変動金利の住宅ローン、2026年の利上げで返済額はいつ・いくら増える?

結論

変動金利の返済額は5年ごとに見直されるため、利上げ直後には変わらない。だが利息は新金利で計算され元本の減りが遅くなる。残債・残期間・適用金利を確認した上で対応を検討する。

どうする?編集部 · · 読了 約6分
目次(10項目)
  1. 変動金利が返済額に反映されるまでのステップ
  2. 短期プライムレートと変動金利の関係
  3. 5年ルールと125%ルールが守ってくれること
  4. 返済額が変わらない間に起きていること
  5. 未払い利息が発生する条件
  6. 残債・残期間別:返済増加のイメージ
  7. 固定金利への切り替えが向く状況・向かない状況
  8. 借り換えを検討する場合の目安
  9. 今すぐ手元で確認すること
  10. 参考資料

変動金利で住宅ローンを借りていて、「ここ1〜2年で金利が上がっているのに、毎月の支払いが変わっていない」と感じている方は少なくないはずです。これは5年ルールという仕組みが機能しているためで、必ずしも異常ではありません。ただし、返済額が変わらない間も利息は新しい金利で計算されており、元本の減りが予定より遅れているケースがあります。まず手元の返済予定表か銀行アプリで、残債・残期間・適用金利の3点を確認するところから始めてください。

変動金利が返済額に反映されるまでのステップ

住宅ローンの変動金利は、複数の段階を経て実際の返済額に影響が出ます。

日銀が政策金利(無担保コール翌日物金利)を引き上げる→銀行が短期プライムレート(以下、短プラ)を引き上げる→変動金利の基準金利が変わる→半年ごとの金利見直しタイミングで新金利を適用→5年ごとの返済額見直しで月返済額が変わる、という流れです。

この「金利が変わること」と「返済額が変わること」の間にタイムラグがあるため、日銀が利上げしても手元の返済額がすぐ変わらないという状態が生まれます。

金利見直しのタイミングは多くの銀行で年2回(4月適用、10月適用)に設定されています。2026年6月の日銀会合で追加利上げが実施された場合、次の金利見直しは10月が有力です。返済額への反映は、さらに5年ルールの周期に依存します。

短期プライムレートと変動金利の関係

変動金利は「銀行の基準金利(短プラ連動)から優遇幅を引いた金利」で決まります。

  • 基準金利(店頭金利):短プラをもとに各行が設定
  • 適用金利:基準金利 − 優遇幅(0.5〜2%程度)

優遇幅は契約時に固定されるため、短プラが上がれば適用金利も同幅だけ上がります。短プラは日銀の政策金利に強く連動しており、利上げ後は数週間〜1か月以内に各行が引き上げるのが一般的です。

2024〜2026年の利上げ局面で、多くの銀行の変動金利(適用後の実質金利)はすでに2020年代前半の最低水準から0.5〜1%超の幅で上昇しています。2026年6月に追加利上げが実施されれば、この水準がさらに上がる見込みです。

5年ルールと125%ルールが守ってくれること

変動金利住宅ローンには、急激な返済増を緩和する2つのルールが設けられています。

5年ルールは、半年ごとに金利が見直されても、月々の返済額は5年間変えないというルールです。ローンを組んだ時点からの5年周期でリセットされ、そのタイミングになってはじめて新金利に基づく返済額に更新されます。

125%ルールは、5年ごとの見直しのタイミングに、返済額の増加を前回比125%以内に抑えるルールです。前回の月返済額が10万円なら、見直し後は最大12.5万円まで。それ以上には上げられません。

この2つのルールが機能していることで、金利が急騰しても家計への衝撃が一時的に緩和されます。

ただし注意点があります。これらのルールはすべての銀行ローンに適用されるわけではありません。フラット35などの全期間固定型ローンは金利計算のしくみ自体が異なり、5年ルール・125%ルールの対象外です。一部のネット銀行や、変動金利でも「毎月見直し型」と呼ばれる商品では適用されない場合があります。自分のローンにどちらのルールが適用されるかは、契約書か銀行の問い合わせ窓口で確認してください。

返済額が変わらない間に起きていること

5年ルールで返済額が据え置かれている間も、利息の計算は新しい金利で動いています。

毎月の返済額の中身が変わっていきます。「利息への充当分」が増え、その分「元本への充当分」が減ります。金利上昇前に組んだローンで利上げが続くと、当初の返済予定表より元本の減りが遅くなります。

具体的なイメージとして、残債2,500万円・変動金利が0.5%から1.5%に上昇した場合の月利息分を比較すると(元利均等・残期間25年の概算):

  • 0.5%時:月利息分 約10,000〜11,000円
  • 1.5%時:月利息分 約29,000〜31,000円

この差が5年間積み上がると、元本の減りは当初予定より大幅に遅れます。返済額の合計は変わっていないように見えても、実質的に「利息の後払いが積み上がっている」状態です。

これが長期間続き、さらに金利が上昇した場合に「未払い利息」という状態が起き得ます。

未払い利息が発生する条件

未払い利息とは、月々の返済額が新金利で計算した利息額を下回ったときに、差額が残高に加算される状態です。

125%ルールで返済額の上限が抑えられているときに、金利が急激に上がると発生します。

たとえば:

  • 月返済額(125%ルールで上限固定):11万円
  • 新金利で計算した月利息:11.5万円
  • → 毎月0.5万円が未払い利息として残高に上乗せされる

未払い利息は消えません。返済期間の終盤に残高が膨らんでいたり、最終回に一括で精算を求められる形になることがあります。

2024〜2026年の利上げペース(段階的な0.25%刻み)では、多くの既存ローンで未払い利息は発生していないか、発生しても小幅にとどまっています。ただし今後さらに複数回の利上げが続く場合は注意が必要で、残期間が長く残債が多い方ほど影響が出やすいです。

残債・残期間別:返済増加のイメージ

5年ルールの見直しタイミング後に変動金利が0.5%上がった場合の月返済増加の概算です(元利均等返済、参考値)。

残債残期間20年残期間25年残期間30年
1,500万円約3,800円約3,300円約3,000円
2,500万円約6,300円約5,500円約4,900円
3,500万円約8,800円約7,600円約6,800円
4,500万円約11,400円約9,800円約8,800円

※計算方式・適用金利の水準によって異なります。目安としてご参照ください。

残期間が長いほど月額への影響は小さく見えますが、同じ上昇幅でも支払い期間が長い分、総支払額への影響は大きくなります。逆に残期間が5〜7年以内の場合は、月額の変化は比較的小さく、繰り上げ返済で対処できる場合もあります。

金利が1.0%上昇した場合は、上記の数値のおよそ2倍が目安になります。

固定金利への切り替えが向く状況・向かない状況

今後の利上げが心配で固定金利への切り替えを考える場合、残債と残期間によってメリットが変わります。

切り替えが向きやすい状況

  • 残債が2,000万円以上あり、残期間も15年以上ある
  • 収入の変動(転職・育休復帰など)が見込まれ、返済額を確定させておきたい
  • 定年が近く、退職後の収入減を前提にした家計設計が必要

切り替えの効果が出にくい状況

  • 残期間が7〜10年以内で、固定・変動の差が総支払額ではあまり変わらない
  • 現在の変動金利と固定金利の差が1.5%以上あり、固定にすると総支払いが大幅に増える
  • 繰り上げ返済の原資があり、金利上昇よりも元本圧縮のペースが早い見込みがある

切り替えの際は、銀行から手数料が発生する場合があります(固定金利選択型への切り替えは1〜5万円程度が目安)。固定期間終了後の金利設定も確認しておくと安心です。

借り換えを検討する場合の目安

現在のローンを別の銀行に移す「借り換え」は、切り替えより費用がかかります。

発生する可能性のある費用:抵当権変更の登記費用・司法書士報酬・新しい銀行の融資手数料または保証料・現在の銀行への繰り上げ返済手数料(無料の銀行も多い)——合計で30〜60万円前後が目安です。

借り換えで得られる金利差が0.5%以上あり、残期間が10年以上でないと費用を回収できないケースが多いです。金利差0.3%・残期間5年という条件では、利息の節約額が諸費用を下回る計算になることがあります。

銀行の窓口、または住宅ローン比較サービスの無料相談窓口でシミュレーションを依頼すると、具体的な損得が把握できます。

今すぐ手元で確認すること

次の3点を手元の書類またはスマートフォンアプリで確認してください。

残債と残期間:銀行アプリの「ローン残高」画面、または年1回届く残高証明書に記載されています。返済予定表(ローン組成時に銀行から受け取ったもの)も合わせて保管しておくと、現在地の把握がしやすくなります。

現在の適用金利:銀行アプリの明細や口座ページに「適用金利○%」と表示されているケースがあります。2020年前後に組んだローンで当初0.4〜0.7%台だった場合、2026年時点では0.9〜1.5%前後まで上がっている可能性があります。

5年ルールの次の見直し時期:ローン契約書の「金利変更時の取り扱い」または「返済額見直し時期」の欄に記載されています。銀行の問い合わせ窓口でも教えてもらえます。次の見直しがいつかを把握しておくと、返済計画が立てやすくなります。

この3点を確認した上で家計への影響が大きいと感じるなら、銀行の住宅ローン担当者またはFP(ファイナンシャル・プランナー)への相談が次の一手です。FP相談は自治体の無料窓口や、ライフプランを専門とする独立系の事務所でも対応しています。

参考資料

  • 日本銀行「金融政策」— 政策金利の水準と直近の金融政策決定会合の内容
  • 金融庁「住宅ローン選びに役立つ情報」— 金利種類ごとのリスクの基礎解説
  • 全国銀行協会「住宅ローンの基礎知識」— 変動金利のしくみと5年ルール・125%ルールの概要
変動金利の住宅ローン、2026年の利上げで返済額はいつ・いくら増える? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Anastassia Anufrieva on Unsplash

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参考資料

  1. 日本銀行「金融政策」
  2. 金融庁「住宅ローン選びに役立つ情報」
  3. 全国銀行協会「住宅ローンの基礎知識」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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