梅雨になると頭痛が毎回くる。低気圧が原因なら、市販薬より先にすべきことがある
低気圧頭痛は気象病の一つで、市販鎮痛薬は月10日未満であれば短期的に有効ですが、それ以上になると薬物乱用頭痛のリスクが高まります。月4回以上の発作があれば、脳神経内科または頭痛外来への受診を検討してください。
天気が崩れる前から頭が痛くなるとき、まず確認してほしいのは「今月、市販鎮痛薬を何日飲んでいるか」という点です。月10日を超えているなら薬物乱用頭痛への移行リスクがあり、月4〜5回以上の発作があれば脳神経内科に相談する段階です。梅雨の時期は気圧の変動が特に大きくなるため、「毎年この時期だけひどくなる」という人もいます。市販薬を飲む前に、気圧予測と事前の準備を組み合わせると、発作の頻度が減ることがあります。
気圧が下がると頭痛が起きる理由
気圧の変化を体の中で最初に感知するのは、耳の奥にある前庭器官です。気圧が低下すると内耳の圧力バランスが崩れ、その信号が自律神経の乱れを引き起こします。その結果、血管の収縮・拡張のリズムが乱れ、頭痛が起きやすくなります。
偏頭痛(片頭痛)を持つ人は、脳の血管や三叉神経が刺激に対して反応しやすいため、気圧の低下が発作を誘発しやすいとされています。梅雨前線が近づくとき、低気圧が本州を通過するとき、台風が接近するときは、いずれも気圧が大きく下がるタイミングです。
こうした天候に伴う体の不調は「気象病」「天気痛」とも呼ばれています。診断名ではなく、症状の分類として使われる言葉です。頭痛のほか、倦怠感・関節の痛み・めまい・気分の落ち込みを訴える人もいます。
梅雨は「気圧が低い日が続く」のではなく「気圧の上下動が繰り返される」季節です。この変化の回数が多いほど、発作のきっかけが増えます。
市販薬を使う際の注意点
市販の鎮痛薬(ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなど)は、頭痛が始まってから早い段階で服用すると効きやすくなります。「もう少し我慢してから飲もう」と時間を置くほど、薬が効くまでに時間がかかります。
注意したいのは月の使用日数です。
- 月9日以内:一般的な使い方として問題になりにくい範囲
- 月10〜14日:薬物乱用頭痛(MOH)に移行しやすいリスク域
- 月15日以上(複合鎮痛薬の場合は10日以上):MOHが診断されうる水準
薬物乱用頭痛になると、薬を飲まないと頭痛が起き、飲むと一時的に治まるというサイクルから抜け出しにくくなります。梅雨の期間中に毎日のように鎮痛薬を使っている場合は、一度カレンダーで使用日を数えてみてください。
胃が弱い方には、NSAIDよりもアセトアミノフェン(カロナール等)の方が胃への負担が少なくなります。ただし用量を守って使う点は共通です。
頭痛が来る前に試せる準備
スマートフォンの気圧予測アプリ(「頭痛ーる」等)を使うと、翌日の気圧変化のグラフを前日に確認できます。大きく下がる日がわかれば、前日夜から睡眠を十分に取り、過度な飲酒・カフェインの摂りすぎ・夜更かしを避けるだけで発作が起きにくくなることがあります。
漢方の五苓散は、気圧変化の前日から服用することで頭痛を予防できる場合があるとして、一部の頭痛外来で選択肢に挙げられています。エビデンスはそれほど厚くありませんが、月に何度も繰り返すケースでは試す価値があります。ドラッグストアの漢方コーナーで入手できます。
こまめな水分補給も自律神経の安定に関わります。梅雨は室内での脱水に気づきにくいため、のどが渇く前に水やお茶を少しずつ飲む習慣を意識してみてください。
エアコンの使い始める時期でもあります。設定温度が外気温と差がありすぎると自律神経が乱れやすいため、室内外の温度差は5度以内を目安にすると体への負担が減ります。
この頭痛が偏頭痛かどうかを見分ける
低気圧頭痛の多くは、偏頭痛の「誘発因子」として気圧変化が関係しているケースです。次に複数当てはまる場合、偏頭痛の発作として考えた方がよい可能性があります。
- 頭の片側がズキズキ脈打つような痛み
- 動くと痛みが強くなる
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 光・音・においで症状が悪化する
- 発作の数十分前に視野が光ってちらつく(閃輝暗点)
これらに当てはまれば、「天気が悪い日に発作が起きやすい偏頭痛」として治療を進めることになります。偏頭痛の急性期治療薬(トリプタン系)は処方薬のため、市販では入手できません。
一方、頭全体をじわじわ締め付けるような鈍い痛みが続くタイプは緊張型頭痛に近く、気圧が引き金になっていても偏頭痛とは扱いが異なります。首・肩をほぐすストレッチや、換気をして室温を整えることが基本的な対処になります。
自分でどちらか判断がつかない場合は、頭痛の日時・天気・痛みの性質・場所(片側か両側か)・随伴症状をメモしておくと、受診時に役立ちます。
脳神経内科への受診を検討するタイミング
日常生活への支障が出るほどの頭痛が月4回以上あれば、脳神経内科または頭痛外来への受診を考える段階です。また市販薬が以前ほど効かなくなってきた、月10日以上の服薬が続いているという場合も同様です。
すぐに受診すべきサインは別にあります。「突然の最大級の頭痛(雷鳴頭痛)」「発熱と首の硬直を伴う」「手足のしびれや言葉が出にくい症状が重なる」場合は、当日中に救急を受診してください。
通常の受診の場合の費用の目安(3割負担)は次のとおりです。
- 初診(脳神経内科):1,500〜3,000円
- 頭部MRI(必要な場合):6,000〜9,000円
- トリプタン処方薬(1回分・薬価):300〜800円
- 予防薬・漢方処方(1か月):1,000〜3,000円
頭痛外来の専門医を探す際は、日本頭痛学会の公式サイトで認定頭痛専門医のいる施設を検索できます。
梅雨の時期だけ頭痛がひどい場合の見方
梅雨が明けると症状が落ち着く人は、気圧変化が主な誘発因子と考えられます。その場合は秋から冬の台風シーズンに再び悪化する可能性があります。
梅雨が明けても頭痛が続く、あるいは年々発作の頻度が増えているなら、気圧以外の要因(睡眠不足、肩こり、ホルモンバランスなど)が重なっている可能性があります。「毎年梅雨だけひどい」が「最近は年中ある」に変わってきた場合は、梅雨明け後に一度受診しておくと、その後の管理がしやすくなります。
予防薬(Ca拮抗薬やβ遮断薬など)を使うほどではない段階でも、トリプタンの処方を受けておくと、発作が起きたときに市販薬より早く対処できます。市販薬を毎回10錠以上使っているような状況なら、処方薬に切り替えた方が結果的に費用も体への負担も少なくなることがあります。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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