70歳以上の免許更新では、更新手続そのものより先に済ませておくものがあります。高齢者講習です。警視庁は「高齢者講習を受講しないと運転免許証の更新はできません」と書いていて、受けていなければ更新の窓口に行っても手続が進みません。受けられるのは更新期間満了日の6か月前から満了日までの間で、予約先は警察ではなく希望する教習所です。
まず手元の案内はがきを見てください。警視庁は、はがきを「遅くとも有効期間満了日の6か月前までにはお手元に届くように発送」しています。そこに書かれた満了日が、すべての期限の基準になります。
自分が受けるものは、誕生日の1か月後の年齢で決まる
年齢の数え方には注意が要ります。いまの年齢ではなく、更新期間満了日の年齢で判断します。警視庁の案内では、満了日は「誕生日の1か月後の日」です。誕生日の直前に更新する人は、満了日の時点で1歳上になっていることがあるため、はがきで自分の満了日を確かめるのが確実です。
| 満了日の年齢 | 更新手続の前に受けるもの |
|---|---|
| 70歳から74歳 | 高齢者講習 |
| 75歳以上 | 認知機能検査 + 高齢者講習 |
| 75歳以上で一定の違反歴がある | 認知機能検査 + 運転技能検査 + 高齢者講習 |
普通自動車に対応する免許を持っている方の高齢者講習は2時間で、中身は座学と運転適性検査が60分、実車が60分です。原付・二輪・小型特殊・大型特殊だけの免許なら実車がなく、座学と運転適性検査の1時間になります。
受けられる期間は、満了日の6か月前から
70歳から74歳までの方の案内には、受けられる期間が「更新期間満了日(誕生日の1か月後の日)の6か月前から更新期間満了日までの間」と書かれています。半年の幅があるように見えますが、実際に動ける時間はこれより短くなりがちです。予約が取れる日が先になるためです。
はがきが届いた日と満了日の両方を確認したら、その時点で予約の電話をかけてください。満了日まで半年あると思って置いておくと、残り1か月になってから空きを探すことになりかねません。
予約先は教習所。認知機能検査は警察施設でも受けられる
ここが分かりにくいところで、受けるものによって予約先が違います。
- 高齢者講習・運転技能検査 — 警視庁は「希望する教習所等に電話で直接予約してください」と案内しています。警察に申し込む形ではありません
- 認知機能検査 — 教習所のほか、警察施設でも受けられます。警視庁の場合はWEB予約サイトと電話(0570-08-5285)が案内されています
教習所ごとに空き具合がかなり違います。警視庁は予約のページで、実施場所と予約状況の一覧に加えて「高齢者講習 2時間講習の受講待ち日数が少ない教習所順」の一覧を公開しています。近所の1か所に断られて止まるのではなく、この一覧で待ちの短い場所を探してください。
手数料は、講習の時間と受けるものの数で変わる
次の額は警視庁の案内に載っている東京都の数字です。手数料は都道府県ごとの案内に書かれています。お住まいの地域は各県警のページで確認してください。
| 受けるもの | 時間 | 手数料 |
|---|---|---|
| 高齢者講習(普通自動車対応免許あり) | 2時間 | 6,600円 |
| 高齢者講習(原付等のみ、実車指導なし) | 1時間 | 2,950円 |
| 認知機能検査(警察施設で実施の場合) | — | 1,050円 |
| 運転技能検査 | — | 教習所ごとに異なる |
75歳以上の方は、認知機能検査と高齢者講習の両方分がかかります。認知機能検査について警察庁は「検査は何回でも受けることができますが、受ける度に手数料が必要です」としています。受け直すたびに加算される点は見込んでおいてください。
これらは更新手続そのものの手数料とは別です。更新時の手数料は窓口で別に払います。
違反歴があると、合格が条件の検査が1つ増える
75歳以上で一定の違反歴がある方は、運転技能検査が加わります。警察庁は「運転技能検査に合格しなければ、運転免許証の更新を受けることができなくなります」と明記しています。受ければ済む講習とは性質が違います。実際にコース等で普通自動車を運転し、一時停止等の課題を行う検査です。
違反歴を数える期間は、警察庁の文言では「運転免許証の有効期間が満了する日の直前の誕生日の160日前の日」から前3年間です。誕生日や更新日から3年ではないので、自分で数えようとすると外れます。対象かどうかははがきに書かれているため、そちらで確認してください。
数えられる違反は次のものです。
信号無視/通行区分違反/通行帯違反等/速度超過/横断等禁止違反/踏切不停止等・遮断踏切立入り/交差点右左折方法違反等/交差点安全進行義務違反等/横断歩行者等妨害等/安全運転義務違反/携帯電話使用等
なお、運転技能検査に合格した方の高齢者講習は、実車指導なしの1時間講習になります。実車の部分が検査で済んでいるという扱いです。
認知機能検査の結果で分かれる道
75歳以上の方の認知機能検査は、運転の頻度にかかわらず必要です。警察庁のQ&Aにも「75歳以上の方が免許証を更新するためには、普段の運転頻度にかかわらず、検査を受けていなければなりません」とあります。年に数回しか乗らないという理由では省略できません。
判定は「認知症のおそれがある」と「認知症のおそれがない」の2つです。「認知症のおそれがある」と判定された場合は、臨時適性検査を受けるか、診断書提出命令により医師の診断書を提出することになります。警察庁の説明では「診断の結果によっては、聴聞等の手続を経た上で運転免許の取消し等がなされます」という流れです。検査結果がそのまま処分になるのではなく、医師の診断と手続がはさまります。
受けないまま満了日を過ぎると、更新の手続ができない
警視庁の記載は「高齢者講習を受講しないと運転免許証の更新はできません」です。満了日までに受講できていなければ更新手続ができず、免許の有効期間はそのまま切れます。
満了日までに間に合わなかった場合の救済については、今回開いた警察庁・警視庁のページには書かれていませんでした。残り日数が少なく予約が取れそうにないなら、待ち日数の少ない教習所を一覧で探すのと並行して、都道府県の運転免許センターに満了日と状況を伝えて確認するのが確実です。失効してしまった後にどこから取り直すことになるかは、免許が失効した場合の記事にまとめてあります。
この話に当てはまらない人
- 満了日の年齢が69歳以下の方 — 高齢者講習はありません。更新時講習の区分は別の基準で決まります
- 免許の更新をしないと決めている方 — 講習は不要です。更新せずに有効期間を終えるか、申請による取消し(自主返納)を選ぶかで、その後の手続が変わります
- 運転免許を持っていない家族 — 本人以外が代わりに受けることはできません。できるのは、はがきの満了日を一緒に確認し、予約の電話をかけるところまでです
参考資料
- 警視庁「高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)」 — 対象年齢の数え方、講習の時間と内容、手数料、受けられる期間、予約方法
- 警視庁「認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)」 — 認知機能検査の手数料、予約先、はがきの発送時期、運転技能検査合格者の講習時間
- 警視庁「高齢者講習等の予約」 — 実施場所・予約状況一覧、受講待ち日数が少ない教習所順の一覧
- 警察庁「運転技能検査について」 — 対象者、違反歴を数える期間、対象となる違反行為、検査の課題
- 警察庁「認知機能検査 Q&A」 — 受検が必要な理由、判定区分、判定後の流れ、受検回数と手数料