株の配当金は確定申告した方が得?
課税所得900万円以下なら総合課税申告で配当控除10%+外国税額控除がお得。住民税だけ申告不要にすれば国保料増を回避。
目次(19項目)
結論から先に
特定口座(源泉徴収あり)の配当は申告しなくても完結します。ただし課税所得が900万円以下なら総合課税で確定申告し、配当控除10%+住民税2.8%を取る方が得になるケースが大半です。2024年確定申告分から「住民税のみ申告不要」の選択肢が廃止されたため、国保加入者・後期高齢者は申告で住民税が増えて社会保険料も連動して上がる影響を試算してから判断してください。
どんな場合に当てはまるか
配当の課税方式は3パターンあります。
申告不要(特定口座源泉徴収あり)
20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の源泉徴収だけで完結。確定申告不要。手間ゼロですが、配当控除も外国税額控除も取れません。
総合課税で確定申告
配当を給与・事業所得と合算し、累進税率で課税。配当控除10%(住民税2.8%)が引けます。所得が低い人ほど有利。配当を年100万円受け取る人で課税所得500万円なら、申告不要に比べて年5〜8万円程度の還付が得られることがあります。
申告分離課税で確定申告
譲渡損失と通算するときに使う方式。20.315%固定税率は変わりませんが、株式売却の損失と相殺できる利点があります。配当だけのために使う方式ではありません。
課税所得別の有利な選択
- 課税所得330万円以下:総合課税が圧倒的有利
- 330万〜695万円:総合課税が有利
- 695万〜900万円:総合課税がやや有利
- 900万〜1,800万円:申告不要が有利
- 1,800万円超:申告不要が有利
注意:住民税申告不要の廃止
2023年分(2024年申告)以降、所得税と住民税の課税方式を別々に選択することができなくなりました。総合課税で申告すると住民税の合計所得にも算入され、国保料・後期高齢者医療保険料・介護保険料・配偶者控除の判定・児童扶養手当・保育料などに影響します。
例外状況
確定申告で逆に損するケース
- 国民健康保険加入者で配当が大きく国保料の負担増を相殺してしまう
- 後期高齢者医療制度の窓口負担割合判定(1割→2割→3割)の境界線にいる
- 配偶者控除・扶養控除の判定基準を超えてしまう
- 児童扶養手当・住民税非課税世帯の認定が外れる
確定申告で確実に得するケース
- 給与所得控除後の課税所得が330万円以下
- NISA非対応の特定口座で配当を受け取っている
- 外国株配当の外国源泉税を取り戻したい
- 譲渡損失と通算したい
申告するか否かを判断する手順
- 源泉徴収票・特定口座年間取引報告書を準備
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で申告ありなしを試算
- 住民税・国保料への影響を市役所サイトで試算
- 全体で最も手取りが多い選択肢を選ぶ
費用・リスク・注意点
還付額の試算例(年間配当50万円・上場株式・課税所得400万円)
- 申告不要:源泉徴収101,575円で完結
- 総合課税:所得税率20%、配当控除10%→所得税50,000円-配当控除50,000円=0円。住民税は10%-2.8%=7.2%で36,000円。合計税負担36,000円。
- 還付額:101,575-36,000=65,575円
- ただし住民税が増えた分の影響(国保等)を別途試算
課税所得900万円超の試算例(年間配当50万円・課税所得1,000万円)
- 申告不要:源泉徴収101,575円で完結
- 総合課税:所得税率33%、配当控除10%→所得税115,000円。住民税10%-2.8%=7.2%で36,000円。合計151,000円。
- 申告すると約5万円損失
国保加入者の典型的影響
配当100万円を総合課税で申告すると、自治体により年5万〜10万円の国保料増加。配当控除10万円のメリットを社会保険料増加が打ち消してしまうケースが多発します。
申告期限と必要書類
- 確定申告期間:翌年2月16日〜3月15日
- 特定口座年間取引報告書(証券会社発行)
- 配当金計算書
- マイナンバーカードまたは通知カード
- e-Tax利用が便利
配偶者控除との関係
配偶者の年間所得が48万円以下なら配偶者控除(38万円)が取れますが、総合課税で配当を申告すると配偶者の所得が増えて控除外になる場合があります。世帯全体の最適化を考えて判断してください。
よくある質問
Q. NISA口座の配当も確定申告するとお得ですか?
NISA口座の配当は最初から非課税のため、確定申告は不要・無意味です。確定申告すると「課税扱い」になり、せっかくの非課税メリットを失います。証券会社の受取方式が「株式数比例配分方式」になっているか確認してください。
Q. 配当ETF(高配当ETF)の場合はどうですか?
国内ETFの配当(分配金)は通常の上場株式と同様に総合課税で配当控除10%が取れます。海外ETF(米国上場のVTI、VYM等)は配当控除対象外、外国税額控除のみ対象です。
Q. REITの分配金は配当控除の対象ですか?
J-REIT(不動産投資信託)の分配金は配当控除の対象外です。総合課税で申告するメリットは譲渡損失との通算のみ。申告不要のまま20.315%で完結する選択肢が現実的です。
Q. 1月生まれの大学生がアルバイト+親の口座から名義変更した株の配当を受けたら?
学生でも所得税法上の課税ルールは同じ。年間所得が48万円以下なら税負担はゼロ。配当があれば源泉徴収された分の還付を受けるために確定申告した方が得です。ただし扶養から外れる収入レベルになると親の税負担が増えるため要注意。
Q. 確定申告は自分でできますか?
国税庁「確定申告書等作成コーナー」を使えば、源泉徴収票と配当計算書を見ながら入力するだけで作成できます。マイナポータル連携を使えば証券会社の数字も自動で取り込み可能(2026年から対象拡大)。e-Tax提出なら還付も早く、税理士依頼の必要は少ない案件です。
参考資料
- 国税庁「配当所得があるとき(配当控除)」— 配当控除の計算方法と適用ルール
- 国税庁「上場株式等の配当等に係る課税方式」— 申告不要・総合課税・申告分離の比較
- 総務省「個人住民税の申告不要制度」— 2024年からの申告制度一本化の解説
広告
参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
関連記事
106万円の壁が2026年10月に撤廃 私は対象?
お金 どうする?106万円の壁が2026年10月に撤廃 私は対象?
結論2026年10月以降は週20時間以上勤務で社会保険加入が必須に。51人以上の企業で働くパートが第一波の対象。
退職金をもらった、確定申告は必要?どんな人がやった方が得?
お金 どうする?退職金をもらった、確定申告は必要?どんな人がやった方が得?
結論「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば確定申告は原則不要です。未提出の場合や医療費控除がある場合は確定申告で税金が戻る可能性があります。
在職老齢年金2026年改正で「働き損」はどれくらい減る?
お金 どうする?在職老齢年金2026年改正で「働き損」はどれくらい減る?
結論2026年4月改正で「働き損」は大幅緩和。給与+年金65万円まで全額支給、超過分も半額カットのみ。年30万〜100万超の手取り増ケース多数。
副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要?
お金 どうする?副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要?
結論所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必須。市町村の市民税課に申告書提出を。
同じテーマの記事
タグ #配当 #確定申告 #配当控除 を含む他のカテゴリの記事も見る