賃上げ促進税制、2026年も中小企業は対象?
賃上げ促進税制は2027年3月までの期限延長で2026年中も適用可能。中小企業で給与1.5%増→15%控除、2.5%増→30%控除、教育訓練等で最大45%。決算時申告で還付。
目次(22項目)
結論から先に
賃上げ促進税制は、2024年度税制改正により2027年3月までの期限延長となっており、2026年中も適用可能な制度です。中小企業(資本金1億円以下または従業員1,000人以下)が対象で、前年度比で給与総額が1.5%以上増加すれば最低15%の税額控除、2.5%以上の増加で30%、教育訓練費10%以上増加・くるみん認定・えるぼし認定などの追加要件達成で最大45%の控除率が適用されます。控除上限は法人税額の20%まで。2024年度改正で5年間の繰越控除制度が追加されたため、赤字決算で当期控除できない場合も将来の利益から控除できる仕組みです。給与増加と従業員のスキルアップを促進する制度として、中小企業の積極活用が期待されます。
どんな場合に当てはまるか
賃上げ促進税制の適用シナリオを整理します。
中小企業の対象要件
- 資本金1億円以下または従業員数1,000人以下
- 青色申告書を提出
- 前年度比で雇用者給与等支給額が1.5%以上増加
- 適用事業年度において雇用関係が継続
控除率の段階
- 給与増1.5%以上:15%控除
- 給与増2.5%以上:30%控除
- 教育訓練費10%以上増:+10%加算
- くるみん認定・プラチナくるみん:+5%加算
- えるぼし認定(3段階以上):+5%加算
- 最大合計:45%
給与等支給額の計算
- 役員報酬は対象外
- 雇用者全員の給与・賞与・各種手当の合計
- 前年度同期間との比較
- 比較雇用者給与等支給額の確認
教育訓練費の範囲
- 外部研修・セミナー受講料
- 社内研修の講師謝礼
- 資格取得支援費(受験料・参考書)
- eラーニング契約料
- 外部講師招聘費用
- 出張研修費用
認定要件の取得方法
- くるみん認定:両立支援、行動計画策定→届出→評価
- えるぼし認定:女性活躍推進、5要件のうち3段階以上
- プラチナくるみん:くるみん認定後、より高水準達成
- 認定書は厚生労働省都道府県労働局が発行
例外状況
控除対象になりにくいケース
- 大企業(資本金1億円超かつ従業員1,000人超):別の制度適用
- 赤字決算で法人税額ゼロ:当期は控除できないが繰越可能
- 給与増が1.5%未満:制度の対象外
- 役員報酬のみ増加:対象外
- 個人事業主で従業員なし:対象外
控除繰越のケース
- 当期控除上限(法人税額20%)を超えた分
- 当期赤字で法人税額ゼロ
- 5年間の繰越が可能
- 翌期以降の黒字決算時に活用
制度活用が特に有効なケース
- 黒字決算で雇用が安定
- 既に給与を増額予定
- 従業員研修を強化したい
- 認定制度(くるみん・えるぼし)取得済み
費用・リスク・注意点
控除額の計算例
【中小製造業A社】
- 前年度給与総額:5,000万円
- 当年度給与総額:5,200万円(4%増、200万円増)
- 控除率:30%(2.5%以上の増加)
- 教育訓練費10%増あり:+10%
- 控除額:200万円×40% = 80万円
- 法人税額200万円なら、20%の40万円が控除上限
申請に必要な書類
- 法人税申告書(別表「賃上げ促進税制関連別表」)
- 給与計算データ
- 教育訓練費の領収書・証憑
- 認定証コピー(くるみん・えるぼし等)
- 比較雇用者給与等支給額計算書
税理士費用の目安
- 通常の決算申告:年20〜50万円
- 賃上げ促進税制計算追加:+1〜3万円
- 認定取得支援:5〜20万円
- 顧問契約:月3〜10万円
控除と他制度の併用
- 設備投資減税
- 研究開発税制
- 中小企業投資促進税制
- 雇用促進税制
- 重複適用は要件確認
給与増の財源確保方法
- 売上拡大による利益増
- コスト削減
- 設備投資による生産性向上
- 助成金・補助金の活用
- 価格転嫁の実現
助成金との組み合わせ
- キャリアアップ助成金:1人最大72万円
- 業務改善助成金:賃上げ+設備投資で最大600万円
- 人材開発支援助成金:研修費用助成
- 両立支援等助成金:男女両立推進
認定取得の負担
- くるみん:行動計画策定・社内整備・申請まで6か月〜1年
- えるぼし:女性管理職比率等の数値要件達成
- 認定後も継続的な取り組み必要
- 認定ロゴ使用で企業イメージ向上
リスクと対策
- 給与増が逆戻りすると翌年度の控除減
- 教育訓練費の証憑漏れで控除減
- 計算ミスでの過大申告リスク
- 税務調査時の説明準備
よくある質問
Q. 給与を増やすか、ボーナスを増やすか、どちらが有利ですか?
雇用者給与等支給額には基本給・各種手当・賞与(ボーナス)すべて含まれるため、増額方法は問いません。継続性を考えると基本給増額が一般的ですが、業績連動のボーナス増額も対象。給与の構造変更(手当の名称変更等)で見かけ上の増額にすると、税務調査で否認される可能性があるため、実質的な増額が前提です。
Q. 役員報酬を増やしても控除対象になりますか?
役員報酬は対象外です。控除対象となる「雇用者給与等支給額」は、役員・特殊関係使用人を除く一般の従業員に対する給与等を指します。役員報酬を増やすと、法人税は減るものの、賃上げ促進税制の控除対象とはなりません。
Q. 申告期限を過ぎてから気づいた場合、後から申請できますか?
確定申告期限を過ぎても、5年以内であれば「更正の請求」で過去の申告を修正し、控除を受けることができます。手続きは税理士に依頼するか、税務署で相談。気づいた時点ですぐに対応してください。
Q. 賃上げを毎年続けると、毎年控除を受けられますか?
はい、毎年の決算で前年度比1.5%以上の給与増があれば、毎年控除を受けられます。複利的な賃上げ(前年比2.5%増を継続)なら、控除も継続的に得られます。中長期の給与増加計画を立てる際の財務メリットになります。
Q. パート・アルバイトの給与増も対象ですか?
雇用者給与等支給額にはパート・アルバイトも含まれるため、対象になります。最低賃金引き上げ等によるパート時給の増加も、給与総額の増加として計算されます。多数のパート従業員がいる中小企業(飲食業・小売業など)にとって有利な制度です。
参考資料
- 経済産業省「賃上げ促進税制」— 制度の詳細
- 国税庁「中小企業向け賃上げ促進税制」— 申告手続き
- 中小企業庁 — 中小企業向け各種支援
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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