人から譲ってもらった自転車に乗るときは、前の持ち主の防犯登録を抹消してもらい、自分の名前で登録し直します。香川・滋賀・島根の県警の案内では、自転車本体、運転免許証などの身分証明書、前の持ち主の登録カード(所有者用の控え)か譲渡証明書を持って、自転車店やホームセンターなどの防犯登録所で手続きをします。滋賀県警は、譲渡による名義変更はできないとしています。
防犯登録は自転車法で利用者に義務づけられていますが、運営は都道府県ごとで、必要な書類や手数料が違います。警察庁は2026年7月に、登録のときに確かめる書類をそろえるよう都道府県警察に通達を出しましたが、運用が変わるまでには時間があります。
この記事では、譲り受けたときの手順、譲る側がしておくこと、書類がそろわないときの窓口、県外から引っ越したときの扱いを、法律と警察の案内で確かめます。
防犯登録は利用者の義務
自転車法(自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律)12条3項は、「自転車を利用する者は、その利用する自転車について、…都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録…を受けなければならない」と定めています。香川県警は、防犯登録は新車、中古車を問わず、幼児用自転車を除くすべての自転車利用者に義務づけられていると案内しています。
登録を受け付けるのは、都道府県公安委員会の指定を受けた団体と、その団体から業務を委託された自転車販売店やホームセンター(防犯登録所)です。東京都では一般社団法人東京都自転車商防犯協力会が運営し、委託を受けた自転車販売店で手続きをします(警視庁)。島根県警は、警察では登録を受け付けられないとしています。
登録すると、所有者の住所・氏名や自転車の特徴を書いた登録カードが作られ、車体に防犯登録のステッカーが貼られ、所有者用のカード(控え)が渡されます(香川県警)。警視庁は、このカードは住所変更、他人への譲渡、盗難被害の届出、廃車のときに必要で、再発行されないので大切に保管するよう求めています。
譲り受けたときの手順
前の持ち主の登録を先に抹消する
滋賀県警は、他人への譲渡による防犯登録の名義変更はできないので、原則として前の持ち主が登録を抹消し、譲り受けた人が再登録する必要があるとしています。島根県警も、前の持ち主が防犯登録をしている場合はその登録を抹消する必要があり、抹消の後に次に使う人が新たに登録し直すよう案内しています。
前の持ち主が抹消していない場合の扱いを、香川県警は次のように案内しています。
- 前の持ち主に、防犯登録を削除してもらう
- 前の持ち主が削除できない場合は、その人から登録カード(所有者用)を受け取り、防犯登録所か、最寄りの警察署・交番・駐在所で削除する
- 前の持ち主がカードをなくしている場合は、譲渡証明書を書いてもらい、譲渡証明書と身分証明書を最寄りの警察署・交番・駐在所に持っていって削除する
そのうえで、防犯登録所で新しく登録します。
登録所に持っていくもの
各県警の案内を並べると、次のとおりです。
- 自転車本体。 島根県警は、車体番号を確かめる必要があるので、防犯登録所に必ず自転車本体を持っていくよう求めています。滋賀県警は「自転車(登録抹消済)」としています。
- 身分証明書。 運転免許証など公的機関が発行したもの(香川県警・滋賀県警)。
- 譲り受けたことがわかる書類。 滋賀県警は、前の持ち主の防犯登録の控えか、前の持ち主からの譲渡証明書としています。島根県警は、前の持ち主から譲られたことを証明する書面(譲渡証明書等、様式不問)としています。
- 登録手数料。 香川県は700円、滋賀県は800円、島根県は2025年1月1日から800円(いずれも非課税)。世田谷区の案内では東京都は660円(非課税)です。
譲渡証明書の決まった様式はなく、必要事項が書かれていればほかの様式でもかまわないと香川県警は書いています。香川県警と滋賀県警のページには、譲渡証明書の例や様式が置かれています。
東京都について、世田谷区の案内は、他人へ譲渡する場合やインターネットなどで購入した場合は、購入した・譲り受けたことがわかる資料(保証書、譲渡証明書など)が必要なことがあるとして、詳しくは東京都自転車商防犯協力会のサイトを見るか問い合わせるよう案内しています。
譲る側がしておくこと
自転車を人に譲る人は、香川県警の案内では、譲る前に防犯登録の削除手続きをします。削除しないまま譲るときは、自転車と一緒に自分の名義の登録カード(所有者用)を渡し、カードをなくしていれば譲渡証明書を作って渡します。滋賀県警も、防犯登録は本人以外の人が勝手に抹消できないので、譲る場合は確実に抹消の手続きを終えておき、譲渡証明書も一緒に渡しておくと再登録がスムーズになるとしています。
滋賀県警は、登録したまま廃棄すると、その後どこかで使われたり見つかったりしたときに登録者へ連絡がいくと説明しています。
インターネットやフリマで買った自転車
店から通信販売で買った自転車は、販売証明書か保証書を持って防犯登録所で登録します(香川県警・滋賀県警)。島根県警は、インターネットで購入した場合として、身分証明書に加えて、前の持ち主から譲られたことを証明する書面と、販売証明書・保証書・購入履歴など購入したことが証明できるものを挙げています。島根県警は、どちらの場合も、前の持ち主が防犯登録をしているときはその登録を抹消する必要があるとしています。
警察庁が2026年7月に示した基準
警察庁は2026年7月21日付の通達「自転車の防犯登録に係る登録事項の基準等について」で、登録のときに正当な所有者であることを確かめる書類が団体ごとに違い、登録を受けられないなどの不都合が出ているとして、次の資料を確認資料とするよう、各都道府県警察に指定団体と協議することを求めました。写真での確認も妨げないとしています。
- 利用者の本人確認資料(マイナンバーカード、運転免許証など写真付きで氏名などが確認できるもの)
- 自転車
- 自転車を持つことになった経緯がわかるもの(譲渡証明書、保証書、領収証、オンラインで買った場合などの購入履歴を出力したもの、取引履歴を表示したスマートフォンの画面)
この基準の運用開始は、都道府県の実情に応じて、通達の年度から3か年度を超えない期間内とされています。今すぐ全国で同じになるわけではないので、手続きの前に住んでいる都道府県の案内を見ます。
通達はほかに、防犯登録所は正当な理由がない限り登録の申出を拒めず、その店以外で自転車を手に入れた人から申出があった場合も適切に対応するよう求めています。
書類がそろわないとき
前の持ち主と連絡がつかず、登録カードも譲渡証明書もない場合について、世田谷区は、毎年3月と10月に区内の各警察署で警察官立会いの防犯登録を行っていると案内しています。この場では、販売証明書や譲渡証明書がなくても、盗難被害届の有無を確かめたうえで登録できる場合があるとしています。持ち物は自転車、住所・氏名が確認できるもの、印鑑などです。
ほかの地域で同じような機会があるかは、今回読んだ資料では確かめられませんでした。住んでいる都道府県の警察署か運営団体に相談します。
県外から引っ越したとき
防犯登録は都道府県ごとの制度です(香川県警)。島根県警は、県外へ引っ越す場合は引っ越す前に抹消し、転居先の都道府県で登録し直すよう案内しています。手続きの前に引っ越してしまった場合は、住んでいる都道府県の警察署や防犯協会などに相談します。香川県警は、香川県の登録を削除しないまま県外に転出した人について、防犯登録削除届と登録カードの写しの郵送を受け付けています。滋賀県警は、県外へ転居する場合は滋賀県での登録を抹消してから転居先で再登録することを勧めています。
登録の有効期間
警視庁の案内では、東京都の防犯登録の有効期限は登録した日の翌年から10年間で、その後も乗る場合は新たに登録が必要です。滋賀県と島根県も有効期間を10年とし、過ぎると登録が自動で抹消されるとしています。
なお、警察庁の通達は、防犯登録そのものに有効期間はなく、指定団体が定めている有効期間は、団体が登録データを保管する期間だと整理しています。
この記事で確認できなかったこと
2026年11月7日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- 東京都で譲り受けた自転車を登録するときの、前の持ち主の登録の扱いと必要書類の細部(東京都自転車商防犯協力会のサイトは読んでいません)。
- 香川・滋賀・島根・東京以外の都道府県の手数料と手順。
- 警察庁の通達の基準を、各都道府県がいつから運用するか。
- 警察官立会いの登録会が世田谷区以外でも開かれているか。
参考資料
- e-Gov法令検索 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律 — 12条3項(防犯登録を受ける義務)
- 警察庁 自転車の防犯登録に係る登録事項の基準等について(通達、令和8年7月21日) — 確認資料の基準、運用開始時期、有効期間の考え方、登録所は申出を拒めない
- 警視庁 自転車防犯登録 — 東京都の運営団体、登録カードは再発行されない、有効期限10年
- 香川県警察 自転車防犯登録 — 義務の範囲、譲り受けた場合と譲る場合の手順、手数料700円、県外転出後の郵送
- 滋賀県警察 自転車防犯登録 — 名義変更はできない、必要なもの、手数料800円、有効期限10年
- 島根県警察 自転車防犯登録に関するQ&A — 警察では登録を受け付けない、譲渡証明書は様式不問、ネット購入、県外への引っ越し、手数料800円
- 世田谷区 自転車の防犯登録について — 東京都の手数料660円、警察官立会いの登録会