落とし物が見つかったと連絡が来た。お礼(報労金)は価格の5〜20%、受け取れるのは3か月まで

この記事の要点

拾った人へのお礼(報労金)は、遺失物法で物件の価格の5%以上20%以下と決まっています。駅や店の中で拾われたときは、拾った人と施設にそれぞれ2.5%から10%ずつです。請求されるのは返還の後1か月まで、受け取りに行けるのは公告の日から3か月までです。

  1. お礼(報労金)は物件の価格の5%以上20%以下。遺失物法28条1項に、遺失者が支払わなければならないと書かれている
  2. 駅・店・ホテルなど施設の中で拾われたときは、拾った人と施設にそれぞれ2.5%から10%ずつ。二人に分かれても合計は変わらない
  3. 費用と報労金を請求できるのは、物件が遺失者に返還された後1か月まで(同法29条)
どうする?編集部 · · 読了 約8分
目次(9項目)
  1. 5%から20%。幅のどこになるかは、警察が決めない
  2. 施設の中で拾われたときは、相手が二人になる
  3. 請求されるのは、返してもらった後の1か月まで
  4. 保管にかかった費用は、お礼とは別に負担する
  5. 相手が分からないとき、払えないとき
  6. 取りに行けるのは3か月。身分を証する文書は、その後は廃棄される
  7. 受け取りの持ち物と、代わりに行ってもらうとき
  8. まだ届け出ていないなら、遺失届から
  9. 参考資料

落とし物が見つかったと連絡が来たとき、拾った人に支払うお礼は、遺失物法で物件の価格の5%以上20%以下と決まっています。駅や店の中で拾われた場合は、拾った人と施設にそれぞれ2.5%から10%ずつです。ただしこれは拾った人から請求があったときの話で、請求できる期間は物件が返還された後1か月までです。受け取りに行けるのは公告の日から3か月までなので、まず確かめるのは連絡をくれた警察署の窓口の受付時間と、持っていく身分証明書です。

5%から20%。幅のどこになるかは、警察が決めない

遺失物法28条1項の文言はこうです。

物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定により売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。

「支払わなければならない」と書かれているので、お礼は気持ちの問題ではなく、法律上の義務です。一方で、幅のどこに決まるかは条文に書かれていません。警察庁の案内は「金額、支払い方法については、拾得者と話し合って決めてください」としています。警察が額を決めたり、間に入って受け渡しをしたりはしません。

計算の基礎になる「物件の価格」も、条文は決め方を定めていません。現金はそのまま金額が分かりますが、財布やカードケース自体の価格は折り合いで決まります。括弧の中にあるとおり、警察や施設が先に売却した物件については、その売却代金の額が基礎になります。

括弧書きの「誤って占有した他人の物」は除かれます。取り違えて持ち帰られた物が戻ってくる場合は、報労金の話になりません。

施設の中で拾われたときは、相手が二人になる

同じ条の2項が、駅や店の中で拾われた場合を分けています。

前項の遺失者は、当該物件の交付を受けた施設占有者があるときは、同項の規定にかかわらず、拾得者及び当該施設占有者に対し、それぞれ同項に規定する額の二分の一の額の報労金を支払わなければならない。

1項の額の2分の1ずつ、つまり2.5%から10%ずつを、拾った人と施設の両方に支払う形になります。警察庁の案内も「施設内で拾われた場合は2.5%から10%ずつ」と添えています。合計は路上で拾われた場合と変わりませんが、話し合う相手が二人になります。

拾われた場所支払う相手1人あたりの割合
路上や公園など、施設の外拾った人価格の5%以上20%以下
駅・店・ホテルなど施設の中拾った人と施設それぞれ2.5%から10%
施設側が公法人のとき拾った人施設側は請求できない(28条3項)

3項は、国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人その他の公法人は報労金を請求できないと定めています。市営交通や公立施設の中で拾われた場合、施設側の分は請求されません。

請求されるのは、返してもらった後の1か月まで

29条が期間を切っています。費用と報労金は「物件が遺失者に返還された後一箇月を経過したときは、請求することができない」とあります。

受け取った日から数えて1か月です。その場で何も言われなかったとしても、1か月のうちは請求が来る可能性があります。逆に1か月を過ぎれば、拾った人の側から請求する権利はなくなります。受け取るときに、拾った方からの申し出があるかを窓口で聞いておくと、宙に浮いた状態で待たずに済みます。

保管にかかった費用は、お礼とは別に負担する

27条1項は、物件の提出、交付、保管に要した費用を、返還を受ける遺失者の負担としています。報労金とは別の話です。

同条2項は、この費用について民法295条から302条までの規定を適用するとしています。295条は留置権の規定で、物について生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置できるというものです。費用がかかっている物件では、精算を抜きにして引き渡しだけを受けられるとは限りません。

郵送での返還を希望する場合、警察庁の案内は「送料は全て自己負担です」としています。遠方の警察署に届いていたときは、出向く交通費と送料を比べることになります。

相手が分からないとき、払えないとき

お礼を払う意思があっても、相手が分からないことがあります。11条2項は、警察署長は「拾得者の同意があるときに限り」遺失者の求めに応じて拾得者の氏名と住所を告知できるとしています。同意がなければ教えてもらえません。3項では、同意した拾得者の求めに応じて遺失者の氏名等を告知できるとしています。連絡が取れるかどうかは、拾った方が名前を伝えてよいと考えているかで決まります。

逆に、払えない場合の道も条文にあります。31条です。

遺失者は、物件についてその有する権利を放棄して、第二十七条第一項の費用を償還する義務及び第二十八条第一項又は第二項の報労金を支払う義務を免れることができる。

受け取る権利を放棄すれば、費用も報労金も支払わずに済みます。ただし物は戻りません。中身の現金より保管費用とお礼の合計が大きくなるような場合に、選択肢として残されている規定です。

拾った人の側にも30条があり、あらかじめ申告して物件に関する一切の権利を放棄できます。放棄されていれば、お礼の請求は来ません。実際に請求があるかどうかは、この申告の有無で変わります。

取りに行けるのは3か月。身分を証する文書は、その後は廃棄される

警察の保管には期限があります。7条4項は、遺失者が判明した場合を除き、公告の日から3か月間(埋蔵物は6か月間)は掲示などの措置を継続しなければならないと定めています。警察庁の案内も「警察で物件を3か月保管し、遺失者を探すための公告や関係機関等への照会調査等を行います」としています。

3か月を過ぎると何が起きるかは、物によって違います。民法240条は「遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する」としています。財布や貴重品なら、拾った人のものになります。

ところが、免許証や保険証のような書類は拾った人のものにもなりません。遺失物法35条が、所有権を取得できない物件として次を挙げています。

  • 個人の身分若しくは地位又は個人の一身に専属する権利を証する文書、図画又は電磁的記録
  • 個人の秘密に属する事項が記録された文書、図画又は電磁的記録
  • 遺失者又はその関係者と認められる個人の住所又は連絡先が記録された文書、図画又は電磁的記録
  • 個人情報データベース等が記録された文書、図画又は電磁的記録(広く一般に流通しているものを除く)

そして37条2項は、これらについて公告後3か月以内に遺失者が判明しないときは「速やかにこれを廃棄しなければならない」としています。身分証や手帳、連絡先の書かれた書類は、誰かの手に渡るのではなく処分されます。「誰も持っていかないだろうから後で行けばいい」という見込みは立ちません。

もっと短い期限が働く物もあります。9条2項は、傘、衣類、自転車など日常生活で使われ広く販売されている物について、公告の日から2週間以内に遺失者が判明しないときは売却できると定めています。警察庁の案内も同じ2週間を挙げています。

落とした物いつまでに動くか
財布・現金・貴重品公告の日から3か月。過ぎると拾った人のものになる
免許証・保険証など身分を証する文書公告の日から3か月。過ぎると廃棄される
傘・衣類・自転車など公告の日から2週間で売却されることがある

受け取りの持ち物と、代わりに行ってもらうとき

11条1項は、返還のときに遺失者であることを確認し、受領書と引換えに返還しなければならないとしています。身分の確認は省けません。

警視庁の案内では、受け取りに持っていくものを「受け取りに来られる方の身分証明書」と「郵送で連絡があった場合には、その郵便物」としています。代理人が受け取る場合は、この2点に加えて本人が作成した委任状が必要で、携帯電話類以外は同居の親族であれば委任状は不要とされています。窓口の受付は午前8時30分から午後4時30分までで、土日祝日と12月29日から1月3日は除かれます。

これは東京の運用です。委任状の様式も受付時間も都道府県警ごとに違うので、連絡をくれた警察署の属する都道府県警のページで確かめてください。

まだ届け出ていないなら、遺失届から

見つかったという連絡は、遺失届が出ていなければ届きません。警察庁は遺失届を「落とし物、忘れ物が届けられた場合、遺失者にご連絡できるようにするための届出」と説明しています。

警視庁の案内では、届出は最寄りの警察署または交番等で行い、「届出はどこの警察署、交番等でも構いません」とされています。東京では、含まれる現金が100万円未満であれば「警視庁行政手続オンライン」から提出できます。オンラインの可否と条件は都道府県で異なります。

届け出るときに伝える内容について、警察庁は落とした日時と場所をできるだけ明らかにすること、記名(カタカナや漢字)や個別の番号があれば伝えること、色や形などの特徴を挙げています。カードや携帯電話の番号、財布の色、内側の名前の有無が手がかりになります。

駅や店の中で落としたなら、先に施設へ問い合わせてください。遺失物法4条2項は、施設の中で物を拾った人は施設の占有者に交付しなければならないと定めていて、13条1項で施設側が遺失者に返還するか警察署長に提出することになっています。施設の手元にある間は、警察に行っても出てきません。

見つかったときの連絡は、警察庁の案内では原則として文書によるとされています。警察を名乗る電話で手数料の振込を求められるようなことがあれば、連絡をくれたとされる警察署へ自分で掛け直してください。警察本部長が公告した物件の情報は、8条2項によりインターネットでも公表されています。

参考資料

  • e-Gov 法令API 遺失物法(平成18年法律第73号)全文 — 4条、7条、9条、11条、27条から31条、34条から37条
  • e-Gov 法令API 民法(明治29年法律第89号)全文 — 240条、295条
  • 警察庁遺失届情報サイト 遺失届とは?遺失届のポイント
  • 警察庁遺失届情報サイト 路上等(施設以外)で落とし物をした場合
  • 警視庁 落とし物をした方
Photo by Lawrence Crayton on Unsplash
#落とし物 #遺失物法 #報労金 #警察の手続き

参考資料

  1. e-Gov 法令API 遺失物法(平成18年法律第73号)全文
  2. e-Gov 法令API 民法(明治29年法律第89号)全文
  3. 警察庁遺失届情報サイト 遺失届とは?遺失届のポイント
  4. 警察庁遺失届情報サイト 路上等(施設以外)で落とし物をした場合
  5. 警視庁 落とし物をした方

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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