認定NPO法人や、一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人などに寄付をした人は、翌年の確定申告で、所得から差し引く寄附金控除か、所得税額から直接差し引く税額控除のどちらかを選んで申告できます。税額控除の額は、その年の寄付額から2千円を引いた額の40%です。ただし控除できるのは所得税額の25%までで、寄付額も総所得金額等の40%までしか数えません(国税庁タックスアンサーNo.1263・1266)。
対象になるのは、認定の有効期間内に払った寄付で、寄付をした本人の名義のものです。NPO法人への寄付で住民税まで安くなるのは、住んでいる県や市区町村が条例で指定した法人への寄付に限られます。
この記事では、どの法人への寄付が対象か、二つの控除の計算、確定申告で添付する書類、住民税の扱い、ふるさと納税のワンストップ特例との関係を、国税庁と自治体の案内で確かめます。
寄付先で変わる。三つの区分
国税庁の案内を読むと、寄付先は次の三つに分かれます。
- 認定NPO法人等。 所轄庁(都道府県知事または指定都市の長)の認定を受けた認定NPO法人と、特例認定を受けた特例認定NPO法人です(No.1263)。特定非営利活動に関する事業への寄付なら、寄附金控除と税額控除のどちらかを選べます。
- 公益社団法人等のうち、一定の要件を満たす法人。 公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人のうち、運営組織や事業活動が適正で、市民から支援を受けていることについて一定の要件を満たす法人です(No.1266)。国立大学法人などへの寄付も、学生の修学支援などに充てられることが確実なものは対象です。この区分も、寄附金控除と税額控除を選べます。
- それ以外の特定寄附金。 国や地方公共団体、上の要件を満たさない公益社団・財団法人、社会福祉法人などへの寄付は、寄附金控除(所得控除)だけです(No.1150)。ふるさと納税は地方公共団体への寄付なので、この区分の寄附金控除で扱われます。
同じ公益財団法人への寄付でも、その法人が2の要件を満たしているかどうかで、税額控除を選べるかが変わります。No.1266は、公益社団法人等寄附金特別控除の対象になる法人を確かめられる場所として、「公益法人information」(公益社団・財団法人)、厚生労働省(社会福祉法人)、法務省(更生保護法人)、文部科学省(国立大学法人)のサイトを挙げています。認定NPO法人等の一覧は、内閣府NPOホームページで確かめられます(No.1150、No.1263)。
対象にならない寄付
No.1150は、学校の入学に関してする寄付や、寄付をした人に特別の利益が及ぶと認められる寄付は特定寄附金に当たらないとしています。No.1263も、認定NPO法人等への寄付のうち、寄付をした人に特別の利益が及ぶと認められるものを除いています。
No.1150のQ&Aには、菩提寺の改築のための寄付の例があります。寄付先の寺が公益法人で、その寄付が財務大臣から特定寄附金として指定を受けたものなら寄附金控除の対象で、それ以外は対象にならないという回答です。
また、認定NPO法人等への寄付は、認定の有効期間内に払ったものだけが対象です(No.1150の注2、No.1263)。年の途中で認定が切れる法人もあるので、寄付をした日に認定が有効だったかを確かめておきます。
二つの控除の計算
寄附金控除(所得控除)
No.1150の計算式は次のとおりです。
(その年に払った特定寄附金の合計額と、総所得金額等の40%のいずれか低い額)− 2,000円 = 寄附金控除額
この額を所得から差し引くので、所得税が減る額は、控除額にその人の所得税率を掛けた額になります。
税額控除
認定NPO法人等への寄付の税額控除は、No.1263の計算式で求めます。
(その年に払った認定NPO法人等への寄付額の合計 − 2,000円)× 40% = 認定NPO法人等寄附金特別控除額(100円未満切り捨て)
公益社団法人等への寄付の税額控除(No.1266)も同じ形の式です。どちらにも上限が二つあります。
- 式に入れる寄付額は、総所得金額等の40%まで
- 控除額は、その年の所得税額の25%まで
ほかに寄附金控除を受ける寄付(ふるさと納税など)がある場合は、40%の枠と2千円の扱いを調整する決まりがあります。No.1263の注によると、2千円はほかの特定寄附金等の額を差し引いた残りになります。また、認定NPO法人等への寄付額とほかの特定寄附金等の額の合計が総所得金額等の40%を超えるときは、40%からほかの特定寄附金等の額を差し引いた残りが、式に入れる寄付額の上限になります。
神奈川県の計算例
神奈川県は、年収300万円の人が認定NPO法人に1万円を寄付した例を示しています。
- 税額控除を選んだ場合:所得税(10,000円 − 2,000円)× 40% = 3,200円
- 所得控除を選んだ場合:所得税(10,000円 − 2,000円)× 5% = 400円(この例の所得税率は5%)
この例では、税額控除の方が所得税の減り方が大きくなります。No.1263とNo.1266は、寄附金控除と税額控除のうち有利な方を選べるとしています。所得税額が少ない人は25%の上限にかかることがあるので、両方で計算して比べます。国税庁の確定申告書等作成コーナーは、入力すると明細書も作られる仕組みです。
確定申告で出すもの
寄附金控除も税額控除も、確定申告書に書いて受けます。所轄の税務署に出します(No.1150・1263・1266)。
寄附金控除(所得控除)の場合は、寄付した団体から受け取った寄附金の受領証(領収書)を添付するか、申告書を出すときに提示します(No.1150)。
認定NPO法人等の税額控除の場合は、次の二つを添付します(No.1263)。
- 「認定NPO法人等寄附金特別控除額の計算明細書」
- 寄付額、受け取った旨と受領年月日、特定非営利活動に関する事業に関連する寄付である旨、法人名が書かれた書類(寄付した人の住所と氏名が書かれたもの)
公益社団法人等の税額控除の場合は、「公益社団法人等寄附金特別控除額の計算明細書」と、法人名・寄付額・受領年月日などが書かれた受領書に加えて、法人がこの制度の対象であることを所轄庁等が証明した書類の写しを法人から受け取って添付します(No.1266)。公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人の場合、その証明書は寄付をする日以前5年以内に発行されたものに限られます。受領書と一緒に送られてこなければ、寄付先に頼みます。
寄付をした本人だけが申告できる
No.1150のQ&Aは、専業主婦の妻が妻名義で寄付し、妻名義の領収書を受け取った例を取り上げています。回答は、寄附金控除は寄付をした本人が受けるもので、本人以外が払った寄付金には使えない、というものです。家族で寄付するなら、誰の名前で払うかを先に決めておきます。
年末の寄付はその年の分
No.1263とNo.1266は、寄付を「支払った年分」の控除としています。12月中に払った寄付は、その年の分として翌年の確定申告に入れます。
住民税の控除は条例で指定された法人だけ
NPO法人への寄付が住民税の控除になるのは、都道府県や市区町村が条例で指定した法人への寄付に限られます。神奈川県の案内は、個人住民税の寄附金税額控除が使える寄付を「都道府県又は市区町村が条例で指定した認定・特例認定NPO法人」への寄付としています。
控除の割合は、指定した自治体ごとに決まっています。神奈川県の案内では次のとおりです。
- 県が指定:(寄付額 − 2,000円)× 4%(政令市に住む人は2%)
- 市町村が指定:(寄付額 − 2,000円)× 6%(政令市に住む人は8%)
- 両方が指定:合わせて(寄付額 − 2,000円)× 10%
先ほどの1万円の例で県と市町村の両方が指定していれば、住民税は800円減り、所得税の税額控除3,200円と合わせて4,000円になります(神奈川県)。熊本市も、市が指定したNPO法人への寄付について、市民税から8%の税額控除を案内しています。
逆に、認定を受けていないNPO法人でも、県や市町村が条例で個別に指定していれば、住民税の寄附金税額控除の対象になります(神奈川県・鳥取県)。所得税については、国税庁No.1150の特定寄附金の範囲に、認定を受けていないNPO法人への寄付は挙がっていません。神奈川県は、指定NPO法人への寄付については住所地の自治体に申告する必要があり、申告書(確定申告書)に寄附金受領証明書を添付するとしています。
寄付先が自分の住む県や市区町村の指定を受けているかは、それぞれの自治体の一覧で確かめます。
ふるさと納税のワンストップ特例を申請している人
ふるさと納税のワンストップ特例は、もともと確定申告をする必要がない給与所得者等で、寄付先が5団体以内の人が使える仕組みです(総務省)。
長岡市の案内は、ワンストップ特例を申請した人がその年分の確定申告をした場合、ワンストップ特例の申請自体がなかったものとして扱われ、無効になるとしています。そのうえで、確定申告をするときは、寄附金控除の手続き(ふるさと納税の分も)を必ず行うよう求めています。
認定NPO法人などへの寄付を確定申告で申告するなら、その年のふるさと納税の寄付も、受領証明書をそろえて確定申告書に書きます。総務省によると、確定申告をすると所得税と住民税の控除額がそれぞれ決まり、所得税分はその年の所得税から、住民税分は翌年度の住民税から控除されます。
確認の順番
- 寄付先が認定NPO法人等か、税額控除の対象になる公益社団法人等か、それ以外かを確かめる(内閣府NPOホームページ、公益法人informationなど)
- 寄付をした日に認定が有効だったか、寄付の名義が申告する本人かを確かめる
- 受領書がそろっているかを見る。公益社団法人等の税額控除なら、所轄庁等の証明書の写しも受け取る
- 寄附金控除と税額控除の両方で計算し、所得税額の25%の上限も含めて有利な方を選ぶ
- ふるさと納税でワンストップ特例を申請していれば、その寄付も確定申告書に加える
- 住民税の控除があるかは、住んでいる県と市区町村の指定一覧で確かめる
この記事で確認できなかったこと
2026年11月4日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- 認定NPO法人等への寄付で、確定申告のあとに寄附金控除と税額控除を選び直せるか。国税庁の質疑応答事例は、政党等への寄付について、修正申告での選び直しは認められないとしていますが、認定NPO法人等についての同じ事例は見つかりませんでした。
- 年末調整で寄付の控除を受けられるか。今回読んだ国税庁の案内は、どれも確定申告書に書く手続きとして説明しています。
- 確定申告の義務がない人が還付申告で寄付の控除を受ける場合の期限。
- 住民税の控除の上限(総所得金額等に対する割合)と、神奈川県・熊本市・鳥取県以外の自治体の控除の割合。
- 公益社団・財団法人などNPO法人以外への寄付で、住民税の控除がどうなるか。
- クレジットカード払いや口座振替で毎月寄付している場合に、どの日を支払日とするか。
参考資料
- 国税庁 タックスアンサーNo.1263 認定NPO法人等に寄附をしたとき — 選択、40%の計算式、二つの上限、添付書類
- 国税庁 タックスアンサーNo.1266 公益社団法人等に寄附をしたとき — 対象法人の要件、所轄庁等の証明書の写し、確認先のサイト
- 国税庁 タックスアンサーNo.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除) — 特定寄附金の範囲、所得控除の計算式、受領証
- 国税庁 No.1150 Q&A — 寺への寄付、妻名義の寄付
- 国税庁 質疑応答事例 政党等寄附金特別控除と寄附金控除の選択替え — 政党等への寄付で修正申告による選び直しを認めない事例
- 神奈川県 認定・指定法人に寄附をした場合について — 計算例、住民税の4%・6%(政令市2%・8%)、条例指定
- 熊本市 指定NPO法人の概要 — 市が指定したNPO法人への寄付は市民税8%
- 鳥取県 条例個別指定手続き関係 — 認定以外のNPO法人の条例指定、県民税4%
- 長岡市 ふるさと納税ワンストップ特例の申請について(ご案内) — 確定申告をすると特例の申請がなかったものとして扱われる
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト 税金の控除について — ワンストップ特例の対象者、確定申告後の控除の流れ