収入が減った時期に国民年金保険料の免除を受けていた方から、この時期になると「7月からも申請し直しが要るのか」という質問が届きます。答えは前回の申請内容で分かれます。何もしなくてよい人と、7月中に動いたほうがよい人がいるからです。分かれ目は、昨年の申請書で継続希望欄に丸をつけたかどうか。覚えていなければ、昨年届いた承認通知書かマイナポータルで確かめるのが早道です。
免除の承認は6月分でいったん切れている
国民年金保険料の免除・納付猶予は、7月から翌年6月までを1年度として審査されます。昨年承認された免除は2026年6月分まで。7月分からは令和8年度(2026年度)分として、新しい審査を通す必要があります。
受付が始まったのは2026年7月1日です。審査に使われるのは前年、つまり2025年1月〜12月の所得。6月に決まったばかりの住民税のもとになった数字が、ここで使われます。住民税決定通知書が手元にあれば、自分の所得を確かめる材料になります。
2026年度の国民年金保険料は月17,920円で、前年度から410円上がりました。年間にすると21万5,040円。免除が通るかどうかで、家計への影響は小さくありません。
再申請が必要か — 前回の状態で見分ける
前回の承認内容と、申請書で継続を希望したかどうかで、今年の手続きは次のように分かれます。
| 前回の状態 | 継続希望・理由 | 今年の手続き |
|---|---|---|
| 全額免除・納付猶予が承認 | 継続希望欄で「希望する」 | 申請不要。日本年金機構が自動で継続審査 |
| 4分の3免除・半額免除・4分の1免除 | 一部免除は継続審査の対象外 | 7月以降に再申請 |
| 失業・事業廃止による特例免除 | 特例は承認された年度限り | 再申請し、証明書類を提出 |
| 全額免除・納付猶予が承認 | 継続希望欄で「希望しない」 | 7月以降に再申請 |
| 昨年は申請していない | 退職・収入減で今年から免除を受けたい | 7月以降に申請 |
継続希望欄で何を選んだか記憶があいまいなら、次のいずれかで確認できます。
- 昨年届いた承認通知書を見る。「全額免除」または「納付猶予」の記載と承認期間を確かめる
- マイナポータルの年金メニューで、免除の承認状況と納付状況を見る
- ねんきん加入者ダイヤル(0570-003-004)に、基礎年金番号が分かるものを手元に置いて電話する
承認通知書を処分してしまった人は意外と多く、電話で確認したほうが早いことも珍しくありません。
見落としやすいのが一部免除です。一部免除は、減額された保険料を納めて初めて免除期間として扱われます。申請を忘れたまま納付もしないと、その月は未納です。未納期間は年金の受給資格期間に入らず、障害年金や遺族年金の納付要件にも響きます。
全額免除が通るかは世帯構成でも変わる
所得の審査は本人だけを見るわけではありません。全額免除と一部免除では、本人・配偶者・世帯主の所得がすべて基準内である必要があります。実家に戻って親が世帯主になっている場合、本人の収入がゼロでも親の所得で却下されることがあります。
そこで受け皿になるのが納付猶予です。対象は50歳未満に限られますが、審査されるのは本人と配偶者の所得だけで、世帯主は問われません。親と同居しながら求職中の人が、全額免除は通らず納付猶予だけ承認される、というパターンはよくあります。
全額免除の所得基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」です。単身なら前年所得67万円以下、給与収入に直すと目安として122万円以下。一部免除にはこれより緩い基準が段階的に設けられています。正確な計算式は日本年金機構のページで確認してください。
審査結果は夏のあいだに順次届く
継続審査の結果通知は、例年7月下旬から順次発送されます。新たに申請した人への承認・却下の通知も、届くまで1〜2か月かかる場合があります。
その間に7月分の納付書が手元に届いても、慌てて納める必要はありません。承認されれば7月分にさかのぼって免除されます。却下だった場合はその納付書で納めればよいので、結果が出るまで捨てずに保管しておいてください。
継続審査で却下の通知が来たときも、そこで終わりではありません。前年に失業していた人は、雇用保険の書類を添えて特例免除として申請し直せば承認される余地があります。
申請の出し方 — 窓口・郵送・マイナポータル
新たに申請する場合の提出先は、住んでいる市区町村の国民年金担当窓口、年金事務所、そしてマイナポータルからの電子申請です。窓口に出向かなくても、郵送で受け付けている自治体がほとんどです。
電子申請なら、マイナンバーカードとスマートフォンで完結します。所得はマイナンバーを通じて照会されるので、所得証明書の添付は原則不要。失業を理由にする場合だけ、雇用保険受給資格者証か離職票の写しが必要です。
過去の分も、申請時点から2年1か月前までさかのぼって申請できます。知らずに未納のままだった期間がある人は、今回の申請と一緒に出しておくと取りこぼしがありません。
免除と猶予では年金額への効き方が違う
同じように保険料の支払いを止められても、老後への反映は同じではありません。
全額免除の期間は、老齢基礎年金の計算で満額の2分の1が反映されます。一部免除は、納めた割合に応じて反映が増えていきます。納付猶予の期間は受給資格期間には数えられるものの、年金額には反映されません。猶予はあくまで「後で納めることを前提にした先送り」に近い制度です。
どちらの場合も、10年以内なら追納で満額に近づけられます。承認から3年度目以降の追納には加算額が上乗せされるため、家計に余裕ができたら早めに納めたほうが総額は抑えられます。追納の申込みは年金事務所で受け付けています。
年金の免除が通っても、国保や住民税は別の手続き
収入が減ったときに重いのは年金だけではありません。国民健康保険料の軽減・減免や住民税の減免はそれぞれ別の制度で、年金の免除が承認されても自動では連動しない点に注意が必要です。
国保には、前年所得をもとに自治体が判定する法定軽減のように申請がいらないものもあります。一方で、失業や災害を理由にした減免は、多くの自治体で申請が必要です。会社都合などの非自発的な離職なら、前年の給与所得を30%とみなして国保料を計算する軽減制度もあり、雇用保険受給資格者証など年金の特例免除と同じ書類が判断材料になります。要件の細部は自治体で異なるため、国保の担当課で確認してください。
年金の免除申請で市区町村の窓口に行くなら、同じ庁舎の国保と住民税の担当課にも寄って、使える制度がないか聞いておくと二度手間を防げます。