確定申告で納める所得税は、「振替納税」を使えば自分名義の預貯金口座から引き落とせます。使うには、口座振替依頼書を、その税金の納期限までに税務署か金融機関へ書面で出すか、e-Taxで送ります。確定申告分なら、納期限は原則として3月15日です。
引き落とし(振替日)は納期限より後で、4月下旬です。国税庁の公表では、令和7年分は納期限が令和8年3月16日、振替日が4月23日、令和8年分は納期限が令和9年3月15日、振替日が4月23日です。
申告書を出すのと同じ時期に依頼書を出しておけば、3月中に窓口やコンビニで払いに行く必要はなくなります。そのかわり、振替日の前日までに口座の残高をそろえておくことが条件です。
振替納税で払える税金、払えない税金
タックスアンサーNo.9201と手続案内G-2-1によると、個人が振替納税を使えるのは次の税金です。
- 所得税(復興特別所得税を含む)の、期限内に申告した確定申告分(第3期分)と延納分
- 所得税の予定納税(第1期、第2期)分
- 個人事業者の消費税・地方消費税の、期限内に申告した確定申告分と中間申告分
期限後申告分と修正申告分は使えません。 3月15日を過ぎてから確定申告書を出した場合や、出したあとで税額を増やす修正申告をした場合は、別の方法で納めます。
金額の上限はなく、手数料もかかりません。インターネット専用銀行などの一部の金融機関や、インターネット支店などの一部の店舗では使えない場合があるため、取引先の金融機関に先に確かめてください。
依頼書の出し方と期限
手続きは二通りあります。
書面で出す。 国税庁の様式「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」に記入し、納税地を所轄する税務署か、依頼書に書いた金融機関へ出します。期限は、G-2-1では「振替納税をご利用される国税の納期限まで」です。
e-Taxで送る。 e-Taxソフト(WEB版)にログインし、画面に沿って入力して送信します。オンラインで出せる金融機関と口座の種類は限られていて、国税庁の「オンライン提出利用可能金融機関一覧(振替納税)」に載っています。送信できるのは、e-Taxの利用可能時間内で、かつ利用する金融機関のシステムが動いている時間です。オンライン提出は、システム事業者と金融機関が用意する外部サイトを使って行います。
どちらの方法でも、使えるのは本人名義の口座だけです。家族の口座から引き落とすことはできません。
書面で書くときの注意
記載要領に沿って、つまずきやすい箇所を挙げます。
- 届出印。 口座を開いたときの届出印を押します。印影が不鮮明なときは横に押し直します。届出印がない、または分からない場合は、先に金融機関に問い合わせてください。
- 口座名義。 名義は必ず手書きで署名します。口座名義に屋号などが入っている場合は、それも書きます。
- 申告区分。 印字されている「7」は全納期分です。予定納税・確定申告・延納のすべてに使う意味になります。確定申告分だけにしたいときは「7」を二重線で消して「2」と書きます(予定納税だけは「1」、予定納税と確定申告は「3」など)。
- 開始日。 「振替日ではなく納期限を記載してください」とされています。最初に振替納税を使う納期の納期限を書きます。確定申告分から使うなら、4月の振替日ではなく3月の納期限です。
- 住所。 申告書に書いた納税地を書きます。口座に届け出ている住所が納税地と違う場合は、その届出住所も必ず書きます。
- 元号。 数字で書きます(昭和は3、平成は4、令和は5)。
引き落とし日と、残高不足のとき
確定申告分の振替日は、法定納期限より1か月あまり後に設定されています。国税庁の「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」に載っている所得税の日付は次のとおりです。
| 区分 | 令和7年分 納期限 | 令和7年分 振替日 | 令和8年分 納期限 | 令和8年分 振替日 |
|---|---|---|---|---|
| 予定納税第1期 | 令和7年7月31日 | 同じ日 | 令和8年7月31日 | 同じ日 |
| 予定納税第2期 | 令和7年12月1日 | 同じ日 | 令和8年11月30日 | 同じ日 |
| 確定申告 | 令和8年3月16日 | 令和8年4月23日 | 令和9年3月15日 | 令和9年4月23日 |
| 確定申告延納 | 令和8年6月1日 | 同じ日 | 令和9年5月31日 | 同じ日 |
個人事業者の消費税・地方消費税の確定申告分は、令和7年分が納期限令和8年3月31日・振替日4月30日、令和8年分が納期限令和9年3月31日・振替日4月30日です。所得税と消費税の両方を振替納税にしている人は、4月下旬から月末にかけて2回引き落とされることになります。
予定納税と延納は、納期限の当日に引き落とされます。確定申告分だけが、納期限から間をあけて引き落とされます。依頼書の「振替納付日」の欄には、振替納付日を「納期の最終日」としたうえで、「法令の規定によりその納付が納期限においてされたものとみなされるとき」は、金融機関に納付書が届いた日から2取引日を過ぎた最初の取引日まで、と書かれています。
残高不足に注意。 タックスアンサーNo.9201は、残高不足などで振替納税ができない場合、法定納期限の翌日から延滞税がかかるとしています。4月の振替日の翌日からではなく、3月の法定納期限の翌日から数える点が要注意です。G-2-1は、振替日の前日までに残高を確かめること、同じ口座から公共料金などの引き落としがないかも確かめることを求めています。
延滞税の割合は年ごとに変わります。タックスアンサーNo.9205では、令和8年1月1日から12月31日までの期間は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です。
口座の名義人が亡くなって口座が凍結された場合や、残高不足で引き落とせなかった場合は、早めに所轄の税務署に連絡するよう案内されています。
領収証書は出ない。納税証明書は1週間ほど後
振替納税では領収証書が発行されません。平成29年1月から、領収証書の送付はやめられています。領収証書が必要な人は、金融機関の窓口で現金で納めるよう案内されています。
引き落とされた税金について納税証明書を取りたい場合、G-2-1によると、発行できるようになるまで口座引き落としから1週間程度かかる場合があります。4月下旬に引き落とされた分の証明が5月に必要になるような人は、日程に余裕をみてください。
翌年以降、引っ越したとき、やめたいとき
依頼書の様式は「以降納期が到来するものを、口座振替により納付したい」という書き方で、申告区分を「7:全納期分」にすれば、その後に納期が来る分にも続けて使われます。
- 引っ越して所轄の税務署が変わった。 転居前の振替口座のまま、引き続き振替納税を使えます。手続きは要りません。
- 口座を変えたい。 新しい口座で依頼書を出し直します。このとき「振替納税の取りやめ申出書」は要りません。
- 振替納税をやめたい。 「振替納税の取りやめ申出書」に、やめたい口座を書いて、納税地を所轄する税務署へ書面で出します。
予定納税がある人は、全納期分にしておくと7月と11月の予定納税も同じ口座から引き落とされます。予定納税の時期にも残高が必要になるので、引き落とされる時期を把握しておいてください。
この記事で確認できなかったこと
2026年10月28日時点で、次の点は今回の資料では確かめられていません。
- 所得税の延納の要件。振替日の表には延納の行がありますが、要件を説明した国税庁のページは今回開けていません。
- 令和9年分以後の振替日。国税庁が年分ごとに公表します。
- 振替納税と、納期限までに自分でキャッシュレス納付などをする方法との使い分けの目安。
参考資料
- 国税庁 タックスアンサーNo.9201 振替納税のお勧め
- 国税庁 G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付
- 国税庁 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日
- 国税庁 預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書(手書用)
- 国税庁 預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書 記載要領
- 国税庁 タックスアンサーNo.9205 延滞税について
- 国税庁 延滞税の計算方法