台風で車が冠水した後、エンジンをかけていい?車両保険と最初の連絡先

結論

浸水した車は自分でエンジンをかけず、バッテリーのマイナス端子を外して販売店かJAFに連絡するのが先です。車両保険は台風なら1等級ダウンで使えるため、修理費が大きいときは請求を検討してください。

どうする?編集部 · · 読了 約7分
目次(11項目)
  1. 鍵を回す前に、バッテリーのマイナス端子を外す
  2. 「床まで浸かっていない」は無事という意味ではない
  3. 引き返せる高さは、ドアの下端まで
  4. EVとハイブリッドは、触ってよい場所が違う
  5. 台風で車両保険を使っても、下がるのは1等級
  6. エコノミー型でも水没は出る。出ないのは津波のほう
  7. 全損と言われた後に、戻ってくるお金がある
  8. 直して乗るか、そこで手放すかの分かれ目
  9. 請求は3年以内。それでも早く動いたほうがいい
  10. 台風が近づく前に、停める場所だけ決めておく
  11. 参考にした公式情報

アンダーパスを抜けた直後にエンジンが止まった。翌朝、駐車場に戻ったら車のドアに泥の線が残っていた。大雨や台風の後で多いのはこの二つです。どちらも最初にやることは同じで、車を動かそうとしないこと。鍵を回さずにバッテリーのマイナス端子を外し、買った販売店か最寄りの整備工場、JAFのロードサービスに連絡します。保険会社への連絡はその後で間に合います。

鍵を回す前に、バッテリーのマイナス端子を外す

国土交通省は浸水・冠水した車について、自分でエンジンをかけないよう呼びかけています。外から見て無事でも、水が入った車は感電や電気系統のショートによる車両火災が起きるおそれがあるからです。

もう一つ、機械的な理由もあります。エンジン内部に水が入った状態でセルモーターを回すと、圧縮できない水がピストンやコンロッドを押し返し、金属部品のほうが壊れます。ウォーターハンマーと呼ばれる壊れ方で、修理費は一気に跳ね上がります。かけてみるまでは無傷だった車が、一度回したせいでエンジン載せ替えになる。この差は大きい。

手を動かすのはバッテリーだけにします。マイナス側のターミナルを外し、外した端子がバッテリーに触れないようテープなどで覆っておく。ここまでやってから販売店か整備工場に連絡し、あとは指示を待ちます。

工具がなければ無理に外さなくてかまいません。その場合はJAFなどのロードサービスを呼び、到着まで車には乗り込まないでおきます。

「床まで浸かっていない」は無事という意味ではない

水位が低くても、エアクリーナーの吸気口から水を吸い込めばエンジンは傷みます。吸気口の高さは車種で違うので、車高の低いセダンとSUVでは同じ水深でも結果が変わる。見た目の水位だけで判断しないほうが安全です。

水が引いた後に残る痕跡のほうが、あてになります。

  • ドアの内張りや、シート下のカーペットが湿っている
  • ドア内側やバンパーに、泥の線が横向きに残っている
  • シートベルトを最後まで引き出すと、途中から濡れている
  • 室内に泥や下水のような匂いが残っている

シートベルトは巻き取られたまま濡れることが多く、後から気づく手がかりになります。一つでも当てはまれば、点検を受けるまで乗らない前提で動いてください。

車内に水が入った車は、乾いた後もカビや配線の腐食が進みます。数か月してから電装品が誤作動する例もあるので、乾いたから大丈夫という判断は避けます。

引き返せる高さは、ドアの下端まで

JAFは、乗用車が走行できるのはドアの下端、つまり床面が浸からない程度までとしています。それを超える深さなら進まない。アンダーパスや高架下、立体交差といった周囲より低い場所は水がたまりやすいため、入る前に迂回するのが前提になります。

走行中に車内へ水が入り始めたら、エンジンを止めて外に出ます。JAFの案内では、まず片足を浸けて水深を測り、次にゆっくり両足をつき、進んできた方向へ歩いて戻る。濁った水ではマンホールの蓋が外れていても見えないため、一歩ずつ確かめながら進みます。

水圧が高いとドアが開かなくなります。窓が電動で動くうちに開けておく。

EVとハイブリッドは、触ってよい場所が違う

ハイブリッド車と電気自動車は高電圧のバッテリーを積んでいます。国土交通省は、この部分にむやみに触らないよう案内しています。ボンネットを開けて自分で状態を確かめる作業は避けてください。

補機バッテリーのマイナス端子を外す手順そのものはガソリン車と変わりませんが、位置も外し方も車種差が大きい。取扱説明書に浸水時の記載があれば、そちらが優先です。迷うなら触らず、販売店に電話したほうが早く片づきます。

台風で車両保険を使っても、下がるのは1等級

自分の運転が原因の事故で車両保険を使うと翌年の等級は3つ下がりますが、台風・洪水・高潮による損害は不可抗力の扱いになり、下がるのは1等級です。事故有係数が適用される期間も1年で、3等級ダウンの3年より短く済みます。

だから、修理費が数万円で収まるなら使わない選択もありますが、水没して数十万円かかるなら請求したほうが手元は楽になります。等級が1つ下がることで翌年以降いくら増えるかは、契約中の等級と保険会社で変わります。金額を知らずに判断すると損得が逆になることがあるので、代理店か保険会社のコールセンターで試算してもらってください。

エコノミー型でも水没は出る。出ないのは津波のほう

車両保険には補償の広い一般型と、範囲を絞ったエコノミー型(車対車+A)があります。台風・洪水・高潮による水没は、どちらでも補償の対象に含まれるのが基本です。エコノミーだから自然災害はだめだと思い込んで請求しない人がいますが、まず保険証券を確認してください。

対象から外れやすいのは、このあたりです。

  • 地震・噴火や、それによる津波が原因の水没。地震危険補償特約を付けていれば別の扱いになります
  • 冠水しているとわかっている道へ自分から進入した場合。人為的な判断とみなされることがあります
  • そもそも車両保険を付けていない契約

三つ目は意外に多い。対人・対物だけの契約では、台風で車が全損しても自動車保険からお金は出ません。細かい条件は会社ごとに違うので、証券で読み取れなければ契約先に直接聞くのが確実です。

全損と言われた後に、戻ってくるお金がある

修理費が車両保険金額を超えると全損の扱いになり、支払いの上限は契約時に決めた車両保険金額です。年式が古い車ほどこの金額は小さく、次の車の頭金には届かないこともあります。

車を手放すときは、保険金とは別に戻る分があります。解体を伴う永久抹消登録をすれば、自動車税(種別割)は月割で還付され、自賠責保険も残りの月数に応じた解約返戻金が出ます。自動車重量税も、自動車リサイクル法に基づいて解体処理し、車検の残存期間が1か月以上あれば還付の対象です。申請は永久抹消登録と同時に運輸支局の窓口で行い、国税庁の案内では還付金が支払われるまでおよそ2か月半かかります。

どれも自動では戻りません。手続きをした人だけが受け取れる仕組みです。

被害が大きい地域では、自治体が自動車税の減免や、り災証明書の発行を行っています。車の被害は「被災証明書」として扱う自治体もあり、名称も申請先も一律ではありません。減免には期限があるため、住んでいる都道府県の県税事務所に早めに問い合わせてください。

直して乗るか、そこで手放すかの分かれ目

整備工場に見てもらうと、直せるかどうかは水がどこまで届いたかで判断されます。マフラーやドアの下端までなら洗浄と点検で収まることもありますが、室内の床上まで浸かった車は配線やコネクタ、シート下の制御ユニットまで水が回っています。ここまで来ると、直しても不具合が後から出る前提で考えることになります。

見積もりが出たら、車両保険金額と並べて比べてください。修理費が保険金額を超えれば全損の扱いになり、保険会社は上限までしか払いません。差額を自費で埋めてでも直すかどうかは、その車にあと何年乗るつもりかで決まります。

売るときの話も、先に知っておいたほうがいい。冠水した車は冠水歴のある車として扱われ、次に売却するときには買い手に伝える必要があります。買取価格は大きく下がります。直して乗り続ける方向で考えるなら、そこまで含めて計算しておくと後で慌てずに済みます。

請求は3年以内。それでも早く動いたほうがいい

保険法では、保険金を請求する権利は行使できるときから3年で時効になります。期間には余裕があるように見えますが、水没車は日が経つほど状態が変わり、被害の程度を示しにくくなる。

引き上げる前と後の写真を残しておきます。ナンバーが読める全体、泥の線がわかるドア周り、室内に残った水位の跡、メーターとオドメーター。後から保険会社に求められやすい順に並べると、だいたいこの順番です。

災害の規模が大きいと受付が混み、調査までに日数がかかります。連絡だけは当日中に入れておくと、その後が早い。

台風が近づく前に、停める場所だけ決めておく

2026年7月27日に発生した台風13号は、その後発達しながら進んでいます。7月末の時点で日本への影響は決まっていませんが、お盆の帰省と時期が重なる可能性があるため、進路は気象庁の発表で追ってください。

事前にやれることは多くありません。自宅の駐車場が周りより低いなら、雨が強くなる前に高い場所へ動かしておく。河川敷の駐車場と地下駐車場は避ける。帰省先で停めるときも、その市町村のハザードマップで浸水想定を見ておくと、判断が早くなります。

車両保険を付けているかどうかは、保険証券か契約者向けアプリで今のうちに見ておいてください。台風が近づいてから加入しても、その台風による被害は補償の対象になりません。

参考にした公式情報

  • 国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」
  • JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」
  • 日本損害保険協会「損害保険Q&A 保険金の請求について」
  • 国税庁「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」
  • 気象庁「台風情報」
台風で車が冠水した後、エンジンをかけていい?車両保険と最初の連絡先 — クルマ 関連イラスト (どうする?)
Photo by Benjamin Cheng on Unsplash
#台風 #車両保険 #冠水 #廃車手続き

参考資料

  1. 国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」
  2. JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」
  3. 日本損害保険協会「損害保険Q&A 保険金の請求について」
  4. 国税庁「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」
  5. 気象庁「台風情報」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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