入院中の食事代は、医療費とは別に1食550円を自己負担します(2026年6月1日から。指定難病・小児慢性特定疾病の人は330円)。この食事代は高額療養費の対象外なので、医療費が上限で止まっても食事代は別に払います。
住民税非課税世帯の人は、加入している健康保険(保険者)の減額認定を受ければ、90日までは1食270円になります。過去1年の入院期間が90日を超えたら、長期の申請をすると1食220円に下がります。70歳以上で所得が一定基準に満たない人は130円です。長期の減額は申請した翌月からの扱いで、さかのぼって申請できないとしている自治体があるので、90日を超えたら早めに手続きをします。
この記事では、食事代の額、高額療養費・医療費控除との関係、減額の受け方、90日を超えたときの申請を、厚生労働省の通知と協会けんぽ・自治体の案内で確かめます。
1食あたりの自己負担
入院中の食事の費用は、健康保険から出る「入院時食事療養費」と、患者が払う「標準負担額」でまかなわれます。患者は標準負担額だけを病院に払い、残りは保険者が病院に直接払います(協会けんぽ)。
標準負担額は、2026年3月5日の厚生労働省告示で改正され、6月1日から次の額になりました(厚生労働省保険局長通知、協会けんぽ)。
| 区分 | 1食あたり(2026年6月1日から) | 2025年4月〜2026年5月 |
|---|---|---|
| 下の区分に当たらない人 | 550円 | 510円 |
| 指定難病・小児慢性特定疾病の人 | 330円 | 300円 |
| 住民税非課税世帯(低所得者Ⅱ)で、過去1年の入院が90日以内 | 270円 | 240円 |
| 同じく、過去1年の入院が90日超 | 220円 | 190円 |
| 70歳以上で、住民税非課税世帯に属し所得が一定基準に満たない人(低所得者Ⅰ) | 130円 | 110円 |
協会けんぽによると、1日の標準負担額は3食分が上限です。平成28年3月31日の時点ですでに1年以上精神病床に入院していて、その後も入院を続けている人などは、別の額(260円)が定められています(堺市、福岡市)。
食事代の負担は、2006年4月から1日単位ではなく1食単位で計算されるようになりました(協会けんぽ)。
療養病床に入る65歳以上の人
療養病床に入院する65歳以上の人は、食事代に加えて光熱水費にあたる居住費を払います(入院時生活療養費)。2026年6月からは、居住費が1日430円です。食費は一般の人で1食550円ですが、管理栄養士などを配置していない病院では510円になります。住民税非課税世帯の人は食費270円、所得が一定基準に満たない人は160円で、どちらも居住費430円がかかります(協会けんぽ、厚生労働省保険局長通知)。
高額療養費では戻らない
協会けんぽは、高額療養費の計算に入らないものとして、保険外併用療養費の差額部分(差額ベッド代など)と、入院時食事療養費・入院時生活療養費の自己負担額を挙げています。限度額適用認定証やマイナ保険証で窓口の支払いを上限までにしても、食事代はその外です。
1か月入院して1日3食とると、一般の人の食事代は550円×90食で4万9,500円になります。医療費の上限と合わせて、退院時の精算に入るものとして見込んでおきます。
住民税非課税世帯は減額認定を受ける
食事代が下がるのは、住民税非課税世帯などで、そのことについて保険者の認定を受けている人です(厚生労働省保険局長通知)。宮城県や北九州市も、減額を受けるには認定証を医療機関に示すこと(またはマイナ保険証・オンライン資格確認)が必要としています。
協会けんぽの場合
協会けんぽは、「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」に低所得の証明書を添えて、加入している都道府県支部に出すよう案内しています。電子申請もできます。
- 住民税非課税の人:非課税証明書。マイナンバーによる情報照会を希望すれば、原則として添付はいりません
- 70歳以上で所得が一定基準に満たない人:被保険者と被扶養者の(非)課税証明書。こちらも情報照会を希望すれば原則いりません
- 認定が受けられれば「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付され、医療機関の窓口に出します
認定証の有効期間は、申請月の初日(加入した月に申請したときは資格取得日)から、最初に来る7月末日までです(協会けんぽ)。夏をまたいで入院が続く人は、8月以降の分をもう一度申請します。
国民健康保険と後期高齢者医療の場合
市区町村の国保や後期高齢者医療では、案内の書き方が自治体ごとに違います。
- 長野市(国保):マイナンバーカードを窓口で出して情報提供に同意すれば、認定証がなくても食事代が減額されるとしています。ただし、90日超の220円は別に申請が必要です
- 宮城県(国保):住民税非課税世帯は市町村などに申請して認定証を受けるよう案内したうえで、マイナ保険証を使う場合は手続き不要としています
- 北九州市(国保):減額にはオンライン資格確認を受けるか、認定証が必要としています。認定証は、1〜7月に発行する分は前々年、8〜12月に発行する分は前年の所得で判定します
- 堺市(後期高齢者医療):マイナ保険証、または限度区分が書かれた資格確認書を医療機関に出すよう案内しています
自分の加入先で、マイナ保険証だけでよいのか、申請がいるのかを、入院前に窓口や案内ページで確かめます。
入院が90日を超えたら長期の申請
住民税非課税世帯の人は、過去1年(12か月)の入院期間が90日を超えると、食事代が1食270円から220円に下がります。福岡市・堺市・長野市は、220円の適用には長期の申請が必要としています。
入院日数の数え方
- 福岡市は、過去12か月に減額認定を受けて入院した日数で数えるとしています
- 堺市(国保)は、当月を含む過去12か月の入院日数の合計で数え、減額の区分に当たらなかった期間の入院は含めないとしています
- 堺市(後期高齢者医療)は、低所得Ⅱと認定された日から90日を超えた入院が対象としています。大阪府の後期高齢者医療に加入する前の医療保険での入院日数も、90日の計算に含められるとしています
どの入院が数えられるかは、加入先に確かめます。
申請に持っていくもの
協会けんぽは、長期入院(申請月以前の1年間で90日を超えて入院)の人に、入院期間を証明する書類(入院期間が書かれた領収書など)を添えるよう案内しています。堺市(国保)は、マイナ保険証か資格確認書、持っていれば減額認定証、入院日数が分かるもの(医療機関の領収書など)を挙げています。病院の領収書は、ほかの病院の分も含めて取っておきます。
申請した翌月からの扱い
堺市(国保)は、長期該当の認定証は原則として申請月の翌月初日から交付し、申請月の月末までの差額は申請により支給される場合があるとしています。どちらも、さかのぼって申請することはできないとしています。堺市(後期高齢者医療)も、窓口の支払いが下がるのは届け出た日の属する月の翌月からで、届け出た日から月末までの差額は別に申請して後日支給としています。
91日目を過ぎてから気づいて数か月後に申請すると、その間の差額は戻らないことがあります。入院が長くなりそうなら、入院日数を数えておいて、90日を超えたらすぐに申請します。
減額されなかったとき
長野市は、減額の対象になる人がやむを得ない理由で減額を受けられなかった場合、申請すれば減額前と減額後の差額を支給するとしています。詳しい条件は加入先に問い合わせます。
医療費控除には入る
国税庁のタックスアンサーNo.1126は、入院中に病院で出される食事は入院代に含まれるので医療費控除の対象になるとしています。出前を取ったり外食したりした分は対象になりません。病院の領収書の食事代の欄も、医療費控除の集計に入れます。
入院前と入院中に確かめること
- 加入先(協会けんぽ、健康保険組合、国保、後期高齢者医療)を確かめる
- 住民税非課税世帯なら、減額認定の申請がいるか、マイナ保険証だけでよいかを加入先の案内で確かめ、必要なら入院前に申請する
- 協会けんぽの認定証は最初の7月末日まで。8月をまたぐなら更新する
- 過去1年の入院日数を、ほかの病院の分も含めて数えておく
- 90日を超えたら、領収書などを持ってすぐに長期の申請をする
- 退院後は、病院の領収書を医療費控除の集計用に保管する
この記事で確認できなかったこと
2026年11月8日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- 健康保険組合や共済組合ごとの、減額認定の申請方法と長期の申請の扱い。
- 協会けんぽで、長期の220円がいつから適用されるか(申請月か翌月か)。
- 手術前後の絶食などで食事が出なかった回の扱い。
- 協会けんぽの減額認定を、マイナ保険証の情報提供への同意だけで受けられるか。
- 堺市・福岡市・長野市・宮城県・北九州市以外の自治体の、長期の入院日数の数え方。
参考資料
- 厚生労働省保険局長通知 保発0428第1号(東海北陸厚生局掲載) — 2026年3月5日告示、6月1日適用、区分ごとの食事療養標準負担額・生活療養標準負担額
- 協会けんぽ 入院時食事療養費など — 1食単位、3食分が上限、時期ごとの額、減額認定の申請と低所得の証明、高額療養費の対象外
- 協会けんぽ 健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書 — 電子申請、添付書類、長期入院の証明書類、有効期間
- 協会けんぽ 高額療養費 — 食事代の自己負担は対象外
- 堺市 入院したときの食事代(国保) — 入院日数の数え方、翌月初日からの交付、さかのぼれない
- 堺市 入院したとき(後期高齢者医療) — 長期入院該当日は申請日の翌月1日、差額支給
- 福岡市 入院したときの食事代 — 220円は長期認定の申請が必要
- 長野市 入院時食事療養費の標準負担額 — マイナンバーカードと同意で減額、減額差額申請
- 宮城県 入院すると医療費のほかにどのような費用がかかるの? — 減額認定証の申請、マイナ保険証なら手続き不要
- 北九州市 入院したときの食事代 — 認定証の所得判定の年
- 国税庁 タックスアンサーNo.1126 — 病院の食事は医療費控除の対象