8月下旬から鼻水とくしゃみが止まらない。夏風邪と秋の花粉症を見分けて受診先を決める

結論

熱が出ず目のかゆみを伴うなら風邪ではなく秋の花粉症を疑う。ブタクサ・ヨモギ・カナムグラは夏の終わりから秋に飛び、河川敷や手入れされていない野原の近くで濃くなる。市販薬で2週間変わらなければ耳鼻咽喉科へ。

どうする?編集部 · · 読了 約9分
目次(12項目)
  1. 熱が出ないことが、いちばんの分かれ道
  2. 夏の終わりに飛んでいるのは、木ではなく草の花粉
  3. 春との一番の違いは、花粉源が足元にあること
  4. 3日分のメモが、診察の質を変える
  5. 市販薬で様子を見てよいのは2週間まで
  6. どの科に行くか、電話で何と言うか
  7. 秋の草花粉には、根本から治す薬がまだない
  8. 浴びる量を減らす、数字がはっきりしている方法
  9. スイカで口がかゆくなる人がいる
  10. 薬をもらう前に、伝えておくこと
  11. 確認に使った資料
  12. ※注意

お盆が明けたのに鼻水とくしゃみが止まらない。市販の風邪薬を飲んでも変わらないのに、熱だけは一度も出ていない。夏の終わりにこの状態が10日以上続いているなら、風邪ではなく秋の花粉症を疑う段階です。ブタクサやヨモギ、カナムグラの花粉は夏の終わりから秋にかけて飛ぶと環境省の資料に書かれています。今夜からできるのは、朝晩の体温を記録することと、どこにいるとき症状が強いかを書き留めること。この2つが、受診したときに医師のいちばん知りたい情報になります。

熱が出ないことが、いちばんの分かれ道

環境省の「花粉症環境保健マニュアル 2022」には、風邪との見分けについて短い一文があります。花粉症では目のかゆみを伴うことが多く、風邪と違って熱が高くなることはない、という記述です。

夏の終わりに流行する感染症のほうは、たいてい熱を出します。プール熱と呼ばれるアデノウイルスの感染症、手足口病、ヘルパンギーナ。どれも38度前後まで上がる日が数日あります。10日近く鼻をかみ続けているのに体温計が36度台のままなら、感染症の線は薄くなっていきます。

測り方を決めておくと、あとで役に立ちます。起きてすぐと、夕食前。1日2回、同じ時間帯に測ってスマホのメモに残す。3日分そろえば、そのまま診察室で見せられる記録になります。

鼻水の様子も見ておいてください。透明でサラサラしたものが続いているのか、黄色や緑がかって粘り気が出てきたのか。後者なら細菌が関わっている可能性が出てきて、行き先も薬も変わります。

目のかゆみは、自分では意外と気づきません。無意識にこすっていないか、家族に聞いてみるほうが早いこともあります。

夏の終わりに飛んでいるのは、木ではなく草の花粉

春に問題になるスギやヒノキは樹木です。この時期に飛んでいるのは、その足元にある草のほう。

夏の終わりから秋にかけて飛ぶのは、ブタクサやヨモギなどのキク科と、アサ科のカナムグラ。同じマニュアルにそう整理されています。イネ科のカモガヤやオオアワガエリは種類が多く、春から初秋までの長い期間にわたって飛びます。つまり8月下旬は、イネ科の後半とキク科の始まりが重なる時期です。

数のうえでも珍しい話ではありません。全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした2019年の調査では、花粉症全体の有病率が42.5%、スギ花粉症が38.8%、イネ科やブタクサなどスギ以外の花粉症が25.1%と報告されています。4人に1人がスギ以外の花粉にも反応している計算になります。

飛散の時期には地域差があり、その年の気候でも前後します。ここに書いた区分は2026年8月18日時点で公開されている資料に沿ったものです。自分の地域で今どうなっているかは、住んでいる都道府県が出している花粉情報のほうが正確です。

なお、スギやヒノキも秋に少量が飛ぶことがあります。春に症状が出る人が秋にも軽く出る場合、原因が1種類とは限りません。

春との一番の違いは、花粉源が足元にあること

ここが今回いちばん伝えたい部分です。

市街地の観測では、イネ科もブタクサもそれほど多く採れない。ところが河川敷や、手入れのされていない広場・野原ではかなり多い。環境省のマニュアルにはそう報告されています。

スギ花粉のように山から広範囲に流れてくるのではなく、生えている場所の近くで濃くなる。だから対策の考え方が変わります。春は「今日は飛ぶ日か」を予報で見る話でしたが、秋は「自分がどこを通っているか」の話になります。

正直なところ、この一節を読むまでは秋も春と同じく予報を見る話だと思っていました。調べ直して、対策の向きを変えた部分です。

思い当たる場所を挙げてみてください。

  • 通勤・通学で毎日渡る河川敷の道
  • 子どもの部活動やクラブのグラウンド
  • 草が伸びたままの空き地に面したベランダ
  • 犬の散歩コースになっている土手
  • 秋の草刈りやガーデニングをした翌日

「家にいるときは平気なのに、外から帰ると1時間くらいひどい」という出方をするなら、この線が濃くなります。逆に朝起きた瞬間から症状が強く、外に出ると楽になるなら、ハウスダストやダニのほうを先に疑ったほうがいい。同じくしゃみでも、原因の見当がまるで違います。

時間帯にも偏りがあります。多いのは昼前後と夕方とされています。その時間に土手沿いを歩いていないか、通勤経路をいちど思い返してみる価値はあります。

3日分のメモが、診察の質を変える

受診前にそろえておくものがあります。特別な準備はいりません。

日付、時間帯、そのとき自分がどこにいたか、症状の強さ。この4つを3日分だけ書いておく。強さは「1〜5」の数字で十分です。

たとえばこんな形です。

日付時間場所症状
8/16朝7時自宅2
8/16夕方18時河川敷を通って帰宅5
8/17終日自宅(外出なし)1

これだけで、医師は「屋外の草本花粉が怪しい」という当たりをつけられます。何も持たずに「ずっと鼻水が出ます」とだけ伝える場合と比べて、話が進む速さが違います。

体温の記録も一緒に持っていってください。熱が出ていないという事実そのものが、診断の材料になります。

飲んだ市販薬の名前も控えておきます。パッケージを写真に撮っておけば十分です。同じ成分を重ねて処方されるのを防げます。

市販薬で様子を見てよいのは2週間まで

市販薬を使うこと自体は否定されていません。ただし症状が重い場合は耳鼻咽喉科か眼科へ、というのが環境省の立場です。

選ぶなら、抗ヒスタミン成分が入った鼻炎薬。医療機関で処方される経口薬も、多くは第2世代の抗ヒスタミン薬です。総合感冒薬ではなく、鼻炎用のものを選んでください。花粉症に熱を下げる成分は必要ありません。

期限を決めておくのが大事です。2週間飲んで症状が変わらない、あるいは飲んでいる間だけ抑えられて切れると戻る。そのどちらかなら、市販薬で粘る意味は薄くなります。

鼻づまりが強くて夜眠れない場合は、2週間を待たずに受診してください。鼻づまりには抗ロイコトリエン薬や、鼻に噴霧する局所ステロイド薬が使われます。どちらも市販では手に入らないか、手に入っても選び方が難しい種類です。

来年のためにも、症状が始まった日付だけは残しておいてください。厚生労働省は、毎年症状が出る人は本格的な飛散開始の1週間前までに薬を準備して使い始めるよう案内しています。飛散開始前や症状がごく軽いうちから薬を使う初期療法は、症状の出はじめを遅らせたり軽くしたりする方法として広く使われています。今年8月20日頃から始まったのなら、来年は8月上旬に受診すればいい。この記録が翌年そのまま効きます。

どの科に行くか、電話で何と言うか

まず挙がるのは耳鼻咽喉科と眼科です。ただし内科・小児科・アレルギー科でも診てもらえます。

鼻とくしゃみが中心なら耳鼻咽喉科。目のかゆみと充血が中心なら眼科。両方つらいなら、まず耳鼻咽喉科に行って目薬も一緒に相談するほうが手間が少なくて済みます。

予約や受付の電話では、次の内容をそのまま伝えてください。

「10日ほど前から鼻水とくしゃみが続いています。熱は出ていません。目もかゆいです。秋の花粉症かどうか診てもらいたいのですが、アレルギーの血液検査もできますか」

血液検査ができるかを先に聞くのは、施設によって外部委託の有無や結果が出るまでの日数が違うからです。あわせて「3割負担でいくらになりますか」も聞いておく。調べる項目の数で金額が変わるので、検査前でないと確かめようがありません。

持っていくのは健康保険証またはマイナ保険証、3日分のメモ、飲んだ市販薬の写真。子どもなら母子健康手帳とお薬手帳も足します。

秋の草花粉には、根本から治す薬がまだない

期待を先に調整しておきます。

完治の可能性があるのはアレルゲン免疫療法だけです。近年は舌下免疫療法が実用化され、良い成績をあげているとされています。舌下免疫療法薬は平成26年秋に販売が始まり、保険適用での治療ができるようになりました。

ただし、この治療薬があるのはスギ花粉と、屋内のダニです。ブタクサやヨモギ、カナムグラ向けの舌下免疫療法薬は承認されていません。「根本から治せる方法があるらしい」と聞いて受診しても、秋の草花粉が原因だった場合には選択肢に入らない。

だから秋は、症状を抑える薬と、花粉を浴びる量を減らす工夫の組み合わせが現実的な答えになります。薬だけで症状を完全に抑えるのは難しい。花粉のばく露から身を守るセルフケアと、薬を用いるメディカルケアを同時に進める必要がある。マニュアルにもそう書かれています。

物足りなく聞こえるかもしれませんが、原因が足元の草だと分かっていることには利点もあります。避けられる場所がはっきりしているからです。

浴びる量を減らす、数字がはっきりしている方法

ここは感覚論ではなく、効果を測った数字が残っている領域です。そこだけ拾います。

マスクは、通常のものでも花粉をおよそ70%減らします。花粉症用のマスクならおよそ84%。大事なのは顔にフィットすること。横に隙間ができると、そこから入ります。

メガネも効きます。使わない場合と比べて、通常のメガネで目に入る花粉がおよそ40%、防御カバーのついた花粉症用ならおよそ65%減ります。

換気の数字はやや衝撃的です。花粉の最盛期に行った実験では、3LDKのマンション一戸で1時間の換気をしたところ、およそ1000万個の花粉が屋内に流入しました。窓を開ける幅を10cm程度にしてレースのカーテンを引くと、流入量はおよそ4分の1に減ります。

洗濯物と布団は外に干さない。流入した花粉は床やカーテンに残るので、掃除を続け、カーテンも定期的に洗います。

症状が強くて市販のマスクでは足りないときは、インナーマスクという方法があります。ガーゼを縦横10cmほどに切って2枚用意し、化粧用のコットンを丸めて1枚のガーゼでくるむ。もう1枚は4つ折りにして不織布マスクの内側にあてる。鼻の下にコットンを置いてからマスクを装着します。息が苦しければコットンの厚さを半分にしてください。マスクもインナーマスクも毎日交換します。

スイカで口がかゆくなる人がいる

花粉症では、特定の果物や野菜を食べたときに口の中が腫れたりかゆくなったりすることがあります。口腔アレルギーと呼ばれる症状です。

組み合わせもある程度知られています。シラカンバ花粉症の人はリンゴやモモで口の中がかゆくなる例が多く、スギ花粉症ではトマト。そしてブタクサ花粉症では、スイカで同じ症状を起こす人がいます。

夏にスイカを食べて口の中がイガイガした記憶があるなら、それは秋の症状と地続きかもしれません。受診時に伝えてください。原因の花粉を絞り込む手がかりになります。

ただし、症状が口やのどのかゆみで収まらないときは話が別です。のどが締めつけられる、息苦しい、じんましんが広がる、意識がぼんやりする。こうした症状が出たときは自己判断せず、救急の受診を検討してください。

薬をもらう前に、伝えておくこと

処方が決まる前に、自分から言っておきたいことが3つあります。

花粉症の薬には、服用中に眠気や集中力・判断力の低下が起きるものがあります。車を運転する機会が多い人や受験生は、そのことを先に伝えて薬を選んでもらうほうがいい。9月に模試や入試が控えているなら、その日程まで話しておいてください。

妊娠中・授乳中の人は、服薬について必ず相談を。市販薬を自己判断で続けるのは避けたほうがいい時期です。

目薬にも注意する点があります。結膜炎の治療にはステロイド点眼薬が使われることがありますが、眼圧上昇などの副作用があり、放置すると緑内障にいたる危険もあります。使用中は定期的な眼科受診が必要になるので、「これは何日分ですか。次はいつ来ればいいですか」を受け取るときに確認しておいてください。

確認に使った資料

  • 環境省「花粉症環境保健マニュアル 2022」— 飛散時期、風邪との見分け、マスク・メガネ・換気の効果、口腔アレルギーの組み合わせ、治療薬の種類
  • 厚生労働省「花粉症に悩む国民の皆さんへ」— 飛散開始1週間前までに薬を準備する案内
  • 環境省 保健・化学物質対策「花粉症環境保健マニュアル」ページ

地域ごとの飛散状況は、都道府県が公開している花粉情報で確認してください。

※注意

※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。

8月下旬から鼻水とくしゃみが止まらない。夏風邪と秋の花粉症を見分けて受診先を決める — 健康 関連イラスト (どうする?)
Photo by Clark Douglas on Unsplash
#秋の花粉症 #アレルギー性鼻炎 #夏風邪 #耳鼻咽喉科

参考資料

  1. 環境省「花粉症環境保健マニュアル 2022」
  2. 厚生労働省「花粉症に悩む国民の皆さんへ」
  3. 環境省 保健・化学物質対策「花粉症環境保健マニュアル」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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