結論から先に
咽頭結膜熱(プール熱)は学校保健安全法の「第二種感染症」に指定されており、「主要症状が消退した後2日を経過するまで」は出席停止とされています。主要症状とは「発熱」「咽頭炎(喉の赤みや痛み)」「結膜炎(目の充血・かゆみ)」の3つです。
日数の数え方には決まりがあります。**3つの症状がすべて消えた日は、日数に数えません。**その翌日を1日目、翌々日を2日目と数え、この2日間を休んで3日目から登園できます。火曜日に症状が消えたなら、水曜日(1日目)と木曜日(2日目)を休み、金曜日から登園です。医師の意見書や登園届を求める保育園もあるため、かかりつけ医と園に確認してください。
出席停止の決まり
学校保健安全法施行規則(第19条)では、咽頭結膜熱について次のように定めています。
「主要症状が消退した後2日を経過するまで」出席停止
ここで重要なのは「主要症状すべてが消えてから」数え始めるという点です。
| 症状 | 状態の確認 |
|---|---|
| 発熱 | 平熱に戻ること(37.5℃未満を目安) |
| 咽頭炎 | 喉の赤みや痛みが落ち着くこと |
| 結膜炎 | 目の充血・かゆみ・目やにが消えること |
1つでも残っていれば、カウントは始まりません。
日数の数え方
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」は、出席停止期間の算定について「解熱等の現象がみられた日は期間には算定せず、その翌日を1日目とします」と定めています(同ガイドライン5ページ「出席停止期間の算定について」)。咽頭結膜熱の「主要症状が消退した後2日」も同じ数え方で、症状が消えた日は数えず、翌日から数え始めます。インフルエンザの「解熱した後2日」がよく図解されるのと同じ考え方です。
具体的なカレンダーの例
- 火曜日:3症状すべて消失(この日は数えない)
- 水曜日:1日目(休む)
- 木曜日:2日目(休む)
- 金曜日から登園可能
土日を挟む場合も数え方は変わりません。たとえば金曜日に症状が消えたなら、土曜日(1日目)・日曜日(2日目)と数えて、月曜日から登園できます。
ただし、これは法律の最低基準です。保育園・幼稚園が独自にさらに長い休養を求めることがあります。必ず園に確認してください。
何日休む目安
アデノウイルス感染後の症状は個人差がありますが、一般的な経過の目安です。
- 発熱:38〜40℃の高熱が3〜5日続くことが多い
- 喉の症状:赤みや痛みは発熱と同時期に出て、数日で落ち着く
- 目の症状:充血・目やには発症後1〜2日で出始め、1週間前後続くことがある
目の症状が最後まで残る場合が多く、症状消失の判断がしにくいことがあります。目の充血・かゆみ・目やにがほぼなくなってから医師に登園許可を相談してください。
結果として、発症から登園再開まで7〜10日間かかるケースが多いです。
家での過ごし方
感染拡大を防ぐ
アデノウイルスは感染力が高く、糞口感染・飛沫感染・接触感染で広がります。家庭内での対策が重要です。
- タオルの共有禁止:目のタオル・洗面タオルは個人用にする
- 手洗いの徹底:石鹸と流水で20秒以上。アルコールはアデノウイルスに効きにくいため、石鹸が有効
- トイレ後・食事前後は特に念入りに
- ドアノブ・水道の蛇口は拭き取り消毒:次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効
- プールの使用禁止:症状消失後2日経過するまで
子どもの体調管理
- 38.5℃以上の発熱には解熱薬(医師の指示に従う)
- 水分補給:喉が痛くて飲みにくい場合はゼリー・アイスなど冷たいものが飲みやすい
- 目やには清潔なガーゼで外側から内側に向けてやさしく拭く
- 目薬は医師に処方されたものを使用
重症化のサインに注意
次の症状が出た場合は早めに受診してください。
- 高熱が5日以上続く
- 水分が全くとれない・尿が出ない
- ぐったりして意識が薄い
- 呼吸が苦しそう
保育園と学校で扱いが違う点
出席停止を定めた学校保健安全法は、学校・幼稚園が直接の対象です。**保育所はこの法律の直接の対象ではありません。**保育所については、こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン」が、施行規則の基準に準じた「登園のめやす」を示す形になっています。同ガイドラインは咽頭結膜熱の登園のめやすを「発熱、充血等の主な症状が消失した後2日を経過していること」としており、日数の中身は学校と同じです。
違いが出るのは、書類の運用です。同ガイドラインは、登園を再開する際の取扱いを「個々の保育所で決めるのではなく、市区町村の支援の下、地域の医療機関、地区医師会・都道府県医師会、学校等と協議して決める」としています。つまり運用は自治体・地域単位で変わり、園ごとに求められる書類も変わります。
医師の意見書・登園届について
咽頭結膜熱は、同ガイドラインで「医師が意見書を記入することが考えられる感染症」に分類されています。ただしガイドラインの参考様式には「意見書は、一律に作成・提出する必要があるものではありません」と明記されており、必要かどうかは地域と園の運用次第です。
書類の形式・名称は園によって異なります。よくあるパターン:
- 医師が記入する「意見書」を園の様式で提出する
- 保護者が記入する「登園届」を提出する
- 書類の提出は求められず、口頭の連絡だけでよい
自分の園の決まりを探す場所
ガイドラインは、書類の要否が決まった場合には「事前に保護者に十分周知することが重要」としています。つまり、すでにどこかで案内されているはずです。次の順に探すと見つかります。
- 入園時に受け取った書類一式:重要事項説明書、園のしおり、保健のしおりに「感染症にかかったとき」の項があることが多い
- 園から配られる保健だよりや掲示
- 自治体(市区町村)の保育課のウェブサイト:意見書・登園届の様式を配布している自治体が多い
どこにも見当たらなければ、受診の前に園へ電話で確認してください。受診後に書類が必要だと分かると、再受診が必要になります。なお、医師が記入する意見書は保険外(自費)となることがほとんどです。
よくある質問
Q. アデノウイルスには種類があると聞きました。プール熱と同じですか? A. アデノウイルスには多くの型があります。咽頭結膜熱(プール熱)は主にアデノウイルス3型・7型が原因です。他の型では咽頭炎・胃腸炎・肺炎などの症状を引き起こすこともあります。
Q. 学校や職場の通知・連絡はどうすればいいですか? A. 保育園・幼稚園には診断がついた時点で連絡してください。職場への連絡は必須ではありませんが、家庭内で感染者が出ていることを報告しておくと配慮してもらいやすくなります。
Q. 解熱後すぐ元気だけど、やはり2日間待たないとダメですか? A. 元気に見えても感染力が残っている可能性があります。法律の規定(2日間)に加え、目の症状がある間は特に感染リスクが高いです。症状の有無を正確に確認してから登園を判断してください。
Q. コンジャンクティビン(流行性角結膜炎)とは違いますか? A. 異なります。咽頭結膜熱は発熱・喉・目が3つ揃うのが特徴です。流行性角結膜炎は目の症状が主で喉・発熱はほとんどありません。どちらもアデノウイルスが原因ですが、型が異なります。
Q. アデノウイルスのワクチンはありますか? A. 日本では一般向けのアデノウイルスワクチンはありません。手洗いと感染者との接触を避けることが主な予防法です。
参考資料
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」2023年10月一部修正 — 日数の数え方(5ページ「出席停止期間の算定について」)、咽頭結膜熱の登園のめやす(50ページ)、意見書・登園届の取扱い(36ページ・83ページ)PDF / 一覧ページ
- 日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」2025年4月改訂版 — 咽頭結膜熱の登校(園)基準 PDF
- 日本小児科学会 一般の方向け「咽頭結膜熱」https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho02-08.html
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。