個人事業主の予定納税が高すぎる。減額申請はいつまでに、どうすればいい?
今年の所得が前年より明らかに下がる見込みなら、第1期分は7月15日まで、第2期分は11月15日までに『予定納税額の減額申請書』を税務署に。e-Taxで完結します。
目次(13項目)
結論から先に
前年並みの予定納税の通知が届いたとき、今年の所得が明らかに下がる見込みなら、減額申請を出せます。第1期分の申請期限は毎年7月15日、第2期分は11月15日(土日の場合は翌平日)です。e-Taxで「予定納税額の減額申請書」を作って提出でき、書面でも可です。提出から承認・否認の通知まで通常2〜4週間。承認されると、修正された予定納税額の納付書が届きます。減額が承認されなくても延滞税は出ないので、見込みがあれば早めに申請する価値があります。
予定納税と減額申請の関係
予定納税は、前年の確定申告で算出された予定納税基準額(原則として前年の所得税額)が15万円以上ある場合に、その3分の1ずつを7月と11月に納める仕組みです。
- 第1期分:7月1日〜7月31日(令和6年分は申告期限の関係で例外あり)
- 第2期分:11月1日〜11月30日
- 第3期分(確定申告時): 翌年3月15日まで
前年の実績で計算されるため、今年の業績が下がっていても満額の通知が来ます。これを今年の実態に合わせる手続きが「減額申請」です。
申請が認められやすいケース
次のような事情があると申請が通りやすくなります。
- 売上の減少(取引先の縮小、案件の終了、業界全体の落ち込み)
- 廃業・休業
- 長期の入院・療養
- 出産・育児休業(個人事業主は産休制度の枠外なので所得が下がる)
- 災害被害(火災・地震・水害で営業ができない)
- 多額の特別経費(設備投資、修繕費)
「希望的観測」ではなく、根拠のある見込み(月次試算表、契約終了の通知書、医療費領収書等)を手元で説明できる状態にしておくのが基本です。
申請書に書く内容
国税庁の「予定納税額の減額申請書」には次の項目を記載します。
- 1〜6月(第2期は1〜9月)までの実際の所得金額
- 年末までの所得金額の見込み
- 所得控除(基礎、社会保険料、扶養、生命保険料等)の見込み
- 税額控除(住宅ローン控除等)の見込み
- 申告納税見積額
- それに基づく予定納税額(希望額)
- 減額の理由
書類添付は原則不要ですが、税務署から確認の連絡があった場合に説明できる帳簿や試算表は手元に残しておきます。
e-Taxでの提出手順
e-Taxを使う場合の流れです。
- e-Taxにログイン(マイナンバーカードまたはID・パスワード方式)
- 「申告・申請・納税」から「予定納税額の減額申請書」を選択
- 1〜6月の実績と年末見込みを入力
- 希望する予定納税額を確認
- 送信
- メッセージボックスで受付完了を確認
- 2〜4週間で結果通知
書面の場合は、納税地の所轄税務署に郵送または持参します。
申請後の流れ
提出後の動きの目安です。
- 2〜4週間で承認または否認の通知
- 承認されると、新しい予定納税額に基づく納付書が届く
- 否認の場合は、当初の予定納税額を期限までに納付
- 一部承認(希望額より高い減額額)もあり得る
- 結果通知前でも、当初の納付期限が来たら一旦は当初額で納付
申請から結果通知までに納付期限が来そうな場合は、税務署に状況を確認してください。
申請が通りにくいケース
次のような場合は、却下や減額幅が小さくなる傾向があります。
- 説得力のある減額理由がない
- 1〜6月の実績が前年と大差ない
- 通年見込みが楽観的すぎる(根拠に乏しい)
- 過去にも同様の申請をして実態と大きく乖離していた
「申請=必ず減額される」わけではないので、実態に近い数字を出すのが大事です。
申請しなかった場合の選択肢
予定納税の納付が厳しいけれど、減額申請の要件には合わない場合は、次の選択肢があります。
- 延納制度(申請納税額の2分の1以上を期限内に納付し、残額の納期限を後ろ倒し)
- 一定の事情がある場合の納税の猶予
- クレジットカード納付による分割
これらは延滞税や利子税が発生することがあるため、税務署に事前相談するのが安全です。
確定申告との関係
予定納税で多めに払いすぎた場合、翌年3月の確定申告で精算され、還付として戻ります。減額申請をするか、申告で精算を待つかは、資金繰り次第です。
- 資金繰りが厳しい → 減額申請で先に圧縮
- 資金繰りに余裕がある → 当初額で納付し、確定申告で精算
- 翌年3月まで待てる → 申請の手間を省く判断もあり
やってはいけない対応
予定納税が高くてつらいときに、避けたい対応です。
- 無視して納付しない(延滞税+督促)
- 売上を低く偽って申請(虚偽記載)
- 期限後に申請(原則として認められない)
- 申請したから納付を止める(承認前は当初額の納付義務)
期限内に正規ルートで申請すれば、却下されてもペナルティは出ません。
来年に向けてできる準備
毎年予定納税で資金繰りに困らないために、次の準備が有効です。
- 月次で利益を確認し、年初から予定納税の財源を別口座に
- iDeCoや小規模企業共済の活用(所得圧縮+将来の備え)
- 法人化の検討(年間所得800万円超なら一度試算)
- 経費の前倒し計上の活用
予定納税は「過去の自分への支払い」の側面があります。月次で備える習慣をつくると毎年の負担感が減ります。
よくある質問
Q. 減額申請はどんな場合に通りやすいですか?
売上や所得が前年と比べて明らかに減る見込みであることを、6月末(または9月末)までの実績と通年見込みで示せれば通りやすいです。具体例としては、廃業・休業、取引先の縮小、長期の入院、出産・育児休業、災害被害などです。逆に「なんとなく今年は厳しそう」という主観的な理由だけでは通りません。
Q. 申請書には何を書きますか?
1〜6月(第2期は1〜9月)の収入と必要経費の実績、年末までの予測、所得控除(基礎控除、社会保険料、扶養)、税額控除の見込みを記載します。決算書や試算表は添付不要ですが、税務署から問い合わせがあったときに見せられる形で手元に残しておくと安心です。
Q. 減額申請が却下されたらどうなりますか?
通知書どおりの予定納税額を期限までに納付する必要があります。期限を過ぎると延滞税がつくため、却下の通知を待つ間も納付資金は確保しておいてください。なお、減額申請が一部承認(希望額より少ない減額)になることもあります。
Q. 減額申請をすると税務署からマークされますか?
適正な範囲の減額申請が今後の調査につながるという公式な仕組みはありません。ただし、申請額と実際の所得が大きく乖離した場合や、減額後の予定納税額より明らかに高い所得が出た場合は、確定申告で追加の納付・延滞税の対象になり得ます。実態に合った申請が基本です。
参考資料
- 国税庁「予定納税額の減額申請」— 申請書様式と記載例
- 国税庁「申告と納税」— 個人事業主の納税スケジュール
- e-Tax「予定納税額の減額申請書」— オンライン申請の手順
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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