2026年の路線価が5年連続で上昇。うちの相続税はどうなる?まず見る順番
上昇は全国平均で2.9%、5年連続。ただし相続税は基礎控除と小規模宅地等の特例まで見て初めて実額が出ます。まず国税庁サイトで自宅の路線価を開き、去年との差と基礎控除ラインをこの順で確認するのが近道です。
目次(7項目)
「うちにも相続税がかかるのだろうか」——2026年7月1日に国税庁が新しい路線価を公開してから、こう気にかかった方は多いはずです。全国平均で2.9%の上昇、5年連続の上げ幅で、算出方式が今の形になった2010年以降で最大の伸びと発表されました。とはいえ、これは全国平均の話です。まずやるべきは、自宅や実家の路線価を実際に開いて、そのうえで基礎控除に届くかを見るところまで。以下、確認の順番と、税額に反映されやすい特例を先に押さえます。
まず「うちの土地」を路線価で見る手順
国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のサイトで、都道府県 → 市区町村 → 町名の順に入っていくと、住宅地図に金額が書き込まれたPDFが出てきます。単位は千円で、道路上に振られた「300」は1平方メートルあたり30万円という意味です。土地の面積を掛ければ、おおよその評価額が算出できます。
私道や角地の補正は素人には難しいので、精密な計算は税理士や税務署の相談窓口に任せていいものの、家に届いた固定資産税課税明細と組み合わせるだけでも、桁のずれには気づけます。自分で桁を掴む、細部は専門家に任せる、という分担でだいたい足ります。
路線価が振られていない地域もあります。市街化調整区域や郊外の農地・山林などは倍率方式で、同じサイトの評価倍率表と固定資産税評価額を掛けあわせて計算します。まず「路線価地域か倍率地域か」を最初にチェックすると迷いません。
5年連続の上昇が意味すること
今回の上げは、インバウンドの回復、都市部の再開発、住宅取引の底堅さがそのまま数字に出た結果です。上昇したのは36都道府県、下落したのは8道県で、地方と都市の分かれ方が鮮明になっています。銀座の最高地点は1平方メートルあたり5,336万円で、こちらも6年連続の最高値更新でした。
このニュースを見て、地方や郊外に土地を持つ方が「うちも大きく動いたはずだ」と身構える必要はありません。同じ「上昇」でも、都心と、通勤圏の郊外と、地方では見えている景色が違います。実家の路線価をまず開いてみて、去年と何%動いたかを見るのが、ニュースの温度差を測る近道です。
上がったとしても、すぐ相続税がかかるとは限らない
相続税には基礎控除があり、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」を超えなければ、そもそも申告も納税も要りません。配偶者と子ども2人なら4,800万円、子ども2人だけなら4,200万円が基礎控除の目安です。土地の評価額に、預金・株式・生命保険(非課税枠を差し引いた額)を足したうえで、この枠に届くかがまず入口になります。
自宅の土地には「小規模宅地等の特例」も使えます。配偶者が住み続ける、あるいは同居の子が引き継ぐ場合、居住用の土地は330平方メートルまでの部分が2割の評価まで下がります。路線価が上がっても、この特例が効く家なら、実際の課税評価は思ったより穏やかに収まる例がしばしばです。
具体的な数字で見てみます。都内近郊で路線価30万円/㎡の宅地120㎡なら、土地の評価は3,600万円。夫婦と子ども2人の家庭なら基礎控除は4,800万円なので、この土地だけでは超えません。ただし預金1,500万円と生命保険金1,000万円(法定相続人3人分の非課税枠1,500万円を差し引いて0円扱い)を足すと5,100万円になり、基礎控除を超えます。ここで小規模宅地等の特例が効けば、土地評価は3,600万円から720万円へ下がり、合計は2,220万円まで戻って申告不要の水準に落ち着きます。特例が効くかどうかで、同じ家でも景色がここまで変わります。
二次相続の目線でざっくり計算する
「まず父の相続、そのあと母の相続」という二段階を見据えると、印象は少し変わります。一次相続では配偶者の税額軽減が強く、法定相続分または1億6千万円まで配偶者に相続税がかからないため、多くの家庭で税額はぐっと下がります。一方、二次相続では配偶者がいなくなり、基礎控除も相続人が1人減るぶん600万円下がるので、同じ財産でも税負担は重くなります。
一次で全部を配偶者に寄せてしまうと、二次でその分が丸ごと課税対象に返ってきます。金額の大きい土地は、一次相続の段階で子が一部を引き継ぐほうが、二次のときに助かる場面が多いのです。路線価が上がった年こそ、この段取りを一度見直しておく価値があります。
配分の割合は法定相続分にこだわらず、家族で話し合って決められます。一次のときに二次まで見据えて配分すると、家全体で払う税金の合計は下がりやすくなります。ここが「早めに動くほど選択肢が残る」場面の代表です。
都心・通勤圏・地方で分けて考える
都心では上げ幅も絶対額も大きく、更新のたびに評価額が跳ねます。銀座5,336万円のような話題の地点だけでなく、山手線内側の住宅地では路線価100〜200万円台の街区が普通に並びます。20㎡動くだけで評価が数千万円変わることもあるため、細切れの土地でも数字は軽視できません。特例のかからない収益物件や遊休地を持つ方は、資産全体の再点検を早めに始めておきたい時期です。
通勤圏の郊外では、駅からの距離で温度差が大きくなっています。駅近の分譲地は上昇、バス便のエリアは横ばい、というふうに、同じ市内でも動きが違うので、隣家と同じ幅で動いたと思い込まないほうが安全です。市区町村の平均値だけで判断すると、実感とずれることも起きます。
地方の下落エリアでは、路線価そのものが下がっていても、固定資産税の負担や空き家管理の悩みが逆に重くなっているお宅もあります。売る・貸す・畳むの判断は、税の話とは別軸として家族で早めに整理を。
今できる備えは「評価と分割の下地作り」
相続の話を親と切り出しにくい家では、いきなり金額の相談ではなく、路線価と登記簿の写しを取り寄せる作業から入ると自然に始まります。
- 路線価図で自宅・実家・その他所有地の評価目安をメモしておく
- 固定資産税の課税明細を年に一度スキャンして保存する
- 名義や共有持分、住宅ローンの残高を書き出す
- 生前贈与を検討するなら、110万円ルールと7年の持ち戻しをあわせて確認する
年110万円までの贈与は使い勝手のよい枠ですが、2024年以降は相続開始前7年分が相続財産に加算される扱いへ変わりました。長い目で計画するなら、始めるのが早いほど、後で持ち戻される割合を抑えやすい構造になっています。
いざ相続が起きてから書類を探すのに数か月かかるお宅は珍しくありません。年に一度、路線価が発表される7月を口実に、家族で紙を1枚整えるだけでも、いざのときの負担はまるで違います。家計簿の見直しや源泉徴収票の整理と一緒に、この時期を「土地の年次点検」に決めておくと忘れずに手が動きます。
相続が起きたあとの申告期限は10か月と、思ったより短めです。土地の評価と分割の話し合いは、四十九日を過ぎたあたりから徐々に動き始めるので、前もって「路線価と登記の紙が手元にある」だけでも、この10か月の焦りは減らせます。
参考資料
- 国税庁「令和8年分の路線価等について」— 全国の路線価図・評価倍率表と公開情報
- 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」— 全国の路線価図・倍率表を検索できる公式サイト
- 国税庁「相続税のあらまし」— 基礎控除・税額計算・小規模宅地等の特例のしくみ
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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