カセットこんろのボンベが破裂する事故の多くは、ボンベが異常に熱くなる使い方から起きています。こんろを2台並べて大きな鉄板を乗せる、こんろ全体を覆うような大きな鍋や鉄板を使う、IHクッキングヒーターやガスこんろの上に置く、炭起こしに使う、といった使い方です。東京都の試験では、2台並べて大きな鉄板を乗せた場合、IHの上で使った場合、炭起こしに使った場合の3つで、安全装置が働いた後も過熱が続き、ボンベが破裂しました。
NITE(製品評価技術基盤機構)は年末年始を前に、ボンベを確実にセットする、ボンベが熱くなる使い方をしない、使い終わったらボンベを外して40℃未満の室内に置く、の3つを呼びかけています。古いこんろとボンベには、業界団体が買い替えや使い切りの目安を出しています。
この記事では、事故の件数と原因、破裂につながる使い方、ボンベの付け方と保管、買い替えの目安と捨て方を、NITE・東京都・日本ガス石油機器工業会の資料で確かめます。
事故の約4割は誤使用・不注意
NITEが2024年12月26日に出した注意喚起によると、NITEに通知されたカセットこんろの事故は、2014年度から2023年度までの10年間で91件ありました。調査中の5件を除く86件のうち、使用者の誤使用・不注意が推定されるものが33件(38%)で、約4割を占めます。
誤使用・不注意の中で特に多いのが「カセットボンベが異常に熱くなるような誤った使い方をした」もので、過熱されたボンベが破裂して、死亡事故ややけどなどの被害にもなっています。ほかに、ボンベの装着が不十分でガスが漏れたまま点火したもの、ボンベを熱源のそばに置いて過熱させたものがあります。
東京都の調査は、東京消防庁管内のカセットこんろの火災が年間約30件程度あると紹介しています。
NITEが挙げた事故の例
- 2台並べて大きな鉄板(2017年4月、宮崎県):屋外でこんろを2台並べ、一方の五徳を裏返してセットし、それぞれに比較的大きな鉄板を使って調理していたところ、五徳を裏返した方のボンベが過熱されて破裂し、6人がやけどを負った
- 装着が不完全なまま点火(2020年12月、香川県):ボンベを付けて点火したところ、建物4棟を全焼する火災になり、1人がやけどを負った。ボンベの装着が不完全で接続部からガスが漏れ、点火の火花が引火したと推定されている
- 熱源のそばに放置(2018年8月、神奈川県):燃えている業務用こんろのそばにボンベを置いていたため、ボンベが過熱して破裂し、噴き出したガスに引火して9人がやけどを負った
破裂につながる使い方
NITEは、ボンベの中には液化石油ガスが液体と気体に分かれて入っていて、ボンベが熱せられると液体が気体になろうと膨張し、内圧が限界を超えると破裂すると説明しています。
東京都は、2024年4月の調査で、使ってはいけない方法を次のように挙げています。
- 大きな鉄板を乗せるために、こんろを2台並べて使う
- IHクッキングヒーターやガスこんろなど、ほかの調理器の上に、ボンベを付けたこんろを置く
- こんろで炭起こしをする
東京都の試験では、2台並べて大きな鉄板を乗せた場合、IHクッキングヒーターの上で使った場合、炭起こしに使った場合に、こんろの安全装置が働いたあともボンベの過熱が続き、破裂に至りました。東京都は、これらの使い方では安全装置があってもボンベの過熱が続くため、特に破裂の危険が高いとしています。NITEの別の資料にも、IH調理器の上にあったこんろを、誤ってIHを作動させて加熱し、ボンベが破裂して使用者が軽傷を負った事例が載っています。
大きな鍋・鉄板、五徳の裏返し
東京都は、大きな調理器具は乗せないよう求めています。調理器具がボンベのカバーに触れていなくても、熱くなった調理器具からボンベに熱が伝わるためです。試験では、五徳型のこんろに大きな鉄板を乗せるとボンベの表面温度が160℃を超えて安全装置が働き、ほかの大きな調理器具を乗せた場合や五徳を逆さに付けた場合も、ボンベの表面温度が高くなりました。
何cmまでの鍋なら使えるかは、製品によって違います。東京都は、製品の種類によって注意事項や取扱い方法が違うので、取扱説明書をよく確かめて、その製品に合った使い方をするよう勧めています。
東京都が2,000人に聞いたアンケートでは、禁止されている使い方をしたことがある人は「2台並べ」が最も多く5.6%、次いで「異なる調理器の上」4.3%、「炭起こし」3.2%でした(NITEの資料に掲載)。
ボンベの付け方
NITEは、ボンベを無理に押し込まず、取扱説明書に書かれた向きや位置に従って確実にセットするよう求めています。付けたあとに異音や異臭がしたらガス漏れのおそれがあるので、すぐにボンベを外して使用をやめます。
東京都の試験では、次の状態で付けたときにガス漏れの音が確認されました。
- ボンベの切り欠きがずれている
- こんろのマグネット部分に何か付いている
- 小さいサイズのボンベが付けられないこんろに、無理に押し付けて付けた
使い終わったら、ボンベは外して40℃未満の室内へ
NITEは、使用後はボンベをこんろから外し、室内の40℃未満の涼しい場所に保管するよう呼びかけています。ストーブやこんろ、こたつなどの熱源のそばに置くと破裂のおそれがあり、ガスの出が悪くなったからといって意図的に温めることも絶対にやめるよう書いています。
鍋をしている食卓のそばに、予備のボンベを置いたままにしないようにします。
買い替えの目安と捨て方
こんろは10年、ボンベは7年
日本ガス石油機器工業会は、こんろとボンベにはガス漏れを防ぐゴムの部品が使われていて、使っていなくても年月とともに劣化するとしています。目安は次のとおりで、NITEも同じ数字を紹介しています。
- カセットこんろ:製造後、約10年以上たったら買い替えを検討する。製造年月は本体側面の定格銘板のシールに、西暦の下2けたと月の2けたで書かれている(例:「13.04」なら2013年4月製造)
- カセットボンベ:製造後、約7年以内に使い切る。製造年月日は缶の底に8けたの数字で印字されている(例:「20131001」なら2013年10月1日製造)
東京都のアンケートでは、10年の目安を超えたこんろを持っている人が23.6%以上いました。防災用に備えているボンベは、古いものから日常で使い、使った分を新しいもので補う「ローリングストック」にするよう、同工業会は勧めています。
NITEは、国内で売られるカセットこんろには、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)により、国の基準に適合したことを示すPSLPGマークの表示が義務付けられていて、マークのない商品を売ることは違法だとしています。買い替えるときはマークを確かめます。
捨てるときは使い切ってから
NITEは、ボンベを使い残したまま捨てると、ごみ収集車の中で押しつぶされて漏れたガスが充満し、圧縮のときの火花などで火災になるおそれがあるとしています。
- 使い切ってから捨てる
- 缶を振って「シャカシャカ」という音がしなくなるまで使う
- 捨て方は住んでいる自治体の指示に従う
確認の順番
- こんろの製造年(側面の銘板)と、ボンベの製造年月日(缶の底)を見る。こんろは10年、ボンベは7年が目安
- 取扱説明書で、使える鍋や鉄板の大きさと禁止事項を確かめる
- ボンベは説明書どおりの向きで、切り欠きを合わせて確実に付ける。異音・異臭がしたらすぐ外す
- 2台並べない、大きな鉄板や鍋を乗せない、IHやガスこんろの上に置かない、炭起こしに使わない
- 使い終わったらボンベを外し、熱源から離れた40℃未満の室内に置く
- 捨てるボンベは、音がしなくなるまで使い切ってから自治体の指示どおりに出す
この記事で確認できなかったこと
2026年11月6日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- こんろごとに使える鍋や鉄板の大きさの具体的な数字。製品ごとに取扱説明書で決められています。
- 使い切ったボンベに穴を開けるかどうか。NITEは自治体の指示に従うよう案内していて、自治体ごとに扱いが違います。
- 2024年度以降の事故件数。今回読んだNITEの集計は2023年度までです。
- アウトドア用のガス缶(OD缶)を使うバーナーの扱い。東京都の調査は、カセットボンベ(CB缶)を使うこんろを対象にしていました。
参考資料
- NITE “NO MORE ボンベ破裂” 「カセットこんろの事故」を防ぐ3つのポイント(2024年12月26日) — 10年間91件・約4割が誤使用、事故例、3つのポイント、PSLPGマーク、10年・7年の目安、捨て方、東京都アンケートの紹介
- NITE 花見の季節はカセットこんろの事故に注意(平成30年3月16日) — こんろ全体を鉄板などで覆う使い方への注意
- NITE カセットこんろによる火災や重傷事故が起きています(平成29年4月5日) — 同上
- NITE カセットボンベの破裂に注意 — IH調理器の上でボンベが破裂した事例
- 東京都生活文化スポーツ局 カセットこんろの安全性に関する調査(令和6年4月) — 過熱試験とガス漏れ試験、消費者へのアドバイス、アンケート
- 日本ガス石油機器工業会 カセットこんろとカセットボンベは経年劣化します — 10年・7年の目安、製造年月の見方、ローリングストック