2025年成立の年金改正法。2026年4月からの主な変更点は?
2026年4月から在職老齢年金基準65万円、年金額1.9%増、第3号被保険者の見直し議論本格化。
目次(21項目)
結論から先に
2025年6月に成立した年金制度改正法は、2026年4月から段階的に施行されます。主要な変更点は①在職老齢年金の基準額62万円→65万円への引き上げ、②年金額の1.9%増(物価スライド)、③国民年金第1号被保険者の育児期間保険料免除、④遺族厚生年金の男女差解消(2028年以降)、⑤第3号被保険者制度の見直し議論本格化、の5点です。働く高齢者・自営業の育児世帯にメリットが大きく、現役世代の遺族には給付期間制限の方向となります。
どんな場合に当てはまるか
年金改正の影響を受ける典型ケースは以下の通りです。
65歳以上で働き続けている人
在職老齢年金の基準額が65万円に引き上げられ、月収45万円・年金20万円なら従来の月3万円減額がゼロに。働き続ける動機が強まります。
自営業・フリーランスで育児中
国民年金第1号被保険者の育児期間保険料免除(子の出生〜1歳前月)が新設。月16,520円の保険料が約1年間免除され、将来の年金額に影響しません(免除期間も加入期間としてカウント)。
厚生年金加入者の標準的モデル世帯
年金額の1.9%増で、夫婦2人分の年金が月23.0万円→月23.5万円程度に増加。生活費の物価上昇分の一部はカバーされます。
中高所得共働き世帯
第3号被保険者制度の見直し議論が進む中、配偶者の働き方を再検討する動きが広がる可能性。社会保険適用拡大(2026年10月、従業員51人以上の企業に拡大)と連動する話題。
配偶者死亡時の遺族
遺族厚生年金の男女差解消が決まり、男性も配偶者死亡時に55歳未満でも受給開始可能になる方向。ただし若年世代は5年に限定する案も含まれ、給付期間が短縮される可能性。
受給者全体
マクロ経済スライドが3年連続発動、年金額は名目上は増えるが実質購買力の伸びは抑えられる構造。
例外状況
受給開始年齢の選択
- 65歳開始:基準月額の100%
- 60歳繰上げ:1か月あたり0.4%減(最大24%減)
- 75歳繰下げ:1か月あたり0.7%増(最大84%増) 2022年4月から繰下げ上限が70歳→75歳に拡大されており、長寿世代には75歳繰下げが有利になる選択肢が広がっています。
配偶者加給年金
65歳以上で厚生年金20年以上加入者が、年下配偶者を扶養している場合の加算(年約39万円)。配偶者が65歳になると終了する仕組みも継続。
加給年金の特例
配偶者が一定の障害状態にある場合は加給年金の対象期間が延長。
高齢任意加入
65歳以上70歳未満で、受給資格期間(10年)に満たない場合の任意加入。受給資格期間を満たすために加入を続ける選択肢。
費用・リスク・注意点
在職老齢年金の試算例
65歳・厚生年金加入者の場合:
- 月給45万円+年金20万円:合計65万円→改正後全額支給
- 月給50万円+年金20万円:合計70万円→改正後は5万円超過分の半額=月2.5万円カット
- 月給40万円+年金20万円:合計60万円→改正前後ともに全額支給
年金額の年度別推移(標準的サラリーマン世帯)
- 2023年度:月22万4,482円
- 2024年度:月23万483円(+2.7%)
- 2025年度:月23万483円(据置)
- 2026年度:月23万4,866円(+1.9%)
- 2027年度以降:物価・賃金動向次第
育児期間保険料免除の経済効果
- 国民年金保険料:月16,520円(2026年度)
- 12か月免除:年約20万円の負担軽減
- 加入期間としてカウントされるため将来年金にも影響なし
第3号被保険者制度見直しのインパクト
- 廃止された場合:会社員配偶者の専業主婦・主夫は国民年金保険料月16,520円を負担
- 段階的廃止案:所得制限の引き下げ等で対象縮小
- 並行策:社会保険適用拡大による壁の解消
遺族年金改正の影響
- 30歳未満で子なしの妻:従来は5年間給付→改正後も同様の方向
- 男性の遺族年金:55歳の制限解消で給付対象拡大
- ただし新規受給者の給付期間に制限を設ける議論
よくある質問
Q. 65歳になりますが、まだ働きたいと思います。年金額の試算は?
①月給40万円・厚生年金加入:年金月20万円ならフル支給、②月給50万円:合計70万円中5万円超過分の半額2.5万円が停止、③月給70万円:合計90万円中25万円超過分の半額12.5万円が停止。改正で基準が62万→65万に上がった分、停止額が少なくなりました。
Q. 第3号被保険者廃止になったら困ります。いつから?
廃止は決定していません。2025年改正では「議論を継続」とされており、2027年以降の改革で本格議論される見込みです。仮に廃止されても、激変緩和措置・経過措置が設けられる可能性が高く、即時負担増にはなりにくいと予想されます。
Q. 育児期間の免除は申請が必要ですか?
申請が必要です。市区町村の国民年金担当窓口で「育児期間に係る国民年金保険料免除申請書」を提出します。子の出生届と同時、または出生後すみやかに手続きしてください。免除期間は加入期間として扱われ、年金額には影響しません。
Q. 配偶者が亡くなりました。遺族厚生年金の改正の影響は?
施行は2028年以降の見込みです。2026年4月時点では現行ルール(男性55歳以上の年齢制限あり)が継続。改正後の制度設計がまだ確定していないため、当面は現行ルールでの受給判定です。
Q. 年金1.9%増は2026年4月から自動的に反映されますか?
はい、2026年4月分の年金から自動的に新額が適用されます。年金受給者には4月以降に「年金額改定通知書」が郵送され、新しい年金額・振込スケジュールが確認できます。
参考資料
- 厚生労働省「年金制度改正法(令和7年)」— 改正法の全体像
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額」— 標準的年金額の試算
- 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直し」— 65万円基準の具体例
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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