引上げは2026年1月から。自分の対象区分を先に確認
教職調整額の段階的な引上げは、2026年1月1日に始まりました。 2026年10月14日現在、対象となる公立学校の教育職員の基準率は5%です。次の引上げは2027年1月1日の6%で、その後も毎年1月に1ポイントずつ上がり、2031年1月に10%になります。ただし、校長・副校長・教頭は教職調整額の支給対象外で、幼稚園の教育職員は4%基準です。根拠は給特法第3条と附則です。
自分の増額を確認するには、給与明細の給料月額と教職調整額を見比べてください。対象区分や計算基礎が分からないときは、学校の事務担当または任命権者の人事・給与担当に、適用される給与条例と対象月を尋ねると、制度上の引上げと自分の支給額を切り分けられます。
全国の基準率は「年度」ではなく暦年で読む
給特法の附則は、2026年から2030年までの各年について1月1日から12月31日までの率を定めています。幼稚園を除く支給対象者の基準率は次のとおりです。
| 適用期間 | 教職調整額の基準率 |
|---|---|
| 2026年1月1日から12月31日 | 5% |
| 2027年1月1日から12月31日 | 6% |
| 2028年1月1日から12月31日 | 7% |
| 2029年1月1日から12月31日 | 8% |
| 2030年1月1日から12月31日 | 9% |
| 2031年1月1日から | 10% |
これは検討中の案ではなく、現行法に定められた日程です。「2026年度は6%」とまとめると、2026年4月から12月の5%と、2027年1月から3月の6%が混ざってしまいます。また、文部科学省のいう「令和12年度までに10%」は、2030年度内の2031年1月と矛盾しません。文部科学省「教師の処遇改善」
主務教諭の創設や業務量管理・健康確保措置実施計画に関する規定は、2026年4月施行です。教職調整額の率の引上げと同じ開始月ではありません。2025年9月26日の施行通知
誰に当てはまるか。管理職・幼稚園・講師を区別
給特法第2条の学校の範囲は、公立の小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・幼稚園です。ただし、同条の「教育職員」に含まれることと、第3条の教職調整額が支給されることは別です。
| 区分 | この引上げを確認するときの扱い |
|---|---|
| 幼稚園以外の上記公立学校の教諭等 | 第3条の支給対象なら2026年は5%基準 |
| 校長・副校長・教頭 | 教職調整額の支給対象から除外。管理職の本給等は別に確認 |
| 公立幼稚園の支給対象となる教育職員 | 第3条の基準率は4%。上の5%から10%の表をそのまま使わない |
| 講師 | 常時勤務、または地方公務員法第22条の4第1項の短時間勤務の職を占める者が第2条の定義に含まれる |
| 学校事務職員・学習支援員等 | 肩書だけで教職調整額の対象としない。第2条の教育職員への該当を確認 |
| 私立学校・国立大学法人の附属学校 | この公立向けの法定日程だけで給与改定を判断しない |
第2条は、管理職のほか、主幹教諭・指導教諭・主務教諭・教諭・養護教諭・栄養教諭・助教諭・養護助教諭・上記条件を満たす講師・実習助手・寄宿舎指導員を教育職員として挙げています。養護教諭や栄養教諭を一律に対象外とする説明も適切ではありません。給特法第2条・第3条
指導改善研修被認定者は、原則として第3条第1項の支給対象から除かれます。 ただし、2026年1月1日前に教育公務員特例法第25条第1項の認定を受け、2025年12月31日までに同条第4項の認定を受けていない人には、その認定を受けるまで従前の扱いによる経過措置があります。研修の受講日だけで判断せず、認定日を人事・給与担当に確認してください。令和7年法律第68号附則第2条
また、「臨時的任用」「代替講師」という名称だけで対象外にはできません。文部科学省の施行通知は、教職調整額の率の引上げを含む処遇改善の趣旨を踏まえて、臨時的任用職員の給与にも適切に対応するよう求めています。自分の職と勤務形態、適用される給与条例を確認してください。施行通知9ページ
いくら増えるか。給与全体の5%増ではない
教職調整額は給料月額を基礎に計算する額です。地域手当・通勤手当等を含む給与総額や、賞与を含む年収全体に5%を掛ける制度ではありません。
例えば、幼稚園以外の支給対象者で、給料月額が30万円のまま4%から5%になったと仮定すると、教職調整額は12,000円から15,000円へ、月3,000円増えます。これは控除前の教職調整額だけの比較です。昇給、給料表の改定、他の手当、税等の控除を合わせた実際の給与差額とは区別してください。
処遇改善には、教職調整額以外の措置もあります。文部科学省は管理職の本給改善、義務教育等教員特別手当の学級担任への加算、主務教諭の創設、人事評価の昇給・勤勉手当への反映を示しています。これらを「全教員に同じ額が上乗せされる」と読み替えることはできません。学級担任等に係る手当の具体額は、校務類型などを踏まえて条例で定める扱いです。文部科学省の処遇改善の説明、施行通知8・9ページ
賞与・退職手当は「算定基礎に入らない」と一括りにしない
給特法第3条第3項第1号は、教職調整額の支給を受ける人について、期末手当・勤勉手当・退職手当等の計算で給料を算定基礎とする場合、給料に教職調整額を加えた額を基礎とする内容を条例で定めるとしています。したがって、引上げ分が賞与や退職手当に直接含まれないと一律に説明するのは誤りです。
一方、これだけで個人の年収や退職手当の増額は確定しません。支給率、在職期間などの算定条件も合わせて、勤務先の人事・給与担当に確認してください。年収だけを出発点に教職調整額を逆算したり、賞与込みの増額を保証したりしないことが大切です。給特法第3条第3項
給与明細で確認することと問い合わせ方
- 明細の対象月、給料月額、教職調整額を確認する。2026年の一般の基準率は5%ですが、幼稚園や支給対象外・経過措置の区分は先に切り分けます。
- 前の明細と比べる場合は、給料月額自体の変更と、教職調整額の率の変更を分ける。他の手当や控除も別欄で見ます。
- 不明な点を事務担当または人事・給与担当に聞く。振込日や差額の精算日は、勤務先の給与改定通知で確認します。
問い合わせる際は、「私の職・勤務形態では教職調整額のどの区分が適用されますか。2026年1月分以降の計算基礎と率、差額精算の有無を教えてください」と尋ねると、単に「給料が上がっていない」と伝えるより確認事項が明確になります。国の適用開始日と、給与の振込・精算日を同一視しないでください。
処遇改善と働き方改革は別々に確認する
教職調整額は、個人の時間外勤務時間に応じて金額が増える手当ではありません。第3条第2項では、同条第1項の対象となる教育職員に時間外勤務手当・休日勤務手当を支給しない仕組みも残っています。給特法第3条
一方、第8条は、教育委員会に業務量管理・健康確保措置実施計画を定め、計画と毎年度の実施状況を公表することなどを求めています。給与改定の通知とは別に、所属する教育委員会の計画・実施状況を見ると、業務分担や健康確保の取組を確認できます。給与の引上げだけで、自分の学校の業務が減ったことまで保証されるわけではありません。給特法第8条
よくある質問
Q. 引上げは2026年4月からですか?
いいえ。教職調整額の基準率の引上げは2026年1月1日からです。2026年は5%、2027年1月から6%となります。主務教諭の創設や業務量管理の計画に関する規定の2026年4月施行とは区別してください。
Q. 公立学校なら校長・教頭も同じ率で増えますか?
いいえ。給特法第3条第1項は校長・副校長・教頭を教職調整額の支給対象から除いています。管理職の本給改善は別の措置です。幼稚園の教育職員は4%基準で、指導改善研修被認定者にも別の扱いがあります。
Q. 給与全体が2026年に5%増えるのですか?
いいえ。5%は教職調整額を算出する基準率です。給料月額が30万円で変わらず、4%から5%になる対象者なら、教職調整額は12,000円から15,000円となり、月3,000円の差です。控除前の計算で、給与総額や手取りの5%増を意味しません。
Q. 教職調整額は賞与や退職手当に含まれないのですか?
一律に含まれないとはいえません。給特法第3条第3項第1号は、期末・勤勉・退職手当等について給料を算定基礎とする場合、教職調整額を加えた額を基礎とする内容を条例で定めるとしています。具体額は支給率や在職期間なども含め勤務先で確認します。
Q. 私立・国立の学校でも同じ日程で給料が上がりますか?
給特法のこの日程だけでは決まりません。同法第2条が定めるのは公立の義務教育諸学校等です。私立学校や国立大学法人の附属学校では、勤務先の給与規程・改定通知を確認してください。
参考資料
- e-Gov法令検索:給特法 第2条・第3条・第8条、附則第2項、令和7年法律第68号附則第1条・第2条。率の表と例外は本則・附則を合わせて確認します。
- 文部科学省「教師の処遇改善」 教職調整額以外の処遇改善の説明。
- 文部科学省の施行通知(2025年9月26日) 給与上の留意事項は7から9ページ、計画の説明は2から4ページ。