

結果を待つあいだにやっておくと、あとが楽なこと

認定結果が届くまでの数週間は、手が空くようでいて準備に向いた時間です。ケアマネジャーとの初回の面談で聞かれることを、先に用意しておきます。

  • 介護保険の被保険者証、健康保険証、お薬手帳の置き場所を決めて写真を撮っておく
  • かかりつけの医療機関、緊急連絡先、近所で頼れる人の連絡先を1枚にまとめる
  • 親の家の段差、手すりの有無、風呂とトイレの様子を撮影しておく
  • きょうだいがいるなら、誰が何を引き受けるかをこの段階で話しておく

写真があると、住宅改修や福祉用具の相談が一度で進みます。役割分担は、サービスが始まってからだと決めにくくなる。

参考資料

要介護認定の仕組みと判定の流れは、厚生労働省の要介護認定に関するページで確認できます。地域包括支援センターの役割と全国の設置状況も、同省のページにまとまっています。担当のセンターや近くの居宅介護支援事業所を探すときは、介護サービス情報公表システムが使えます。申請書の様式、郵送やオンラインで受け付けるかどうか、暫定利用の取り扱いは市町村ごとに違うので、最終的な確認は親の住民票がある市区町村の介護保険担当課へお願いします。

親の介護保険、申請してから使えるまで何日かかる?認定を待たずにデイサービスを始める手順 — くらし 関連イラスト (どうする?)
Photo by Tanya Barrow on Unsplash
#介護保険 #要介護認定 #地域包括支援センター #認定調査

参考資料

  1. 厚生労働省 要介護認定
  2. 厚生労働省 要介護認定はどのように行われるか
  3. 厚生労働省 地域包括支援センター
  4. 厚生労働省 介護サービス情報公表システム

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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