第3号被保険者「主婦年金」が縮小?2026年の議論と今からの準備
廃止は決まっていませんが、対象縮小の方向で議論が進んでいます。今すぐ保険料負担が始まるわけではないものの、年収の壁を超えるパート勤務や、社会保険適用拡大に該当する勤務先かは早めに確認しておきたいところです。
目次(11項目)
「主婦年金」と呼ばれる第3号被保険者制度を縮小すべき、という議論が国会と与野党の協議で続いています。2026年4月には自民党と日本維新の会の間で、対象縮小に向けた話し合いが始まりました。すぐに保険料が増えるわけではないものの、家庭で確認しておきたい論点を整理します。
まず確認したいポイント
専業主婦・主夫の方、パート勤務の方は、次の3つを家庭内で確認しておくと、制度変更が進んでも慌てずに済みます。
- 今の年収と労働時間(年収130万円・月収10.8万円・週20時間など)
- 勤務先が社会保険適用拡大の対象になるか(2026年10月以降、企業規模要件が撤廃される見込み)
- 配偶者の勤務先の健康保険組合の扶養基準(130万円未満が一般的だが、組合で異なる)
「ねんきん定期便」を手元に置いて、自分の加入区分(第1号・第2号・第3号)と加入月数を確認するのも有効です。
第3号被保険者とは何か
第3号被保険者は、会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養される配偶者で、年収130万円未満などの条件を満たす方を指します。本人は保険料を払わなくても、将来、基礎年金(国民年金)を満額受け取れる仕組みです。
満額の基礎年金は、2026年度で月70,608円(年84万7,296円)です。これは40年間第3号被保険者だった人も、40年間自営業で第1号として保険料を払った人も、同じ金額を受け取れる、という形になっています。
なぜ縮小議論が出ているのか
主な論点は次のとおりです。
- 共働き世帯が増え、扶養を前提とした制度が時代に合わなくなった
- 自営業者は保険料を払うのに、専業主婦は払わなくて済む不公平感
- 年金財政が厳しくなる中で、保険料を負担する層を広げる必要がある
- 「年収130万円の壁」を意識して働き控えする人を減らしたい
その一方で、専業で家事や育児・介護を担う家庭への配慮、すでに第3号として長年加入してきた人への経過措置は必要、という意見も根強くあります。
2026年時点の議論の状況
2026年5月時点で報じられている方向は、おおむね次の通りです。
- 即時の全面廃止ではなく、対象範囲の縮小(年収要件の引き下げや、共働き世帯の制限)
- 社会保険適用拡大で、自然と第3号被保険者の数が減っていく流れを期待
- 廃止・縮小が決定する場合は、経過措置(既に加入している人の扱い)を設ける見通し
- 法改正には国民的議論が必要、というのが与党側の言い分
2026年6月ごろに与野党実務者協議の中間取りまとめが出る見込みで、その後の臨時国会で年金関連法案がどこまで議論されるかが焦点になっています。
社会保険適用拡大の影響
第3号被保険者制度を議論するうえで、平行して進んでいるのが「短時間労働者への社会保険適用拡大」です。
これまでは企業規模(従業員50人超など)の条件がありましたが、2026年10月以降は段階的に撤廃される見込みです。条件に当てはまる短時間労働者は、勤務先の厚生年金・健康保険に加入することになります。
該当する条件の目安は次のとおりです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円相当)
- 雇用期間が2か月超見込み
- 学生でない
この条件に当てはまるパート・アルバイトの方は、第3号被保険者から第2号被保険者に切り替わります。社会保険料の自己負担は出ますが、その分、将来の厚生年金が上乗せされる仕組みです。
制度が縮小・廃止された場合の影響
仮に第3号被保険者制度が廃止された場合、専業主婦・主夫は次のいずれかに切り替わることになります。
- 第1号被保険者として、自分で国民年金保険料を納める(月額16,980円・2026年度)
- 勤務先で社会保険に加入し、第2号被保険者になる(厚生年金保険料は労使折半)
第1号になった場合、年間で約20万円の保険料負担が増える計算です。家計への影響は大きいため、経過措置や軽減策が設けられるかが今後の焦点になります。
家庭でできる準備
廃止が決まっていない段階でも、次のことは進めておけます。
- ねんきん定期便・ねんきんネットで、自分の加入記録と加入区分を確認
- 配偶者の勤務先で、扶養家族の認定基準を確認(健保組合の規定)
- 自分のパート先が社会保険適用拡大の対象になるか確認
- 年収130万円・106万円の境目で働き方を調整するか、超えて働くかの方針を家庭内で話す
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用余地を検討(第3号被保険者でも月2.3万円まで拠出可能)
iDeCoは第3号被保険者でも加入できます。月2万円程度でも、20年間積み立てれば老後の生活を支える上乗せ部分になります。
「年収の壁」一時的な対応との関係
2023年からの「年収の壁・支援強化パッケージ」では、年収106万円・130万円を超えても扶養を外れずに済む暫定措置がありました。これは恒久的なものではなく、社会保険適用拡大が進む中で見直されつつあります。
勤務先で「年収の壁対策」の補助金活用がある場合、いったん扶養を外れずに済むことがあります。詳しくは勤務先の社労士や総務に確認してください。
受け止め方の整理
第3号被保険者の縮小・廃止議論は、急に明日から保険料を払うようになる、という話ではありません。一方で、5年・10年スパンで見ると、自分名義の年金加入歴をどう作るかは家計の重要なテーマです。
- 短期的(〜2026年):制度は当面継続。社会保険適用拡大に該当するかを確認
- 中期的(2027〜2030年):縮小の方向で法改正が出る可能性。経過措置の議論が焦点
- 長期的(2030年以降):制度が大きく変わる可能性を見据え、自分名義の年金資産を意識
「いますぐ何かしないと損する」という話ではなく、「家計と働き方を見直すきっかけ」として受け止めるのが現実的です。
相談先
制度や手続きの不明点は、次のいずれかが窓口になります。
- 年金記録の確認:年金事務所、または「ねんきんダイヤル」
- 扶養認定基準:配偶者の勤務先の健康保険組合
- 社会保険適用拡大の該当判定:自分の勤務先の人事・労務担当
- 年金見込額:日本年金機構「ねんきんネット」のシミュレーション
民間の保険会社や金融機関の窓口で老後資金の相談をする場合、年金制度の話と保険・投資商品の販売が混ざりやすい点に注意してください。一次情報は公的機関で確認するのが安全です。
よくある質問
「主婦年金廃止」のニュース見出しは強めですが、実際には議論段階で、決まっているのは2026年10月の社会保険適用拡大くらいです。慌てて働き方を変える前に、まずは自分の勤務先と配偶者の勤務先で、規模要件・労働時間・扶養認定基準を確認するところから始めてください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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