住宅ローンの本審査で落ちた。事前審査は通ったのに、原因はどこ?
本審査の否認は、団信・物件評価・書類差異・属性変化のいずれかに寄ります。原因を電話で切り分け、住宅ローン特約の期限内に別行へ出し直せば、契約自体は守れる場面が多めです。
目次(7項目)
土曜の夕方、不動産会社から「本審査の結果、承認が下りませんでした」と電話が入る。事前審査(仮審査)は問題なく通っていたのに、なぜ本審査で落ちたのか、売主にどう伝えるか、手付金はどうなるのか——申込み中の方から、この場面のご相談がよく届きます。事前審査と本審査は名前が似ていて、銀行が確認するポイントが違います。否認の理由を電話で丁寧に確認し、その日のうちに売主とローン特約の期限を確認するだけで、次の一週間の動き方が大きく変わります。ここでは、本審査で落ちる主な原因と、否認通知が来た日から動く順序を整理します。
事前審査と本審査、銀行が見る場所が変わる
事前審査は年収・勤続・他社借入・信用情報をベースに、あなたの「返せる力」を金融機関側が短時間で見る段階です。物件が確定していなくても出せることが多く、審査期間は3日から1週間ほど。ここを通ると「借入希望額まで貸せる見込みがある」と分かるので、売買契約に進めます。
本審査は、契約書の日付が入った状態で改めて全体を見る段階です。事前で確認した属性に加えて、物件そのものの担保評価、団体信用生命保険(団信)の告知、給与所得の細かな内訳、直近の入出金の動きまで踏み込みます。同じ銀行でも、事前と本審査は別の部署が扱うことが少なくなく、事前で通った書類でも本審査でひっくり返る場面があるのはここが原因です。
売買契約が終わってから本審査を出すのが通常の順序なので、否認の連絡が来る時点で契約は成立済み。ここが、心理的に一番きつい場面になります。
本審査で否認になる、入り口の性質が分かれる
否認の理由は電話でざっくりとしか教えてもらえないことも多いのですが、実務では入り口の性質でいくつかに整理できます。
団信の告知で引っかかる場面が、まず挙がります。事前審査の段階では健康状態を細かく聞かない金融機関が多く、本審査で告知書を書いたときに、直近2年以内の通院歴や服薬が明らかになるとここで止まります。ワイド団信への切替や、団信の加入が任意のフラット35への振り替えで解決する経路があり、次の申込みに希望が残る場面です。
物件評価が想定より低かった場合も本審査でよく止まる理由です。中古マンションや築年数が古めの戸建てで起きやすく、金融機関の担保評価が売買価格を下回ると、借入希望額まで融資が下りません。差額を自己資金で埋められるなら再挑戦の余地があり、埋められないなら別の金融機関に評価をやり直してもらう流れになります。
事前審査の後で属性が変わった場面も見逃せません。転職して勤続年数が短くなった、クレジットカードのキャッシング枠を追加した、車のローンを新しく組んだ——こうした動きがあると、事前で通った条件が本審査時点で変わってしまいます。事前から本審査までのあいだ、新規のローン・カード契約は控えるのが定石です。
書類の中身が事前と食い違うケースも、実務ではよく見ます。事前は自己申告の年収で通すことが多く、本審査は源泉徴収票や課税証明書、給与明細を突き合わせます。自営業やフリーランスの方は決算書3期分の提出で数字が細かく見られ、事前より厳しく判断されやすい段階です。
通知を受けた日は、電話→売主→期限の順で動く
否認の連絡は不動産会社経由で来ることが多いのですが、まず銀行の担当者に直接電話をして「否認の理由の大枠を教えてください」と聞いておきます。個人情報保護の関係で細かい理由は教えてもらえないものの、「団信の関係」「収入証明との差」「担保評価」といったざっくりした方向性は共有してもらえる場合があり、この方向性が次の金融機関の選び方に直結します。
次に売主または仲介の不動産会社に、本審査が否認になった事実と、他行への再申込みを進める方針を早めに共有します。ここで沈黙すると、売主側は「契約者が動いていない」と受け取り、契約解除の話に進むこともあります。連絡は早いほど信用が保たれます。
そして売買契約書に書かれたローン特約(住宅ローン特約)の期限を確認します。多くの契約書には「◯月◯日までに本審査承認が得られなかった場合、契約は白紙解除、手付金は返還」という条項が入っています。特約期限内に別の金融機関で承認を得られれば契約は生きますし、期限内に承認が取れなくても白紙解除で手付金は戻ります。期限を過ぎてから解除する場合は、手付金放棄や違約金の話に変わりやすいので、日付の管理が最優先です。
別の金融機関に出し直すときの並行申込み
再申込みは、原因に応じて金融機関の性格を選び直します。物件評価で落ちた場合はネット銀行ではなく地元の地方銀行や信用金庫が担保評価を柔軟に見てくれる例があり、団信で落ちた場合はフラット35や、ワイド団信を扱うメガバンクを検討します。
並行申込みは3〜4行を上限にするのが実務の目安です。個人信用情報の照会履歴は6か月残るので、5社6社と手当たり次第に出すと「短期間で複数社が審査した」履歴が積み重なり、逆に「他社で断られた人」と見られやすくなります。並行申込みするなら1〜2週間の範囲でまとめる方が印象がまとまります。
不動産会社に提携ローンがある場合、提携先だけでなく非提携の金融機関にも同時に出しておくと、承認スピードで比較できます。提携ローンは金利優遇が付く一方、審査基準は非提携より甘いわけではない点は覚えておきたい部分です。
手付金とローン特約、期限をまたぐと扱いが変わる
ローン特約は、住宅ローンが所定期限までに承認されなかった場合の契約解除条項です。承認が下りなければ買主側の理由による解除ではなく、契約自体が最初から無かった扱いになり、手付金は満額戻ります。仲介手数料や既払いの登記費用が返らないケースは残るので、実費の内訳を仲介にあらかじめ聞いておくと想定外の請求を避けられます。
特約期限を過ぎてしまった場合、扱いは急に変わります。売主から「期限を過ぎたので特約の効力はなく、通常の解除扱いになる」と主張される可能性があり、手付金放棄や倍返し、違約金の請求という形になり得ます。期限が近づいてきたら、承認が出そうな金融機関と相談して、特約期限の延長を売主に打診する動きも選択肢に入ります。書面で延長の合意を取っておけば安心です。
再申込みまで6か月空けるべきか、すぐ動くべきか
「本審査で落ちた履歴」自体が個人信用情報に載るわけではありません。信用情報に残るのは、金融機関からの照会履歴と、契約成立後の返済状況です。落ちた原因が信用情報に載っている「延滞」「借入残高」であれば6か月から1年待って情報が更新されるまでの時間が要りますが、団信・物件評価・書類の食い違いが原因なら、翌週にでも別行に出し直せます。
原因が信用情報側にある場合、CIC・JICC・全国銀行協会個人信用情報センターの3か所に「開示請求」を出して自分の情報を確認しておくと、次にどこを整えれば通るのかが見えます。開示は個人でも手数料1,000円ほどで郵送・オンラインから請求できる仕組みで、否認の直後に手を打ちやすい選択肢です。
原因の性質を切り分けさえすれば、次の申込みまでの待ち時間はぐっと短くなります。慌てて再申込みを重ねるより、原因を1週間かけて調べる方が、結果的に承認まで早くたどり着ける道です。
参考資料
住宅ローン特約や本審査の全体像は、金融庁の住宅ローン関連情報のページと、住宅金融支援機構のフラット35のサイトで確認できます。個人信用情報の開示は、CIC・JICC・全国銀行協会個人信用情報センターの各サイトから請求できます。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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