2026年10月5日から、土地や建物の所有権の登記を申請するときに、名義人になる人が個人であれば「国籍等」を申し出ることになりました。日本国籍の人も対象で、申請情報に「日本」と記録し、原則として本籍地が記載された住民票の写しか戸籍の附票の写しを添付します。ただし日本に住所があり、住所を証する情報として住民票コードを提供して登記官が日本国籍を把握できたときは、この書類は要りません。まず確認するのは、これから出す登記が対象の4種類に入るかどうかです。法務省の「検索用情報の申出について」のページに一覧が載っています。
対象は所有権の4種類の登記。法人と、名義人にならない人は外れる
法務省が挙げている、検索用情報を申請情報の内容として申し出る必要がある登記は次の4つです。
- 所有権の保存の登記
- 所有権の移転の登記
- 合体による登記等
- 所有権の更正の登記
家を新築して自分の名前で最初の登記を入れるとき、売買・贈与・相続で名義を移すときが入ります。抵当権の設定や抹消だけ、住所や氏名の変更登記だけであれば、この一覧には入っていません。
申し出るのは、その登記で所有権の登記名義人になる人のうち自然人、つまり個人に限られます。法人は対象外です。また、その登記の申請人でない人の検索用情報は申し出られません。共有で取得するなら、名義人になる個人それぞれについて申し出ます。
相続登記の期限に間に合わせるために出す相続人申告登記は、上の4つの一覧には入っていません。
検索用情報はもともと氏名、氏名の振り仮名、住所、生年月日、メールアドレスの5項目で、10月5日からここに国籍等が6つ目として加わりました。根拠は不動産登記規則の一部を改正する省令(令和8年法務省令第23号)で、取扱いは令和8年9月4日付けの法務省民二第872号の通達に書かれています。
日本国籍の人も「日本」と申し出る
通達は改正の理由を2つ挙げています。1つは、所有権の登記名義人の国籍を登記所が把握することが「国土の適切な利用及び管理の観点から、外国人による不動産保有の実態を把握するために必要」であること。もう1つは、名義人が亡くなったときに適用される法律が法の適用に関する通則法第36条により国籍で決まるため、義務化された相続登記をより適正かつ円滑に実施することに役立つことです。
日本国籍の人を除く仕組みではありません。管理ファイルに記録されるのは、日本国籍を有する人なら「日本」、無国籍の人なら「無国籍」です。申請情報と添付情報から2つ以上の国籍等を有していることが確認された場合は、そのすべてが記録されます。
このほかに「日本以外」「国籍不明」という記録のしかたもありますが、通達はこれを「所有権の登記名義人となる者から必要な国籍等の申出がない場合等における便宜的な記録方法」と説明し、登記の申請に際して申請情報に「日本以外」「国籍不明」と記録して提供することはできないとしています。
申し出る国名は外務省ホームページの「国・地域」サイトに掲げられているものを記録します。地域名として記録できるのは、出入国管理及び難民認定法施行令第1条に規定する「台湾」か「ヨルダン川西岸地区及びガザ地区」のいずれかです。
添付するのは、本籍地入りの住民票の写しか戸籍の附票の写し
添付情報については、「当該国籍等について市町村長その他公務員が作成した情報」を提供することと通達は定めています。公務員が職務上作成した情報がない場合は、これに代わるべき情報を出します。具体例として挙げられているのは次のものです。
| 自分の状況 | 通達が例として挙げている書類 |
|---|---|
| 日本国籍 | 本籍地が記載された住民票の写し、戸籍の附票の写し など |
| 外国籍 | 国籍または地域が記載された住民票の写し、旅券の写し、在留カードの写し、特別永住者証明書の写し など |
| 日本国籍で日本に住所があり、住所を証する情報として住民票コードを提供した場合 | 登記官が住基ネットの情報で日本国籍を把握できたときは、上の書類の提供は要らない |
いずれも「例えば」「等」という書き方なので、ここに挙がっていない書類が一切使えないという意味ではありません。迷う場合は申請前に管轄の登記所に確認してください。
住民票コードを出した場合に、国籍の書類が要らなくなる条件
添付を省けるのは、次の条件がそろったときです。通達は規則第158条の39第2項ただし書の扱いとして、この場合は日本の国籍を証する情報の提供を要しないとしています。
- 所有権の登記名義人となる人が日本に住所を有している
- その人が日本の国籍を有している
- 住所を証する情報として住民票コードを提供している
- 登記の申請に係る事実の審査のために住基ネットの情報を確認する際に、日本の国籍を有する者であることを把握できた
4つ目は登記官の側の確認なので、申請人が自分で結果を決められるものではありません。確認できなければ書類の提供を求められます。
住民票コードは住民基本台帳法第7条第13号に規定されているもので、住民票に記載されている番号です。福岡市の案内では、住民票コード入りの住民票の写しは窓口交付のみとされています。コンビニの端末では出ない前提で動く方が確実です。
コンビニで取った住民票では足りないことがある
住民票の写しは、本籍を載せるかどうかを請求のときに選ぶ形になっています。横浜市は、マルチコピー機の操作の途中に出てくる選択画面で「世帯主と続柄」「本籍と筆頭者」「個人番号(マイナンバー)」の記載の有無を選択すると案内しています。福岡市も住民票の写しについて「本籍地・筆頭者の記載 有・無」を選べるとしており、手数料は250円、利用できる時間は毎日6時30分から23時00分です。
つまり、選択画面で本籍の記載を「有」にしないまま取ると、本籍の載っていない住民票の写しになり、国籍等を証する情報としては使えません。取り直しを避けるには、ここで「有」を選んでください。
この選択ができるかどうかは自治体ごとに違います。上の2市は選択できる例で、全国共通ではありません。自分の市区町村のコンビニ交付のページを見てから端末に行くのが安全です。戸籍の附票の写しをコンビニで取れるかどうかも自治体によって差があります。
外国籍の場合、旅券の写しで出すときの扱い
旅券の写し等で出すときの注意が、通達に2点あります。
- 申出人がその写しに原本に相違ないことの証明をすることで足り、規則第55条の原本の還付の手続をする必要はありません。
- その旅券に有効期限が設定されている場合、有効期限を超えたものを国籍等を証する情報とすることはできません。
手元の旅券が失効しているなら、国籍または地域が記載された住民票の写し、在留カードの写し、特別永住者証明書の写しなど、別の書類を用意することになります。
国籍は登記簿には載らない。登記所内部の管理ファイルに記録される
記録された国籍等の情報について、通達は「内部情報として保有するものであり、不動産登記法に基づく公開の対象ではない」としています。登記事項証明書を取った第三者が国籍を見るものではありません。記録先は検索用情報管理ファイルで、メールアドレスや生年月日も同じ扱いです。
ただし非公開のまま閉じているわけではありません。通達は、国籍等を含めた登記に関する情報を公的基礎情報データベースの1つである不動産ベース・レジストリに提供することを通じて、行政機関間における情報連携に活用される見込みであると書いています。根拠として挙げられているのは、公的基礎情報データベース整備改善計画(令和7年6月13日閣議決定)と、令和8年1月23日付けの関係閣僚会議決定「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」です。
すでに名義人になっている人と、海外に住んでいる人
すでに所有権の登記名義人である個人は、登記の申請とは別に、自分の検索用情報を記録するよう単独で申し出ることができます。これは義務ではなく任意で、法務省の案内では登録免許税等の費用は不要とされています。提出方法はオンライン(かんたん登記・供託申請)か、管轄の登記所への申出書の提出です。書面を郵送するときは書留郵便等で送り、封筒の表面に「検索用情報申出書」または「検索用情報申出添付書面」が在中している旨を明記するよう案内されています。
単独申出では、国籍等を新たに記録するだけでなく、帰化・国籍喪失・国籍離脱・国籍選択などで国籍等が変わったときに変更後の国籍等を記録することもできます。添付情報の扱いは申請と同時に出す場合と同じです。
出しておく実益は国籍の記録だけではありません。法務省は、検索用情報を申し出ておくと登記官が住基ネットの情報から変更を把握して職権で住所等変更登記を行う「スマート変更登記」の対象になり、氏名や住所が変わってから2年以内に変更登記をする義務を自分で申請して果たす必要がなくなる、と説明しています。
海外に住んでいる人の扱いは10月5日で変わりました。改正省令の施行後は、所有権の登記名義人となる者が国外に住所を有するときも、国籍等を含めた検索用情報を申請情報の内容として申し出る必要があります。国外に住所がある人から申出があったときは、国籍等を含む検索用情報を管理ファイルに記録した上で、申出手続が完了した旨の連絡を行うことになっています。
2026年10月7日時点で確定していないこと
通達の最後に、システムの改修についての断りがあります。登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフト等は施行日に合わせて国籍等の入力ができるよう改修される予定ですが、国籍等の情報を記録する検索用情報管理ファイルに関する登記情報システムの改修は「改正省令の施行日以降に完了する見込み」とされています。そして、管理ファイルに記録できるようになるまでの間に申し出がされた国籍等の情報の取扱いについては「別途、連絡する」と書かれています。
10月5日直後に申し出た国籍等がいつ記録されるかは、通達の時点では決まっていません。申請の受付や登記自体がこれで止まるという記載ではありませんが、記録の時期を気にする場面では管轄の登記所に確認してください。
もう1つ、法務省の「検索用情報の申出に関するQ&A」は令和7年4月7日付けのままで、国籍等の追加には触れていません。国籍等まわりの細かい運用を調べるときは、Q&Aではなく令和8年9月4日付けの通達を見ることになります。
参考資料
- 法務省 検索用情報の申出について(職権による住所等変更登記関係)
- 法務省民二第872号(令和8年9月4日)不動産登記規則の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて
- 横浜市 コンビニ交付サービス よくあるご質問
- 福岡市 コンビニ交付サービス(住民票・印鑑証明・戸籍)