103万円の壁が160万円に変わった、配偶者控除はどうなる?

結論

2025年分から給与収入160万円以下は所得税ゼロに。ただし配偶者控除の要件・社会保険の106万・130万円の壁は変更なしです。働き方の見直しには両方の確認が必要です。

どうする?編集部 · · 読了 約6分
目次(18項目)
  1. 結論から先に
  2. どんな場合に当てはまるか
  3. 給与所得者の非課税ラインの変化
  4. 配偶者控除・配偶者特別控除への影響
  5. 特定扶養親族(学生等)の年収要件の引上げ
  6. 実際の手取り計算例
  7. 例外状況
  8. 社会保険の壁(106万円・130万円)は別軸で継続
  9. 配偶者の合計所得が133万円を超える場合
  10. 高所得者(合計所得2,350万円超)の基礎控除
  11. 公的年金受給者
  12. 費用・リスク・注意点
  13. 所得税の減額・還付の試算
  14. 住民税は別計算(2026年6月から変化)
  15. 社会保険の扶養判定(130万円・106万円)は別ルール
  16. 給与計算・源泉徴収の切り替え時期
  17. よくある質問
  18. 参考資料

結論から先に

2025年分(令和7年分)の所得税から給与収入が160万円以下であれば所得税はゼロになります。これは給与所得控除の最低保障額の10万円引上げと、基礎控除の最大95万円への拡大が組み合わさった効果です。いわゆる「103万円の壁」は「160万円の壁」に移動したと言えます。

ただし、この変更はあくまで所得税の非課税ラインの話です。以下の点は今回の改正と別軸で、変わっていません。

  • 配偶者控除・配偶者特別控除の要件: 配偶者の所得要件・配偶者控除を受ける本人(夫など)の年収上限は別途定められており、この改正だけでは単純に「扶養から外れない」とは言えません。
  • 社会保険の130万円・106万円の壁: パート・アルバイトの社会保険加入義務は別の基準で判断されます。

働き方や税・社会保険の見直しをする際は、所得税の壁と社会保険の壁を切り分けて理解することが重要です。

どんな場合に当てはまるか

給与所得者の非課税ラインの変化

2025年分の所得税から、給与所得控除と基礎控除の両方が拡大されました。

給与所得控除の引上げ

給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられます(収入162.5万円以下の場合)。これにより、少ない給与収入でも差し引ける金額が増加しました。

基礎控除の拡大

基礎控除は従来一律48万円でしたが、2025年分から合計所得金額に応じて最大95万円まで拡大されます。

  • 合計所得2,350万円以下: 95万円
  • 合計所得2,350万円超〜2,400万円以下: 72万円
  • 合計所得2,400万円超〜2,450万円以下: 48万円
  • 合計所得2,450万円超〜2,500万円以下: 16万円
  • 合計所得2,500万円超: 0円

一般的なパート・アルバイトや低〜中所得の方(合計所得2,350万円以下)は基礎控除が95万円となります。

非課税ラインの計算

給与収入160万円の場合:

  • 給与所得控除65万円(最低保障額)を差し引くと、給与所得は95万円
  • 基礎控除95万円を差し引くと、課税所得は0円
  • 所得税はゼロ

給与収入が160万円を超えると課税所得が発生し、所得税が生じます。

配偶者控除・配偶者特別控除への影響

配偶者控除(38万円)を受けるには、配偶者の合計所得が48万円以下(給与収入なら103万円以下)という条件があります。この要件は今回の基礎控除拡大の影響を受けず、2025年分でも103万円(給与収入ベース)のラインが継続します。

一方、配偶者特別控除(最大38万円)は、配偶者の合計所得が48万円超〜133万円以下の範囲で受けられます。今回の改正で所得計算が変わる部分はありますが、配偶者控除の判定における「合計所得48万円以下」の基準は変更されていません。

特定扶養親族(学生等)の年収要件の引上げ

学生(19〜22歳)を扶養する場合の特定扶養親族控除(63万円)について、対象となる学生の年収要件が引き上げられます。従来の103万円ラインから約150万円相当(合計所得85万円以下)への拡大が2025年分から適用される方向で調整されています。これにより、学生アルバイトが年収150万円程度まで働いても親の扶養控除が維持されやすくなります。

実際の手取り計算例

月給15万円(年収180万円)のパートの場合(扶養内・社会保険未加入を前提):

  • 給与所得控除: 65万円(最低保障)
  • 給与所得: 115万円
  • 基礎控除: 95万円
  • 課税所得: 20万円
  • 所得税: 20万円 × 5% = 1万円(年間)

同条件で年収160万円以下なら所得税は0円です。

例外状況

社会保険の壁(106万円・130万円)は別軸で継続

106万円の壁(週20時間以上、月給8.8万円以上、101人以上の会社等の条件が重なる場合)と130万円の壁(年収130万円超で配偶者の被扶養者から外れる基準)は、社会保険法の基準であり、今回の所得税改正とは無関係です。これらのラインを超えると厚生年金・健康保険の自己負担が生じ、手取りが大幅に減ることがあります。

配偶者の合計所得が133万円を超える場合

配偶者特別控除の上限(配偶者の合計所得133万円以下)を超えると、控除がゼロになります。給与収入では約201.6万円超が目安です。この上限も今回の改正では変更されていません。

高所得者(合計所得2,350万円超)の基礎控除

合計所得が2,350万円を超えると基礎控除が段階的に減少し、2,500万円超ではゼロになります。高所得世帯ではこの改正の恩恵を受けられません。

公的年金受給者

公的年金受給者の所得税計算には「公的年金等控除」が適用され、給与所得控除とは別の計算になります。給与収入と年金収入の両方がある場合は計算が複雑になるため、税務署または税理士に確認することをお勧めします。

費用・リスク・注意点

所得税の減額・還付の試算

2025年分から適用されるため、2025年12月の年末調整または2026年2〜3月の確定申告で還付・減税が発生します。

  • 年収120万円(パート・単身): 所得税ゼロ(旧来は約8,500円課税)
  • 年収160万円(同上): 所得税ゼロ(旧来は約28,500円課税)
  • 年収200万円(同上): 約8,500円の節税効果
  • 年収300万円(同上): 約15,000〜20,000円の節税効果(所得に応じ変動)

住民税は別計算(2026年6月から変化)

住民税の基礎控除は43万円(→2025年分から若干拡大の方向で検討中)であり、所得税とは異なります。所得税が非課税になっても住民税は一定額発生するケースがあります。2026年6月の住民税通知で変化を確認してください。

社会保険の扶養判定(130万円・106万円)は別ルール

所得税の非課税ラインが160万円になっても、健康保険の被扶養者の認定基準(年収130万円未満)は変わりません。年収が130万円を超えると配偶者の健康保険の被扶養者から外れ、自身で国民健康保険か職場の健康保険に加入する必要が生じます。130万円を超えた時点で健康保険料・国民年金保険料の負担(年間約24〜30万円程度)が生じるため、所得税の軽減分より社会保険料負担が大きくなるケースがあります。

給与計算・源泉徴収の切り替え時期

2026年1月支給分の給与から、新しい源泉徴収税額表が適用されます。毎月の源泉徴収額が変化します。会社が給与計算システムを更新しているか確認してください。更新されていない場合は年末調整で精算されますが、会社の担当部門への確認が推奨されます。

よくある質問

Q. 年収160万円を少し超えた場合、損をしますか?

所得税だけを見れば、160万円を超えた分に対して5%の所得税がかかるため、急激な手取り減少(いわゆる「壁」の崖)はありません。ただし社会保険の130万円の壁は残っており、年収130万円超〜160万円の範囲では社会保険料負担が発生するため、この区間では手取りが逆に減る可能性があります。「所得税の壁」と「社会保険の壁」を分けて理解することが重要です。

Q. 会社に「扶養内で働きたい」と伝える場合の年収上限は変わりましたか?

「税法上の扶養(配偶者控除)」の目安である給与収入103万円(合計所得48万円以下)のラインは変わっていません。ただし、配偶者特別控除は合計所得133万円(給与収入約201万円)まで段階的に受けられるため、「103万円を少し超えても配偶者の税負担は急増しない」という実態は以前と同様です。

Q. この改正は2024年分の確定申告でも使えますか?

使えません。2025年分(2026年の確定申告または2025年12月の年末調整)から適用です。2024年分は従来通りの計算になります。

Q. 扶養控除申告書の書き方は変わりますか?

2025年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は国税庁が改訂した様式を使います。特定扶養親族の年収要件の変更に伴い、対象となる学生の記入基準が変わる場合があります。会社から2025年分の申告書の提出を求められた際は、国税庁の最新の記載要領を確認してください。

Q. 副業収入がある場合も160万円まで非課税ですか?

給与収入以外の副業収入(雑所得・事業所得)には給与所得控除が適用されません。副業収入が20万円超の場合は確定申告が必要で、給与以外の所得についても税計算が必要です。給与収入と副業収入を合計した「合計所得」で基礎控除や税率が決まります。

参考資料

  • 国税庁「令和7年分の所得税の改正のあらまし」— 基礎控除の拡大・給与所得控除の引上げ等、2025年分から適用される主な改正内容
  • 財務省「税制改正の解説(令和7年度)」— 改正の背景・趣旨・各控除の改正内容の詳細な解説
  • 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」— 社会保険の加入基準(106万円・130万円の壁)に関する最新情報
103万円の壁が160万円に変わった、配偶者控除はどうなる? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Aleksandrs Karevs on Unsplash

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参考資料

  1. 国税庁「令和7年分の所得税の改正のあらまし」
  2. 財務省「税制改正の解説(令和7年度)」
  3. 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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