健康診断でALT 80だったら病院に行くべき?

この記事の要点

日本肝臓学会はALTが30を超えたらまずかかりつけ医の受診を勧めています。ALT 80はその目安の2倍を超えています。再検査を待つのではなく、受診して原因を調べてください。

  1. ALT 80は基準値の約2倍。すぐ入院が必要なレベルではないが経過観察が必要
  2. 1〜2か月後に再検査。その間は飲酒を控え、脂っこい食事を減らす
  3. ALT 100超・倦怠感・黄疸・右上腹部の痛みがあれば2週間以内に受診
どうする?編集部 · · 初出 · 読了 約3分
目次(17項目)
  1. ALT 80は「すぐ入院」ではないが放置もできない数値
  2. ALT 80まで上がる主な原因
  3. 非アルコール性脂肪肝(NAFLD/NASH)
  4. 過度の飲酒
  5. 慢性ウイルス性肝炎
  6. 薬剤性肝障害
  7. 激しい運動の直後
  8. 様子見でよい人と、早めに受診したい人
  9. 受診したときに医師へ伝えるべき事情
  10. 早急に受診が必要なケース
  11. 受診費用の目安と、再検査までにできること
  12. 受診した場合の検査費用(目安)
  13. 放置した場合のリスク
  14. 生活習慣の改善
  15. サプリメントへの注意
  16. 「大丈夫」と言われても確認したいこと
  17. 参考資料

ALT 80は「すぐ入院」ではないが放置もできない数値

日本肝臓学会の奈良宣言2023は、健康診断などでALT値が30を超えていた場合、まずかかりつけ医等を受診することを勧めています。ALT 80 はその目安の2倍を超えています。

すぐに入院が必要な数値ではありません。ただし**再検査を待つ段階でもありません。**学会が示す順番は、まずかかりつけ医を受診し、採血や腹部超音波検査などで原因を調べ、必要と判断されれば消化器内科でより詳しい検査に進む、というものです。

黄疸、濃い茶色の尿、右上腹部の痛みが続く、強い倦怠感が2週間以上— これらがあれば、受診を先延ばしにしないでください。

ALT 80まで上がる主な原因

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は肝細胞が傷んだときに血中に放出される酵素です。ALT 80が問題になるのは、主に以下のような状況です。

非アルコール性脂肪肝(NAFLD/NASH)

日本で最も多いALT上昇の原因です。内臓脂肪の蓄積により肝細胞に脂肪が溜まり、炎症が起きます。BMI 25以上・腹囲が基準超・中性脂肪高値が揃っている場合は脂肪肝を強く疑います。

過度の飲酒

アルコール性肝障害では、ALTよりASTやγ-GTPが高くなりやすい傾向がありますが、ALTも上昇します。「適量」を超える飲酒が続いている場合は要注意です。

慢性ウイルス性肝炎

B型・C型肝炎ウイルスへの感染は、長年症状なしにALTを上昇させ続けることがあります。健康診断でのウイルス検査を受けたことがない方は、一度確認することをお勧めします。

薬剤性肝障害

市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)、漢方薬、健康食品・サプリメントが肝障害の引き金になる例は珍しくありません。最近新しく飲み始めたものがある場合は医師に伝えてください。

激しい運動の直後

ALTはASTほどではありませんが、激しい筋肉運動の後に一時的に上昇することがあります。健康診断の前日にマラソンや激しいトレーニングをしたなら、まずその影響を疑ってみてください。

様子見でよい人と、早めに受診したい人

受診したときに医師へ伝えるべき事情

次のような事情があると、数値の読み方が変わることがあります。受診しない理由ではなく、受診したときに伝える材料として整理しておいてください。

  • 前日に激しい運動をした直後の採血だった
  • 過去の健康診断でも同程度の数値で、すでに医師のフォローを受けている
  • 発熱や感冒など、急性疾患の最中に採血した

すでに主治医が経過観察中の場合は、その医師に結果票を見せて指示を仰いでください。

早急に受診が必要なケース

  • ALT 100 U/L超
  • ALTが急激に上昇している(前回より50以上増加)
  • 皮膚・白目の黄疸、濃い茶色の尿
  • 右上腹部の圧迫感・鈍痛
  • 強い疲労感・食欲不振が2週間以上続く

受診費用の目安と、再検査までにできること

受診した場合の検査費用(目安)

  • 血液検査(肝機能パネル):3,000〜5,000円(3割負担)
  • 腹部エコー(超音波)検査:2,000〜4,000円(3割負担)
  • 肝炎ウイルス検査(B型・C型):初回は自治体の無料検診を利用できることが多い

放置した場合のリスク

脂肪肝が放置されると、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)→肝硬変→肝がんへ進行するリスクがあります。慢性肝炎の場合も同様の進行リスクがあります。進行するにつれて治療の選択肢が狭まるため、早期発見・早期対処が重要です。

生活習慣の改善

再検査までの期間でも以下を実践することで、次の検査値に影響する可能性があります。

  • 飲酒:禁酒、または週1〜2日以下に削減
  • 食事:揚げ物・甘い飲み物・精製炭水化物を減らし、野菜・魚・大豆製品を増やす
  • 運動:週150分以上の中強度有酸素運動(速歩・水泳・自転車)
  • 体重:現体重の5〜7%減少でALTが改善することが多数の研究で示されています

サプリメントへの注意

「肝臓に良い」とされる一部のサプリメントや健康食品が、逆に肝障害を引き起こすことが知られています。ウコン・イチョウ葉・一部の漢方薬に注意が必要です。現在服用中のものは受診時に全て医師に伝えてください。

「大丈夫」と言われても確認したいこと

毎年ALTが高めでも医師から「大丈夫」と言われている場合、その判断の根拠を確認しておくと安心です。腹部エコーでの確認、B型・C型肝炎ウイルス検査、原因の特定という3点が済んでいれば、経過観察の指示は妥当なことが多いです。逆に、腹部エコーをまだ一度も受けていないなら、次の受診で一度実施してもらうよう依頼してみてください。生命保険・医療保険の加入を検討している方は、「要再検査」の状態だと告知が必要になるため、先に受診して正式な診断を得ておくほうが手続きがスムーズです。

参考資料

  • 日本消化器病学会「NAFLD/NASHガイドライン2020」— 非アルコール性脂肪肝の診断・治療の基準
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「肝機能検査について」— ALT・AST・γ-GTPの基準値と意味の解説
  • 日本肝臓学会「患者さんのための肝臓病の基礎知識」— 肝臓病の進行と受診タイミングの解説
Photo by Tatiana Glazkova on Unsplash

参考資料

  1. 日本肝臓学会「奈良宣言2023」一般の方向け
  2. 日本消化器病学会ガイドライン(NAFLD/NASH)
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「肝機能検査」
  4. 日本肝臓学会「肝臓病の基礎知識」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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