退去時にクリーニング代5万円を請求された、払う必要ある?

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退去時にクリーニング代5万円を請求された、払う必要ある?

退去時のクリーニング代は国交省ガイドラインで原則として貸主負担とされています。契約書に特約がある場合でも有効要件があり、過大請求には消費生活センターへの相談が有効です。

どうする?編集部 · · 読了時間 約5分

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結論から先に

退去時のクリーニング代をはじめとする原状回復費用について、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は通常の使用による損耗および経年変化は貸主(大家)負担が原則と定めています。契約書にクリーニング代を借主負担とする特約があっても、具体的な金額の明示と借主の明確な了承がなければ有効要件を満たさない場合があります。1R・1Kで5万円超のクリーニング請求は一般的な相場を上回ることが多く、内容に納得できない場合は消費生活センター(188)への相談が有効です。

どんな場合に当てはまるか

この記事は以下のような状況に当てはまります。

退去時に予想以上の費用を請求された

管理会社または大家から退去精算の請求書が届き、クリーニング代・ハウスクリーニング・原状回復費用として高額な金額を求められている場合です。

「通常の使い方をしていたのに負担を求められた」

壁の画鋲の穴(通常の範囲内)、日焼けによる変色、フローリングの軽い傷など、普通の生活をしていれば生じる程度の損耗に対して費用を請求されている場合です。

判断基準の整理

国土交通省ガイドラインは、費用負担の区分を次のように整理しています。

貸主(大家)負担の例

  • 日照や経年変化による壁紙・フローリングの変色・劣化
  • 家具の設置によるカーペットの凹み
  • 壁の画鋲穴(下地ボードへの損傷がないもの)
  • 冷蔵庫下のサビ跡(結露から生じた場合)
  • 通常の清掃で落ちない水回りのカルキ汚れ

借主負担の例

  • タバコの喫煙によるヤニ・臭い
  • 故意・不注意による壁の穴・傷
  • ペットによる傷・臭い
  • 結露を放置したことによるカビ(換気不足などの管理不足)
  • 引越し作業中に生じた壁・ドアへの大きな損傷

適正なクリーニング費用の目安

国民生活センターの相談事例や実態を参考にした目安として、専門業者によるハウスクリーニング費用は以下程度とされています。

  • 1R・1K(20〜30平方メートル):2万円〜4万円程度
  • 1LDK(40〜50平方メートル):3万5,000円〜5万5,000円程度
  • 2LDK(55〜65平方メートル):4万5,000円〜7万円程度
  • 3LDK(70〜80平方メートル):5万5,000円〜8万円程度

これらの金額はあくまで目安であり、地域・建物の状態によって異なります。請求額がこれを大幅に超える場合は過大請求の可能性を検討してください。

例外状況

特約が有効になる場合

特約が以下の要件をすべて満たす場合は、通常損耗についても借主負担となる可能性があります。

  1. 特約の必要性があり、かつ暴利的でないなど客観的・合理的理由がある
  2. 借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた負担をすることを認識していた
  3. 借主がその特約に合意していた(単に契約書に印鑑を押しただけでなく、内容を理解した上での同意)

国土交通省ガイドラインでは「単に特約を契約書に記載しただけでは借主の合意があったとはいえない」と明示しており、説明義務を果たさない一方的な特約は有効性が疑われます。

長期入居の場合の経年変化

入居期間が長いほど、壁紙・カーペット・フローリングの自然な劣化が大きくなります。国土交通省ガイドラインでは各部材ごとに耐用年数が示されており、たとえば壁紙(クロス)の耐用年数は6年とされています。入居から6年以上が経過している壁紙は、費用負担の計算においても残存価値が低く評価されます。

2020年民法改正による明文化

2020年4月施行の民法改正(621条)により、賃借人の原状回復義務の範囲が明文化されました。「通常の使用・収益によって生じた損耗と経年変化」は原状回復義務に含まれないことが明確になっています。これはガイドラインの内容を法律として裏付けるものです。

管理会社との交渉が行き詰まった場合

管理会社が主張を変えない場合は、国民生活センターまたは消費生活センター(188)への相談、弁護士会の法律相談(30分5,000円程度)、または日本司法支援センター(法テラス)の無料法律相談を活用できます。

費用・リスク・注意点

少額訴訟の活用

60万円以下の金銭請求は少額訴訟を利用できます。費用は訴額に応じた収入印紙代のみで、1万円〜6,000円程度と低廉です。弁護士なしで本人申請も可能で、原則1回の審理で判決が出ます。

弁護士費用の目安

賃貸トラブルの弁護士相談費用は初回相談30分で5,000円〜1万円程度が目安です。代理交渉・訴訟を依頼する場合は着手金・報酬金として合計10万円〜30万円以上になる場合があります。請求額が数万円程度の場合、弁護士費用と見合わないことがあるため、まず無料相談(法テラスや消費生活センター)を活用してください。

敷金返還の時効

敷金の返還請求権には時効(権利を行使できる期間)があります。民法改正後は原則として権利を行使できることを知った時から5年です。退去から長期間経過すると請求が難しくなるため、退去後は速やかに精算を求めてください。

内容証明郵便の費用

大家・管理会社に書面で反論する際は内容証明郵便が有効です。郵便局で手続きする場合の費用は1通400円〜800円程度(文字数・枚数による)で、行政書士に作成依頼した場合は別途1万円〜3万円程度の費用がかかります。

よくある質問

Q. 退去立会い時に何を確認すべきですか?

立会い時は損傷箇所の場所・範囲・程度を具体的に確認し、写真撮影しておくことが重要です。「借主負担」と記載された書面へのサインを求められた場合は、金額が未確定であれば「金額確認後に回答する」と伝え、その場での署名を急がないようにしてください。自分でも入居時・退去時の部屋の写真を記録として保管しておくことが後日の証拠になります。

Q. 管理会社から「これが相場です」と言われました。どうすれば?

管理会社の「相場」が必ずしも正しいわけではありません。国土交通省ガイドラインに基づいた原則と、契約書の特約内容を照らし合わせた上で判断してください。独自に見積もりを取る(別の清掃業者に参考見積もりを求める)ことも有効です。

Q. 入居時から壊れていた設備についても請求されそうです。どうすれば?

入居時に破損・不具合があった箇所は借主の責任ではありません。入居時チェックリスト(入居確認書)に記録されている場合はその写しを証拠として使えます。記録がない場合でも、入居当初に管理会社へ連絡した記録(メール・LINE等)が証拠になります。

Q. ペット可物件でのクリーニング代は高くても仕方ないですか?

ペット可物件ではペットによる損耗(傷・臭い・尿汚れなど)は一般的に借主負担です。ただしペットがいても通常の使用範囲内の汚れは貸主負担の原則が適用されます。ペット飼育を条件として特別なクリーニング費用特約が設けられている場合も、金額の具体的な明示がなければ有効性が問われることがあります。

Q. 礼金を払っているので原状回復費用を請求しないと言われていたのですが。

口頭での約束は後日の証明が困難です。そのような合意がある場合は契約書・覚書・メール等の書面に残しておくことが重要でした。口頭での約束を主張するためには、やり取りの証拠(録音・メール等)が必要になります。

参考資料

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」— 費用負担区分の原則と具体例、特約の有効要件
  • 国民生活センター「賃貸住宅の退去時のトラブル」— 相談事例とアドバイス、消費生活センターへの相談方法
  • 法務省「民法(債権関係)の改正について」— 2020年施行の原状回復に関する民法621条の改正内容
退去時にクリーニング代5万円を請求された、払う必要ある? — くらし 関連イラスト (どうする?)
Photo by Cat Han on Unsplash

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参考資料

  1. 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
  2. 国民生活センター「賃貸住宅の退去時のトラブル」
  3. 法務省「民法(債権関係)の改正について」

上記の出典は本文で扱った一般的情報の一次資料です。時期によりガイドラインが更新される場合がありますので、各機関の最新情報も併せてご確認ください。

ご注意. 本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個人の状況により異なる場合があります。医療・法律・金融など専門的な判断が必要な事項は、必ず該当分野の専門家にご相談ください。

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