寒くなってから、親が一人で風呂に入っている時間が気になり始めた、というときに今日できることは三つです。脱衣所と浴室を暖めること、入浴前に一声掛ける習慣をつくること、浴室に温度計とタイマーを置くことです。湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までが消費者庁の示す目安です。まず確認する場所は、消費者庁の「年末年始に増加する高齢者の事故に注意しましょう!」のページで、浴室での溺水事故の項目が「入浴前の注意ポイント」と「入浴時の注意ポイント」に分かれています。
入浴前に家族が整えられるのは、部屋の温度とタイミング
消費者庁が「入浴前の注意ポイント」として挙げているのは、次の四つです。
- 脱衣所や浴室を暖める(断熱性の向上と暖房設備の導入の検討も挙げられています)
- こまめな水分補給をする
- 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける
- 入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらう
このうち部屋を暖めることとタイミングをずらすことは、本人より家族のほうが準備しやすい部分です。夕食の前に入ってもらう、晩酌のあとは入らないと決めておく、といった形で生活の順番を変えるだけなら、器具を買わなくても始められます。
薬については、「医薬品服用後の入浴は避ける」とだけ書かれていて、どの薬をどれくらい空けるかは示されていません。常用している薬がある場合は、この一文を持って、かかりつけの医療機関や薬局に具体的な間隔を聞くのが確実です。
41度以下・10分までは、温度計とタイマーで見えるようにする
「入浴時の注意ポイント」には、数値の目安が出てきます。
| 項目 | 消費者庁が示す目安 |
|---|---|
| 湯温 | 41度以下 |
| 湯につかる時間 | 10分まで |
同じ項目に、「湯温や部屋間の温度差、入浴時間など普段意識しにくい部分について、温度計やタイマーを活用して見える化しましょう」と書かれています。給湯器の設定温度と実際の湯温がずれていることもあるので、浴室内で測れるものを置くほうが実際の数字に近づきます。
数値は目安であって上限の規則ではありません。41.5度で危険、40度なら安全という線引きではなく、「普段どれくらいなのか誰も知らない」状態をやめるための目安として読むのが、このページの書き方に沿っています。
浴槽の中で異変を感じたら、立ち上がる前に湯を抜く
入浴時のポイントには、体の動かし方も二つ含まれています。
- 浴槽から急に立ち上がらないようにする
- 浴槽内で意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜く
後者は、本人が自分でする行動として書かれています。だからこそ、元気なうちに一度やってみる価値があります。浴槽に入った姿勢のまま栓やレバーに手が届くか、どちら向きに回すのかを確かめておくと、とっさのときに迷いません。手が届かない位置にある浴槽なら、その事実を家族が知っておくこと自体が次の判断材料になります。
「一声掛ける」は見守りの代わりではなく、始まり
「入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう」という一文は、入浴中に誰かが気づける状態をつくることを求めています。逆に言えば、同居者がいない場合に誰へ声を掛けるのか、どれくらい音がしなければ見に行くのかは、このページには書かれていません。何分で呼びかけるという具体的な基準を、このページを根拠に決めることはできません。
一人暮らしの親の場合は、入浴の時間帯を家族が知っていること、その時間に電話がつながらなければ気にする、という程度までが、この一文から無理なく引ける範囲です。それ以上の見守りの仕組みは、住んでいる市区町村の高齢者福祉の窓口で、使える事業があるかを確認するほうが確実です。
当てはまる人と、このページでは分からないこと
このページの浴室の項目は、高齢者の自宅での入浴を対象にしています。ページの冒頭では、高齢者について「加齢に伴う身体機能や認知機能の低下、病気や薬の影響などの要因によって思いがけない事故が発生しています」と説明されていて、原因を一つに特定していません。見出しは「浴室での溺水事故 ~冬季になるにつれ発生件数増加~」です。
一方で、このページからは次のことが分かりません。
- 浴槽内で倒れている人を見つけたあとの手当ての手順。このページには載っておらず、参考として一般財団法人日本救急医療財団心肺蘇生法委員会監修「救急蘇生法の指針2020(市民用)」と総務省消防庁「応急手当WEB講習」が挙げられているだけです。今回はその2件の内容までは確認していません。
- 年齢で区切った対象の範囲。何歳からを高齢者とするかは書かれていません。
- 断熱改修にかかる費用や補助の金額。参考資料として「省エネリフォーム等に関する国の支援策」が置かれていますが、今回は開いていないため、金額や対象はここでは示しません。
なお、消費者庁にはもう一つ「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」という注意喚起のページがありますが、今回のアクセスでは403が返り、内容を読めませんでした。この記事の数値と行動は、すべて上に挙げた1ページから取っています。
参考資料
- 消費者庁「年末年始に増加する高齢者の事故に注意しましょう!-浴室での溺水事故、餅による窒息事故、掃除中・除雪中の転倒・転落事故等に注意-」— 入浴前・入浴時の注意ポイント、湯温41度以下と10分までの目安、浴槽内で湯を抜くこと、担当課は消費者安全課。消費者庁公表資料の日付は2022年12月27日(2026年10月31日に閲覧)
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。