パートの有給休暇は何日つくか。週の勤務日数と勤続年数で決まり、10日に届いた年から会社側に義務が出る

結論

パートやアルバイトにも年次有給休暇はつきます。条件は雇入れから6か月の継続勤務と、全労働日の8割以上の出勤の二つ。日数は週の所定労働日数と勤続年数の表で決まります。10日に届くと会社側に年5日取らせる義務が生じ、10日未満でも請求した日に与えない会社には別の罰則があります。

どうする?編集部 · · 読了 約12分
目次(11項目)
  1. 結論:週1日の勤務でも有給はつく。日数は表で決まっている
  2. 30時間の線を先に見る。週4日でも正社員と同じになる
  3. 一枚の表にすると、自分の日数はすぐ出る
  4. 10日に届いた年から、会社側の義務に変わる
  5. まだ8日の人が持っている、もっと重い条文
  6. 取ったことを理由に、減らされたり欠勤扱いにされたりはしない
  7. 有給を1日取ると、いくら払われるのか
  8. 8割の出勤率は、休んだ日がすべて欠席になるわけではない
  9. シフト制なら、シフト希望と同じタイミングで出す
  10. 会社に聞く前に、手元で確かめられる二つ
  11. 断られたとき、どこへ持ち込むか

結論:週1日の勤務でも有給はつく。日数は表で決まっている

「うちはパートだから有給はない」。そう言われて引き下がる必要はありません。厚生労働省のリーフレットは、この一言をそのまま質問として取り上げ、「年次有給休暇は、要件を満たせば必ず発生します。会社がそのような主張をしたとしても、一定の要件を満たした全ての労働者に取得する権利があります」と答えています。所定労働日数が少ないパートタイム労働者であっても、その日数に応じて取得できる、というのが同省の説明です。

発生する条件は二つだけです。

  1. 雇入れの日から起算して6か月間、継続して勤務していること
  2. その期間の全労働日の8割以上、出勤していること

両方を満たした日に、有給休暇は自動的に発生します。会社が制度として用意してくれるから生まれるものではありません。以後は1年ごとに、勤続年数に応じた日数が積み上がっていきます。

この「6か月経過日」が最初の基準日です。4月1日に働き始めた人なら10月1日、9月16日に始めた人なら翌年3月16日。次の付与はその1年後になります。

ただし基準日は、会社の運用で前にずれることがあります。厚生労働省は、4月1日入社の社員に入社日の時点で10日以上を前倒しで付与し、以降を年度単位で管理している会社について、「この場合、4月1日が基準日となります」と示しています。前倒しで付与した場合も、付与日数の合計が10日に達した日から1年以内に5日取らせる義務が発生します。全社員の基準日を4月1日にそろえる会社は珍しくないので、法定の6か月経過日と会社の運用の両方を見ないと自分の基準日は確定しません。

何日つくかは、次の三つで決まります。

  • 週の所定労働時間(1日の契約時間 × 週の日数)
  • 週の所定労働日数、決まっていなければ年間の所定労働日数
  • 基準日から数えた勤続年数

上の二つは契約書か労働条件通知書に書いてあります。まずそれを引き出しから出すところから始めてください。三つ目の勤続年数は、基準日が確定すればそこから数えられます。

30時間の線を先に見る。週4日でも正社員と同じになる

多くの人が読み飛ばすのが、比例付与の入口にある条件です。日数が少ない人が自動的に比例付与になるわけではありません。

比例付与の対象になるのは、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が48〜216日)の場合です。裏を返すと、週の所定労働時間が30時間以上あるなら、週の勤務が4日でも一般労働者と同じ表を使います。

たとえば週4日・1日8時間の契約なら、週32時間です。この人は6か月で10日つきます。同じ週4日でも1日6時間なら週24時間なので比例付与になり、6か月で7日です。同じ「週4日のパート」でも、契約時間が2時間違うだけで初年度の日数が3日変わります。

週の日数が月によって動くシフト制の場合は、年間の所定労働日数で区分を決めます。年間169〜216日が週4日相当、121〜168日が週3日相当、73〜120日が週2日相当、48〜72日が週1日相当です。

一枚の表にすると、自分の日数はすぐ出る

厚生労働省の資料では、一般労働者の表と比例付与の表が別に置かれています。同じ軸で並べ直すと次のようになります。

勤続年数週5日以上または週30時間以上週4日週3日週2日週1日
6か月10日7日5日3日1日
1年6か月11日8日6日4日2日
2年6か月12日9日6日4日2日
3年6か月14日10日8日5日2日
4年6か月16日12日9日6日3日
5年6か月18日13日10日6日3日
6年6か月以上20日15日11日7日3日

縦は勤続年数、横は週の勤務日数です。週3日で3年勤めた人なら、2年6か月の行と週3日の列が交わる6日。次の基準日(3年6か月)を越えると8日に増えます。

一段ずつ均等に増えるわけではない点に気づいたでしょうか。週3日の列は1年6か月と2年6か月がどちらも6日で、3年6か月で急に8日へ跳ねます。「毎年1日ずつ増えるはず」という感覚で数えると合いません。表を見るのが確実です。

10日に届いた年から、会社側の義務に変わる

付与日数が10日以上になった労働者については、会社は基準日から1年以内に5日を、時季を指定して取得させなければなりません。対象は法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者で、管理監督者も含まれます。パートかどうかは条件に入っていません。10日という数字だけが線です。

表と重ねると、その線はこうなります。

週の勤務日数10日に届く時期
週5日以上・週30時間以上6か月
週4日3年6か月
週3日5年6か月
週2日以下届かない(週2日は最大7日、週1日は最大3日)

週4日のパートで4年目に入る人、週3日で6年目に入る人は、その年から会社側に義務が生じます。有給が使いにくい職場にいるなら、ここが交渉の材料になる年です。

数え方には注意点が一つあります。10日以上かどうかは繰越分を除いた、その年度の付与日数で判定します。前年の残りと足して10日を超えても対象にはなりません。

会社側の義務には手続きも決められています。時季指定にあたっては労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければならないとされています。勝手に日を決められる仕組みではありません。また、すでに自分で5日以上請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定は不要であり、することもできない、というのが厚生労働省の説明です。

まだ8日の人が持っている、もっと重い条文

週3日で勤続3〜5年なら、いま手元にあるのは8日か9日で、年5日の義務には届きません。ただし届いていない人が丸腰かというと、そうではありません。

厚生労働省のリーフレットは、違反の種類ごとに罰則を並べています。年5日を取得させなかった場合は労働基準法第39条第7項の違反で、第120条により30万円以下の罰金。使用者が時季指定をするのに就業規則へ記載していない場合も、第89条の違反として同じく30万円以下の罰金です。そして労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合は、第39条(第7項を除く)の違反として第119条にかかります。三つのうちいちばん重いのは、年5日の義務ではなくこちらです。

第119条の罰則は、現行の条文では6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。2022年の刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、2025年6月1日から施行されたことによるもので、いま公開されている厚生労働省のリーフレットには改正前の「懲役」の表記が残っています。読み替えて構いません。

8日しかない人でも、その8日を請求した日に取らせないことは、より重い罰則が置かれた違反にあたるということです。年5日の義務は「会社が動かなければならない」という話であって、「10日未満の人は取れない」という話ではありません。

なお同じリーフレットは、違反は対象となる労働者1人につき1罪として扱うとしたうえで、労働基準監督署の監督指導では原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図ってもらうこととしている、とも書いています。相談したその日に罰金が科される仕組みではなく、まず是正の指導が入ると考えておくと、期待値がずれません。

取ったことを理由に、減らされたり欠勤扱いにされたりはしない

「有給は取れるらしいが、取ったあとが怖い」。ここが本当の関門です。条文はあります。

労働基準法附則第136条は、年次有給休暇を取得した労働者に対する不利益取扱いを禁止しています。香川労働局の書き方が、いちばん具体的です。「年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額や精皆勤手当及び賞与の算定等に際して、欠勤として取り扱う等の不利益な取扱いはしないようにしなければなりません」。厚生労働省のリーフレットも、不利益な取扱いには賃金の減額など、年次有給休暇の取得を抑制するようなすべての取扱いが含まれる、としています。

静岡労働局はさらに踏み込んで、年次有給休暇取得中の賃金の支払いについては「出勤したもの」として取り扱うよう求め、賃金の減額や精皆勤手当・賞与の算定などにおいても欠勤扱いとして不利益な取扱いはできない、と書いています。

実際にやることは決まっています。有給を取った月の給与明細と、就業規則の手当・賞与の条文を並べます。皆勤手当が消えている、賞与の出勤率に響いている、といった形が見つかったら、「この月の有給取得日を欠勤として扱っていませんか」と、日付と金額を挙げて聞きます。制度の一般論ではなく、自分の明細の数字で聞くほうが話が速く進みます。

有給を1日取ると、いくら払われるのか

取るか取らないかは、たいていここで決まります。金額の決まり方は3方式で、どれを採るかは会社ごとに定められています。

  1. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  2. 平均賃金
  3. 健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する額(労使協定を結んだ場合に限る)

いちばん多いのが1です。文言のとおり、その日にシフトどおり働いていたら受け取るはずだった額が出ます。時給1,100円で1日5時間の所定なら5,500円。週3日・1日5時間で働いている人が1日休んでも、その週に振り込まれる額は変わらない計算になります。1日の所定が4時間の日と6時間の日が混ざっているなら、休んだその日の所定時間で決まります。

2の平均賃金と3の標準報酬月額の30分の1は計算式が別で、同じ1日でも出る額が変わります。どれを採っているかは就業規則の年次有給休暇の条文に書いてあるので、明細と一緒に見ておきます。3を採るには労使協定が要るため、協定のない事業場では1か2のどちらかです。

1日単位で使いにくい人向けには、労使協定があれば時間単位の取得もできます。労働基準法第39条第4項が定める上限は5日の範囲内です。協定がない事業場では使えないため、まず制度の有無を聞くところからになります。

8割の出勤率は、休んだ日がすべて欠席になるわけではない

もう一つの条件である出勤率も、誤解されやすいところです。計算式は「出勤した日 ÷ 全労働日 × 100」ですが、実際に働いていない日でも出勤扱いになるものがあります。

厚生労働省は、次の期間を出勤したものとして取り扱う必要があるとしています。

  • 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のため休業した期間
  • 産前産後の女性が労働基準法65条の規定によって休業した期間
  • 育児休業または介護休業をした期間
  • 年次有給休暇を取得した期間

最後の一つを見落とすと、計算が逆向きになります。「有給を使うと出勤日が減って、来年8割を割るのではないか」という心配は要りません。有給で休んだ日は、翌年の判定では出勤した日として数えられます。取らずに残すことが出勤率を守ることにはならない、ということです。

さらに、遅刻や早退をした日はその日を出勤に含めて数え、休日に出勤した日は全労働日から除いて扱われます。会社都合の休業期間なども、原則として全労働日から除かれます。

私傷病による休職はこれらに含まれないため、出勤率が8割に届かず付与されない年が出ることはあります。ただしその後で回復すると、日数は勤続年数のほうに追いつきます。厚生労働省は、8割に満たず付与されなかった労働者が継続勤務2年6か月の時点で直近1年の出勤率が8割以上になった場合、付与日数は継続勤務年数に応じた12日になると示しています。一度飛ばしても、日数が1年目に巻き戻るわけではありません。

シフト制なら、シフト希望と同じタイミングで出す

年次有給休暇を取る日は労働者が指定することで決まり、会社は指定された日に与えなければなりません。会社にできるのは時季変更権の行使だけです。静岡労働局は、ここで言う「正常な運営を妨げる」とは年度末や決算期などの業務繁忙期に多数の労働者の取得請求が集中するなどの場合に限られる、と書いています。厚生労働省も、この判断は請求した労働者の所属する事業場を基準に個別的・具体的・客観的に行われるものだとしています。忙しいという一言で足りる話ではない、ということです。

シフト制の職場には、もう一段はっきりした説明があります。厚生労働省は同じページで最高裁の判例(弘前電報電話局事件)を引き、勤務割を変更して代替勤務者を配置することが可能であるにもかかわらず、休暇目的によってそのための配慮をせずに時季変更権を行使することは許されない、と紹介しています。人を回せるのに回さないまま断るのは、時季変更権の行使として通らないということです。

実務としては、シフト希望の提出締切と同じタイミングで「◯月◯日は年次有給休暇を使います」と出すのがいちばん揉めません。口頭ではなく、勤怠システムの申請、メール、シフト希望票への記入など記録が残る形にします。シフトが確定したあとに申し出ても、指定した日に与える義務そのものは変わりませんが、代替の手配というやり取りが一つ増えます。

会社に聞く前に、手元で確かめられる二つ

手がかりは二つあります。

就業規則。常時10人以上の労働者を使用している事業場には作成義務があり、休暇に関する事項は必ず記載しなければならない項目に入っています。しかも周知義務があり、各作業場の見やすい場所への掲示か備付け、書面の交付、または常時内容を確認できるパソコン等の設置のいずれかで、労働者が見られる状態になっているはずです。年休の賃金をどの方式で計算するか、繰越分と当年分のどちらから消化するかも、たいていここに書かれています。

年次有給休暇管理簿。会社は労働者ごとに、時季・日数・基準日を明らかにした書類を作成し、当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。つまり、あなたの基準日と付与日数と取得日数の記録は必ず存在します。「私の基準日は何月何日で、今年度の付与日数と残日数は何日ですか」と聞けば、調べる材料は先方の手元にあるということです。

聞くタイミングは早いほど有利です。請求権は2年で時効にかかるので、放っておくと古い分から消えていきます。

断られたとき、どこへ持ち込むか

話が通らないときの持ち込み先は二つあります。使い分けは、相手に何をしてほしいかで決まります。

総合労働相談コーナー。 各都道府県労働局と全国の労働基準監督署内など378か所に置かれています。利用は無料で予約も要らず、厚生労働省は相談者のプライバシーの保護に配慮した相談対応を行うとしています。解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題が対象で、有給を取ったあとの扱いに関する話もここに入ります。まず状況を整理したい段階なら、ここが入口です。名前を出したくない事情があるなら、話し始める前に「名前を伏せたまま相談できますか」と聞いておきます。

労働基準監督署。 付与そのものがない、請求した日に取らせてもらえない、といった法違反をはっきり伝えるならこちらです。持っていくのは、就業規則の写し、勤務日数がわかるもの(労働条件通知書、シフト表、給与明細)、それに管理簿の開示を求めたときの会社の回答です。伝え方は「有給がもらえません」ではなく、「週3日勤務で勤続4年ですが、比例付与の8日が付与されていません」「◯月◯日を指定して請求しましたが与えられませんでした」と、日数と日付で言います。

どちらへ行くにも、手元にそろえるものは同じです。契約書か労働条件通知書、直近の給与明細、シフト表、そして会社とのやり取りの記録。今週のうちに管理簿の内容を聞いておけば、この四つは自然にそろいます。

パートの有給休暇は何日つくか。週の勤務日数と勤続年数で決まり、10日に届いた年から会社側に義務が出る — くらし 関連イラスト (どうする?)
Photo by Annie Spratt on Unsplash

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#年次有給休暇 #パートタイム労働者 #比例付与 #労働基準法 #年5日の時季指定 #就業規則

参考資料

  1. e-Gov法令検索 労働基準法(第39条・第119条・第120条・附則第136条)
  2. 厚生労働省 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有休があると聞きましたが、本当ですか。
  3. 厚生労働省 確かめよう労働条件 年次有給休暇
  4. 厚生労働省 確かめよう労働条件 年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえますか?
  5. 厚生労働省 リーフレットシリーズ労基法39条「年次有給休暇」の付与日数は、法律で決まっています
  6. 厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
  7. 静岡労働局 労働基準法の概要(年次有給休暇)
  8. 香川労働局 年次有給休暇
  9. 鹿児島労働局 年次有給休暇 Q8(年次有給休暇の買上げ)
  10. 鹿児島労働局 年次有給休暇 Q12(出勤率の算定)
  11. 厚生労働省 働き方改革特設サイト 年次有給休暇の時季指定
  12. 東京労働局 年5日の年次有給休暇の確実な取得
  13. 厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 労働者の方へ
  14. 厚生労働省 スタートアップ労働条件 年次有給休暇はどのような場合に、何日与えなければならないのでしょうか?
  15. 厚生労働省 スタートアップ労働条件 すでに5日以上取得している労働者にも時季指定をしなければならないのでしょうか。
  16. 厚生労働省 スタートアップ労働条件 私傷病による休職者や育児休業取得者が復職した場合の取扱い
  17. 北海道労働局 就業規則を作成・届出、周知しましょう
  18. 厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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