家族の薬を代わりに受け取るとき、本人のマイナンバーカードを預かっていて4桁の暗証番号を知っていれば、薬局の顔認証付きカードリーダーで代理人が暗証番号を入力して資格確認できます。厚生労働省のFAQは、本人が窓口で本人確認を行うことが難しい場合に、親などの代理人がカードをカードリーダーに置いて暗証番号を入力する方法を案内しています。暗証番号を知らないときは、職員による目視確認は代わりになりません。目視確認はカードの顔写真と目の前の本人を見比べる仕組みだからです。その場合は資格確認書か、本人がマイナポータルで表示した資格情報の画面を持って行きます。まず本人に、暗証番号を覚えているか、資格確認書を持っているかの二つを聞いてください。
代理人が暗証番号を入力すれば資格確認できる
厚生労働省の「マイナ保険証 よくある質問」Q29は、子どもが自分で顔認証付きカードリーダーを操作できない場合について、次のように答えています。
子ども等、本人が窓口で本人確認を行うことが難しい場合には、親等の代理人が子ども等のマイナンバーカードをカードリーダーに置き、暗証番号を入力することで、本人確認をすることができます。
質問文は子どもを例にしていますが、回答は「子ども等、本人が窓口で本人確認を行うことが難しい場合」と書かれています。処方箋を持って家族が薬局に行く場面は、本人が窓口にいないので、この回答の範囲に入ります。Q30では、本人の希望により家族や介助者、職員が本人の前で支援することも妨げないとしています。
薬局での流れは次のとおりです。
- 処方箋と本人のマイナンバーカードを持って行く
- 顔認証付きカードリーダーにカードを置き、画面で「暗証番号」を選ぶ
- 利用者証明用の4桁の暗証番号を入力する
- 薬剤情報などの提供に同意するかを選ぶ画面に進む
入力するのはカードの受け取り時に設定した4桁の暗証番号です。署名用の6桁から16桁の英数字ではありません。3回続けて間違えるとロックされ、その場では解除できません。本人から数字を聞くときは、4桁の方だと確かめてから預かってください。
暗証番号を知らないなら、目視確認は代わりにならない
本人が暗証番号を忘れた場合、医療機関や薬局の職員は顔認証付きカードリーダーを「目視確認モード」に切り替えて本人確認できます。厚生労働省のリーフレット(令和7年4月時点)は、使用場面を次の四つに限っています。
- 顔認証がうまくいかず、かつ患者本人が暗証番号を忘れた、または3回連続で間違えてロックがかかった場合
- 患者本人が認知症や障害により、顔認証や暗証番号の入力操作がうまくできない場合
- 体調や状況が悪化して、顔認証や暗証番号の入力操作がうまくできない場合
- 機械のトラブルなどで顔認証や暗証番号の入力操作ができない場合
いずれも患者本人が窓口にいることが前提です。手順は「職員が顔写真を目視で確認して本人確認を行い、患者にマイナンバーカードをカードリーダーに置くことを案内する」と書かれ、留意事項として「第三者の利用を防止する上でも本人確認に相違がないよう」注意を求めています。代理人がカードを持って行っても、職員が見比べる相手は本人ではないので、目視確認は使えません。
暗証番号がロックされたカードは、Q32のとおり本人がいれば顔認証か目視確認で使えますが、代理受取では同じ理由でどちらも使えません。暗証番号を設定していない顔認証マイナンバーカードも、代理人が入力する番号がないため同じです。
暗証番号なしで持って行けるもの
厚生労働省の「医療機関・薬局での資格確認とレセプト請求(令和6年12月2日以降の取扱い)」は、患者側が提示できるものを次のように整理しています。代理人でも同じです。
| 持って行くもの | 何が要るか | 暗証番号 |
|---|---|---|
| 資格確認書 | 本人に交付されていれば、その紙 | 不要 |
| 資格情報のお知らせ | マイナンバーカードと一緒に提示する | 不要 |
| マイナポータルの資格情報画面 | 本人がマイナポータルにログインして表示した画面。ダウンロードしたPDFファイルも可 | 不要(本人がログインする) |
| マイナンバーカードのみ | 顔認証付きカードリーダーで暗証番号を入力する | 必要 |
三番目は、本人が自宅や病室でスマホからマイナポータルにログインし、資格情報の画面を保存して家族に送れば使えます。厚生労働省の資料はこの場合「実物のマイナンバーカードの提示は不要」としています。カードを預かるのが不安なときは、この方法が向いています。
どれも用意できないときの扱いも、同じ資料に書かれています。オンライン資格確認を行えなかった場合、医療機関・薬局は患者に3割などの自己負担分の支払いを求め、聞き取りや過去の受診歴で確認できた被保険者番号、それもなければ被保険者資格申立書に記入した内容で請求する流れです。再診の場合は、過去の受診で請求に必要な資格情報を把握していれば、患者への口頭確認で足りるとしています。いつも使っている薬局なら、この扱いになることが多いと考えられます。実際にその場で何割を求めるかは薬局ごとに違うので、行く前に電話で聞いてください。
場面ごとの選び方
子どもの薬を親が受け取る。 Q29そのものの場面です。子どものマイナンバーカードと4桁の暗証番号があれば、親が入力して資格確認できます。子どもの資格確認書が交付されていれば、それを持って行けば暗証番号は要りません。
入院中の親の代わりに、外の薬局で薬を受け取る。 本人が病室で暗証番号を思い出せるなら、カードを預かって入力します。思い出せなければ、本人のスマホでマイナポータルにログインしてもらい、資格情報の画面を保存します。どちらも難しいときは資格確認書の申請を考えます。
認知症や寝たきりの親の薬を毎回受け取る。 マイナンバーカードでの受診が困難で配慮が必要な方は、保険者に申請すると資格確認書が交付されます。厚生労働省保険局の資料では、この場合は更新時の申請が不要で、親族などの法定代理人のほか介助者による代理申請もできるとしています。毎回暗証番号で対応するより、一度申請した方が確実です。
本人が電子処方箋を選んだ。 紙の処方箋がないので、薬局がどの情報で調剤するかを先に電話で聞いてください。必要な情報は一次情報で確認できていないため、この記事では手順を示していません。
薬局へ行く前に確かめる三つ
本人に聞くことは二つです。「4桁の暗証番号を覚えているか」と「資格確認書が届いているか」です。どちらも「いいえ」なら、本人にマイナポータルへログインして資格情報の画面を保存してもらえるかを確かめます。
薬局には、次の一文で電話すれば必要なことが伝わります。
家族の処方箋を持って薬を受け取りに行きます。本人のマイナンバーカードと暗証番号はありますが、本人は来られません。カードリーダーで暗証番号を入力すればよいですか。
暗証番号が分からないときは、後半を「本人の資格確認書(またはマイナポータルの資格情報のPDF)を持って行きます」に替えます。
持ち物は、処方箋、本人のマイナンバーカードまたは上の表のどれか、お薬手帳の三つです。カードを預かるときは受け取りの日だけにし、帰ったら本人に返してください。紛失すると市区町村での再交付が必要になり、その間の受診は資格確認書などに頼ることになります。
確認したページと、確かめていない点
この記事は厚生労働省の「マイナ保険証 よくある質問」Q29からQ35、目視確認モードのリーフレットと別添2、令和6年12月2日以降の資格確認とレセプト請求の資料、保険局のセミナー資料を実際に開いて書きました。
確かめていない点が三つあります。一つ目は、電子処方箋を選んだ患者の薬を代理人が受け取るときに薬局へ伝える情報です。二つ目は、資格確認ができなかったときに薬局が実際にその場で何割を求めるかで、厚生労働省の資料は3割などの自己負担分を求める流れを示していますが、窓口ごとの運用までは分かりません。三つ目は、本人が家族に暗証番号を教えること自体の可否です。厚生労働省のFAQは代理人による入力を認めていますが、教えてよいかどうかを直接答えた質問はありません。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。