麻疹(はしか)が全国流行中。妊婦・乳児がいる家庭は抗体検査をどうする?
妊婦本人はワクチン接種不可。家族(夫・上の子・同居者)の抗体確認と必要なら接種を検討。乳児は1歳前の早期接種(生後6か月から可)を主治医と相談してください。
目次(19項目)
結論から先に
2026年4月時点で、麻疹(はしか)は前年同時期の4.5倍以上のペースで流行しています。家族に妊婦や1歳未満の乳児がいる家庭は、特に注意が必要です。妊婦本人はMRワクチンを接種できないため、家族(夫、上の子、同居者)の抗体確認と必要に応じた接種で「囲い込み」をするのが基本です。1歳未満の乳児は通常1歳でのMRワクチン接種ですが、流行時は生後6か月からの任意早期接種を小児科で相談する選択肢があります。1972〜1990年生まれは1回接種世代で免疫不十分の可能性があり、家族として接種を検討する価値があります。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
麻疹の感染力の強さ
麻疹は感染症の中で最強クラスの感染力です。
- 基本再生産数 R0:12〜18(インフルエンザは1〜2)
- 空気感染で1人から12〜18人に感染
- マスクではほぼ防げない
- ワクチン未接種者の感染率はほぼ100%
- 発症数日前から感染力あり
「感染したかどうか分からない人」も周囲に感染を広げます。
2026年の流行状況
国立感染症研究所のデータによると。
- 第14週(4月8日まで):236例
- 第15週:299例
- 第16週(4月22日):362例
- 毎週60例以上のペース
- 前年(2025年)の年間累計265例を4月で超過
過去最大級の流行で、収束時期は未定です。
感染世代の特徴
感染者の83%が15〜49歳の活動世代です。
- 20〜29歳:29%
- 15〜19歳:20%
- 40〜49歳:18%
通勤・通学・買い物で人と接触が多い世代に集中しており、家庭にウイルスを持ち込むリスクが高い世代でもあります。
妊婦の感染リスク
妊婦が麻疹に感染すると、本人と胎児に深刻な影響が出ます。
- 流産・早産のリスクが高まる
- 胎児発育の影響
- 母体の合併症(肺炎、脳炎)
- 周産期の医療体制への影響
「自分が罹らないこと」が、胎児を守るための最大の予防です。
1972〜1990年生まれの免疫
この年代は「1回接種世代」と呼ばれます。
- ワクチン定期接種は1回のみ
- 2回接種が推奨されるようになったのはその後
- 免疫が不十分な人が一定割合いる
- 抗体検査または追加接種が推奨
「子どもの時にワクチンを受けた」だけでは不十分な可能性があります。
抗体検査の流れ
抗体検査を受ける手順です。
- 内科・産婦人科で受診
- 採血(IgG抗体価)
- 結果1週間程度
- 抗体価が十分なら接種不要
- 抗体価が低いなら追加接種を検討
費用は3,000〜5,000円(自費、自治体補助あり)。
MRワクチンの接種
抗体価が低い場合のMRワクチン接種です。
- 費用 1万円前後(自費、自治体補助あり)
- 接種後2か月は避妊
- 効果発現まで2〜4週間
- 1回接種で約95%が免疫獲得
- 2回接種推奨
接種前後の発熱、軽い発疹は副反応として知られています。
自治体補助の確認
自治体によっては成人MRワクチンに補助があります。
- 風疹追加対策(2019〜2026年度):1962〜1979年生まれ男性は無料
- 妊娠希望者向けの抗体検査:無料
- 高齢出産家庭の家族:一部補助
- 自治体ホームページで確認
「妊娠を希望している」「妊婦・乳児がいる家庭」と説明すると、独自支援が見つかることがあります。
乳児の早期接種
1歳未満の乳児へのMRワクチン接種の考え方です。
- 定期接種:1歳の誕生日以降
- 任意接種:生後6か月から(流行時)
- 任意の費用:1万円前後(自費)
- 1歳での定期接種も別途必要
早期接種は流行地域や、感染リスクが高い家庭で検討されます。
家庭での対策
妊婦・乳児がいる家庭の感染対策です。
- 家族の予防接種で「囲い込み」
- 人混みを避ける(電車ラッシュ、ショッピングモール土日)
- 家族が外出後はうがい・手洗い
- 帰宅後の着替え
- 受診先には事前に「妊婦・乳児がいる」と伝える
- 妊婦健診・乳児健診を中断しない(医療機関は別の感染対策あり)
「家族の感染を防げば、本人の感染リスクが下がる」が基本です。
麻疹の症状
万一感染した場合の初期症状です。
- 38度以上の発熱
- 3〜4日で一旦下がり、再び高熱
- 鼻水・咳・結膜炎
- コプリック斑(口の中の白い斑点)
- 全身に発疹が広がる
- 重症化で肺炎、脳炎のリスク
「風邪と思って受診」して感染を広げるケースがあるので、麻疹流行地域では早めに医療機関に電話相談を。
受診時の注意
麻疹疑いで受診する際、医療機関に事前連絡が必要です。
- 「麻疹の可能性がある」と電話
- 別室待機を依頼
- 来院時のマスク
- 他の患者との接触を避ける
医療機関は感染防護策を取って受け入れるので、無断来院は避けてください。
学校・保育園での対応
子どもが麻疹と診断された場合の登園・登校。
- 発症から解熱後3日まで出席停止
- 学校保健安全法の対象
- 同じクラスでの集団発生時は休園・休校の可能性
- 復帰時は医師の意見書
「軽くなったから登園」と早期復帰すると感染が広がります。
海外渡航と麻疹
海外旅行・出張で麻疹リスクがある国に行く前のチェック。
- アジア・アフリカで流行中の国あり
- 渡航前に抗体検査
- 必要に応じてMRワクチン接種
- 帰国後の健康観察
職場の海外出張規程で接種が推奨されている企業もあります。
ワクチン供給の現状
2024年からのワクチン供給問題が続いています。
- 武田薬品のMRワクチン自主回収
- 他社製ワクチンへの依存
- 全国的な供給逼迫
- 医療機関での予約待ち
接種を希望する場合は、複数の医療機関に問い合わせが必要なことがあります。
家族で話し合うこと
妊娠中の家庭で、家族間の認識合わせ。
- 抗体検査の予定
- 接種の費用負担
- 外出パターンの見直し
- 上の子の保育園・学校での流行情報
- 緊急時の連絡先
「妊婦のために」ではなく、「家族全員で予防する」姿勢で話すと協力が得られやすいです。
よくある質問
Q. 1972〜1990年生まれは『1回接種世代』と聞きました。追加接種すべき?
1972〜1990年生まれは制度上ワクチン1回しか接種していない可能性があり、免疫が不十分なことがあります。家族に妊婦や1歳未満乳児がいる場合、抗体検査または追加のMRワクチン接種を検討する価値があります。抗体検査は3,000〜5,000円程度、MRワクチンは1万円前後(任意で自費)です。
Q. 妊婦本人にワクチンは打てますか?
MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)は生ワクチンのため、妊娠中は接種できません。接種後2か月間は避妊が必要です。妊娠が判明している方は、家族や同居者の予防接種で「感染源を作らない」囲い込みが基本です。出産後に接種する場合は、産科医と相談してタイミングを決めます。
Q. 1歳未満の乳児にワクチン接種できますか?
通常、MRワクチン1回目は1歳の誕生日以降の接種が定期接種スケジュールです。麻疹流行時には、生後6か月から1歳未満で任意接種する「早期接種」が推奨されることがあります。任意接種のため自費(1万円前後)ですが、流行地域では小児科医と相談してください。1歳での定期接種は別途必要です。
Q. 感染を避けるために外出はどう工夫しますか?
麻疹は空気感染で感染力が極めて強いため、マスクでは完全に防げません。妊婦・乳児がいる家庭では、(1)人混み(電車のラッシュ、ショッピングモールの土日)を避ける、(2)家族が外出後はうがい・手洗い・着替え、(3)受診時は事前に医療機関に妊婦・乳児がいることを伝える、などが現実的です。
参考資料
- 厚生労働省「麻しん(はしか)」— 公式情報
- 国立感染症研究所「麻疹発生動向」— 流行状況
- 日本産科婦人科学会「妊娠と感染症」— 妊婦向けガイド
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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