障害年金が2026年6月から増額。国による不支給の再点検は自分も対象?
2026年4月分から障害基礎年金は1.9%、障害厚生年金(報酬比例)は2.0%増額。6月15日振込から反映。過去に不支給とされた方は、不服申立てや額改定請求で見直しできる仕組みがあります。
目次(13項目)
2026年6月15日の振込から新しい金額
まず確認してほしいのは、2026年6月15日(月)の振込金額です。障害年金は4月分から改定が反映され、最初の振込は偶数月の15日なので、6月15日から金額が切り替わります。
改定の中身は次のとおりです。
- 障害基礎年金 1級: 月額 88,260円(前年比 +1,650円)
- 障害基礎年金 2級: 月額 70,608円(前年比 +1,300円)
- 障害厚生年金 報酬比例部分: 前年比+2.0%(個人ごとに金額が異なる)
- 障害厚生年金 3級 最低保証額: 月額 70,608円
- 障害手当金: 障害厚生年金3級の年額の2倍
2か月分(4・5月分)が一括で振り込まれるため、6月の入金額は前年同月より3,000円前後増える計算になります。年金振込通知書(6月上旬郵送)で、改定後の金額・振込日・控除額を確認できます。
通知書がまだ届かない場合は、ねんきんネットで電子版を確認できます。住所変更や口座変更を最近していた方は、通知書が前住所に送られていないか念のため確認してください。
国による再点検 444件が一転して支給
並行して動いているのが、日本年金機構による過去の不支給事案の再点検です。同じ診断書を別の認定医が見ると判定が分かれるケースが、特に精神障害(うつ病・統合失調症・発達障害・知的障害)で問題視されていました。
2026年5月時点で、過去の不支給事案444件が再点検により『不支給→支給』に変更されました。具体的には次の傾向があります。
- 精神障害で2級相当の状態にもかかわらず不支給とされていた事案
- 認定医によって等級判定が大きく分かれていた事案
- 「就労中」を理由に不支給とされたが、実態は配慮された軽就労だった事案
- 診断書の症状欄に「重度」と書かれていたが審査で軽く読まれていた事案
「自分のケースが対象なのでは?」と感じる方は、住所地の年金事務所に問い合わせるか、日本年金機構の専用窓口(0570-028-115)に連絡してみてください。再点検は機構が能動的に進めている部分もありますが、本人からの申し出による点検依頼も受け付けられます。
不支給後に取れる3つのルート
過去に不支給とされた後でも、次の3つのルートで見直しを求められます。
1. 審査請求
処分通知書を受け取った日の翌日から3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に対して文書で申し立てる手続きです。書式は地方厚生局のサイトから入手できます。
審査請求書には、不支給処分が違法または不当であると考える理由を具体的に書きます。たとえば「診断書の日常生活能力の評価がCランクなのに、認定医が独自にBに変更した」「初診日の証明書類を追加で提出したい」といった具体的な反論を組み立てます。
社労士に依頼する場合の費用相場は5万円〜15万円(着手金)です。
2. 再審査請求
審査請求で棄却された場合に、その決定を受け取った日の翌日から2か月以内に、厚生労働省の社会保険審査会に対して行います。書式と提出先は決定書に同封されています。
再審査請求では、書面審査だけでなく公開審理(東京・霞が関)で本人や代理人が口頭で意見を述べる機会が設けられます。期日の連絡は審査会から郵送されます。
3. 再請求
審査請求や再審査請求とは別に、症状が悪化したタイミングで新規に申請をやり直す方法です。これがもっとも現実的なルートになります。
具体的な流れは次のとおりです。
- 現在の主治医に診断書を依頼(料金は5,000〜10,000円)
- 病歴・就労状況等申立書を作成
- 初診日の証明書類を準備(受診状況等証明書、または初診医療機関のカルテのコピー)
- 年金事務所で受付
再請求は、症状が当時よりも明確に悪化していることが認められれば、過去の不支給歴に縛られず判断されます。前回の請求から3〜5年経過し、症状が悪化した方は検討してみてください。
受給するための3要件
ここで一度、障害年金の基本要件を整理します。3つすべてを満たさないと支給されません。
初診日要件
障害の原因になった病気・けがで初めて医師にかかった日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが必要です。20歳前に初診がある場合は、20歳前の障害基礎年金として扱われます。
初診日を証明するには、受診状況等証明書(初診の医療機関で作成)を提出します。初診の医療機関がカルテを破棄している場合(保存義務は5年)は、第三者証明や2番目の医療機関の証明など、補強書類で代替する流れになります。
保険料納付要件
初診日の前日時点で、加入期間の3分の2以上の月で保険料を納めている(または免除されている)必要があります。免除制度も納付要件に含まれるため、収入が少なくて納められなかった期間は、必ず免除申請を出しておくことが将来のために重要です。
直近1年間に未納がない場合の特例もあるため、複雑な納付歴の方は年金事務所で具体的に確認してください。
障害認定日要件
初診から原則1年6か月経過した日(障害認定日)の時点で、国が定める等級に該当している必要があります。例外として、人工透析を始めた日や、人工肛門造設日など、特定の処置を受けた日が認定日になるケースもあります。
障害認定日に該当しない場合でも、その後に症状が悪化して等級に該当した時点で『事後重症請求』が可能です。
等級判定はどう決まるか
障害認定基準は、内部障害(心臓・腎臓・呼吸器など)、外部障害(視覚・聴覚・肢体)、精神障害の3群に分かれ、それぞれ独自の基準があります。
精神障害については、診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」の組み合わせで等級が決まります。
- 1級: 他人の援助なしには日常生活がほぼできない
- 2級: 日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加える必要がある
- 3級: 労働が著しい制限を受けるか、著しい制限を加える必要がある(厚生年金のみ)
ここで重要なのが、「就労しているかどうか」は等級の決め手ではないという点です。就労中でも、配慮された軽就労(短時間勤務、業務調整、休職を繰り返す)であれば2級が認められる事例があります。診断書の「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄に、就労実態を具体的に書いてもらうことが大切です。
一生もらえるとは限らない
障害年金は永久認定と有期認定があり、新規裁定の約6割が3年以内の有期認定です。有期認定の場合、更新時期になると日本年金機構から「障害状態確認届」(更新用診断書)が送られてきます。
これを期限内に主治医に書いてもらい、機構に提出します。提出を忘れると年金が止まる場合があるため、誕生月の3か月前から準備してください。
更新で症状が軽くなったと判定されると、等級が下がる(2級→3級)か、不支給になることがあります。次の点を意識すると、更新で不利になりにくくなります。
- 更新前の3〜6か月、主治医に日常生活の困難を具体的に伝えておく
- 服薬・通院の頻度を維持する(自己判断で中止すると軽快と判断されやすい)
- 家族の介助内容、業務での配慮内容を主治医に共有
- 体調が悪い日が多い時期を診断書作成期間に重ねる
相談先
障害年金の手続きが複雑で困った時の相談先は次のとおりです。
- 住所地の年金事務所: 一般的な相談、申請書類の入手、納付要件の確認
- 市区町村役場 年金窓口: 国民年金1号被保険者の相談
- 障害年金専門の社会保険労務士: 不支給後の見直し、複雑な納付歴のケース
- NPO法人 障害年金支援ネットワーク: 一般相談(電話・メール)
社労士に依頼する場合の費用は、着手金5万円〜15万円、成功報酬として年金2か月分(または初回振込額の10〜20%)が相場です。受給できなかった場合は成功報酬が発生しない契約が一般的ですが、契約前に必ず内容を確認してください。
自分のケースが過去に不支給とされ、症状が当時より明確に悪化している、または再点検対象に該当する可能性があれば、まずは年金事務所への電話相談から動いてみてください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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