在職老齢年金の基準が65万円に引き上げ、私の年金は増える?

結論

2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準が月51→65万円に。年金月20万・給与月45万なら全額支給。年30万円〜100万円の増額例も。

どうする?編集部 · · 読了 約5分
目次(23項目)
  1. 結論から先に
  2. どんな場合に当てはまるか
  3. 65歳以上で厚生年金加入の勤務先で働いている
  4. 経営者・役員として報酬を受けている
  5. 70歳超で在職中
  6. 嘱託・再雇用で給与が高めの方
  7. 専門職(医師・弁護士・税理士)で65歳超
  8. 例外状況
  9. 改正で影響を受けない人
  10. 高所得者の上限
  11. 雇用保険の高年齢雇用継続給付との関係
  12. 費用・リスク・注意点
  13. 計算式
  14. 具体例での計算
  15. 自動適用、手続き不要
  16. 増額分の税金
  17. 健康保険料への影響
  18. 在職定時改定との併用
  19. 改正の背景と狙い
  20. 注意事項
  21. 今後のさらなる見直し
  22. よくある質問
  23. 参考資料

結論から先に

2026年4月から在職老齢年金制度の支給停止基準額が月51万円から65万円に大幅引き上げになります。65歳以上で働きながら老齢厚生年金を受給している方は、賃金+年金の合計が月65万円以下なら年金が全額支給されます。改正前は月51万円が基準だったため、月51〜65万円のレンジに該当する**約20〜30万人が4月から年金増額(自動的に支給再開)**となります。年間で30万円〜100万円超の増額となるケースもあり、特に60代後半〜70代前半で働き続ける高所得層に大きな恩恵があります。

どんな場合に当てはまるか

65歳以上で厚生年金加入の勤務先で働いている

正社員、契約社員、嘱託社員、再雇用・継続雇用、パートでも一定時間以上勤務して厚生年金加入者である方が該当します。雇用形態を問わず、勤務先の社会保険に加入している65歳以上の方が対象です。

経営者・役員として報酬を受けている

中小企業の社長・役員報酬を受けている方も、厚生年金加入であれば対象。改正前は役員報酬を抑えて年金カットを避ける「報酬調整」が広く行われていましたが、今後はその必要性が低下し、本来の報酬で受け取れるようになります。

70歳超で在職中

70歳を超えると厚生年金加入はなくなりますが、在職老齢年金の対象には継続して該当します。70代の医師・大学教員・経営者などに影響大。

嘱託・再雇用で給与が高めの方

大手企業の管理職経験者が再雇用契約で月給40〜60万円の報酬を受けるケース。年金合計で月51万円を超える人が広く対象。

専門職(医師・弁護士・税理士)で65歳超

高額報酬の専門職で公的年金を受給中の方は、改正前は年金がほぼ全額カットされていたケースが多いですが、今回の改正で部分的に支給されるようになります。

例外状況

改正で影響を受けない人

  • 給与+年金合計が月50万円以下:もともと全額支給で変化なし
  • 給与+年金合計が月100万円超:依然として大幅カット
  • 厚生年金未加入の自営業者・フリーランス:在職老齢年金制度の対象外
  • 老齢基礎年金(国民年金)のみ受給:対象外(在職老齢年金は厚生年金のみ)

高所得者の上限

給与+年金合計が65万円を大きく超える人(例:月100万円)は、(100-65)÷2=17.5万円の年金停止となります。改正前は(100-51)÷2=24.5万円停止だったので、月7万円・年84万円の改善。完全に全額支給ではないが大幅改善です。

雇用保険の高年齢雇用継続給付との関係

60〜64歳で受給できる高年齢雇用継続給付は、在職老齢年金とは別制度。今回の改正は65歳以上の在職老齢年金が対象で、60〜64歳の特別支給の老齢厚生年金(経過措置)には基準が異なります(こちらも段階的に見直し中)。

費用・リスク・注意点

計算式

  • 旧基準:(賃金月額+年金月額 − 51万円)÷ 2 = 支給停止額
  • 新基準(2026年4月〜):(賃金月額+年金月額 − 65万円)÷ 2 = 支給停止額
  • いずれも年金月額が上限(マイナスにならない)

具体例での計算

例1:給与月50万円・年金月15万円(合計65万円)

  • 旧:(65-51)÷2=7万円停止、年金月15-7=8万円支給
  • 新:(65-65)÷2=0円停止、年金月15万円全額支給
  • 月7万円・年84万円の増額

例2:給与月60万円・年金月20万円(合計80万円)

  • 旧:(80-51)÷2=14.5万円停止、年金月20-14.5=5.5万円支給
  • 新:(80-65)÷2=7.5万円停止、年金月20-7.5=12.5万円支給
  • 月7万円・年84万円の増額

例3:給与月40万円・年金月15万円(合計55万円)

  • 旧:(55-51)÷2=2万円停止、年金月15-2=13万円支給
  • 新:(55-65)÷2=マイナスなので停止なし、年金月15万円全額
  • 月2万円・年24万円の増額

自動適用、手続き不要

原則として日本年金機構が自動的に新基準を適用し、4月分(6月支給)から増額された年金が振り込まれます。事前に「在職老齢年金の支給停止額変更通知書」が郵送されます。

増額分の税金

増額された年金は雑所得(公的年金等)として課税対象。給与所得+年金所得の合計で確定申告が必要な場合があります(年金が年400万円以上または他の所得20万円超の場合)。

健康保険料への影響

給与の標準報酬月額には変化がないため、健康保険料・介護保険料は直接の影響なし。ただし所得税・住民税は増額分相当が上がります。

在職定時改定との併用

2022年4月から始まった「在職定時改定」では、65歳以上で働き続けて厚生年金保険料を払った分が、毎年10月に年金額に反映されます。今回の支給停止基準引上げと合わせて、働き続ける高齢者の年金は確実に増える仕組みになっています。

改正の背景と狙い

  • 平均寿命と健康寿命の延長
  • 人手不足・高齢者雇用拡大
  • 「働き損」感の解消
  • 厚生年金財政への影響は限定的(年100〜200億円規模)

注意事項

  • 自営業者・フリーランスは対象外(厚生年金加入者のみ)
  • 賞与も含めた12か月平均で計算(賞与の大きい職種は要注意)
  • 役員報酬を意図的に抑えていた場合、改正後は逆に報酬を上げる方が手取り合計が増える可能性
  • 給与改定や転職で報酬が変わった場合、改定後の額で再計算

今後のさらなる見直し

65万円基準も完全廃止ではなく、将来的にさらなる引上げまたは完全撤廃の議論が続いています。働きながら年金を受給する高齢者の増加に合わせて、5〜10年単位で再見直しが見込まれます。

よくある質問

Q. 現在年金が一部支給停止中ですが、4月から再開する手続きは必要ですか?

不要です。日本年金機構が自動的に新基準を適用し、4月分(6月15日支給)から新基準額で支給開始。事前に「在職老齢年金の支給停止額変更通知書」が郵送されます。

Q. 65歳になったばかりで初めて年金請求します。改正の恩恵はありますか?

新規請求時点で新基準が適用されます。請求書類は最寄りの年金事務所または郵送・電子申請で。請求から実際の支給開始までは2〜3か月。

Q. 妻も65歳超で働いています。世帯合計での影響は?

夫と妻それぞれ個別に在職老齢年金が適用されます。世帯合算ではないため、夫婦両方が65万円以下なら両方とも全額支給。世帯としての効果はさらに大きくなる可能性があります。

Q. 自営業ですが65歳超で老齢厚生年金を受給中です。改正の対象ですか?

自営業(厚生年金未加入)で老齢厚生年金を受給中の方は、過去の会社員時代の厚生年金加入分を受け取っているだけで「在職老齢年金」の支給停止対象にはなりません。今回の改正の影響を受けません(変化なし)。

参考資料

  • 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」— 制度改正の詳細
  • 日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」— 個人向け案内
  • 政府広報オンライン「在職老齢年金」— わかりやすい解説
在職老齢年金の基準が65万円に引き上げ、私の年金は増える? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Markus Winkler on Unsplash

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参考資料

  1. 厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」
  2. 日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」
  3. 政府広報オンライン「在職老齢年金」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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