親のインフルエンザ予防接種、65歳以上なら自己負担はいくら。9月のうちに確認しておくこと
65歳以上、または60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器やHIVによる重い機能障害がある人が定期接種の対象です。自己負担額は市区町村が決めるため全国一律ではありません。9月にやることは接種ではなく、金額と実施医療機関の確認、そして予約です。
目次(11項目)
「そろそろ予約したほうがいい?」と親から電話が来る季節になりました。医療機関がインフルエンザの予防接種の受付を始めるのは9月に入ってからが多く、自治体の案内が届くのはもう少し後です。65歳以上なら定期接種の枠で受けられます。ただ、自己負担がいくらになるかは親が住んでいる市区町村が決めていて、全国共通の金額はありません。最初に開くのは親の住民票がある市区町村の予防接種のページ、そこで分からなければ保健センターに電話します。
65歳を過ぎているかどうかで、制度そのものが変わる
厚生労働省のインフルエンザ総合ページには「65歳以上の方と、60~64歳で一定の基礎疾患がある方は定期の予防接種として毎年1回接種ができます」と書かれています。この定期接種に入るかどうかで、窓口で払う金額が数千円単位で変わります。
引っかかりやすいのが「一定の基礎疾患」の中身です。持病があれば対象になると読んでしまいがちですが、実際の範囲はかなり狭い。厚生労働省の季節性インフルエンザワクチンのページは、60〜64歳で対象になる人を「心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方」「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方」と説明しています。
高血圧で薬を飲んでいる、糖尿病で通院している。この状態はここに入りません。身体障害者手帳でいえば1級に相当するような重い機能障害が想定されています。62歳の親から「持病があるから安く打てるはず」と言われたら、この二行をそのまま見せるのが早い。
対象から外れる場合は任意接種になり、費用は全額が自己負担です。同じ待合室で隣に座った人と金額が違う、ということが普通に起きます。
金額を決めているのは国ではなく、親が住む市区町村
「高齢者のインフルエンザ予防接種はいくら」と検索して国のページにたどり着いても、金額は出てきません。書いていないのではなく、国が決めていないからです。厚生労働省のページは「接種費用が市区町村によって公費負担されているところもあります」とし、問い合わせ先として「お住まいの市区町村(保健所・保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医等」を挙げています。
つまり、無料の自治体もあれば、千数百円から二千円台の自己負担を設定している自治体もある。どちらも制度どおりです。ここを踏まえずに自分の住む市の金額を親に伝えると、窓口で「そんな金額ではない」と言われて親が混乱します。実家が別の県にあるなら、なおさら自分の市の数字は当てになりません。
確認する先は次の順です。
- 親の住民票がある市区町村の公式サイトで「高齢者インフルエンザ予防接種」を探す
- 見つからなければ市区町村の予防接種担当課、または保健センターに電話する
- かかりつけ医が決まっているなら、その医療機関に直接聞く
電話では「今年度の高齢者インフルエンザ定期接種について、自己負担額と実施期間、それから実施医療機関の一覧がどこにあるかを教えてください」。そう切り出せば通じます。担当課はこの質問を毎日受けています。
あわせて聞いておきたいのが減免の扱いです。住民税非課税世帯や生活保護を受けている世帯の自己負担をゼロにしている自治体があります。ただ、事前の申請や証明書の提示を求められることが多く、当日窓口で言っても間に合いません。該当しそうなら、この一点だけは先に確認しておく価値があります。
9月にやるのは接種ではなく、確認と予約
案内が届くのを待っていると、かかりつけ医の枠が埋まります。9月のうちに手を動かせることを挙げます。
予診票と接種券がいつ届くか。 自治体によって、対象者へ個別に郵送するところと、広報紙とサイトで知らせるだけのところがあります。後者では医療機関に置いてある予診票を使うので、通知を待ち続けても何も届きません。
かかりつけ医が実施医療機関に入っているか。 ここを外すと痛い。定期接種は市区町村が医療機関と委託契約を結んで実施しているため、契約のない医療機関で受けると公費が使えず全額自己負担になります。長く通っている診療所だから大丈夫、とは限りません。自治体サイトの実施医療機関一覧に名前があるかを見てください。
住民票がどこにあるか。 親が施設に入った、子と同居を始めた、という場合に食い違いが出ます。定期接種は住民票のある市区町村の制度です。実際に暮らしている場所と違うなら、施設や転居先で受けられる仕組みがあるかを先に聞いておきます。手続きに書類が要ることもあり、当日には間に合いません。
本人が予約できる状態か。 耳が遠い、電話の予約に不安がある。そういう場合は家族が代わりに電話します。医療機関は本人以外からの予約を受けることがほとんどですが、当日の予診票は本人の記入と署名が要ります。
12月中旬までに終える、から逆算する
いつ打つかで迷ったら、厚生労働省の記載を起点にすると決めやすくなります。急性呼吸器感染症(ARI)総合対策のQ&Aは「日本では、インフルエンザは例年12月~3月頃に流行し、例年1月末~3月上旬に流行のピークを迎えます」とし、そのうえで12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとしています。
この一文から逆算すると、10月から11月が中心の時期になります。9月中に打たなければ手遅れ、という話ではありません。逆に、年末年始の帰省に合わせて12月下旬に、と考えているなら遅い。流行のピークは1月末から3月上旬なので、そこに間に合わせる組み立てになります。
親の通院サイクルも材料になります。月に一度の定期受診があるなら、10月か11月の受診日に合わせるのがいちばん確実です。別の日に予防接種だけのために出かけてもらうより、負担が小さくて予約も取りやすい。血圧や血糖の値を診てもらったうえで打てるという利点もあります。
日程を決めたら、その場で次の受診日の予約まで入れてしまう。「10月になったら電話する」は、親も自分も忘れます。
予約が埋まっていたときの探し直し方
10月に入ると、かかりつけ医の枠は先から埋まります。断られても打つ手はあります。
自治体の実施医療機関一覧に載っているのは内科だけではありません。整形外科や耳鼻科、眼科が定期接種を受け持っている地域もあり、そうした医療機関には枠が残っています。一覧をPDFで公開している自治体が多いので、親の家から歩ける範囲を先に絞り込んでおきます。
電話で聞くのは在庫と枠です。「高齢者の定期接種で、ワクチンの在庫と予約枠は残っていますか」。この聞き方なら、その場で答えが返ってきます。かかりつけでない医療機関でも定期接種は受けられます。ただ飲んでいる薬を伝える必要があるので、お薬手帳は必ず持たせます。
11月半ばを過ぎても見つからないなら、市区町村の担当課に「近くで受けられるところが見つからない」と伝えます。空き状況までは把握していないことが多いものの、一覧の更新版や集団接種の有無は分かります。
新型コロナのほうも、同じ秋に案内が来る
秋に届く案内はインフルエンザだけではありません。ARI総合対策のQ&Aによれば、新型コロナワクチンについても毎年秋冬に1回の接種を行うとされ、定期接種の対象者はインフルエンザと同じく65歳以上、および60〜64歳で特定の基礎疾患がある人という枠組みです。
家計の面では、これが二本分の出費になります。しかも新型コロナのほうは自己負担が数千円単位で設定されている自治体が多く、インフルエンザより高くなりがちです。市区町村に電話するときは、二つを分けて金額を聞いてください。「インフルエンザと新型コロナ、それぞれの自己負担はいくらですか」と並べて聞けば、一度で済みます。
同時に打てるかどうかは、医療機関の運用によって答えが変わります。二本まとめて対応する診療所もあれば、日を分けるよう案内する診療所もある。予約の電話で最初に確認しておけば、二度手間になりません。
なお、2026年度の実施内容がどうなるかは、各自治体から順次案内が出ます。2026年8月28日の時点では、この秋の実施期間や金額を全国まとめて示した資料はありません。ここは動く部分なので、親の自治体の発表を待つことになります。
「打てばかからない」ではないことを、家族が先に知っておく
期待の置きどころを間違えると、打ったのに熱を出した年に「意味がなかった」という話になります。数字を見ておいたほうがいい。
その数字は、ARI総合対策のQ&Aに載っています。65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者について、34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった、というものです。発病を防ぐ力より、亡くなるところまで進むのを防ぐ力のほうが大きく出ている。ワクチンに期待するのは主にこちらです。
同時に、この数字の出どころにも注意が要ります。対象は高齢者福祉施設の入所者であって、自宅で元気に暮らしている高齢者にそのまま当てはめられる数字ではありません。自分の親がどちらに近いかによって、読み方は変わります。
打ったあとにインフルエンザにかかることはあります。そのときに家族が落胆しないよう、「かからなくなる薬ではなく、重くなりにくくする備え」という理解を先に共有しておくと、翌年の話がしやすくなります。
本人が乗り気でないとき、押し切らない
高齢の親が予防接種を嫌がる理由は、注射そのものより「わざわざ出かけるのが面倒」「去年打ったのにかかった」「お金がかかる」のどれかであることが多いものです。理由が分かれば、対応は変わります。
出かけるのが負担なら、定期受診の日にまとめる。去年かかった話が引っかかっているなら、上の数字を持ち出す。費用の話なら、先に自治体の自己負担額を調べておきます。「たぶん安いはず」ではなく「うちの市は千五百円だった」と言えれば、話が進みます。
当日の朝に熱があるときは延期してください。予診票には体温を記入する欄があり、その場で測って判断されます。過去に予防接種で具合が悪くなったこと、卵アレルギー、飲んでいる薬。これらも予診票の記入欄にあるので、親が一人で行くなら、お薬手帳を持たせて記入を任せられる状態にしておきます。
家族が押し切って連れて行っても、本人が納得していなければ翌年また同じやりとりになります。今年は見送るという結論も、選択のひとつです。
打ったあと、家族が見ておくところ
接種した日と翌日は、腕の腫れや痛みが出ることがあります。高齢の親は「たいしたことない」と言って自分から報告しないので、こちらから電話をかけて聞くくらいでちょうどいい。
気にかけるのは、腫れが日を追って広がっていないか、熱が二日以上続いていないか。当てはまったら接種を受けた医療機関に電話します。どこで打ったかを家族も控えておくと、その電話が早く済みます。
記録の残し方も決めておくと翌年が楽です。高齢者には母子健康手帳にあたるものがありません。お薬手帳の余白に接種日と医療機関名を書いておけば、来年「去年はいつ打ったか」で迷わずに済みます。
64歳以下の家族は、別の探し方になる
定期接種の対象から外れる年代は全額自己負担で、金額は医療機関がそれぞれ決めています。同じ市内でも千円以上の差がつくことがあり、値段だけを見て初めての医療機関に行くか、通い慣れた場所を選ぶかは好みの問題です。
補助を探すなら向き先が違います。勤め先の健康保険組合や共済組合が接種費用の一部を補助している場合があり、これは自治体ではなく保険者の制度です。加入している健保のサイトで「予防接種 補助」を探すか、総務・人事に聞けば分かります。職場でまとめて接種を実施しているなら、そちらのほうが安く済みます。
自治体が独自に、子どもや妊婦への助成を設けていることもあります。定期接種とは別枠なので、市区町村サイトでは「任意接種の助成」といった見出しで載っています。
確認に使った資料
- 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」— 定期接種の対象者
- 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」— 60〜64歳の対象範囲、費用負担の考え方、問い合わせ先
- 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」— 流行時期、接種を終える目安、高齢者への効果、新型コロナの定期接種
自治体ごとの金額と実施期間は、いずれの資料にも載っていません。親の住民票がある市区町村の発表が唯一の出どころです。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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