2026年6月から病院の領収書に見慣れない加算が載っている。窓口負担は変わったか
6月以降の領収書の新加算名は、従来の2つの加算を差し替えたものです。月1回の算定で大きな値上がりではありませんが、明細書で項目を確認し、疑問は窓口で聞けます。
目次(9項目)
2026年6月1日から診療報酬の改定が施行されました。6月以降の受診で領収書に「電子的診療情報連携体制整備加算」という初めて見る名称が記載されている施設があります。これは従来の「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」という2つの加算が統合・再編されたものです。加算の名前が切り替わっただけで、差し引きの自己負担がほぼ変わらない施設も多くあります。
まず領収書の明細書を受け取って項目名を確認してください。「この加算は何ですか?」と窓口で確認することは、患者として当然の確認行為です。
廃止・統合された2つの旧加算
今回再編された旧加算の中身を整理します。
医療情報取得加算(廃止)
初診・再診時に算定されていた加算です。患者がマイナ保険証を使って薬剤情報・診療情報の取得に同意するかどうかで点数が変わる仕組みでした。マイナ保険証を利用すると低い点数、紙の保険証を使うと高い点数が設定されており、「患者がマイナ保険証を使うほど窓口負担が下がる」設計でした。
医療DX推進体制整備加算(廃止)
電子カルテ共有サービスへの参加、電子処方箋の導入、マイナポータル連携体制の整備など、デジタル化が一定水準以上の施設が月1回算定できた加算です。施設の体制水準(段階)に応じて複数の区分が設けられていました。
この2つが「電子的診療情報連携体制整備加算」として一本化され、2026年6月1日から新加算への切り替えが行われました。医療DXの推進状況を施設単位で評価し月1回算定するという仕組みは引き継がれています。今回の診療報酬改定は、医療従事者の処遇改善原資を確保することも目的のひとつです。
患者側で特別な手続きはなく、領収書の項目名が6月以降自動的に変わります。
月1回の算定が基本
受診するたびにこの加算が積み上がるわけではありません。同一医療機関・同一月内では初回受診時に1回算定されるのが基本で、2回目以降の受診で同じ加算が重複することはありません。
月に3回同じクリニックへ行っても、この加算は月に1度分だけです。翌月に受診すれば、その月の初回受診で再び1回算定されます。
慢性疾患で月に複数回受診している方は、明細書を見て「同月内に同一施設でこの加算が複数回算定されていないか」を確認しておくと安心です。なお、内科・整形外科など別々の施設を同月に受診した場合は、施設ごとに1回の算定が発生します。
患者の自己負担への影響:パターンで整理
新加算と旧2加算の点数の比較は、施設の体制水準によって異なります。おおまかに3つのパターンがあります。
差し引きでほぼ変わらないケース:施設が旧来の2加算を両方算定しており、新加算の点数が旧2加算の合計と近い場合。患者の自己負担はほぼ変わりません。
実質的に下がるケース:医療DX推進体制整備加算を算定していなかった施設(体制が未整備)では、その分の加算が消えることで患者負担が前月より下がることがあります。
変動が出るケース:体制整備が進んでいる施設では、新加算の点数が旧2加算の合計より高くなり、月あたりの自己負担が増える場合があります。
いずれのケースでも、3割負担での月あたり変動は数十円〜100円台の水準が多く、極端な値上がりが生じているわけではありません。高額療養費制度の自己負担限度額の計算に実質的な影響はない金額です。
「5月より請求が増えた」と感じた方は、5月分と6月分の領収書を並べてみてください。旧加算名が消えて新加算名に変わっていれば、差し替えが起きています。
マイナ保険証との関係が変わった点
旧制度では「患者がその受診でマイナ保険証を使うかどうか」が直接加算の点数に影響しました。受診のたびにマイナ保険証を使うと患者負担が安くなる設計で、これが利用促進の誘導になっていました。
新加算では、施設全体のマイナ保険証利用率が一定水準(目安として月間利用率30%以上など)を満たすかどうかが算定要件に組み込まれています。個々の患者がその受診でマイナ保険証を使うかどうかが直接この加算の点数を変えるわけではなくなりました。
「マイナ保険証を出せばこの加算が安くなりますか?」と窓口で確認したい場合は、施設の体制によって回答が変わるため、直接聞くのが確実です。
なお、紙の保険証(健康保険証)の特例使用については、2026年8月以降に終了時期が設けられています。これは今回の加算再編とは別の制度変更です。特例終了後はマイナ保険証または「資格確認書」での受診に切り替わります。
外来基本料の小幅変更
加算の再編と並行して、再診料などの基本的な点数も改定されています。1点あたり10円(3割負担で3円)のため、1回あたりの変動は数円程度です。月に複数回受診する方でも、この部分の合計変動は数十円にとどまります。
入院患者の食事代も改定対象
外来加算の再編とは別に、入院中の食事療養費(標準負担額)も2026年6月の改定で見直されています。
入院費の計算には診療費(保険適用分)に加えて食事代が別途加わります。標準負担額は厚生労働省の告示で定められており、改定のたびに見直されます。入院を控えている方は、担当窓口で現在の食事代単価を確認してください。短期入院では差額は小さいですが、療養入院が続く場合は月ごとに積み上がる項目です。
住民税非課税世帯・低所得世帯の方は別の区分が適用されます。限度額適用認定証・減額認定証を持っている方は、その区分が優先されます。
領収書・明細書の確認ポイント
医療機関には明細書(診療行為・処置・加算などを項目別の点数で記載した書類)を無償で交付する義務があります。「明細書をください」と受付で伝えると発行してもらえます。
確認する手順:
- 「電子的診療情報連携体制整備加算」「電診連」などの名称が6月以降の明細書にあるか
- 同月に複数回受診した場合、同じ施設でこの加算が1回だけになっているか
- 5月以前の明細書と並べて旧加算名が消えて新加算名に変わっているか(差し替えの確認)
不明な点があれば受付・会計窓口に「この加算は何の費用ですか?」と尋ねて問題ありません。2026年6月の改定は全国の施設で同時に施行されているため、窓口スタッフも説明に対応しています。
加算を算定しない施設もある
電子的診療情報連携体制整備加算は、電子カルテ共有サービスへの参加・電子処方箋の導入・マイナポータル連携体制の整備など一定の要件を満たした施設のみが算定できます。
体制整備が進行中の小規模クリニックや地方の診療所では、この加算を算定していないところもあります。「6月以降も領収書に新しい加算が現れていない」場合、施設が未算定の可能性があります。体制要件を満たすまでは算定しないという選択をしている施設もあり、違反ではありません。
今回の改定の背景
今回の改定が6月施行となった背景には、医療従事者の処遇改善を段階的に進める政府方針があります。2024年の改定から2026年にかけて、看護師・薬剤師などのコメディカル職員を含む医療従事者の賃上げ支援が続いています。診療報酬点数の引き上げと加算の再編によって、医療機関の収入基盤を整えつつ賃上げ原資を確保する仕組みが更新されました。
患者の窓口負担の変動はこうした政策の影響が一部に出ている部分です。医療費を下げることが目的ではなく、医療の質と人材確保の維持が主テーマです。制度の変化に戸惑った場合でも、「なぜ変わったのか」を把握しておくと疑問が整理しやすくなります。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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