子どもから手足口病がうつった大人。何科を受診し、家でどう過ごす?
高熱と口内炎の痛みが強ければ内科、皮膚症状中心なら皮膚科に相談してください。市販の解熱鎮痛剤と経口補水液で症状を和らげつつ、便と手指の衛生を徹底することが、家庭内のもう1人にうつさないための最優先策になります。
目次(7項目)
保育園や幼稚園で広がっている手足口病が、看病をしている大人にうつってしまうことがあります。子どもの病気と思われがちですが、大人がかかると発熱や口内炎の痛みが強く出やすく、数日寝込む人も少なくありません。まず確認したいのは熱の高さと口の中の様子です。水も飲めないほど口の中が痛い、または39度近い熱が続いているなら、内科か皮膚科に相談する段階に来ています。子どもがすでに診断を受けているなら、その情報を医師に伝えると診察がスムーズに進みます。本記事では、受診先の選び方、家でできるケア、便を介した家庭内感染を広げないための対応、仕事復帰の見通しを順に整理します。
大人がかかると重く出やすい背景
手足口病の原因はコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71などが代表的です。乳幼児を中心に感染する病気ですが、ウイルスに対する免疫が落ちている大人や、過去に感染したことがないタイプにあたったとき、大人でも発症します。
大人の症状で目立つのは、発熱の高さと全身倦怠感、関節痛、それに口内炎の数と痛みです。子どもの場合は発疹が中心で発熱は1〜2日のことが多いのに対し、大人では38〜39度の熱が3〜5日続く、関節がきしむような痛みが出る、口内炎で水を飲むのも辛いという訴えがよく聞かれます。
足裏や手のひらの皮疹も、子どもより強く出ることがあります。歩くと足裏が痛い、靴下が当たるだけで痛いと感じる人もいて、これだけで仕事を休む理由になります。発症から1〜2ヶ月後に手足の爪が剥がれる爪甲脱落症が起きるケースもあります。新しい爪が生えてくるため経過観察ですむことが多いとされますが、変形や強い痛みがあれば皮膚科で確認すると安心です。
なぜ大人で重く出るかは完全には分かっていません。免疫反応がより強く起こる、初感染で抗体がない、ストレスや疲労が重なっているなど、複数の要素が指摘されています。
発症から治癒までの1〜2週間の流れ
初日から3日目あたりまでは前駆症状の時期です。発熱が出る1〜2日前に、なんとなくだるい、喉が痛い、寒気がするといった感覚が現れることがあります。手足口病と気づかず風邪と勘違いして家事や仕事を続けてしまい、家族にうつしてしまう人もいます。
3〜5日目に発熱と発疹が一気に強くなります。口内炎は数十個に及ぶこともあり、食事や歯磨きが辛くなる時期です。足裏や手のひらに水ぶくれができ、靴下の摩擦すら痛みに感じることがあります。仕事を休める環境なら、この時期は寝室で安静にし、家族との接触を最小限にすることが現実的です。
7日目を過ぎる頃には、発熱と痛みが徐々に落ち着いてきます。皮膚の水ぶくれはかさぶたを残しながら剥がれ、口内炎も治っていきます。ただし、便からのウイルス排出はこの時点でも続いているため、衛生面では引き続き手洗いを続ける必要があります。
2週間程度で皮膚の症状はほぼ消えますが、爪が剥がれる症状は発症から1〜2ヶ月後に出るため、その時点で別の問題と感じてしまう人もいます。事前にありうる経過として知っておくと、不安を抑えやすくなります。
受診の科は内科か皮膚科のどちらがよいか
発熱があって全身がだるい状態が中心なら、まずは一般内科で診てもらうのが分かりやすい方法です。手足や口の発疹は問診と視診で診断できることが多く、特殊な検査は通常行いません。子どもがすでに保育園や小児科で手足口病と診断されているなら、それを医師に伝えると話が早く進みます。
皮膚症状が中心で発熱が軽いときは、皮膚科でも対応してもらえます。帯状疱疹、水疱瘡、口唇ヘルペスとの鑑別が必要なケースもあるため、皮膚を見慣れた医師に判断してもらうと安心です。
注意したいのは、まれに合併症として髄膜炎や脳炎が起きる場合があることです。高熱に加えて激しい頭痛、繰り返す嘔吐、首が動かしにくい、意識がぼんやりする、けいれんといった症状が出たら、平日の日中であっても救急外来や夜間救急に連絡してください。エンテロウイルス71では神経合併症の報告がやや多いとされています。
子どもが先にかかって診断済みで、大人の症状が軽い段階であれば、家庭で2〜3日様子を見る判断もあります。ただし水も飲めないほど口の痛みが強い、39度以上が続く、足が痛くて歩けないなど、生活に支障が出ているなら受診を優先してください。
自宅でできるケアと、避けたい行動
特効薬はなく、症状を和らげながら自然回復を待つのが基本になります。発熱と関節痛にはアセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどの市販解熱鎮痛剤が一般的に使われます。子どもに処方された薬を流用するのは避けてください。
口の痛みでは、冷たくて刺激の少ないものが食べやすくなります。具体的には、冷ました粥、ゼリー、プリン、ヨーグルト、豆腐、バナナといったものです。逆に避けたいのは、熱い汁物、酸っぱい果物、炭酸、香辛料、アルコール、塩辛いスナックです。これらは口内炎を強く刺激します。
水分はこまめに少量ずつ取ります。経口補水液(OS-1、アクアソリタなど)は脱水予防に向きますが、味が苦手で受け付けない場合は、薄めたスポーツドリンクや麦茶でも構いません。1日に何を何回くらい飲めたかを記録しておくと、受診時に状態を伝えやすくなります。
入浴は無理せず、シャワーで済ませても問題ありません。皮疹のかゆみが出ても掻きむしらないようにし、爪は短くしておきます。手のひらや足裏の水ぶくれは、自分で破かないでください。
家庭内感染を広げないために
手足口病のウイルスは、便、唾液、水ぶくれの中身に含まれます。子どもの場合、発症から1週間が飛沫や唾液による感染力のピークですが、便からは1〜4週間ウイルスが排出されます。「治ったように見えても、しばらく便には残っている」と頭に入れておくと判断がぶれません。
家庭内で特に気をつけたいのは、おむつ替えやトイレ後の手洗いです。流水と石けんで20〜30秒、指の間や爪の周りまで丁寧に洗うほうが、消毒用アルコールを軽くこするより効果的とされます。アルコールはこのウイルスにあまり効きにくい点が知られています。家族にもう1人乳幼児や妊婦、高齢者がいる場合は特に注意してください。
タオル、コップ、歯ブラシ、食器は分けるか、よく洗ってから使うのが安心です。お風呂のお湯から直接うつるという報告は確立していませんが、入浴順は感染している人を最後にし、入浴後はシャワーで湯船を流しておくと安心です。寝具のシーツやタオルは熱めの湯と洗剤で洗濯すれば問題ありません。
職場や家族と接触するときは、症状が一番強い間はマスクの着用を意識します。咳やくしゃみで唾液が飛ぶことを抑えるためで、ウイルスを完全に防ぐ目的ではなく「相手に飛ばさない」配慮として理解してください。
仕事や保育園との調整で迷ったとき
手足口病は学校保健安全法の第一種・第二種感染症には含まれず、「その他の感染症」として扱われます。法律で出席停止期間が明確に定められた病気ではないため、登園・登校の判断は園や学校、自治体ごとに異なります。多くの園では「発熱がなく、食事ができ、本人の体調が回復していれば登園可能」とされていますが、皮疹がはっきり残っている間は休ませるところもあります。子どもが感染した場合は、診断時に医師と園に確認してください。
大人の仕事復帰も法律上の出席停止はありませんが、職種によって配慮が必要です。接客業、医療・介護職、保育・教育職、調理業に関わる人は、便からのウイルス排出が長引くため、職場と相談のうえ復帰時期を決めるのが現実的です。発熱と口内炎が落ち着き、本人の体調が戻ったあとも、手洗いをそれまで以上に徹底する期間を1ヶ月程度持つと安心です。
職場への連絡では、診断名と発熱の有無、いつから出勤可能と思われるかを伝えると話が進みやすくなります。診断書を求められたときは、受診時に医師に依頼すれば発行してもらえます。費用は医療機関により2,000〜5,000円程度のことが多いです。
子どもの保育園や小学校から「兄弟や同居家族の症状を教えてください」と聞かれるときがあります。隠さず伝えることで、園側も他の園児への対応を判断しやすくなります。
受診を急ぐべきサイン
通常の経過とは別に、すぐ医療につなぐべき症状があります。
- 39度以上の発熱が4日以上続く
- 繰り返す嘔吐、激しい頭痛、首の硬さ
- 意識がぼんやりする、けいれんが起きた
- 水もまったく飲めず、半日尿が出ていない
- 足の発疹が広範囲に化膿してきた
いずれかに当てはまる場合は、夜間でも救急外来に連絡して相談してください。電話相談窓口 #7119 や、子どもなら #8000 を最初に使う方法もあります。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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