源泉徴収票の『給与所得控除後』と『所得控除の額の合計』が分からない

結論

源泉徴収票は『支払金額 → 給与所得控除後 → 所得控除合計 → 課税対象 → 税額』の順に見ます。控除後と控除合計の2つを足し算ではなく引き算で結ぶのがコツです。

どうする?編集部 · · 読了 約5分
目次(14項目)
  1. まず4つの金額の位置を確認
  2. 支払金額 → 給与所得控除後 の流れ
  3. 所得控除の額の合計 とは何の合算か
  4. 基礎控除
  5. 社会保険料控除
  6. 配偶者控除・配偶者特別控除
  7. 扶養控除
  8. 生命保険料控除・地震保険料控除
  9. iDeCoの掛金(小規模企業共済等掛金控除)
  10. 課税対象額と税額の関係
  11. 住宅ローン控除がある人の見え方
  12. 前年と数字が違うときの確認順序
  13. 確定申告で使うときの注意
  14. よくある誤解

まず4つの金額の位置を確認

源泉徴収票で最初に目に入るのは、上段右側の4つの金額欄です。左から順に次の名前が並んでいます。

  • 支払金額: その年に会社が支払った給与・賞与の合計(額面)
  • 給与所得控除後の金額: 支払金額から給与所得控除(みなし経費)を引いた後の数字
  • 所得控除の額の合計額: 基礎控除・社会保険料・扶養控除などの合計
  • 源泉徴収税額: 1年分の所得税として国に納めた金額(住民税は含まれない)

この4つの数字は、左から右へ計算が進んでいきます。途中で挟まる「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」は名前が似ていて混乱しやすいですが、性質が違います。

支払金額 → 給与所得控除後 の流れ

「支払金額」と「給与所得控除後の金額」の関係は、引き算で結びます。給与所得控除は、会社員に経費の代わりとして自動的に差し引かれる金額です。

2026年分(令和8年分)の給与所得控除は、年収に応じて段階的に変動します。

  • 162.5万円以下: 65万円
  • 162.5万円〜180万円: 年収×40%ー10万円
  • 180万円〜360万円: 年収×30%+8万円
  • 360万円〜660万円: 年収×20%+44万円
  • 660万円〜850万円: 年収×10%+110万円
  • 850万円超: 一律195万円(上限)

たとえば支払金額が500万円であれば、給与所得控除は500万円×20%+44万円=144万円。給与所得控除後の金額は500万円ー144万円=356万円となります。

ここでは本人の家族構成や保険料の状況は関係せず、年収だけで自動的に決まる金額です。

所得控除の額の合計 とは何の合算か

その隣の「所得控除の額の合計額」は、本人の事情によって変わる金額の合計です。源泉徴収票の左下にある各種控除欄に金額が並んでいます。

主な構成要素を見ていきます。

基礎控除

すべての人に適用される控除です。2026年分(令和8年分)からは基礎控除が95万円に引き上げられました。年収によって段階的に変動しますが、課税所得2,400万円以下であれば95万円が基本です。

社会保険料控除

健康保険・厚生年金・雇用保険・介護保険として給与から天引きされた1年分の合計です。源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に印字されています。会社員の場合、年収の14〜16%前後になることが多いです。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者の年収によって0〜38万円(条件により48万円)が控除されます。配偶者の年収が103万円以下か、103万円〜201万円かで金額が変わります。

扶養控除

16歳以上の扶養親族1人あたり38万円が基本です。19〜22歳の子(特定扶養親族)は63万円、70歳以上の親で同居の場合は58万円です。

生命保険料控除・地震保険料控除

控除証明書を年末調整で提出した場合、上限12万円までが反映されます。

iDeCoの掛金(小規模企業共済等掛金控除)

iDeCoに加入していて、年末調整で証明書を提出した方は、1年分の掛金が全額控除に算入されます。

これらの合計が「所得控除の額の合計額」として記載されます。

課税対象額と税額の関係

源泉徴収票には「課税対象額」という欄は明示されていませんが、実際には次の引き算で計算されています。

給与所得控除後の金額 ー 所得控除の額の合計額 = 課税所得(千円未満切り捨て)

たとえば、給与所得控除後356万円ー所得控除合計150万円=206万円が課税所得です。

この課税所得に所得税率をかけて、復興特別所得税2.1%を加算したのが「源泉徴収税額」になります。

所得税率は段階的に変わります(2026年6月時点の税率)。

  • 195万円以下: 5%
  • 195万円〜330万円: 10%(控除額97,500円)
  • 330万円〜695万円: 20%(控除額427,500円)
  • 695万円〜900万円: 23%(控除額636,000円)
  • 900万円〜1,800万円: 33%(控除額1,536,000円)

課税所得206万円の場合、税額は206万円×10%ー9.75万円=10万8,500円。これに復興特別所得税2.1%を加えた約11万円が源泉徴収税額として記載されます。

住宅ローン控除がある人の見え方

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている人の源泉徴収票では、計算がもう一段進みます。

源泉徴収票の中段の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」「住宅借入金等特別控除の額」が印字されています。

住宅ローン控除は所得控除ではなく『税額控除』です。先ほど計算した所得税額から、住宅ローン残高×0.7%(上限あり)が直接差し引かれます。

このため、源泉徴収税額が0円になっているケースは、所得税が住宅ローン控除で全額消えた状態を示しています。引き切れなかった控除可能額があれば、住民税からも一部引かれる仕組みになっており、翌年の住民税通知でその効果が見えます。

前年と数字が違うときの確認順序

源泉徴収票を受け取ったときに「去年と数字が違う」と感じる方は多いはずです。確認は次の順序で行うと原因を絞りやすいです。

  1. 支払金額: 残業代・ボーナス・昇給・休業の有無で変動
  2. 社会保険料等の金額: 保険料率の改定・標準報酬月額の見直し
  3. 所得控除の額の合計額: 扶養人数・配偶者の年収・iDeCo掛金の増減
  4. 源泉徴収税額: 上記の合算結果。最も大きく動くのは扶養と社会保険料

特に2026年分は、基礎控除が95万円に引き上げられた影響と、子ども・子育て支援金(健康保険料の中に上乗せ)の開始の両方が反映されます。前年と比べて控除欄の数字が動いている場合は、まず社会保険料と基礎控除の2点を見比べてください。

確定申告で使うときの注意

源泉徴収票を確定申告に使う場面は次のとおりです。

  • 医療費控除(年間10万円超)
  • ふるさと納税の控除(ワンストップを使わない場合)
  • 住宅ローン控除の初年度申請
  • 副業や雑所得の合算
  • 給与所得が2か所以上ある場合

源泉徴収票そのものは確定申告書に添付不要になりましたが、入力に使う必要があります。マイナポータル連携を使えば、e-Taxに自動転記される機能があります(連携には事前準備が必要)。

よくある誤解

  • 『支払金額=手取り』ではない: 支払金額は額面で、税金や社会保険料はその後に差し引かれます
  • 『給与所得控除後=課税対象』ではない: ここからさらに所得控除を引いた後の金額が課税対象です
  • 『所得控除の額が高いほど得』とは限らない: 所得控除は自分の支払いや家族の状況を反映するもので、無理に増やせる性質ではありません
  • 『源泉徴収票には住民税が書かれている』ではない: 住民税は翌年6月以降に決定する別の書類(住民税決定通知書)で確認します
源泉徴収票の『給与所得控除後』と『所得控除の額の合計』が分からない — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Mehdi Mirzaie on Unsplash

広告

広告枠 (AdSense 承認後に自動表示)

参考資料

  1. 国税庁 給与所得の源泉徴収票の記載のしかた
  2. 国税庁 給与所得控除
  3. 国税庁 No.1100 所得控除のあらまし

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

関連記事

同じテーマの記事

タグ #源泉徴収票 #年末調整 #所得控除 を含む他のカテゴリの記事も見る