ノートパソコンを開いた瞬間からファンが全力で回り続ける、何もしていないのに音だけ大きい、というのは故障とは限りません。多くは中にたまったホコリ、知らない間に走り続けているアプリ、そして夏場の室温が重なって起きています。修理や買い替えを考える前に、手元で確認できる順序があります。まずバックグラウンドの処理、次に物理的な放熱、最後にハードウェア劣化の判断という三段階で見ていきます。
まずどのプロセスがCPUを使っているか見る
Windowsならタスクマネージャ(Ctrl+Shift+Esc)、Macならアクティビティモニタを開き、CPU使用率の高い順に並べ替えます。ブラウザのタブ・クラウドストレージの同期・ウイルス対策ソフトの定期スキャン、この三つは特に発熱を引き起こしやすい組み合わせです。タブを20個以上開いたまま動画を再生していたり、写真同期が初回のフルアップロード中だったりすると、ファンは正常に動いていても全力で回り続けます。
不要なブラウザタブを閉じ、クラウド同期を一時停止し、ウイルススキャンの予約時間を夜に移すだけで音が落ち着くことがあります。再起動から30分以上経っているなら、一度再起動してから様子を見ます。常駐アプリの整理は、Windowsなら設定→アプリ→スタートアップ、MacならシステムからログインIDのログイン項目で削減できます。
吸気口・排気口のホコリを掃除する
ノートPCの底面や側面、ヒンジ近くには細い吸気スリットがあります。ここが繊維や粉塵で目詰まりすると、ファンが回っても風が抜けず、結果として回転数が上がり続けます。年単位で掃除していないなら、まずエアダスター(缶のエアスプレー)で外側から短く吹きかけ、表面のホコリを飛ばします。
排気口の内側まで取りたい場合は、電源を切り、バッテリーが外せる機種は外してから、綿棒や柔らかい歯ブラシで軽くなでます。掃除機を直接当てると静電気で基板を傷めるおそれがあるため避けます。ペットを室内で飼っている家ではホコリと毛が一気にたまるので、半年に一度を目安に掃除すると音の悪化を抑えられます。
室温と置き方を見直す
エアコンを使わない部屋でPCを長時間動かすと、CPUの動作温度を保つためにファンが回り続けます。室温が28度を超えるなら、エアコンを27度前後に設定したうえで、PCの底面に1〜2cm程度の隙間を作ります。布団やソファに直接置くと吸気口が完全に塞がれ、内部温度が一気に上がります。
ノートPC用のスタンドや、文庫本を底面の前後に1冊ずつ挟むだけでも放熱は改善します。冷却台(USB給電のファン付きパッド)を使う場合は静音タイプを選ぶと、PC本体のファン音より静かに底面を冷やせます。直射日光が窓越しに当たる場所での作業は本体寿命にも影響するため、夏場は遮光カーテンを引いた状態で使うほうが安心です。
止めたほうがよい異音と症状
回転数が上がっただけのファン音はうるさくても異常ではありません。ただし、「カラカラ」「ジー」という金属的な異音が混じる、ファンから煙のようなにおいがする、キーボード面が手で触れないほど熱い、画面が突然真っ暗になって電源が落ちる——このどれかが出たら使用を中止します。リチウムイオン電池の膨張や発火の前兆である場合があり、無理に動かし続けるとデータごと壊す可能性があります。
電源コードを抜き、バッテリーが外せる機種は取り外し、メーカーサポートまたは購入店舗に持ち込む準備をします。データのバックアップが取れる状態であれば、外付けSSDに重要ファイルだけでも先に逃しておくと、修理に出している間も困りません。
修理に出すか買い替えるかの判断
ファン交換のメーカー修理は、機種や保証状況にもよりますが、目安として1〜3万円台で案内されることが多いです。購入から5年以上経っている、バッテリーの持ちも半分以下になっている、起動に1分以上かかる——これらが重なるなら、修理代と買い替え時の予算を並べて比べる段階に入ります。
バッテリーの劣化度合いは、Macなら「バッテリーの状態」表示、Windowsならコマンドプロンプトで powercfg /batteryreport を実行すると確認できます。長く使う前提で買い替えるなら、購入時にメモリ16GB・SSD512GB以上を選んでおくと、3年目以降のもたつきとファン音の悪化を遅らせられます。
参考資料
- 国民生活センター「リチウムイオン電池を使用した製品の発煙・発火事故」
- 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 (NITE) 製品事故情報